ネットワークスペシャリスト試験(ネスぺ、NW)の午後試験(午後Ⅰ試験、午後Ⅱ試験)は、長文の問題文を読み込んで記述式で解答することもあり、多くの受験者が苦戦する試験です。
この記事では、ネスぺ午後試験の対策法・勉強法について解説していきます。
ネットワークスペシャリスト試験(ネスぺ)の試験概要
「ネスぺ」や「NW」と呼ばれることもある「ネットワークスペシャリスト試験」。まずはこの試験がどういったものなのか、試験の概要を確認していきましょう。
高度なネットワーク技術の知識・スキルを認定する試験
ネットワークスペシャリスト試験は、IT技術者のなかでも特にネットワークシステム業務に就く高度なエンジニアに求められる知識・スキルを認定する国家試験です。
試験実施団体であるIPAの定めるCCSF(共通キャリア・スキルフレームワーク)ではスキルレベル4とされる「高度試験」に区分される難関試験となります。
想定される受験対象者は、ネットワーク管理者や、ネットワークエンジニアです。ただし、受験資格が設けられているわけではありません。
そして、ネットワークスペシャリスト試験では、次のような知識や実践能力が求められます。
- ネットワーク技術やネットワークサービスの動向を広く見通して、目的に応じた技術やサービスを選択できること。
- 企業や組織、業務システムの要求(情報セキュリティを含む)を的確に理解して、ネットワークシステムの要求仕様を作成できること。
- 要求仕様に関連するモデリングなどの設計技法、プロトコル技術、信頼性設計、セキュリティ技術、ネットワークサービス、コストなどを評価して、最適な論理設計・物理設計ができること。
- ネットワーク関連企業を活用して、ネットワークシステムの設計・構築・運用・保守ができること。
午前Ⅰ試験、午前Ⅱ試験、午後Ⅰ試験、午後Ⅱ試験におよぶ長丁場の試験
ネットワークスペシャリスト試験の当日は、朝9:30の午前Ⅰ試験スタートから、午後Ⅱ試験終了の16:30まで、非常に長丁場の試験をやり抜くことになります。試験時間・出題形式・出題数(解答数)は、以下の通りです。
午前Ⅰ
- 試験時間 9:30~10:20(50分)
- 出題形式 多肢選択式(四肢択一)
- 出題数 30問
- 解答数 30問
午前Ⅱ
- 試験時間 10:50~11:30(40分)
- 出題形式 多肢選択式(四肢択一)
- 出題数 25問
- 解答数 25問
午後Ⅰ
- 試験時間 12:30~14:00(90分)
- 出題形式 記述式
- 出題数:3問
- 解答数:2問
午後Ⅱ
- 試験時間 14:30~16:30(120分)
- 出題形式 記述式
- 出題数:2問
- 解答数:1問
試験時間が長いだけでなく、解答しなければならない問題数も多い試験であることがおわかりいただけるはずです。
このうち午後Ⅰ試験、午後Ⅱ試験のいわゆる「午後試験」は、長文の問題文を読み解きながら、問題で問われている事例の背景を理解し、専門的なネットワークの知識に基づいて解答していく必要があるのです。
ネスぺで特に難関とされる午後の試験について解説!
難関試験であるネットワークスペシャリスト試験。特に難易度が高いとされる午後試験(午後Ⅰ試験、午後Ⅱ試験)とは、どういった形式で実施され、どんな傾向があるのでしょうか。
午後Ⅰ試験と午後Ⅱ試験の違い
ネットワークスペシャリスト試験のうち、午後Ⅰ試験と午後Ⅱ試験は、ともに大問形式で記述式の問題であることから、初心者には違いがわかりにくいかもしれません。
問題文が長文形式で、かつ図表を含んでいるケースが多いことや、問題文や図表の一部が虫食いになっていて、そこに当てはまる語句や数値を入れていく問題があることも、午後Ⅰ試験と午後Ⅱ試験で共通している傾向です。
しかしながら、過去問題を何度か解いていくうちに、だいたいの傾向がわかるようになっていくことでしょう。
試験問題としての大きな違いは、午後Ⅰ試験が3問の大問から2問を選択、午後Ⅱ試験が2問から1問を選択して解答する選択解答形式であること。そして試験時間が午後Ⅰ試験では90分、午後Ⅱ試験では120分と異なるところです。
なお、午後Ⅰ試験の採点結果が基準点に満たなかった場合には、午後Ⅱ試験が採点されることはなく、その時点で不合格となります。
基準点での足切りに注意。ネットワークスペシャリスト試験の午後Ⅰ試験
大問形式の文章問題が3問出題されるなかから、2問を選んで解答する、ネットワークスペシャリスト試験の午後Ⅰ試験。出題範囲は企画・開発、技術要素、運用・保守・管理といったネットワークの幅広い分野にまたがっています。
ネットワークスペシャリスト試験では、午後Ⅰ試験の解答時間は90分。そして、合否の基準点は満点の60%で、この午後Ⅰ試験が基準点に達しなかった場合には、午後Ⅱ試験は採点されません。
