
リテールマーケティング(販売士)検定は、2021年からCBT方式によるネット試験になりました。
そうはいっても、1級・2級・3級で試験日程や受験方法は違うのではないか、試験会場はどこにあるのかなど、受験生の多くが疑問を持っているかもしれません。
そこで、販売士検定の試験日程や申込方法について詳しく解説します。
リテールマーケティング(販売士)検定の試験とは?
リテールマーケティング(販売士)は日本商工会議所が実施する資格試験で、流通・小売業界で唯一の公的資格です。
小売業に特化したマーケティングや店舗運営の知識・スキルを身につけられるため、業界でのキャリアアップや就職・転職に役立つ資格として人気があります。
販売士資格を取得することが昇級・昇格の条件になっている企業があったり、有資格者は入学試験時に優遇される大学があったりと、取得のメリットはさまざまです。
2021年からCBT方式のネット試験となり、受験者は都合にあわせて試験日や会場を選択できるようになりました。
販売士検定の具体的な試験内容や、受験方法について詳しく解説します。
- 級ごとに出題される科目・形式・時間の違いを比較
- 試験日程
- 試験会場
- 申込方法
- 受験料
- 受験資格
級ごとに出題される科目・形式・時間の違いを比較
販売士検定は3つの級が設定された試験です。
比較しながら各級の特徴を紹介します。
出題科目(全級共通)
出題科目は次の5つです。
- 小売業の類型
- マーチャンダイジング
- ストアオペレーション
- マーケティング
- 販売・経営管理
販売士1級の試験形式
1級の出題形式は記述式と選択式が半分ずつとなっています。
1科目につき記述式穴埋問題が10問、選択式穴埋問題が10問の計20問が出題されます。
5科目での合計出題数は100問です。
試験時間は90分で、合格基準は各科目70点以上と厳しく設定されています。
1科目でも70点未満であれば不合格になるので、全科目しっかり得点する必要があります。
記述式が出題されるのは1級の試験のみで、記述式穴埋問題とは空欄に適切な語句や短文を入力する形式です。
販売士2級の試験形式
2級の出題形式はすべて選択式です。
1科目につき選択式正誤問題が10問、選択式穴埋問題が10問の計20問が出題されます。
1級と同様に、5科目での合計出題数は100問です。
試験時間は70分で、合格基準は全科目50点以上であることと、5科目平均点が70点以上であることとなっています。
つまり、得意科目で点数を稼げば、苦手科目で50点台の点数だったとしても合格の可能性があるということです。
すべて選択式の問題となるため、1級と比べると解答しやすい形式といえるでしょう。
販売士3級の試験形式
3級の出題形式は2級と同様すべて選択問題となっています。
1科目につき選択式正誤問題が10問、選択式穴埋問題が10問の計20問が出題されます。
1級・2級と同じく、5科目での合計出題数は100問です。
試験時間は60分で、合格基準も2級同様に5科目平均が70点以上、さらに全科目50点以上の得点が条件です。
2級と同様に、苦手科目で50点台の得点だったとしても、得意科目で補えば合格の可能性が出てきます。
販売士試験は各級によって、求められる能力や合格率なども異なります。
どの級の取得を目指すかを迷っている方で、3つの級の違いをもっと知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。

販売士1級・2級・3級の違いは?勉強時間・合格率は?
リテールマーケティング(販売士)検定試験には、1級・2級・3級があり、問題数やレベル、試験時間、合格率で違いが見られます。とりわけ、1級と2級・3級では難易…
リテールマーケティング(販売士)検定試験には、1級・2級・3…
試験日程
現在CBT方式のネット試験に移行し、試験会場の空きがあればどの級でも受験生の都合にあわせて受験可能になりました。
従来は年に2回決まった日程での試験実施だったので、CBT方式によって受験生の利便性は向上したいといえるでしょう。
申込はいつでも可能で、申込の日から3日目以降の試験日を選択できます。
各会場が定める試験日時を確認して、自身のスケジュールにあった日程を選びましょう。
試験会場
試験会場は、全国にあるテストセンターです。
テストセンターの所在地はCBT-Solutionsが運営するテストセンターから検索できます。
受ける級によって会場が異なるということはありません。
テストセンターは全国にありますが、都道府県によっては1つしか会場が設定されていないケースもあります。
その場合、なかなか空きがなく受験の申込ができない可能性もあります。
自身の受験計画にあわせて、余裕を持って都合のよい地域と日時を選びましょう。
申込方法
申込は、インターネットでのみ受け付けています。
手続きはリテールマーケティング(販売士)検定試験 から行い、初めてCBT方式で受験する場合はまずは受験者登録をしなければなりません。
まずはユーザーIDとパスワードを取得し、受験者専用ページを作成してから試験予約に進みましょう。
試験日時や会場、受験料の決済方法を指定すれば申込が完了します。
申込期限はとくに設けられていませんが、申込から3日目以降の日程でないと予約できない点に注意が必要です。
受験料
受験料は、級によって異なります。
各級の受験料を下表にまとめました。
級 | 受験料(税込) | 事務手数料(税込) | 合計金額 |
---|---|---|---|
1級 | 8,800円 | 550円 | 9,350円 |
2級 | 6,600円 | 550円 | 7,150円 |
3級 | 4,400円 | 550円 | 4,950円 |
支払方法はクレジットカード、もしくはコンビニエンスストア/Pay-easy決済のいずれかを選択できます。
受験資格
販売士検定には、年齢や実務経験といった受験資格の制限はなく、学生から業界で働いているビジネスパーソンまで誰でも受験できます。
就職活動に有利になることもあるため、とくに3級は学生からの人気が高く、受験者の2割弱が高校生です。
下位の級から順番に合格する必要はなく、初めての販売士検定でいきなり1級にチャレンジすることもできます。
ただし、現実的には2級と1級は難易度の差が大きいので、下位の級からステップアップしたほうが知識を着実に身につけられるでしょう。
販売士検定の科目合格制度・科目免除制度とは?
