難しすぎる? データベーススペシャリスト試験の難易度を分析
データベーススペシャリスト試験は、情報処理技術者試験のなかでも「高度試験」にあたる難易度の高い国家試験です。
その難易度の高さの理由を、以下の3点から分析していきます。
- 情報処理技術者試験でも特に難しいスキルレベル4に位置する試験
- 合格率は約17%。付け焼刃のIT知識は役に立たないレベルの難しさ
- 午前I、II、午後I、II試験があり、試験本番は長時間の集中力も要求される
情報処理技術者試験でも特に難しいスキルレベル4に位置する試験
データベーススペシャリスト試験は、12種類ある情報処理技術者試験のなかでも特に難しいスキルレベル4に位置する試験です。
試験実施団体であるIPA(情報処理推進機構)が公表している共通キャリア・スキルフレームワーク(CCSF)にしたがって、各試験とそのレベルを分類したものが下の表となります。
レベル |
試験名 | |
レベル4(高度試験) | ・データベーススペシャリスト試験
・ITストラテジスト試験 |
|
レベル3 | ・応用情報技術者試験 | |
レベル2 | ・基本情報技術者試験
・情報セキュリティマネジメント試験 |
|
レベル1 | ・ITパスポート試験 |
データベーススペシャリスト試験が目指す人物像は、システム基盤の企画から開発、運用、保守にいたるまでの幅広い知識を持つだけではなく、知識やスキルを活用して最適な提案を行える高度IT人材であり、企業でリーダー的な役割を担える人物です。
それゆえ、求められる要件に比例して、その難易度も高くなっています。
合格率は約17-18%。付け焼刃のIT知識は役に立たないレベルの難しさ
データベーススペシャリスト試験の合格率は平均すると約17%で、付け焼刃のIT知識では役に立たないレベルの難しさです。
具体的に、直近5年間のデータベーススペシャリスト試験の合格率推移を見ていきましょう。
年度 |
受験者数 |
合格者数 |
合格率 |
平成30年度春期 | 11,116 | 1,548 | 13.9% |
平成31年度春期 | 11,066 | 1,591 | 14.4% |
令和2年度10月 | 6,536 | 1,031 | 15.8% |
令和3年度秋期 | 7,409 | 1,268 | 17.1% |
令和4年度秋期 | 8,445 | 1,486 | 17.6% |
令和5年度秋期 | 8,980 | 1,664 | 18.5% |
直近で実施された令和5年度のデータベーススペシャリスト試験の合格率は、18.5%。
平成30年度からの推移を見ても、13%台から18%台の合格率で推移しており、受験者の10人によくて2人しか合格できない、難易度の高い試験だということがわかります。
また、難易度が高い要因の一つとして挙げられるのが、午後試験で出題される記述式の長文問題です。
午後試験で時間内にすべての解答を終えるためには、データベースに関する基本的・基礎的な知識や専門的スキルだけでなく、数ページにも及ぶ問題文を読み解く読解力や、さらには記述式で適切に解答する国語力など総合的な能力が求められます。
それゆえ、ちょっとやそっと勉強したぐらいでは、データベーススペシャリスト試験には歯が立たないでしょう。
午前I、II、午後I、II試験があり、試験本番は長時間の集中力も要求される
データベーススペシャリスト試験の難易度が高い理由の一つとして、「午前I」「午前II」「午後I」「午後II」の4つの試験を受けなければならず、試験本番は長時間の集中力も要求されるという点があります。
それぞれの試験時間をまとめたものが、以下の表です。
試験区分 |
午前I |
午前II |
午後I |
午後II |
試験時間 | 9:30~10:20
(50分) |
10:50~11:30
(40分) |
12:30~14:00
(90分) |
14:30~16:30
(120分) |
4試験をあわせて合計300分、5時間にもわたる試験を1日でやりとげなければならず、知識だけでなく、体力と集中力も要求されるハードな試験だともいえます。
未経験でもOK?合格に必要な勉強時間は?
