ネットワークスペシャリスト試験(ネスぺ、NW)は、IT系資格試験でも特に難関と言われている難しい試験です。
ネットを見回すと独学で合格したという体験記も見られますが、IT初心者や未経験者レベルからのスタートで独学で合格することは可能な難易度なのか解説します。
難しすぎる?ネットワークスペシャリスト試験の難易度って?
ネットワークスペシャリスト試験の難易度について、次の3つの項目に沿って解説します。
- 情報処理技術者試験ではもっともスキルレベルが高いレベル4試験
- 小問形式から長文読解まで丸一日かけて4つの試験をクリアする必要がある
- 合格率は例年およそ10%台中盤
情報処理技術者試験ではもっともスキルレベルが高いレベル4試験
ネットワークスペシャリスト試験は、情報処理技術者試験の中でもっともスキルレベルの高い「レベル4」に位置する高度試験です。
情報処理技術者試験におけるスキルレベルは、レベル1のITパスポート試験からはじまり段階的に上がっていきます。
「エンジニアの登竜門」と呼ばれる基本情報技術者試験はレベル2に該当し、レベル3の応用情報技術者試験では実践的な知識や応用力が試されます。
そして、ネットワークスペシャリスト試験を含むレベル4の試験内容は、さらに高度な難関です。
試験では実務経験にもとづく判断力や問題解決能力が問われ、さらに部下の育成も担えるハイレベルなスキルが要求されます。
最高ランクのレベル4に属するネットワークスペシャリスト試験は、受験者の実力が試される厳しい試験といえるでしょう。
小問形式から長文読解まで丸一日かけて4つの試験をクリアする必要がある
ネットワークスペシャリスト試験は、4つの試験を1日かけてクリアしなければなりません。
4つの試験とは午前Ⅰ試験、午前Ⅱ試験、午後Ⅰ試験、午後Ⅱ試験のことで、小問形式から長文読解まで対応する必要があります。
午前Ⅰ試験では、基礎知識を問う多肢選択式の小問30問を、50分間で解答します。
続く午前Ⅱ試験では、より専門的な内容の小問25問を40分間で解答しなければなりません。
午後は記述式問題で、午後Ⅰ試験は90分間、午後Ⅱ試験は120分かけて長文問題に対応します。
文章を読み解く読解力に加えて、応用力や問題解決力が問われる試験です。
これら4つの試験すべての基準点をクリアすれば試験は合格で、ひとつでも基準点に届かない場合は不合格となります。
合格率は例年およそ10%台中盤
ネットワークスペシャリスト試験の合格率は例年10%台中盤で、情報処理技術者試験の中でもとくに難しい試験として知られています。
他の高度試験と同様に合格率は非常に低く、近年の受験者数と合格者数、合格率は下表のとおりです。
実施年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
令和6年度(2024年) | 11,089 | 1,704 | 15.4% |
令和5年度(2023年) | 10,395 | 1,482 | 14.3% |
令和4年度(2022年) | 9,495 | 1,649 | 17.4% |
令和3年度(2021年) | 8,420 | 1,077 | 12.8% |
令和元年度(2019年) | 11,882 | 1,707 | 14.4% |
※令和2年度(2020年)は試験実施なし。
【参考】統計資料(令和6年度)| IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
合格率は12.8%から17.4%の間で推移しており、10,000人前後が受験する大規模な試験であるにもかかわらず、合格者は毎年1,000〜1,700人程度にとどまっています。
ネットワークスペシャリスト試験は年1回しか実施されないため、不合格の場合は次回の試験まで1年待たなければなりません。
合格率の低さと受験機会の少なさから、ネットワークスペシャリスト試験は十分な準備をして臨むべき試験といえるでしょう。
独学でネットワークスペシャリスト試験に合格するのは不可能なのか?