販売士検定には一部科目を合格同等と認める制度があり、この制度を利用すれば苦手科目を集中的に勉強して段階的に合格を目指せます。
1級には「科目合格制度」、2級・3級には「科目免除制度」が設定されており、それぞれ内容が異なるため、活用の際は注意が必要です。
制度の詳細や条件について、各級に分けて解説します。
- 再チャレンジ時に活用できる!「科目合格制度」(1級)
- 指定の講座受講で1科目パス!「科目免除制度」(2級)
- 他の検定試験や講習受講で合格に近付く!「科目免除制度」(3級)
再チャレンジ時に活用できる!「科目合格制度」(1級)
販売士1級には「科目合格制度」があります。
これは、全体の点数が足りず試験に不合格になった場合でも、70点以上獲得した科目は「科目合格」として認められるというものです。
該当科目は期限内であれば科目合格として申請でき、再受験時は問題を解くことなく合格した者とみなされます。
ただし、有効期限が受験年度の翌年度末までと定められているので注意が必要です。
たとえば2025年9月に受験して「マーケティング」が合格だった場合、2027年3月末までこの科目の合格が有効なので、ほかの4科目で70点を超えれば1級を取得できます。
本制度は自動的に適用になるのではなく、申込時に申請が必要となります。
また、科目合格制度を利用する場合も、試験時間は試験時間は通常通り90分です。
受験料(8,800円)と事務手数料(550円)はどちらも減額されることはありません。
販売士1級では時間が足りず苦戦する受験者が多いので、1問あたりにかける時間を増やせる本制度は利用価値が高いといえるでしょう。
指定の講座受講で1科目パス!「科目免除制度」(2級)
販売士2級の受験者は指定された講座を受講・修了することで「販売・経営管理」科目を免除できます。
この科目免除制度を利用すれば、試験時間は変わらず1科目分をパスできることになるため、確実に合格したい受験者はぜひチェックしてください。
対象講座は以下の3種類です。
- 日本商工会議所が開催する「2級販売士養成講習会」
- 日本商工会議所指定の「2級養成通信教育講座」
- 日本商工会議所指定の「販売士2級オンライン養成教育講座」
科目免除の有効期限は、講座の受講終了日が属する年度の翌年度末までです。
本制度の申請時は、「修了証明書」の提出が必要なので大切に保管しましょう。
他の検定試験や講習受講で合格に近付く!「科目免除制度」(3級)
販売士3級にも科目免除制度があります。
特定の講座を受講して修了した場合、証明書の提示は必要ですが該当する科目を受験しなくて済みます。
「販売・経営管理」科目免除の条件
次のいずれかの講座を修了すると「販売・経営管理」科目が免除されます。
- 日本商工会議所が開催する「3級販売士養成講習会」
- 日本商工会議所指定の「3級養成通信教育講座」
- 日本商工会議所指定の「販売士3級オンライン養成教育講座」
「マーケティング」科目免除の条件
「マーケティング」科目免除の条件は、全国商業高等学校協会主催の商業経済検定試験で「ビジネス基礎」「マーケティング」の2科目に合格することです。
「マーケティング」「販売・経営管理」2科目免除の条件
2科目免除の条件は、全国商業高等学校協会主催の商業経済検定試験で、次の2つの条件を満たすことです。
- 「ビジネス基礎」「マーケティング」の2科目合格
- 「経済活動と法」「ビジネス経済A」「ビジネス経済B」「ビジネス・マネジメント」「商品開発と流通」「ビジネス法規」のいずれか1科目合格
上記2つの条件を満たせば、販売士検定3級の「マーケティング」「販売・経営管理」の科目免除が申請できます。
商業経済検定試験は、商業系の高校や大学への進学や商業系の就職の際に有利になる資格です。販売士とダブルライセンスを目指すと、商業系のキャリアに大きなメリットをもたらすでしょう。
試験日当日の注意点は?事前に準備することはある?
