ITの国家試験「情報処理技術者試験」のなかでも高い難易度で知られているネットワークスペシャリスト試験（ネスぺ、NW）。ここでは、この試験の概要や試験内容についての基本的な事項をまとめています。
ネットワークスペシャリスト試験（ネスぺ、NW）ってどんな試験？
ネットワークに関連する業務に携わるIT技術者なら、一度はその試験の名前を耳にしたことがあるであろう、国家試験のネットワークスペシャリスト試験。この試験はどんな内容でどんなスキル・知識が要求されるのかをまとめてみました。
ネットワーク技術の高い専門性を認める国家試験
ネットワークスペシャリスト試験は、ネットワークシステムの業務に就く高度なエンジニアに求められる知識・スキルを認定する経済産業省の国家試験です。
試験は春期にのみ年1回、会場での筆記試験として実施されます。
情報処理技術者試験には、基本情報技術者試験などでコンピューターによる試験のCBT方式が採用されていますが、ネットワークスペシャリスト試験は四肢選択式や記述式で解答するペーパーテストです。
主要な対象者像は、ネットワークに関する固有技術を活用できるネットワーク管理者や、ネットワークエンジニア。しかしその一方で、受験資格の定めがない、誰でも受験できる試験でもあります。
難しすぎと言われることもあるスキルレベル4の難関試験
試験実施団体であるIPAが定めるCCSF（共通キャリア・スキルフレームワーク）では「レベル4」にあたる「高度試験」であることは、ネットワークスペシャリスト試験の難易度を理解する上でまず知っておくべきです。
もっと言うと、情報処理技術者試験の中で特に難易度が高い難関試験のひとつとしても知られています。
また、IT系資格・試験のなかでもネットワーク関連の国家試験として認知度が高く、ベンダー系試験ではなく汎用的で高度なスキルを証明できるとして、合格者はIT業界内では高く評価される傾向です。
実際の業務においても、官公庁などのプロジェクト案件受託にあたって、ネットワークスペシャリスト試験合格者がチームに在籍しているかが受注条件として挙げられることがあるなど、合格者は現場でもそのスキルを発揮することを期待されます。
出題範囲はネットワーク技術に特化した高度な知識・スキル
ネットワークスペシャリスト試験では、ネットワークに関する深い専門知識や、実務上の具体的事例に適切に対応できる高い実践能力が求められます。
IPAのWebサイトにある試験情報のページでは、ネットワークスペシャリストに期待する技術水準として、以下のような能力が要求されるとしています。
- ネットワーク技術やネットワークサービスの動向を広く見通して、目的に応じた技術やサービスを選択できる
- 企業や組織、業務システムの要求（情報セキュリティを含む）を的確に理解して、ネットワークシステムの要求仕様を作成できる
- 要求仕様に関連するモデリングなどの設計技法、プロトコル技術、信頼性設計、セキュリティ技術、ネットワークサービス、コストなどを評価して、最適な論理設計・物理設計ができる
- ネットワーク関連企業を活用して、ネットワークシステムの設計・構築・運用・保守ができる
ネットワークスペシャリスト試験（ネスぺ、NW）の試験内容とは？
そんなネットワークスペシャリスト試験ですが、実際の試験はどういった形式で実施されるのでしょうか。
どんな形式の問題がどれくらい出題されて、試験時間は何時間なのかをまとめてみます。
また、受験を検討するにあたってのレベル判断をどうすればいいかというヒントもご紹介します。
出題数・出題形式と試験時間
ネットワークスペシャリスト試験の当日は、朝9:30から夕方16:30までという長丁場です。
さらに、試験は午前Ⅰ試験、午前Ⅱ試験、午後Ⅰ試験、午後Ⅱ試験にわけられ、試験中はずっと机と向き合うことになる筆記式のペーパーテストです。
ネットワークスペシャリスト試験の試験時間・出題形式・出題数（解答数）は、以下のようになります。
▼午前Ⅰ
- 試験時間 9:30～10:20（50分）
- 出題形式 多肢選択式（四肢択一）
- 出題数 30問
- 解答数 30問
▼午前Ⅱ
- 試験時間 10:50～11:30（40分）
- 出題形式 多肢選択式（四肢択一）
- 出題数 25問
- 解答数 25問
▼午後Ⅰ
- 試験時間 12:30～14:00（90分）
- 出題形式 記述式
- 出題数：3問
- 解答数：2問
▼午後Ⅱ
- 試験時間 14:30～16:30（120分）
- 出題形式 記述式
- 出題数：2問
- 解答数：1問
試験時間が長時間におよぶことはもちろん、解答しなければならない問題数も多い試験であることから、当日までの試験勉強をしっかりやることはもちろん、当日も万全の体調でのぞむことが大切になってきます。体調管理にも十分気をつけましょう。
