情報処理技術者試験の高度試験における「午前I試験免除」とは?
データベーススペシャリスト試験を含む情報処理技術者試験の高度試験には「午前I試験免除」の制度があります。
特定の条件を満たすことで実施される試験の科目の一つである「午前I試験」の受験が免除されるのです。
免除が受けられる条件や理由、期間について解説していきます。
指定された条件を満たすと一定期間、共通的知識を問う午前I試験の免除を受けられる
「午前I試験」は情報処理技術者試験の高度試験(スキルレベル4に該当する試験)において共通して出題される科目です。
条件を満たした場合、その後(2年間)の受験申込み時に申請することによって当該科目の免除を受けられます。
免除を受けると、各試験の午前Ⅱ試験以降の科目から受験することが可能です。
この制度は、全ての高度試験、情報処理安全確保支援士試験で並行して活用できます。
高度試験・情報処理安全確保支援士試験は専門性が高く、合格のためのハードルも高い試験。
午前I試験だけでも免除を受けて他の科目に集中できれば、合格に有利となるでしょう。
免除を受けるための条件は3つあり、そのうちいずれか1つを満たすことで、試験の免除申請を行えます。
それぞれの条件について詳しく解説するとともに、免除の申請方法についても順を追って説明していきます。
【午前I免除条件】データベーススペシャリスト試験の午前I試験免除のための3つの条件
以下に挙げる3つの条件のうち、いずれかを満たし、手続きを行うと、データベーススペシャリスト試験の午前I試験が免除されます。
それぞれの条件について詳しく見ていきましょう。
免除申請を受けるための方法についても解説します。
- 【条件1】応用情報技術者試験(AP)に合格する
- 【条件2】情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験のいずれかに合格する
- 【条件3】情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験の午前Ⅰ試験で基準点以上の成績をとる
【条件1】応用情報技術者試験(AP)に合格する
1つめの条件は応用情報技術者試験(AP)に合格することです。
応用情報技術者試験(AP)は情報処理技術者試験の中で上から2つめの「レベル3」に分類される試験です。
高度情報処理技術者試験/情報処理安全確保支援士の午前Ⅰ試験は、応用情報技術者試験(AP)と同一の出題範囲となっています。
そのため、この試験に合格している場合は午前I試験に合格できる知識、スキルを持っているとみなされます。
免除制度があることで、データベーススペシャリスト試験の合格を目指す場合、応用情報技術者試験(AP)は、合格に必要な基礎知識を向上させるだけでなく、合格そのものが試験に有利にはたらくということになります。
この条件での免除申請を行うためには、データベーススペシャリスト試験の受験申請の際に、応用情報技術者試験(AP)の合格証書番号が必要です。
【条件2】情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験のいずれかに合格する
2つめに、他の情報処理技術者試験の高度試験もしくは情報処理安全確保支援士試験(登録セキスペ)に合格した場合も、データベーススペシャリストの午前Ⅰ試験が免除されます。
情報処理技術者試験の高度試験とはデータベーススペシャリストと同等の「スキルレベル4」に該当する試験。
それぞれの試験は各分野の専門的な知識に特化していますが、午前Ⅰ試験は全ての試験で共通して出題される試験です。
そのため、他の高度試験に合格している場合は必然的に午前Ⅰ試験でも基準点を満たしていることを意味します。
情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)も、申請にあたって「スキルレベル4」の情報処理安全確保支援士試験の合格が必要とされるため、同様の扱いです。
複数の高度試験に合格することでIT人材としての価値を高めることを目指す場合、ぜひこの条件を活用し効率的に合格をめざしましょう。
この条件での免除申請は【条件1】同様、合格した試験の合格証書番号を受験申請時に入力することで行えます。
【条件3】情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験の午前Ⅰ試験で基準点以上の成績をとる
3つめの条件は情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験の午前Ⅰ試験にて基準点以上の成績を取っていることです。
これは過去2年以内のデータベーススペシャリスト試験を受験し、午前Ⅰ試験において基準点を満たしていた場合も含まれます。
データベーススペシャリスト試験は4つの科目区分で実施され、それぞれの科目ごとに合否判定されますが、このうち午前Ⅰ試験は基準点を満たしていれば、他科目で合格できなくとも2年間は同科目の免除を受けることができます。
他の3科目においては基準点を満たしていても次回試験で当該科目が免除されることはありません。
午前Ⅰ試験のみ、この制度が活用できます。
そのため、試験当日までに全範囲の対策が間に合わない場合、まずは午前Ⅰ試験で基準点を取る戦略も有効です。
次回以降の試験では残りの科目に集中できます。
2年以上かけて合格を目指す戦略の場合も同様、初年度は午前Ⅰ試験だけでも基準点を満たせると後が有利です。
【条件3】での免除を希望するには、試験の受験申込時に「午前I通過者番号」を入力します。
番号は令和5年度春期以降に受験した場合は受験申し込みをしたマイページから確認可能です。
それ以前の受験の場合「午前I通過者番号通知書」に記載されています。
合格証書番号、午前Ⅰ通過者番号がわからなくなってしまった場合には?
午前Ⅰ試験の免除を受けるために必要な合格証書番号、午前Ⅰ通過者番号がわからなくなってしまった場合の対応方法を解説します。
合格証書番号を紛失した場合、合格証明書の発行を依頼しましょう。
受験者マイページからオンライン上で手続きを行い、IPAから合格証明書を取り寄せることができます。
発行手数料は700円、期間は入金から一週間程度です。
また合格時に経済産業大臣から交付される合格証書は再発行できません。
合格証明書があれば免除の申請は可能ですが、合格証書を紛失しないよう大切に保管することも重要です。
午前Ⅰ通過者番号は、令和5年度春期試験以前に合格した場合は一部免除申請番号照会から確認できます。
令和5年度春期試験以降であれば、受験者マイページの「午前Ⅰ通過者番号の照会」から確認が可能です。
免除には期限あり。免除期間は2年後の同時期試験まで
上記の条件を満たすことで免除を受けることができる期限は2年間です。
2年後の同時期の試験以降は免除の効力は失われます。
そのため、データベーススペシャリスト試験合格にあたっては新たに午前Ⅰ試験を受験し、合格基準を満たす必要があります。
IT分野は日々最新の技術、知識のアップデートが続く分野であるため、ITに専門的に携わる人材は常に最新の情報に追い付いていなければなりません。
そうした理由から、2年を経過すると再度の受験が必要とされるのです。
なお、免除されている期間内では、免除の効力に回数制限はありません。
そのため、資格取得を目指していて免除の条件を満たした場合は、免除期間に合格を目指すのが効率的と言えるでしょう。
まとめ
データベーススペシャリスト試験の午前Ⅰ試験の免除について解説しました。
データベーススペシャリスト試験の午前Ⅰ試験は特定の条件を満たすと、科目の受験を免除される
- 【条件1】応用情報技術者試験(AP)に合格する
- 【条件2】情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験のいずれかに合格
- 【条件3】情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験の午前Ⅰ試験で基準点以上の成績をとる
- 免除の効力は条件を満たしてから2年間で、2年後の同時期の試験以降は無効となる
データベーススペシャリスト試験は専門性や難易度の高い難関試験。
合格を目指すにあたっては免除制度を活用し、1回の試験で対策する幅を狭めることも有効な試験戦略です。
ぜひ、制度の活用も含めた戦略を練り、試験合格をめざしてみてください。
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