つまり、この時点で不合格ということになってしまいます。
もし、午後Ⅱ試験の出来が非常によかったとしても、午後Ⅰ試験の結果次第では足切りになってしまい意味がない、といった事態も起こり得るのです。
これは午前試験にも同じことが言え、午前Ⅰ試験が基準点に満たなかったら午前Ⅱ試験以降の採点は行なわれませんし、午前Ⅱ試験の得点が基準点に達しなければ、やはり午後試験は採点されません。
ネットワークスペシャリスト試験では、それぞれの試験の基準点をすべて満たす必要があるということをおぼえておきましょう。
長文の事例解析が出題される午後Ⅱ試験
ネットワークスペシャリスト試験の午後Ⅱ試験では、別名「事例解析」とも呼ばれる長文問題の大問が2問出題されます。そして、出題された大問のうち、受験者はいずれか1問を選択して解答することになります。試験時間は120分。
出題範囲はネットワークシステムの設計、運用・保守、障害対応、セキュリティ技術などで、事例解析と通称されるとおり、実際のネットワーク関連業務をモデルとした事例が問題文として出題されます。
大問1問あたりの問題文は、およそ問題冊子10ページ程度の長文となることが一般的です。
ネットワークスペシャリスト試験の午後Ⅱ試験では、こうした長文問題で問われる内容に、記述式で対応していくことになります。120分で1問だけを解答すればいいとはいえ、1問あたりの問題文のボリュームは午後Ⅰ試験の倍以上ありますので、解答ペースにも注意が必要となるでしょう。
午後Ⅱ試験も合否の基準点は満点の60%以上で、これを通過することで最終的な試験合格となります。
ネスぺ午後問題の対策・勉強方法は?
ネットワークスペシャリスト試験の午後試験を対策するにあたっては、どういった勉強方法がオススメなのでしょうか。試験勉強の進め方や考え方について解説していきます。
まずは午前対策を万全にして基礎知識を習得
ネットワークスペシャリスト試験の勉強をはじめるにあたっては、まず午前対策からスタートするのが鉄則です。これは、すでにあるIT知識やスキルのレベルに関わらず、あらゆる受験者に当てはまると言っても過言ではありません。
なぜなら、小問形式で取り組みやすいのはもちろんですが、午後Ⅰ試験や午後Ⅱ試験と言った午後試験の文章問題や事例解析を解答していくための基礎知識を体系的に学ぶのに、午前試験対策が適しているからです。
応用情報技術者試験の出題範囲に準拠する午前Ⅰ試験の対策でIT全般についての高度な基礎知識をしっかり身につけて、ネットワーク分野のさらに踏み込んだスキル・知識を午前Ⅱ試験対策で習得していくことになります。
ここで特に午前Ⅱ試験の対策は、まさにネットワーク技術に特化している出題範囲であり、午後Ⅰ試験と午後Ⅱ試験は、実質的にはここで学んだネットワークの知識を事例ベースで解決していく問題であると考えることもできます。
午前Ⅱ試験対策を万全にしておくことで、午後試験に向けた必要な知識が身につくのです。
まとめると、午前試験を想定してテキストや参考書で知識を身につけ、それをもとに午後試験のマスターを目指すというステップが、ネットワークスペシャリスト試験の合格に向けた勉強法の基本ルートであるということです。
午後対策、勉強方法は「過去問題の練習をじっくりと」
ネットワークスペシャリスト試験の午後試験を対策するにあたっては、過去問題の解答練習をじっくりと繰り返し行うのが合格の近道となります。
午後試験の文章問題は、午後Ⅰ試験、午後Ⅱ試験ともに実務経験者でも不合格になることがあることからも、ただITやネットワークの知識があるだけでは合格できないと言えるでしょう。
問題文の傾向を知り、出題の文意や意図を理解し、解答することが求められるのです。
そのため、「過去問題をなるべくたくさん解いて、問題文に慣れておく」ということも合格のためには重要となります。
IPAのサイトには、過去問題の問題冊子と解答例、そして採点講評までPDFで無料入手できるようになっているので、受験までになるべく多くの過去問題を解いて、解答例などを活用した見直しを徹底しながら、多くのパターンの試験問題に慣れておくようにしましょう。
ネットワークスペシャリスト試験(ネスぺ)の合格を目指すなら、スタディングの講座がオススメ
今回のポイントをおさらいしておきましょう。
- ネットワークスペシャリスト試験では、午前Ⅰ試験~午後Ⅰ試験までそれぞれの特典が基準点に達しなかった場合には以降の採点が行なわれず、不合格になる
- 午後Ⅰ試験、午後Ⅱ試験はともに長文読解を求められる試験
- 午後試験の対策のためには、まず午前試験対策を万全にしておくことが重要
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