ロジカルシンキングを鍛える方法
「コンサルティング=ロジカルシンキング」といわれるほど、両者は不可分の関係です。ロジカルな思考とは、さまざまな事象について客観的に論を組み立てていくこと。企業のエグゼクティブや各部署の担当者と向き合ううえで、いかに論理明快に説得力ある説明ができるかが大切となります。
「なぜ?」を掘り下げていく
どうすればロジカルな思考力が身に付くのか?その方法のひとつに、「『なぜ?』を深めていく」があります。たとえば、仕事終わりに「今日も残業だった」とつぶやくとします。そこで終わらせず「なぜ?」と自分に問いかけ、「人が足りていないから」「それはなぜ?」「新人が長続きしない」「なぜ長続きしない?どこに問題がある?」「仕事量の割りには、給料が低い」「では、どうすればよい?」というふうに突き詰めていけば、「残業ばかりしている職場」の根本的な原因と、それに対応できる解決策が見えてきます。このように「なぜ?」を取っかかりに物事の状況を深く掘り下げることで、原因と結果の接点が見つかり、ロジックが完成するのです。
周りを見わたしてみて、「これはなぜそうなるのだろう?」と考えたくなる出来事はたくさんあるかと思います。「駅前に歯医者の看板が多いのはなぜだろう」「郊外にあるあの本屋は、なぜつぶれないのだろう」「なぜコンサルタントはロジカルシンキングが必要なのだろう」など、普段は見過ごしている事象、あるいは深く考えないで何となく答えだけ知っている現象について、思考し、「原因」を解明していく訓練を行ってください。そうすれば、ロジカルな思考力が自然と身に付くのではないでしょうか。
プロのコンサルは、話し方もプロ
プロフェッショナルなコンサルタントは、話し方も鍛えているといわれます。企業の担当者を相手に自分の考え・アイディアを伝え、共有するうえで、話し方が非常に重要となるのです。
相手を観察しながら話す
話し方というと、知識や情報量、コミュニケーション能力の高さなど、内容レベルやテクニックの部分に比重が置かれがちです。もちろん、ロジカルシンキングに基づく伝え方や知識・情報の有無も話し方において大きなウエイトを占めるのは間違いありません。しかし、コンサルタントはさまざまな立場や個性を持っている方と話をする機会を与えられるため、マインド的な部分も重視して話す習慣を身に付ける必要があります。
たとえば、プロジェクト内容を経営者に伝える場合でも、ただ資料に目を落としながら一方的に話すのはよくありません。言葉で発しなくても、目の動きや表情に微妙な変化が加わることがあります。そんな言葉には表れない経営サイドのニーズや関心、願望などは、話をしながらも細かく観察しなければつかみ取るのは難しいでしょう。
人と話しながら、相手の表情を細かく観察する作業は大切です。観察力は日常生活の中でも鍛えられます。電車内の乗客の表情だったり、地元の日曜日の交通量だったり、駅頭よく見かける広告看板の変化だったり、周囲の状況によく目をこらして観察してみてください。その訓練を続けることで、観察しながらのトーク、プレゼンなどのスキルが身に付くでしょう。
コンサルタントになってからも、勉強の日々が続く
すでにコンサルの世界で経験を積んだプロフェッショナルでも、毎日のように知識の習得や情報収集に励んでいるといわれます。コンサルタントはさまざまな業界の専門分野にタッチするだけに、各ジャンルの専門知識にもある程度精通する必要があります。情報処理やシステム関係が専門のITコンサルタントでも、経営者とのコミュニケーションの中では、財務や会計などに関する専門用語も飛び交うでしょう。専門外のことでもしっかり勉強して仕事に支障がないよう地道に努力する姿勢が、クライアントからの信頼につながるのです。