
販売士検定は1級・2級・3級と3つの級がある試験です。
このため、難易度や合格に必要な勉強時間は受験する級によって異なります。
まずは各級の試験概要を知り、事前に対策を立てることが大切です。
そこで、販売士検定の試験概要、難易度、効率的に合格を勝ち取るための勉強方法を解説します。
勉強する前に知っておきたい販売士検定の基礎知識
販売士検定合格に近付くためには、まずはどのような検定なのかを知ることが大切です。
試験の概要や合格基準、合格に必要な勉強時間を把握することで、いつまでに何を勉強すべきかがわかるからです。
ここでは、受験勉強を始める前に知っておきたい販売士検定の基礎知識を解説します。
販売士検定には1級・2級・3級の3つの級がある
販売士検定には1級・2級・3級の3つの級があります。
どの級もネット試験(CBT方式)が採用されており、全国のテストセンターで随時受験可能です。
それぞれの級によって求められるレベルは異なり、試験時間や合格基準点も変わってきます。
各級の概要は以下のとおりです。
1級 | 2級 | 3級 | |
---|---|---|---|
受験資格 | なし(誰でもどの級からでも受験可能) | ||
合格率 | 20%前後 | 50%前後 | 60%前後 |
合格基準点 | 各科目70点以上 | 平均の得点が70点以上、かつ1科目ごとの得点が50点以上 | |
出題形式 | 記述式穴埋め問題・択一式穴埋め問題 | 択一式正誤問題・択一式穴埋め問題 | |
試験時間 | 90分 | 70分 | 60分 |
試験日・試験会場・試験方法 | 全国のテストセンターで随時実施CBT方式のネット試験 | ||
受験料(税込) | 8,800円 | 6,600円 | 4,400円 |
求められる能力・レベル | 店長・経営者レベル | 店舗・売り場マネージメントレベル | 売り場の販売担当レベル |
販売士検定の試験科目は5科目
販売士検定の試験科目は5科目で、すべての級で共通しています。試験科目は以下のとおりです。
- 小売業の類型
- マーチャンダイジング
- ストアオペレーション
- マーケティング
- 販売・経営管理
試験科目は共通ですが、級によって合格基準となる点数や出題形式は異なります。
販売士検定は級によって難易度が大きく異なる
販売士検定の大きな特徴は、級によって難易度が大きく異なることです。
それぞれの級の合格率の推移は以下のとおりです。
3級検定の受験者・合格者・合格率推移
期間 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2024.4.1~2025.3.31 | 8,238名 | 4,793名 | 58.2% |
2023.4.1~2024.3.31 | 8,632名 | 4,976名 | 57.6% |
2022.4.1~2023.3.31 | 8,981名 | 5,130名 | 57.1% |
2021.7.28~2022.3.31 | 8,894名 | 5,607名 | 63.0% |
2級検定の受験者・合格者・合格率推移
期間 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2024.4.1~2025.3.31 | 5,453名 | 3,052名 | 56.0% |
2023.4.1~2024.3.31 | 6,613名 | 3,265名 | 49.4% |
2022.4.1~2023.3.31 | 6,374名 | 3,531名 | 55.4% |
2021.7.28~2022.3.31 | 5,655名 | 3,136名 | 55.5% |
1級検定の受験者・合格者・合格率推移
期間 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2024.4.1~2025.3.31 | 1,010名 | 184名 | 18.2% |
2023.4.1~2024.3.31 | 1,091名 | 222名 | 20.3% |
2022.4.1~2023.3.31 | 1,033名 | 218名 | 21.1% |
2021.7.28~2022.3.31 | 795名 | 137名 | 17.2% |
販売士の合格に必要な勉強時間は級によって異なる
それぞれの級の合格率推移を見るとわかるとおり、2級・3級と比較すると1級の難易度は高くなっています。
このため、合格するために必要となる勉強時間も異なります。
最も合格率が高い3級では、初学者が合格するのに必要な勉強時間は「約30時間」です。
2級は3級の倍となる「約60時間」が必要とされています。
最も難関の1級では最低でも「約100時間」の勉強が必要といわれています。
しかし、実際には複数回受験してやっと合格を勝ち取った受験者も多く、入念な対策が必要となるでしょう。
どの級を受ける場合も大切!販売士検定の勉強のポイント
販売士検定の勉強時に、どの級の受験者も共通して行いたい勉強のポイントは次のとおりです。
- 試験概要を知り、学習戦略を立てること
- 効率的な学習方法・学習ツールを使うこと
- 本番の試験を意識して知識を整理すること
