IPAの情報処理技術者試験において、ネットワーク技術者なら目指したい高度区分の試験が「ネットワークスペシャリスト試験(ネスぺ、NW)です。
ここでは、午前Ⅰ試験、午前Ⅱ試験、午後Ⅰ試験、午後Ⅱ試験でそれぞれどんな問題が出題されるのかを解説します。受験を検討するにあたって参考にしてください。
ネットワークスペシャリスト試験(ネスぺ)の試験構成は?
ネットワークスペシャリスト試験は「午前Ⅰ試験」「午前Ⅱ試験」「午後Ⅰ試験」「午後Ⅱ試験」の4つで成り立っています。
試験は春期(4月)に年1回実施され、受験者は4つすべての試験を1日で受ける必要があります。
ネットワークスペシャリスト試験の試験時間・出題形式・出題数(解答数)
ネットワークスペシャリスト試験の試験時間、出題形式、出題数(解答数)は下表のとおりです。
試験時間 | 出題形式 | 出題数(解答数) | |
午前Ⅰ試験 | 9:30~10:20(50分) | 多肢選択式(四肢択一) | 30問(30問) |
午前Ⅱ試験 | 10:50~11:30(40分) | 多肢選択式(四肢択一) | 25問(25問) |
午後Ⅰ試験 | 12:30~14:00(90分) | 記述式 | 3問(2問) |
午後Ⅱ試験 | 14:30~16:30(120分) | 記述式 | 2問(1問) |
ネットワークスペシャリスト試験は、朝9時30分から始まり午後4時30分に終わる長丁場の試験です。
午前の試験は多肢選択式で、出題されるすべての設問に解答します。
一方、午後の試験は記述式で「午後Ⅰ」では3問中2問を選択、「午後Ⅱ」は2問中1問を選んで解答します。
午前Ⅰ試験、午前Ⅱ試験、午後Ⅰ試験、午後Ⅱ試験それぞれどんな試験なの?
ここからは「午前Ⅰ試験」「午前Ⅱ試験」「午後Ⅰ試験」「午後Ⅱ試験」それぞれの内容を解説します。
- 「午前Ⅰ試験」はIT全般知識が問われる小問形式
- 「午前Ⅱ試験」はネットワーク技術にフォーカスした小問形式
- 「午後Ⅰ試験」からは記述式の試験
- 「午後Ⅱ試験」は10ページほどの長文を読み込む長時間の試験
「午前Ⅰ試験」はIT全般知識が問われる小問形式
ネットワークスペシャリスト試験の「午前Ⅰ試験」はIT全般の知識が問われる小問形式で、テクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系の全分野から幅広く出題されます。
出題内容は他の高度試験と共通で、設問は応用情報技術者試験の「午前Ⅰ試験」からピックアップされた30問です。
30問すべてを50分間で解く必要があり、解答にはスキルレベル3の応用情報技術者試験と同等の知識を要します。
「午前Ⅰ試験」の得点が基準点に満たない場合、以降の試験は採点されずに不合格となります。
なお、得点が基準点を超えた受験者は、申請により「午前Ⅰ試験」が2年間免除される制度の利用が可能です。
「午前Ⅱ試験」はネットワーク技術にフォーカスした小問形式
ネットワークスペシャリスト試験の「午前Ⅱ試験」はネットワーク技術にフォーカスした小問形式で、「午前Ⅰ試験」と同様に四肢択一式で出題されます。
出題範囲はネットワーク技術や情報セキュリティに特化しており、ネットワークスペシャリストとしての専門的な知識が問われます。
出題数は25問で「午前Ⅰ試験」より5問少なくなるものの、試験時間は40分と短かくなるため、油断は禁物です。
専門的な内容の設問に対し、限られた時間内で解答するスピードが求められる試験といえるでしょう。
「午後Ⅰ試験」からは記述式の試験
ネットワークスペシャリスト試験の「午後Ⅰ試験」は記述式で、出題される長文問題3問のうち2問を選択して解答します。
試験時間は90分あるので「午前Ⅰ、Ⅱ試験を合わせただけの時間がある」と余裕があるように感じるかもしれません。
しかし、1問あたりの問題文は図表を含めて4〜5ページにもおよび、情報が文中に広く分散しているため、的確に解答するには文章全体を丁寧に読み込む必要があります。
長文問題を読み解いて正しい解答を作成するには、90分という時間は決して十分とはいえないでしょう。
午前試験の小問形式と異なり「午後Ⅰ試験」は短時間でテンポよく解答するのが難しいため、うまく時間配分しながら解答する対策を講じる必要があります。
「午後Ⅱ試験」は10ページほどの長文を読み込む長時間の試験
午後Ⅱ試験の試験時間は120分で「午後Ⅰ試験」より30分長く、2問出題されるうちの1問を解答するだけなので、一見すると余裕があるように思えます。
しかし、1問あたりの問題文は図表を含めて10ページ強におよぶのが通例で、「午後Ⅰ試験」よりも細かい部分まで問われる傾向にあります。
「午後Ⅱ試験」は問題文が長く内容も深いため、120分という時間を最大限に活用し、腰を据えてじっくりと問題を読み解く必要があるでしょう。
解答にあたっては、これまでに学習したネットワーク関連の知識を十分に応用できるよう、知識を整理しておくことが重要です。
ネットワークスペシャリストの試験問題はどうやって対策すればいいの?