難易度の高いデータベーススペシャリスト試験ですが、業務未経験者でも受験可能なのか、また、合格に必要な勉強時間はどのぐらいなのか?
その答えを3項目で解説していきます。
- 受験資格は特にないため、未経験者でも受験は可能
- 合格に必要な勉強時間はすでにあるIT知識によって大きく変わる
- IT未経験者の合格は簡単ではない。余裕ある勉強時間を設定しよう
受験資格は特にないため、未経験者でも受験は可能
情報処理技術者試験には受験資格や制限が設けられていないので、IT系の業務未経験者や学生であっても、受験することは可能です。
参考までに受験者の職業分布を見てみると、「ソフトウェア業や情報処理」「情報処理・提供サービース業」「コンピュータ及び周辺機器製造又は販売業」といったITに関連する職業の方が、全受験者数の過半数を占めています。
合格に必要な勉強時間は、すでにあるIT知識によって大きく変わる
データベーススペシャリスト試験の合格に必要な勉強時間は、すでにあるIT知識によって大きく変わってきます。
Webなどで調べると、合格までに必要な勉強時間についての記述は、あるところでは50〜150時間とされていたり、またあるところでは200時間とされていたりと、非常にまちまちです。
これは、前提となるITに関する知識がどの程度あるか、ほかの区分の情報処理技術者試験を受験した経験があるか、などによって大きく変わってくるからです。
そのため、あくまでも合格に必要な勉強時間の目安として200時間を設定しておくことは、学習計画を立てたり、自身の進捗状況を把握する上では有効といえます。
しかし、200時間という時間だけにとらわれてしまうと逆に勉強の足枷になったり、ストレスに感じる場面も出てくるので、あまり時間にこだわりすぎないよう注意しましょう。
最終的な目的は効率的な勉強で合格することなので、柔軟な考え方で勉強を進めるのが得策です。
IT未経験者の合格は簡単ではない。余裕ある勉強時間を設定しよう
データベーススペシャリスト試験は、IT未経験者の方にとって合格は簡単なものではありません。
そのため、対策の一つとして余裕ある勉強時間を設定することが重要です。
データベーススペシャリスト試験より1レベル下位の「応用情報技術者試験」に合格しているような人であれば、データベースに関する専門的な知識とこれまでの受験経験を生かして、過去問題の演習を50時間〜100時間程度こなせば合格に近付くことが可能でしょう。
しかし、IT初学者の場合では、ITに関する知識がほぼゼロの状態からのスタートとなります。
そのような状態で過去問をいきなり解こうとしてみても、問題文の意味を理解することすら難しいかもしれません。
まずは問題を解くための前提となる基礎・基本の知識を本や参考書、教材などから学ぶ必要があるので、おそらく200時間でも勉強時間が足りないといったケースがほとんどだと思われます。
自分のIT習熟度を見極めて、なるべく余裕を持った適切な学習時間を設定するようにしましょう。
データベーススペシャリスト試験合格を目指す、おすすめの勉強方法
ここからは、データベーススペシャリスト試験合格を目指すおすすめの勉強方法を「初心者」「独学」「経験者」の3タイプに分けて解説していきます。
- 初心者はいきなり高度試験を目指すよりコツコツとステップアップするのがおすすめ
- 独学ならステップアップを見越した長期の学習プランを立てられる
- 経験者の場合、短期集中型の問題演習中心での勉強法もおすすめ
タイプごとの勉強方法をあらかじめ頭に入れておき、自分の状況に合わせて効率的な学習ができるようにしましょう。
初心者はいきなり高度試験を目指すよりコツコツとステップアップするのがおすすめ
初心者の場合は、いきなり高度試験を目指すよりもコツコツとステップアップするのがおすすめです。
基礎知識のないIT初心者がいきなりデータベーススペシャリスト試験の合格を目指すのは、実際にはあまり現実的とはいえません。
しかし、情報処理技術者試験には受験資格の制限がないため、基礎的なスキルレベルの試験区分からコツコツを勉強してステップアップしていくことにより、現場未経験であってもデータベーススペシャリストなどの高度試験の合格を目指すことは十分に可能です。
そのためには、長期的な学習プランを立てて地道に勉強を進めていくことが重要となります。