- 無理なく継続すること
それぞれを詳しく解説します。
1.試験概要を知り、学習戦略を立てること
効率的な学習の1番のポイントは、試験の特徴を知り、力を入れる部分と抜く部分を明確にした学習戦略を立て、それに沿って学習を実行することです。
とくに、専門知識の深みにはまらないようにします。
7割の合格点を取るためには、基本的な部分、過去問で頻繁に出題される部分に努力を集中しましょう。
販売士検定に短期間で効率よく合格するには、「試験に出るところを勉強する」ことが重要です。
しかし、合格までに時間がかかった人の学習方法を分析すると、試験に出ないことに時間を取られ、頻出問題をしっかり勉強していないケースが多くなります。
これから学習するときには「深い知識は必要ない」ということを頭の片隅においてください。
専門知識の深みにはまって、勉強に時間がかかっている場合は、これを思い出してどんどん先に進むことがポイントです。
2.効率的な学習方法・学習ツールを使うこと
「どのような学習ツールを使ってどのように学習するか」が学習の効率を大きく左右します。
テキストを読んでいるだけではなかなか頭に入りません。
しかし、全ての内容をノートにまとめるとなると膨大な時間がかかるため、どのような学習ツールを使って勉強するかはとても重要なポイントです。
知識のインプットは、目や耳などの感覚から同時に行うと効率的です。
何度もくり返し復習することで知識が定着します。
視覚や聴覚を使って、短時間に繰り返し復習できる学習ツールを使うことが重要です。
また、販売士試験を目指す方の多くが、流通業に従事しているのではないでしょうか。
これらの業界では、出勤時間が不規則だったり、休日がシフト制であったりすることも多いので、自分のペースで学習できるツールが最適です。
3.本番の試験を意識して知識を整理すること
短期間での合格を目指すためには、初めから本番の試験合格を意識した学習法により、試験で役立つ知識を頭の中に整理しておく必要があります。
本番の試験では、単なる知識の量ではなく、いかに整理された知識をすばやく的確に引き出せるかがポイントです。
そのためには、知識の体系や関連を整理して覚えておきましょう。
また、販売士試験で注意しておきたいことは、普段仕事で使っている言葉と試験で使われる言葉が異なることがあるということです。
自分の会社では通称や略称を使っていても、試験で正式な名前で問われると、うっかり間違えてしまうこともあります。
これを回避するためにも、事前に問題集などで、本番の試験を想定した練習をしておくことがとても大切です。
4.無理なく継続すること
最も重要なことは始めた勉強をやめないことです。
無理な計画では勉強は長続きしません。
日々の生活の中に無理なく学習を組み込むことで、継続的に受験勉強を続けられるでしょう。
とくに、通勤時間や休憩時間などの「スキマ時間」をうまく活用することがポイントです。
そうすることにより、最後まで学習することができ、結果として最短で合格することができます。
販売士検定2級・3級は択一式で記述がありませんので、時間を有効活用すれば、机に向かわなくても試験対策が十分可能です。
合格率50~60%!販売士2・3級の勉強方法
販売士2級・3級は受験者の半数が合格できる試験です。
しかし、反対にいうと、半数の受験者は試験に落ちているということでもあります。
ここからは、実際に販売士検定に合格した方の経験を元に、合格をつかみとるための勉強方法やコツをご紹介します。
インプットとアウトプットを繰り返す
販売士検定に限ったことではありませんが、インプットとアウトプットを繰り返すと知識を定着しやすくなります。
合格者の声によると、次のような順番で勉強に取り組んだという方が複数いました。
- まずは販売士検定特有の専門用語を理解する(インプット)
- 問題演習を繰り返す(アウトプット)
- 間違えた問題を覚え直す(インプット)
- 再度問題を解き直す(アウトプット)
一般的に試験勉強というと、参考書やテキストを読むことに集中しがちです。
しかし、なんとなく読み進めるだけで頭に残らないということも起こるでしょう。
用語などを覚えたら早めに問題を解くことで、記憶にしっかり残すことができるようになります。
模擬試験で実際の出題形式に慣れる
模擬試験出題形式に慣れ、確実に正解できるようにしておくことも効率よく勉強する方法です。
合格者の声によると、試験直前はひたすら問題演習に取り組んだという方が多くいました。
たとえテキストの内容を頭に入っていたとしても、どのような問われ方をするのかを知らなければ、間違えやすいポイントに引っかかりやすくなるでしょう。
それを防ぐためにも、よく出題される問題を中心に演習を行うことが大切です。
また、紙の問題集を使って勉強を進める場合でも、試験直前はネット試験に慣れておくことが重要です。
ネット試験特有の仕様に慣れていないと、試験会場で焦ってしまいなかなか実力を出せなくなります。
そういった意味でも、パソコンやスマートフォンといったデジタルデバイスを使っての学習が販売士検定には向いているといえるでしょう。
【あわせて読みたい】販売士2級はネット試験化で変わった?試験概要・時間は?
