「独立してコンサルティングファームを立ち上げる!」と思い立っても、準備を怠れば計画も頓挫します。なるべく早く事業を安定軌道に乗せるためにも、何が必要かを明確にしてひとつ一つの問題をクリアしてください。
コンサルティングを行うには、それぞれの専門分野に関する知識が必要となります。経営コンサルタントであれば経営学の基本はしっかりマスターしておかなければなりません。人事コンサルタントなら、人事制度や雇用関係の法律は最低限押さえておきたいところ。またITコンサルタントであれば、IT技術やそれにまつわる知識を十分持つことで、仕事のきっかけをつかめるでしょう。
知識の習得に有効な方法のひとつが、資格の取得です。経営コンサルタントであれば中小企業診断士の資格を取る方法があります。経営理論や実務を学ぶうえで最適の資格であり、国家資格でもあるため企業へのアピール効果も小さくありません。
また、コンサルティングファームに就職し、経験を積むことも、知識の吸収に役立ちます。コンサルティング理論を机上の空論で終わらせないためには、実践の中で学ぶのが一番です。ロジカルシンキングや提案力も実務の中で鍛えられる部分が大きいため、独立前に組織の一員として活動する道も検討してみてください。
コンサルタント業界は競争の激しい世界といわれます。コンサルタントと呼ばれる専門家は5万人いるといわれ、海外まで市場を広げるメジャー企業も少なくありません。そのような厳しい競争環境で独立系事務所が生き残るには、誰にも負けない得意分野を持つことが重要となります。
「自分だけの専門分野は起業して実績を積む中で見つけよう」とお考えの方もいるかもしれません。しかし、強みも得意分野も持たないコンサルタントにクライアントがどれくらい興味を示してくれるのか、冷静に考える必要があります。コンサルタントが持つ専門分野は、いわばその事務所の看板であり、独自サービスとしての価値を持つもの。コンサルティング対象となるさまざまな種類の中から、誰にも負けない分野の確立を目指してください。
コンサルタントとして独立する際、ある程度の資金があると安心です。どんな独立開業のケースでもいえることですが、事務所を立ち上げていきなり収入が安定することはほとんどないでしょう。契約実績を重ね、業績が安定するにはそれなりの時間がかかるものですし、場合によってはほとんど無収入という時期もあるかもしれません。
リスクヘッジの意味でも、事務所経営が軌道に乗るまでの資金をしっかり確保しておく必要があります。どれくらいの費用が必要かは個々のケースによって異なりますが、最低限「事務所費+3年分の生活費+営業活動費」はあったほうがよいでしょう。
新規事業の立ち上げ費用に対して、国や自治体が補助する支援制度があります。補助金の額や支援内容は各自治体によって異なるため、これらに関する情報収集もしっかり行って資金計画に役立ててください。
事業計画書の策定は、どんなビジネスでも必要です。この計画書なしには、法人化や銀行融資などのサービスも利用できません。コンサルタント事務所を立ち上げる前に、事業計画書の中身をしっかりつめておきましょう。
事業計画書に記載する内容は、「屋号・商号」「本店所在地」「事業内容」などです。これらの情報は手続き上必要というだけでなく、クライアントに事業内容を説明する際に生きてくるものです。また、事務所の理念や方向性をまとめるうえでも効果を発揮します。コンサルタント事務所のガイドラインとも呼ぶべき資料ですので、事業計画書は開業時に慌てて作るのではなく、時間をかけて吟味し、熟成したものを届けるようにしてください。
独立する前に、コンサルタント業に関する勉強会や相談会、セミナーなどに足を運んで情報収集に努めましょう。そこには、同じ目標を持つ同志やすでに独立して経験を積んでいる先輩コンサルタントがいます。彼らとの交流を通してえられる情報の価値は小さくありません。人脈作りにも生かせるため、時間を見つけてプロフェッショナルの集まりに顔を出すようにしてください。
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