質問スキル
経営コンサルタントの仕事は、クライアントから情報を聞き出す作業からスタートします。問題の本質を明らかにし、原因の特定と解決ヒントを探るには、正確な情報収集が欠かせません。確度の高い情報は、戦略プランの骨組みとなります。そのためには、経営サイドだけでなく、人事・総務・技術などの各部門の責任者、スタッフ、あるいは関連会社や支店・支社の関係者からヒアリングし、核心を突く情報を引き出さなければなりません。
しかし、経営コンサルタントの仕事は企業内に隠れる問題をあぶり出すことだけに、誰にあたっても当たり障りのない答えしか返ってこないケースが多々あります。周囲の反応やしがらみなどを気にして、本音をいわず建前しかのべない方も多いでしょう。経営改革のヒントになる情報を効果的に引き出すには、工夫とテクニックが大切となります。
そのために有効とされるのが、YES・NOをはっきりさせる「ABテスト」です。これは、ふたつの異なる意見やパターンを並べてどちらが正しいか二者択一で選んでもらうというシンプルな形式。曖昧な回答を許さないため、純度の高い情報がえられやすくなります。
「今の人事評価の何が悪いと思いますか?」より、「減点方式と加点方式のどちらが有効だとお考えですか?」みたいに、具体化して質問すると、焦点が絞られて意見ももらいやすくなるでしょう。その情報をもとに、また別の角度からABテストを行って検証の精度を上げていきます。
プレゼンテーション・スキル
経営コンサルタントには、プレゼンテーション・スキルも求められます。どんなにすぐれたアイデアを持ち出しても、最終的に経営サイドの承認をえられなければ前に進みません。アイデアの採用を決めるには、その中身を分かりやすく、ロジカルに伝える構成力と表現力がカギを握ります。
情報分析や論理構成、スライドの展開方法などももちろん大切ですが、それ以前に基本的なプレゼンテーションのスキルとマナーが重視されます。文字の大きさやフォントはみやすいのが原則。デザインもテーマに合ったものを選ぶようにします。プレゼンテーションには時間配分がありますので、決められた時間内にきっちり終える計画性も忘れてはなりません。そのためには、事前のリハーサルを何回も繰り返す周到さも求められるでしょう。
プレゼンする前のお辞儀や、声のトーン、抑揚ある話し方、オーディエンスの反応を確かめながら説明するなど、マナーにも気を配る必要があります。これはスキルというより、ビジネスパーソンとしての資質と心構えが問われる問題です。
戦略立案スキル
おそらくどんな経営コンサルティングでも、「戦略立案」は不可欠となるでしょう。「改善」「改革」「解消」などのゴールに向かうためのプロジェクトは、戦略的に進めなければなりません。そうでないと何事も行き当たりばったりで、計画も頓挫する可能性が高くなります。
戦略立案のプランニングでは、まず期間を設けてゴールを定め、問題解決のための必要タスクをひとつ一つ検証していきます。それを実行するための課題や、「Aプラン」「Bプラン」というふうに代替案の取捨選択もじっくりと吟味。さまざまな選択肢やバリエーションの中から最適なものをチョイスして、最終案をデザインします。
精度の高い戦略プランを練り上げるには、そのベースとなる情報の分析・精査が重要です。最終的に吸い上げられた情報が戦略プランの骨格となりますので、時には常識を疑いつつ、厳密に思考・選択しなければなりません。その意味では、戦略立案スキルを支えるものは「情報リテラシー」と呼べるでしょう。