IT系の試験で屈指の難関であるネットワークスペシャリスト試験(ネスぺ、NW)。合格を目指すにあたっては、勉強時間や勉強スケジュールをどのように想定したらよいのでしょうか。
未経験者から実務経験者まで、最適な勉強期間を考えるためのヒントを解説します。
そもそもネットワークスペシャリスト試験(ネスぺ)ってどんな試験?
まずはネットワークスペシャリスト試験がどのような試験なのか、受験対象者や求められる内容、難易度について解説をします。
試験の概要や難易度について知りたい方、受験を検討している方はぜひ参考にしてください。
高度なネットワーク技術を扱うエンジニアのための国家試験
ネットワークスペシャリスト試験は、ネットワークシステムの業務に就く高度なエンジニアのための国家試験です。
受験対象者は、ネットワークに関する固有技術を活用できるネットワーク管理者やネットワークエンジニア、インフラエンジニアです。
試験では、次のような知識や実践能力が求められます。
- ネットワーク技術やネットワークサービスの動向を広く見通して、目的に応じた技術やサービスを選択できる。
- 企業や組織、業務システムの要求(情報セキュリティを含む)を的確に理解して、ネットワークシステムの要求仕様を作成できる。
- 要求仕様に関連するモデリングなどの設計技法、プロトコル技術、信頼性設計、セキュリティ技術、ネットワークサービス、コストなどを評価して、最適な論理設計・物理設計ができる。
- ネットワーク関連企業を活用して、ネットワークシステムの設計・構築・運用・保守ができる。
「難しすぎ」と言われるほどの難関だが、未経験者でも受験は可能
ネットワークスペシャリスト試験は情報処理技術者試験の中でも特に難易度が高いとされる、レベル4の高度試験です。
なお、レベルごとに求められるスキルは以下の通りです。
レベル | 定義 |
レベル4 | ・高度な知識・スキルを持ち、プロとして業務遂行できる ・経験や実績に基づいて作業指示ができる ・経験を言語化して他者に説明し、部下の育成に応用できる |
レベル3 | 応用的知識・スキルを持ち、要求された作業について全て独力で遂行できる |
レベル2 | 基本的な知識・スキルを持ち、一定程度の難易度、または要求された作業の一部を独力で遂行できる |
レベル1 | ITに関する最低限の知識を持ち、指導を受けて作業を遂行できる |
このスキルレベルからもわかる通り、ネットワークスペシャリスト試験は未経験者が少し勉強しただけで合格できるような試験ではありません。
むしろ経験者でも「難しすぎる」と感じるくらい、難易度の高い試験と言えます。
ただネットワークスペシャリスト試験には実務経験などの受験資格の定めがあるわけではないため、希望すれば誰でも受験することができます。
しっかり計画を立てて試験対策をすれば、未経験から合格を目指すのも不可能ではありません。
ネットワークスペシャリスト試験(ネスぺ)合格までの勉強時間はどのくらい必要?
ネットワークスペシャリスト試験の概要や難易度については、前述の通りです。
ここからは、ネットワークスペシャリスト試験に合格するために必要な勉強時間について解説します。
これから試験対策を始める人や、未経験から合格を目指したい人はぜひ参考にしてください。
IT知識や経験の有無で大きく異なってくる勉強時間
情報処理技術者試験の中でも特に高度試験について、合格までに必要な勉強時間を見積るのは難しいものです。
ネットワークスペシャリスト試験の合格に必要な勉強時間は、すでにあるIT知識によって大きく変わります。50〜150時間と言う人もいれば、200〜400時間必要という人もいます。
特にIT未経験者が合格を目指す場合は、より多くの勉強時間が必要となるでしょう。
またネットを検索すると、「勉強せずに合格できた」といった体験記を見かけることがあります。
しかし実際に必要な勉強時間は、すでにあるIT知識によって大きく変わります。
もともとの知識レベルや実務経験が異なる人の話を鵜呑みにしても、自分に適した学習計画に役立てることはできません。
試験勉強の目的は、決められた時間勉強することではなく、試験に合格することです。
時間数はあくまで目安として、こだわりすぎないようにしましょう。
未経験者は情報処理技術者試験を段階的にステップアップするのがおすすめ
未経験者がネットワークスペシャリスト試験の合格を目指すことは不可能ではありませんが、非常に多くの勉強が必要となります。
また未経験者の場合、まずは高度試験よりもスキルレベルが下の試験から、合格を目指していくのがよいでしょう。
回り道だと感じるかもしれませんが、九九も覚えていない小学生が高校数学レベルの問題を解くことはできません。
それと同じで、高度な知識を身につけるには、まず土台となる基礎知識を習得する必要があるのです。
IT初心者の場合、まずはITパスポート試験や基本情報技術者試験の合格を目指すのがよいでしょう。
こうした試験の勉強をすれば、短期間でITに関する基礎知識を身につけられます。
さらに次のステップアップとして応用情報技術者試験に合格できれば、午前Ⅰ試験の免除制度を活用して、効率よくスキルアップができます。
一年? 半年? 勉強スケジュールはどのくらいの期間?