たとえば、まずは100時間をかけて「ITパスポート試験(スキルレベル1)」を受験し、続いて200時間弱の勉強時間をかけて「基本情報技術者試験(スキルレベル2)」に合格したら、ある程度のIT基礎知識が身についた状態になっているはずです。
ここからは、順当なステップアップとして「応用情報技術者試験(スキルレベル3)」の受験を経由してから「データベーススペシャリスト試験(スキルレベル4)」を目指してもいいですし、「応用情報技術者試験」を飛ばして「データベーススペシャリスト試験」にチャレンジするという道を選んでもよいでしょう。
もちろん試験同士の関連性や親和性はありますが、どの試験を受けるのか、どの順番で受けるのかといったことに決まりや優劣はありません。
それよりも自分の状況やレベルに合った方法を選択することが大切になるので、ネットの情報や人の意見を鵜呑みにせず、自分の将来を見据えてどの試験を受けたらいいのかを考えると、迷うことが少なくなるでしょう。
独学ならステップアップを見越した長期の学習プランを立てられる
独学の場合は、ステップアップを見越した長期の学習プランを立てられるのがメリットの一つです。
先ほどのステップアッププランは数年にまたがる長期間での学習計画になるため、通常のスクールのカリキュラムでは対応が難しいでしょう。
しかし独学者の場合、自分のペースで学習を進めるのが基本スタイルのため、根気とモチベーションさえ維持できれば、こうした長期計画で合格を実現するのも不可能ではありません。
参考書などの教材を中心に、必要なタイミングで通信講座などの手厚いサポートをうまく組み合わせることで、独学でも難関試験の合格を目指すことは十分に可能です。
ただし、独学を選んだときに一点注意して欲しいのは「費用が抑えられる」と盲目に信じてしまうことです。
確かに独学であれば、スクールの受講料や交通費といった目に見えるお金はかかってきません。
しかし、参考書を選んだり、学習計画を立てたり、出題傾向を把握して問題分析をしたりとすべて自分一人で考えて行動しなければならず、そこにかかる物理的・精神的なコストを含めると、スクールやオンライン通信講座を利用したほうが結果的にコスパがよくなる可能性もあります。
独学が自分には向いていないと感じたら、無理して一人でがんばろうとするのではなく、スクールやオンライン通信講座の利用を検討してみてもよいでしょう。
経験者の場合、短期集中型の問題演習中心での勉強法もおすすめ
経験者の場合、短期集中型の問題演習中心での勉強法もおすすめです。
IT経験者や基本情報技術者試験、応用情報技術者試験に合格している人の場合、より短期集中型の学習プランでデータベーススペシャリスト試験の合格を目指すことも可能です。
具体的には、過去問題をひたすら解いて見直しを繰り返す問題練習スタイルをおすすめします。
というのも、情報処理技術者試験では過去に出題された問題や類似問題が多く出題されるため、過去問を解くことが、正答率を上げることに直結するからです。
特に午前試験の小問を中心に、過去問題演習が非常に効果的な試験対策として使えます。
過去問はIPA(情報処理推進機構)のホームページやインターネット上にも公開されているので、うまく活用して効率的に学習を進めましょう。
【参考】過去問題 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
まとめ
最後に重要なポイントをおさらいしておきましょう。
- データベーススペシャリスト試験は「高度試験」であり、難易度は高め
- 12種類ある情報処理技術者試験のなかで最高位の「スキルレベル4」
- 合格率は約15%で、合格に必要な勉強時間は最低でも200時間
- 初心者や独学でも合格可能だが、長期戦略が必要
ITの高度化やビッグデータの活用で様々なデータのやりとりが行われている現代において、情報を正しく適切に操作できるデータベーススペシャリストは、企業にとってますます注目度の高いIT人材となっています。
また、データベーススペシャリストの資格があれば、企業や組織の情報戦略に役立つだけでなく、今後のキャリアアップにも大きなメリットとなるでしょう。
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