まずは過去問題で問題のレベルを把握してみよう
はじめてネットワークスペシャリスト試験の受験を検討する人は、実務経験のあるなしやIT知識・スキルの高低に関わらず、まずは自分の現在の実力と試験のレベルが釣り合っているか、あるいはどの程度のレベル差があるかを適切かつ客観的に見極めることが大切です。
そのためには、まず試しに過去問題を1回分、IPAのWebサイトからダウンロードして解いてみるとよいでしょう。
過去問題は誰でも無料でダウンロードして、利用することができます。
実際に問題を解いてみて、もしも自分には難しすぎると感じたなら、同じく情報処理技術者試験で、スキルレベル2にあたる基本情報技術者試験や、スキルレベル3の応用情報技術者試験からステップアップを狙う学習プランもおすすめです。
ネスぺ合格者はどんな仕事で活躍できる？
ネットワークスペシャリスト試験の合格者がどんな仕事で活躍できるのか、また、この試験に合格しても活かすことができないケースとはどんな場面なのか。受験を目指す前に知っておきましょう。
ネスぺのすごさは高度なネットワーク知識・スキルにあり
情報処理技術者試験が経済産業省の国家試験であるということもあり、ネットワークスペシャリスト試験の合格者は、高度なネットワーク分野の知識・スキルを持った人材として高く評価されます。
IT業界内では知名度が高い試験であり、官公庁の入札プロジェクト案件などの大規模プロジェクトにおいては、ネットワークスペシャリスト試験の合格者がチーム内に存在するかが受注の条件に含まれるといったケースもあります。
そのため、ネットワークスペシャリスト試験の合格によって、就職活動や転職が有利になることもあるでしょう。
また、資格手当制度がある企業に属している場合など、待遇面での優遇が期待できることもあるかもしれません。IT業界内やIT関連職種でのキャリアアップを考えていて、かつネットワーク領域での活躍を目指しているなら、ネットワークスペシャリスト試験はぜひ合格を目標にしたい試験のひとつです。
IT業界以外では意味がない？
その一方で、IT業界以外の業種では、残念ながら情報処理技術者試験の認知度は低いと言わざるを得ません。
特に高度に専門特化したスキル・知識の照明である高度区分の試験に合格していることで、逆に「そんな人材がなぜここに？」と、就職・転職活動時に疑問を持たれてしまう、といったケースもIT以外の業種では見受けられるようです。
つまり、専門特化したネットワーク知識が要求される場面がほぼ皆無な異業種においては、ネットワークスペシャリスト試験の合格歴があまり評価につながらないといった場面もある、というのが実際のところでしょう。
ネットワークスペシャリスト試験に限ったことではありませんが、資格・試験に取り組むにあたっては、自分の活躍したい職種・業種を含めたキャリアプラン作りや、自分の将来像といった目標設定をきちんと行っておくことが大切です。
合格に向けた勉強は長いスパンで計画的に
ネットワークスペシャリスト試験は、難関試験かつ春期のみ年1回の実施であることもあってか、初心者や経験者といったバックグラウンドの違いに関わらず、長いスパンでの地道な学習計画を立ててじっくりと勉強に取り組んでいる人が多いようです。
また、ネット上では、たいして勉強せずに合格できたというような合格体験記を目にすることもあります。
しかし、そうした合格者は元々のITスキルが高かったり、ITの実務経験が豊富であったり、あるいは資格・試験の勉強や受験に慣れている人だったりと、なんらかの土台があらかじめできている人であると考えるのが自然です。
もしあなたがIT初心者や学生、就職・転職のために独学でITスキルを身につけようと考えている初学者であるなら、まわりの声はあくまでも他者の事例として、自らのスキル・知識を客観的に見極めた上で、自分に合った勉強法で一歩ずつ確実に進んでいくことが結果的に合格の近道になります。
合格者の少ない狭き門ではありますが、ゆとりのある計画を立てて、コツコツと着実に勉強する習慣をつけて、合格を目指していきましょう。
ネットワークスペシャリスト試験（ネスぺ）の合格を目指すなら、スタディングの講座がオススメ
今回のポイントをおさらいしておきましょう。
- ネットワークスペシャリスト試験は「難しすぎ」と言われることもあるほどの、スキルレベル4の難関試験
- IT業界内では高い認知度を誇り、ネットワークについての高レベルなスキル・知識をアピールできる
- IT初心者や学生、就職・転職のために独学でITスキルを身につけようと考えている人なら、時間をかけてコツコツと勉強することが基本
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