ネットワークスペシャリスト試験の合格に必要な勉強時間については、前述の通りです。
ここからは、試験勉強のスケジュールと期間について解説します。
これから学習計画を立てようとしている方はぜひ参考にしてください。
年に1回の試験実施なので、1年じっくり勉強するつもりで
例えば400時間の勉強で合格を目指す場合、毎日2時間半の勉強を続ければ、約半年で想定の勉強時間に到達します。
ただしネットワークスペシャリスト試験は非常に難易度が高い上に、年1回しか実施されない試験です。
まずは1年程度の勉強期間を想定して、スケジュールを組み立ててみるとよいでしょう。
そのほうが予備日や休日なども設定できて、無理のないペースで余裕を持って試験対策に取り組めます。
特にIT初心者の場合は、より長めの勉強期間を想定しておくのがおすすめです。
ネットワークスペシャリスト試験は試験時間が長いため、過去問を使った問題練習などにも多くの時間が必要となるからです。
免除制度の活用も視野に入れて1年以上の長期計画も
前述の通り、情報処理技術者試験の高度試験には午前Ⅰ試験の免除制度があります。
これは応用情報技術者試験、もしくはなんらかの高度試験の午前Ⅰ試験で規定以上の点数を獲得した上で申請をすれば、向こう2年間はほかの高度試験でも午前Ⅰ試験が免除になるという制度です。
特にIT初心者の場合、こうした免除制度の活用を前提に、まずは応用情報技術者試験の合格を目指すのもおすすめです。
その場合は、例えば応用情報技術者試験に合格した半年〜1年後にネットワークスペシャリスト試験の合格を目指すといったステップアップ形式の長期計画を立てておくとよいでしょう。
効果的な勉強法とモチベーションの作り方は?
ネットワークスペシャリスト試験は難易度の高い試験のため、やみくもに勉強していても合格レベルの実力は身につきません。
また、長期の学習が必要になるためモチベーションの維持が非常に重要です。
ここからは、ネスペに合格するための効果的な勉強法とモチベーションの作り方について解説します。
IT業界に勤めているなら「年収アップ」など具体的な目標を立てよう
ネスペは難易度が高い試験のため、勉強を続けるためのモチベーションの維持が非常に重要です。
そのため、「試験に合格して年収アップをする」などといった目標を立てるとよいでしょう。
企業によっては従業員のスキルアップやモチベーションアップのために、資格手当や奨励金などの制度を設けている場合があります。
こうした企業に勤務している人は、ネットワークスペシャリスト試験に合格して申請をすれば収入アップが見込めます。
またネットワークスペシャリスト試験はIT業界では認知度が高い試験のため、合格できれば転職でも有利になる場合があります。
メリットがあると思えば、試験勉強のモチベーションも維持しやすくなるでしょう。
IT業界以外だと価値を評価されず「意味ない」とモチベーションダウンすることも
ネットワークスペシャリスト試験に限った話ではなく、情報処理技術者試験全般に言えることですが、IT業界を離れると資格試験としての認知度が低くなりがちです。
特に高度試験となると、試験名称だけではどのような内容やレベル感の試験なのかを正しく理解してもらえないケースも珍しくありません。
そのためIT業界以外では、ネットワークスペシャリスト試験に合格していてもそれほど高い評価を得られず、合格しても「意味がなかった」と感じてしまう可能性もあります。
目指している職種がネットワークエンジニアやインフラエンジニアではない場合、本当にネスペを受験すべきかよく考えたほうがよいでしょう。
過去問を活用しながらコツコツ勉強するのが結果的に近道となる
ネットワークスペシャリスト試験は非常に難易度の高い試験です。出題範囲が広く問題数も多いため、試験対策にも長い時間がかかります。
なおIPAのサイトには豊富な過去問が公開されていて、誰でも無料で自由にダウンロードして試験勉強に活用できます。
こうした過去問を使いながら腰を据えてコツコツ努力できる人なら、着実に合格に必要な知識とスキルを習得できるはずです。
ネットワークスペシャリスト試験は未経験者がちょっと勉強をしただけで、簡単に合格できるレベルの試験ではありません。
むしろ時間をかけてコツコツ勉強を続けることこそが、合格への一番の近道だと言えるでしょう。
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今回のポイントをおさらいしておきましょう。
- ネスペの合格に必要な勉強時間は前提となる知識や業務経験により異なる
- 未経験者はほかの情報処理技術者試験からのステップアップを目指すのがおすすめ
- 年1回の試験なので学習計画も1年程度を想定するとよい
- 合格の近道は過去問を活用してコツコツ勉強すること
ネットワークスペシャリスト試験は難易度が高い試験のため、合格するには長期間の学習が必要となります。
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