ネットワークスペシャリスト試験は難関ですが、独学での合格が不可能というわけではありません。
ここからは、独学での合格の可能性が高いケースや効果的な学習方法を解説します。
- 応用情報技術者試験の合格者や実務経験者なら不可能ではない
- 試験の傾向に慣れている受験者なら有利に学習を進められる
- 独学の場合も過去問題の反復練習が基本スタイル
応用情報技術者試験の合格者や実務経験者なら不可能ではない
ネットワークスペシャリスト試験の独学での合格は、応用情報技術者試験の合格者や実務経験者であれば不可能ではありません。
ベースとなるIT知識、とくにコンピュータネットワーク周辺の知識をもつ方なら、独学で合格を目指せます。
応用情報技術者試験の合格者はすでにスキルレベル3の知識をもっているので、ネットワークに関する専門知識をさらに積み上げることで合格の可能性が高まります。
また、応用情報技術者試験に合格して2年以内であれば午前Ⅰ試験の免除制度を利用できるため、学習の負担も軽減できるでしょう。
ネットワーク関連の実務経験がある方も、独学での合格の可能性は十分にあります。
実務で培った知識やノウハウをベースに試験対策を行うことで、合格に必要なスキルや体系的な知識を着実に身につけられるでしょう。
いずれの場合でも、独学で合格を目指す場合は自分に合った教材選びが重要です。
基礎から学べる参考書や実践的な演習ができる問題集など、効果的な学習教材を使うことが合格への第一歩といえます。
試験の傾向に慣れている受験者なら有利に学習を進められる
ネットワークスペシャリスト試験は、情報処理技術者試験特有の出題傾向に慣れている受験者であれば、学習を有利に進められます。
情報処理技術者試験は、過去問題と類似した内容の問題が出題される傾向にあります。
とくにネットワークスペシャリスト試験の午前Ⅰ試験は、同時実施される応用情報技術者試験の午前問題から抜粋された小問で構成されているため、過去問題の学習効果は高いでしょう。
午前Ⅱ試験や午後試験においても、過去問題と共通する傾向がみられます。
この傾向を理解していれば、前段階の応用情報技術者試験に合格していなくても、ネットワークスペシャリスト試験に挑むことも夢ではありません。
基本情報技術者試験に合格し、内容を理解していれば、十分な学習期間を確保することで「飛び級」的に合格を目指せるでしょう。
独学の場合も過去問題の反復練習が基本スタイル
ネットワークスペシャリスト試験合格を独学で目指す場合、基本の学習スタイルはスクール学習同様に過去問題の反復練習となります。
過去問題をひたすら繰り返すことで出題傾向を把握し、試験特有の問題形式に慣れることが合格への近道となるでしょう。
なお、ネットワークスペシャリスト試験の過去問題はIPAのサイトで公開されています。
問題冊子だけでなく解説文や採点講評も公開されており、PDF形式の資料を無料でダウンロードできます。
試験勉強をはじめる前にすべての年度の過去問題を入手しておき、反復演習を組み込んだ学習スケジュールを組み立てましょう。
【参考】過去問題 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
初心者がいきなり独学でネットワークスペシャリスト試験に挑戦するのは無謀?
IT関連の知識や経験のない初心者の場合、ネットワークスペシャリスト試験に独学で挑戦するのは現実的とはいえません。
ここからは、初心者が独学で挑戦することの難しさと、より効果的な学習アプローチについて解説します。
- 不可能とは言い切れないがオススメはできない
- 段階的にステップアップするか、長期間じっくり勉強する学習プランで
不可能とは言い切れないがオススメはできない
IT初学者がネットワークスペシャリスト試験に独学で挑戦することは、決してオススメの選択ではありません。
ネットワークスペシャリスト試験は、情報処理技術者試験の中でもトップクラスに位置づけられる高度試験のひとつです。
IT業界で実務経験をもつプロフェッショナルな技術者も受験する試験ですが、合格率は例年10%台中盤にとどまる難関試験です。
そのため、IT関連の基礎知識や実務経験の乏しい初学者が独学で挑戦することは、非常に困難だといえるでしょう。
たとえ勉強時間を十分に確保できたとしても初心者にはハードルが高く、合格不可能とは言い切れないものの、現実的な選択ではありません。
段階的にステップアップするか、長期間じっくり勉強する学習プランで
初心者が独学で挑むのはオススメではないものの、ネットワークスペシャリスト試験は受験資格の制限がないため初学者でも挑戦可能です。
しっかり勉強して着実に知識を身につければ、独学で合格することも不可能ではありません。
初学者で試験に挑む場合、まずは前段階の試験に合格してステップアップしていく学習プランがオススメです。
まずは基本情報技術者試験に合格して基礎を固め、その後に応用情報技術者試験でスキルを積み上げてからネットワークスペシャリスト試験に臨みましょう。
あるいは1年以上の長期的な学習計画を立て、基礎から応用までじっくりと時間をかけて学んでいくプランもあります。
いずれの学習プランでも、試験範囲全体を網羅した教材選びが重要です。
独学では予備校のような細かい指導が受けられないため、自分に合った教材と綿密な学習計画が合格への鍵となります。
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ネットワークスペシャリスト試験について、試験難易度や独学での合格可能性について解説しました。
最後に本記事のポイントをおさらいしましょう。
- ネットワークスペシャリスト試験の難易度は、情報処理技術者試験の最高ランクであるレベル4に位置する
- 試験では小問から長文問題まで4つの試験に合格する必要があり、合格率は例年10%台中盤にとどまる
- 応用情報技術者試験の合格者や実務経験者なら、独学でも合格できる可能性がある
- 初心者が独学で挑むなら、前段となる試験に合格してステップアップしていくプランがオススメ
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