
販売士は小売業でのキャリア形成に役立つ資格です。
しかし、インターネットで検索すると「役に立たない」や「意味がない」という意見もよく見かけます。
これから販売士検定を目指す方にとって、この意見が本当なのかが気になる方も多いのではないでしょうか。
そこで、販売士資格のメリットやなぜ役に立たないと言われているのかについて解説します。
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なぜ役に立たないと言われる?販売士のデメリットは?
リテールマーケティング(販売士)検定は、小売業や販売業に関する専門知識を証明できる公的資格です。
しかし、国家資格ではなく、独占業務もないことから「役に立たない」と言われることもあります。
「販売士は役に立たない」と言われる背景には、いくつかのデメリットがあるためです。
- 販売士資格は国家資格ではなく、独占業務もない
- 知識が実際の業務に必要なスキルに直結しない
- 資格として重用されるのは2級以上
- 独立・開業が難しい
それぞれのデメリットについて、詳しく解説します。
販売士資格は国家資格ではなく、独占業務もない
リテールマーケティング(販売士)検定は、日本商工会議所が主催する公的資格です。
弁護士や公認会計士のような国家資格ではありません。
また、資格取得者のみができる独占業務がないため、販売士検定に合格しても就職や転職の役に立たないのではと考える方もいるようです。
しかし、実際に小売業や販売・接客業では資格を持つことでより深い知識を持つことが認められ、重要な役割を任されたり、企業内でのステップアップにつながることもあります。
管理者や、マネジメントの責任者を目指すといったことも可能でしょう。
知識が実際の業務に必要なスキルに直結しない
販売士検定の勉強をして合格すると、小売業のプロとしての知識を持っていることが証明されます。
しかし、知識があるからといって、実際の業務に必要なスキルも身につくわけではありません。
販売士資格で得た知識は、質の高い接客でお客様から喜ばれたり、レイアウトを変えて商品を手に取りやすくしたりするなど、現場での実務と結び付けてこそ役立つと言えます。
資格を取得することが目的ではなく、実際にその知識を生かした仕事をしていくためにはどうすればよいのかを考えなければ、販売士資格は役に立たないものになってしまうでしょう。
資格として重用されるのは2級以上
販売士資格には3級・2級・1級があり、3級は比較的取得しやすい資格とされています。
3級は30時間程度の学習で合格できるため、合格率も高く、販売業界に興味がある方は、基礎知識を学ぶよい機会となるでしょう。
しかし、取得しやすい分、3級だけでは大きな評価にはつながりにくく、企業からも重視されにくい傾向があります。
一方、2級以上になると、売り場の管理や在庫管理、販売促進などの知識を持っていると証明されます。
さらに、1級では経営戦略やマーケティングを学ぶため、管理職や経営層へのキャリアアップにもつながりやすいでしょう。
販売士資格を生かしてキャリアアップを目指すなら、3級で終わらずに、2級以上の取得を視野に入れるのが望ましいといえます。
独立・開業が難しい
販売士資格を取得すれば、小売業に関する専門知識を得られます。しかし、それだけで独立・開業できるわけではありません。
実際に小売業を立ち上げるには、下記のように多くの経営スキルが求められます。
- 資金計画
- 仕入れルートの確保
- 人材管理
- 集客戦略
資格だけではなく、実際の現場経験や経営者の視点を持つことが必須です。
また、販売士資格には独占業務がありません。そのため、未経験者が資格を持っているだけでは実務で即戦力になりにくい点もデメリットです。
税理士や美容師のように資格があれば仕事ができるわけではなく、あくまで「販売や小売業に関する知識がある」という証明にとどまります。
販売士資格を生かして独立を考える場合は、まず実務経験を積み、販売戦略やマネジメント能力を磨くことを優先しましょう。
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販売士検定は役に立つ資格!具体的なメリットとは?
