さまざまな分野が混在するコンサルティング業界
国内の老舗企業から、外資系のコンサルティングファームまで、実力集団がひしめくコンサルティング業界。すべてのジャンルを網羅的に取り扱う総合コンサルティング会社もある一方、「○○系コンサルタント」というふうに、ひとつの分野に特化した会社も少なくありません。
その中でも代表的なものは、経営戦略に深くコミットする経営コンサルタント、IT知識を生かしてベネフィットの確保に大きく貢献するITコンサルタント、人事制度の刷新や人材育成制度の充実を通して企業の新たな方向性を示す人事コンサルタントなどがあります。経営・人事関係のコンサルタント業務の歴史は古く、それゆえに多くの企業が同分野に進出している側面があります。一方、ITコンサルタント業はIoTやAI技術の登場により、今後ますますそのニーズが高まることが予想される分野です。
コンサルタントの代表的な専門分野
比較的ニーズが高いコンサルタントの専門分野の特徴について、以下に記します。
経営コンサルタント
企業・団体の経営状況を診断するとともに組織のバージョンアップをサポートする専門家が、経営コンサルタントと呼ばれる人たちです。クライアントが抱える悩みを聞き取り、問題解決に向けたアプローチを試みます。業務の効率化のためのシステム導入や、労働環境の改善につながるアドバイス、責任の所在を明確にするためのルール作りなど、求められるのは明快なロジックに裏打ちされたアイディアと、クライアント目線の提案力です。
この方面の専門家が活躍する場は、コンサルティングファームやシンクタンクなどがあります。また、個人事務所を経営して活動する専門家も少なくありません。これまでの実績を生かして、本の執筆や講演などをこなすコンサルタントもいます。
ITコンサルタント
ITコンサルタントは、システムの開発や技術の導入などを通して企業の経営課題を解決する専門家です。基本的に、IT関連のコンサルタント業務全般を担います。
企業のIT戦略に添ったかたちでのシステム開発と運用が求められます。最終的なゴールを設定した後は、企業方針の枠組みの中から問題解決のためのヒントを探りつつ、プロジェクト進行に従事。システム設計・開発から動作の検証、セキュリティ対策まで、幅広い業務をチーム・スタッフとともに協力しながら対応していくことになります。
IT知識はもちろん、企業課題に応じた問題解決力、ロジカルシンキング、さまざまな部署の担当者と信頼関係を築くための高いコミュニケーション能力が求められます。同業界へはITエンジニア出身の方も多いのですが、コンサルタントである以上、技術一辺倒ではなく、積極的に人的交流を図り、関係を築いていく行動力と営業努力も必要となるでしょう。
人事コンサルタント
組織の人事を巡る課題に対応できる人事コンサルタントの役割は、非常に大きいといえます。人事制度やルールには、その企業・団体における習慣や不文律などが存在し、第三者が容易にタッチできる問題ではありません。そこに切り込んで改革を促すには、まずは社内の人間に信頼されるよう関係を築いていき、確実に成果を残す努力が求められるでしょう。
人事制度や評価システムに課題が見つかれば、どこに問題があるかを明らかにし、改善効果が期待できる方策を提案します。結果がともなわなければ大きなフリクションが待っていることが予想されるだけに、そのプレッシャーは小さくありません。
社内での昇進や、ポジション争いにコミットする人事コンサルタントは、場合によっては嫌われ者を買ってでる必要があるかもしれません。そんな状況に直面してもめげずに、最後までプロジェクトをやり抜く精神的なタフさも重要となります。厳しいことばかり述べましたが、それだけやりがいが大きく、改革が必要な企業にとって力となる存在です。