
ITの国家試験「情報処理技術者試験」のなかでも高い難易度で知られる、ネットワークスペシャリスト試験(ネスぺ、NW)。その合格率は毎回どのくらいなのでしょうか。
この記事では、ネットワークスペシャリスト試験が過去の実施においてどの程度の合格率なのかを、IPAの資料に基づいて解説していきます。
IT試験屈指の難関、ネットワークスペシャリスト試験(ネスぺ、NW)とは?
ネットワークスペシャリスト試験(ネスぺ、NW)はIPAが開催する情報処理技術者試験の中でも最難関とされる「レベル4」に分類される試験です。
その名の通り、合格することでネットワーク分野に深い専門性を持つ人材であることを証明できる試験と言えるでしょう。
現在の企業の活動において、ネットワーク分野をはじめとするITの活用は必要不可欠と言えます。
そのような社会情勢の中で活躍できるネットワークの専門家であることは、IT業界もしくは幅広い業界のネットワーク・ITインフラ担当者として重宝されるはずです。
そうした専門性の高いスペシャリストになるにあたって、超えるべきハードルがネットワークスペシャリスト試験と言えるでしょう。
試験は年1回しか開催されず、例年は4月の第3日曜日に試験が行われます。
四肢択一式の午前Ⅰ試験(30問、50分間)、午前Ⅱ試験(25問、40分間)、記述試験の午後I試験(3問のうち2問を回答、90分)、午後Ⅱ試験(2問のうち1問回答、120分)が出題され、受験には丸一日を要するハードな試験です。
ネットワークスペシャリスト試験のこれまでの合格率を知りたい
ネットワークスペシャリスト試験は難関試験と言われていますが、実際にどのくらいの受験者が合格しているのでしょうか?
直近の合格率に加えて、過去の合格率の推移なども見ながら実際に確認してみましょう。
- 直近(令和6年度=2024年度)の合格率は15.4%
- 過去の合格率を一覧で確認
直近(令和6年度=2024年度)の合格率は15.4%
IPAが公開している統計情報によれば、直近(令和6年度=2024年度)のネットワークスペシャリスト試験の合格率は15.4%となっています。
これまでの試験でも、例年だいたい10%台中盤の合格率であることが多く、今回もこれまでと比較して特別に違った点は見受けられません。
また、この回の受験率は68.9%となっており、この数字も例年とおおむね同じくらいの受験率ということになります。
そもそも情報処理技術者試験の最高レベルにあたるネットワークスペシャリストの試験にわざわざ申し込む受験者の多くは、すでに一定の知識や業務経験をもつ現役エンジニアやエンジニア志望者です。
そういったレベルの高い受験者の多くが不合格になることを考えると、かなりの狭き門であることが分かります。
過去の合格率を一覧で確認
過去のネットワークスペシャリスト試験の合格率の推移を表にまとめてみたので、確認してみましょう。
なお、このデータは平成21年度からのものとなっており、ネットワークスペシャリスト試験の実施は、令和元年までは秋期実施、令和3年以降は現在の春期実施となっています。
実施年度 | 合格率 |
平成21年度 | 14.9% |
平成22年度 | 13.6% |
平成23年度 | 14.7% |
平成24年度 | 13.8% |
平成25年度 | 14.3% |
平成26年度 | 13.9% |
平成27年度 | 14.6% |
平成28年度 | 15.4% |
平成29年度 | 13.6% |
平成30年度 | 15.4% |
令和元年度 | 14.4% |
令和3年度 | 12.8% |
令和4年度 | 17.4% |
令和5年度 | 14.3% |
表で見ると、ネットワークスペシャリスト試験の合格率はほぼ毎回同じくらいの水準であることがわかります。
合格率10%台の狭き門。ネットワークスペシャリスト試験(ネスぺ)を攻略するには?
ネットワークスペシャリスト試験は狭き門であり、初心者がいきなり攻略するのは非常に難しいのが実情です。
効果的に試験を攻略するための戦略について考えていきましょう。
- 未経験者にとっては難しすぎる? 勉強時間をしっかり確保しよう
- 基本情報技術者試験や応用情報技術者試験からネスぺへのステップアップを狙う
- 基本情報技術者試験、応用情報技術者試験の合格率は?