合格率20%前後!販売士1級の勉強方法
販売士1級は2級・3級よりも圧倒的に難しい試験です。
出題形式も異なるので、ほかの級とは違う勉強方法をする必要があります。
販売士1級検定の勉強方法を解説します。
ハンドブックを徹底的に読み込む
ハンドブックとは、公式テキストとしてカリアックから販売されている『販売士検定試験ハンドブック(1級編)』のことです。
試験問題の70%以上がハンドブックから出題されるため、徹底的に読み込む必要があります。
ハンドブックの暗記と問題集を解くという、インプット・アプトプットを繰り返すことが大切です。
一見効率的とは思えない方法ですが、販売士1級合格者の多くが「結局はハンドブックの読み込みが合格への近道」と語っています。
科目ごとに集中して対策をする
一発合格が難しいと判断したときは、科目ごとに集中して対策をするのも戦略といえます。
販売士1級検定には「科目合格制度」が設けられています。
これは70点以上取得した科目があった場合に「科目合格」が認められるというものです。
たとえば、全体としては不合格だった場合でも、1つの科目で70点以上を取得していれば当該科目は合格したものとみなされて、次回受験するときに試験を受けなくても合格扱いになります。
ただし、有効期限は科目合格した受験日の属する年度の翌年度末までです。
たとえば、2025年6月に受験し、マーチャンダイジングとストアオペレーションで75点を取得した場合、この2科目は2027年3月までは合格したものとして試験を免除されます。
つまり、複数回受験をする場合は、科目合格を繰り返すことで1回の試験における負担を軽減することができるというわけです。
実際に販売士1級検定では、複数回の受験で合格を勝ち取った方が多い傾向にあります。
何度かの受験で合格すると割り切ってしまえば、まんべんなくすべての教科を勉強するよりも、いくつかの科目に集中して確実に70点を取得できる勉強をしていくほうが効率的といえるかもしれません。
ただし、何度受験しても特別な割引などはなく、受験料は8,800円(税込)で変わりません。
受験回数が増えれば増えるほど費用がかかる点には注意が必要です。

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まとめ
販売士検定に効率よく合格するための勉強方法やコツをご紹介しました。
- 販売士検定には1級・2級・3級があり、それぞれ合格基準点、試験時間、出題形式は異なる
- 販売士検定の試験科目はすべての級共通で、「小売業の類型」「マーチャンダイジング」「ストアオペレーション」「マーケティング」「販売・経営管理」の5科目
- 販売士検定の合格率は1級は約20%、2級・3級は約50~60%
- 販売士検定合格への近道は、試験概要を知り学習戦略を立てること
- 効率的な教材を使い、無理なく学習を続けることが大切
2級・3級では、忙しい社会人でもスキマ時間を生かせるように、スマートフォンを利用した教材を使うのがおすすめです。
通勤や休憩中などのスキマ時間を上手に活用することで、無理なく勉強を続けられるだけではなく、本番と同様のネット試験形式に慣れることもできます。
1級では、地道にハンドブックを読み込むことが大切です。
また、一発合格を狙うのか、それとも科目合格を積み重ねて最終的に合格を勝ち取るのか、戦略に見合った学習をすることも重要といえるでしょう。