販売士検定のCBT方式による試験は、従来の紙ベースの試験とはいくつか異なる点があります。
とくに初めてCBT方式で受験する方は、以下のポイントをチェックして万全の状態で試験に臨みましょう。
- 事前にネット試験の操作方法を確認しておこう!
- 当日の持ち物
- 試験開始時刻と集合時間
- その他受験日当日に注意すべきこと
事前にネット試験の操作方法を確認しておこう!
CBT方式のネット試験は、従来の紙ベースの試験と異なり端末操作が必要です。
端末の操作方法は、CBT-Solutionsの受験者ポータルサイトの「CBT方式について」という箇所で詳しく解説されています。
初めてCBT方式で受験する場合は掲載情報に一度目をとおし、操作方法を事前に確認しておきましょう。
試験環境に近い形で操作感を確かめられる「体験版」も用意されているので、これらを活用して試験本番に慌てないように準備をしておくのがおすすめです。
実際にCBT方式で受験をするときの申込方法や当日の流れなどは、以下のページで詳しく解説しています。
コンピューター方式での受験が初めてだという方は、ぜひ一度お読みになってください。

販売士(リテールマーケティング)CBT試験受験レポート
2021年7月より実施されているCBT方式による販売士(リテールマーケティング)試験の申し込みから 当日の受験までの流れがわかる、受験体験レポートです。申し…
2021年7月より実施されているCBT方式による販売士(リテ…
当日の持ち物
受験当日に必要な持ち物は、本人確認書類と電卓です。
なお、受験票は発行されないため、持っていく必要はありません。
持参する本人確認書類で有効なのは、運転免許証やマイナンバーカードなど顔写真付きの身分証明書です。
写真付きの本人確認書類を用意できない場合は、学生証や健康保険証などの証明書を2点持参しましょう。
電卓は計算機能(日数計算、時間計算、換算、税計算、検算含む)のみに限られ、印刷機能やプログラム機能、辞書機能などがある電卓は使用できません。
試験開始時刻と集合時刻
販売士検定試験の集合時刻は、試験開始時刻の30〜15分前です。
試験終了時刻の10分前までは入室可能ですが、遅刻した分の試験時間の延長はありません。
試験会場がビルの上階にある場合もあり、建物に到着後階段やエレベーターで移動しなければならないケースもあります。
試験前に焦らないように、なるべく余裕を持って試験会場には到着しておくよう心がけるとよいでしょう。
その他受験日当日に注意すべきこと
試験当日は、ルールやマナーを守ったうえで試験に臨みましょう。
次に該当する行為に及んだ方は、受験を拒否されます。
- 試験中にスマホや携帯電話の使用
- 録音機やカメラ、辞書機能の付いた電卓などの使用
- 代理受験(他人が本人になりすまして受験する)をした者
- 試験官の指示に従わない
- カンニング行為に及んだ者
不正行為があった場合は、その場で退場となります。
今後も受験ができなくなるので、くれぐれも注意しましょう。
とくにスマホや携帯電話はアラーム音などが鳴らないように、電源を切っておきましょう。
まとめ
本記事では、リテールマーケティング(販売士)検定試験の試験日程や会場、各級の違いを解説しました。
主なポイントは以下のとおりです。
- 販売士検定は現在CBT方式のネット試験で、受験者が都合にあう試験日時・会場を選択できる
- 検定は1級~3級に分かれており共通の5科目が出題されるが、試験時間や出題形式、合格基準は級によって異なる
- 販売士1級は記述式と選択式が出題され、試験時間は90分
- 販売士2級・3級は選択式のみの出題で、試験時間は2級が70分、3級が60分
- 販売士1級には科目合格制度、2級・3級には科目免除制度があり、段階的に合格を目指せる
昇進や昇給の条件として、販売士資格の取得がマストになっている企業も増えています。
勤務先で資格を求められる小売業・流通業の方も多いのではないでしょうか。
販売士2級・3級の合格を目指すなら、スマホを使って効率的に学べる「スタディング 販売士講座」がおすすめです。
勉強に苦手意識がある方でもわかりやすい、図を多用したビデオ講座となっています。
従来とは異なり、勉強をするのに分厚い参考書や問題集は必要ありません。
スマホやタブレット、パソコンを使って効率よく勉強ができます。
また、オンライン上で問題を解く練習は、CBT試験対策としても効果的です。
忙しくて勉強時間を確保できない社会人でも、多くの方が通勤や休憩などのスキマ時間を上手に使って一発合格をしています。
最短で販売士の資格を取得したい方は、スタディングの無料講座を体験してみてください。