ここからは、ネットワークスペシャリストの試験問題の対策について次の項目に沿って解説します。
- まずはIPAのサイトから過去問題を入手しよう
- 午後試験対策では問題文の隅々まで読み込んで理解するのがコツ
- 解答例(模範解答)、採点講評にも対策のヒントが詰まっている
まずはIPAのサイトから過去問題を入手しよう
ネットワークスペシャリスト試験対策は、まずIPA(情報処理推進機構)のサイトから過去問題を入手することから始めましょう。
試験合格のためには、過去に出題された試験問題を利用した問題演習が不可欠です。
すでにITに関する前提知識がある場合は、過去問題に挑戦することで試験難易度と時間配分の感覚がつかめるでしょう。
知識レベルが受験水準に達していない場合は、教材や参考書を使って基礎知識を身につけることをオススメします。
過去問題がある程度解けるレベルになったら、さらに多くの過去問題に取り組んで試験に向けた実践的な力を養いましょう。
【参考】過去問題 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
午後試験対策では問題文の隅々まで読み込んで理解するのがコツ
ネットワークスペシャリストの午後試験対策のコツは、問題文を隅々まで読み込んで理解することです。
演習問題は一度解いただけで終わらせず、問題文を丁寧に見直して一字一句を理解できるようになるまで掘り下げて学習しましょう。
文中にわからない箇所がなくなるまで学習に取り組むことで、知識が定着します。
とくに実務経験のない方はこの作業をおろそかにせず、専門用語や実践的な知識を着実に習得するようにしましょう。
このように問題演習と見直しを何度も繰り返すことで、問題文や解答の導き方に関するパターンが見えてきます。
やがて「この問題は、以前解いた問題と似ている」と類似点に気づき、解法のコツをつかめるようになるでしょう。
「午後Ⅰ試験」「午後Ⅱ試験」の対策には非常に多くの時間を要しますが、時間を惜しまずに丁寧に取り組むことが合格への近道といえます。
解答例(模範解答)、採点講評にも対策のヒントが詰まっている
解答例や採点講評には、試験対策の重要なヒントが数多く詰まっています。
解答例からは、「○○文字以内で答えよ」といった設問に対する模範的な答え方が学べます。
このような文字数制限が課せられると、適切な言い回しが思いつかず時間のロスにつながるケースがあるため、この学習は重要です。
解答例を参考にして、決められた文字数で的確に解答するコツをつかんでおきましょう。
採点講評では、正解率の低い問題に対する詳しい解説や採点基準を確認できます。
採点講評を読み込んで出題意図を把握すれば、それが適切な解答への指針となるでしょう。
解答例と採点講評は、IPAのサイトでダウンロードが可能です。
【参考】過去問題 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
令和6年度の午後Ⅱ試験では問題不備があった
令和6年度のネットワークスペシャリスト試験では、ある問題の不備が判明しました。
不備があったのは「午後Ⅱ試験」の問2・設問5です。
設問5は成立しないと判断され、選択した受験者に対して設問5の(1)から(3)まですべてを正解とする対応がなされました。
不備があった旨は過去問題の「令和6年度のネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ 問題冊子(PDF)」にも記載されており、対応についてもIPAで公示されています。
【参考】令和6年度春期ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ 問2 設問5の不備とその対応について | 新着情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
ネットワークスペシャリスト試験(ネスぺ)の合格を目指すなら、スタディングの講座がオススメ
IPAの情報処理技術者試験「ネットワークスペシャリスト試験(ネスぺ)」について、どのような試験問題が出題されるのかを解説しました。
最後に本記事のポイントをおさらいしましょう。
- ネットワークスペシャリスト試験の構成は「午前Ⅰ試験」「午前Ⅱ試験」「午後Ⅰ試験」「午後Ⅱ試験」の4つである
- 午前試験は小問形式で、IT全般の知識やネットワーク技術に関する知識が問われる
- 午後試験は記述式で、読解に時間のかかる長文問題が出題される
- 試験対策には過去問題が有効で、解答例(模範解答)や採点講評まで丁寧に読み込むことが重要である
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