未経験者にとっては難しすぎる? 勉強時間をしっかり確保しよう
ネットワークスペシャリスト試験は受験資格や制限は特にありません。
ただし、情報処理技術者試験の中でも最高レベル(レベル4)に位置づけられていることからも、受験者のレベルは高いはずです。そんな受験者たちの合格率が10%台中盤ということから、試験の難易度はそうとう高いことがわかります。
仮に未経験者がいきなり合格を目指すのであれば、その難易度は公表されている合格率以上に高いものであると思っておいた方が良いでしょう。
未経験から合格を目指す場合、長期にわたってしっかり勉強をするスケジュール作りと、コツコツ勉強を続ける根気が必要になります。
慌てることなく、腰を据えて基礎から勉強をすることが重要です。
4つの科目のうち午前Ⅰ試験は一度合格すると2年間、試験を免除される制度があります。そのため、まずはせめて午前Ⅰ試験だけでも合格を目指す、といった戦略も有効です。
基本情報技術者試験や応用情報技術者試験からネスぺへのステップアップを狙う
現実的には、未経験からネットワークスペシャリスト試験合格を目指す場合、関連性が高く、より基礎的な試験から段階的に合格を目指していくほうが良いでしょう。
これにより、合格までに必要な知識の定着を段階的に把握することができます。
ネットワークスペシャリスト試験合格へのレベルアップを狙う上で特におすすめなのは、スキルレベル2の基本情報技術者試験、スキルレベル3の応用情報技術者試験です。
これらの試験にチャレンジすることで、ネットワークスペシャリスト試験合格のために必要な項目を網羅的に学習でき、段階的にレベルアップしていくことができます。
基本情報技術者試験や応用情報技術者試験は特定の専門分野に特化した試験ではありませんが、IT全般に関する分野を幅広くカバーできるため、ネットワークスペシャリスト試験合格後、結果を活かしたキャリアアップを図るうえで効率的です。
最終目標合格に必要な知識の定着、対外的に能力を証明できる実績が手に入るだけでなく、自信にもつながるため、おすすめです。
基本情報技術者試験、応用情報技術者試験の合格率は?
基本情報技術者試験、応用情報技術者試験とステップアップしていく場合のために、それぞれの合格率についても見ていきましょう。
基本情報技術者試験の令和5年度の合格率は平均47.1%。
令和6年度は概ね40%台前半を推移しています。
受験すれば誰でも合格できるような試験ではありませんが、ネットワークスペシャリスト試験と比べるとはるかにハードルは低く、初学者からの合格も十分に可能です。
さらに、通年で受験が可能なため、自分の学習タイミングで挑戦できるほか、一度で合格できなくてもすぐにリベンジができます。
その次のステップとして最適な応用情報技術者試験は20%台半ば前後で推移しています。
このレベルになると受験者にも初学者は少ないと思われるなかでも、4~5人に1人しか合格できないとあって、その難易度は決して低くはありません。
しかし、ネットワークスペシャリスト試験と比較するとまだ攻略しやすい試験であると言えるでしょう。
応用情報技術者試験は春期と秋期の年2回受験が可能です。
合格後最短でネットワークスペシャリスト試験合格を目指すなら、秋期試験で応用情報技術者試験を受験した直後からネットワークスペシャリスト試験対策を開始。余裕をもって取り組むのであれば、約1年をかけてじっくり学習するペースが望ましいでしょう。
ネットワークスペシャリスト試験(ネスぺ)の申し込みから合格発表までの流れ
ネットワークスペシャリスト試験の申し込みから合格発表までの流れについて、令和6年度春期に開催された試験を例に解説します。
まず、1月の中旬から2月の初旬にかけて約3週間にわたり試験の申し込みができます。
受験者専用のマイページから申し込みが可能です。
申し込みを忘れると翌年まで受験できないため、必ず公式発表を見落とさないようにしましょう。IPAのニュースレターに登録しておくのも有効です。
試験は4月の第3日曜日、令和6年度の場合は4月21日に開催されました。
合格発表は約2ヶ月半後の7月上旬に実施されます。
令和6年度試験は7月4日でした。
公式ページで専用のリンクが作成されるほか、マイぺージ上でも合否の確認が可能です。
合格発表から2週間ほど経過すると、合格者のみに合格証書が送付されます(令和6年度は7月22日送付開始)。
合格発表から少し間が空くため、その間に合格の証明が必要な場合は合格画面の印刷等で対応できるかなど事前に確認しましょう。
ネットワークスペシャリスト試験は国家資格であるため、合格者の番号は官報にも記載されます。
令和6年度の官報掲載は証書発送開始と同日の7月22日でした。
ネットワークスペシャリスト試験(ネスぺ)の合格を目指すならスタディングの講座がオススメ
ネットワークスペシャリストの合格率について解説しました。
- ネットワークスペシャリストは合格率15%程度の難関試験
- 受験者の層もレベルが高い中での狭き門であり「難しすぎ」ともいわれる
- 初学者がいきなり合格するのは難しく、基本情報技術者試験、応用情報技術者試験と段階的に受けるのがおすすめ
- 試験は4月下旬に開催。受付は1月中旬から2月上旬に行われ、合否がわかるのは7月上旬
ネットワークスペシャリスト試験は、ITに知見のあるエンジニア・エンジニア志望者の中でも一部しか合格することができない狭き門ですが、それだけに合格することには大きな価値があります。初学者がいきなり合格するのはハードルが高いため、基本情報技術者試験、応用情報技術者試験といった段階を踏んだ受験戦略もおすすめです。
ぜひ今のご自身の知識レベルにあわせて最適な戦略をとってみてください。
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