販売士資格は販売の仕事に必須ではないものの、取得することで専門性を高め、キャリアアップに生かせるのが魅力です。
また、AI社会においても、人による質の高い接客の価値は高まっています。
販売士資格がどのように役立つのか、具体的なメリットは次のとおりです。
- 「販売のプロ」であることを証明できる
- 小売業について専門家レベルの知識を得られる
- AI社会でも潜在的なニーズがある
1つずつ解説します。
「販売のプロ」であることを証明できる
販売士資格は、小売業界で唯一といえる公的資格です。
「販売員としての業務に資格は必要なの?」と思われる方もいるかもしれません。
実際には、販売士の資格がなくても、販売の業務を行うことは可能です。
しかし、販売士の公的な資格を持つことは、販売に関する知識が充分にあるという証にもなります。
たとえば販売員として働いているときに、お客様に適切なアドバイスができたり、商品の見せ方を工夫してみたりと、販売のコツを掴めます。
普段の業務で販売に携わっている方は、仕事の質を引き上げ、プロとして活躍できる知識を得られるでしょう。
小売業について専門家レベルの知識を得られる
販売士という名前から、店頭の販売員さんを思い浮かべる方も少なくないのではないでしょうか。
そのイメージは間違いではありません。
実際にはマーケティングの一環として、販売に関する知識や、店頭での効率的な商品陳列、商品を手に取ってもらうための考え方やルールを学びます。
ただし、学習内容はそれだけではありません。
販売促進の企画や店舗マネジメント、在庫管理、商品仕入れの計画や出店戦略についてなど、実践的なマーケティングに関する内容も幅広く学ぶことができます。
3級から2級、1級と知識を深めていくことで、小売業の専門家レベルの知識を身に着けられます。
※学習内容は級によっても異なります。
販売士は、店舗管理や運営など、マーケティングや小売業のスペシャリストと言えるでしょう。
AI社会でも潜在的なニーズがある
AIや通信技術の発展によって、店舗では無人レジの設置や、ロボットを導入するなどといった企業が増え、販売に関してはとくに大きくシーンが変化しています。
そのような状況で「販売の資格が役に立つのか?」と感じることがあるかもしれません。
しかし、実際はAIの普及によって、人同士のコミュニケーションが減る可能性がある状況だからこそ、質の高い接客には価値が生まれます。
業種によっては、店頭でただ商品を売るだけではなく、質の高い接客で付加価値を生むことが求められています。
よい購買体験は、お客様に「また来たい」と思ってもらうことにつながり、利益となるからです。
AIの導入で仕事が無くなるのではなく、より高いレベルの接客や、知識を持つことが求められるようになっていくと考えるとよいでしょう。
販売士資格の勉強を通して得た知識は、このような店頭での接客の質を上げるという面でも役立ちます。
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販売士資格の実際のところは?
リテールマーケティング(販売士)検定は、実務経験がなくても、販売の基礎から応用まで学べます。
とくに、小売・流通業界でのキャリアアップに役立つでしょう。
資格の難易度や活用方法は級によって異なります。ここでは、販売士資格の実態について詳しく解説します
販売士は毎年1万6,000人以上が受験する公的資格!各級によって難易度・合格率は変わる!
販売士検定は、日本商工会議所が実施する公的資格で、年間で1万6,000人ほどが受験しています。
これだけ多くの方が挑戦しているのは、販売や流通の現場で有用な資格である証拠と言えるでしょう。
なかでも小売業界では、販売士の資格を持つことで専門知識を証明できるため、キャリアアップの武器となります。
各級の合格率・求められる能力レベル・必要な勉強時間を、下表にまとめました。
級 | 合格率※ | 求められる能力レベル | 必要な勉強時間 |
1級 | 17~22% | 店長・経営者レベル | 最低100時間 |
2級 | 49~58% | 店舗・売り場マネージメントレベル | 約60時間 |
3級 | 57~63% | 売り場の販売担当レベル | 約30時間 |
※参考:日本商工会議所・各地商工会議所|販売士 受験者・合格率データ|ネット試験
1級の合格率は20%程度で、国家資格並みの難易度とされています。
1級は経営戦略やマーケティングの知識が求められるため、取得すればコンサルタントや講師として活躍する道も開けるでしょう。
販売士資格は、知識を証明するだけでなく実務に生かせるスキルも身につくため、業界での評価も高い資格です。
企業によっては資格取得が義務づけられていることも
販売士資格は、公的資格として一定の評価を受けており、企業によっては取得が義務づけられている場合があります。
スタディングの合格者の声によると、ある企業では販売士資格の取得が必須とされており、仕事や家事と両立しながら勉強したという例もあります。
とくに、小売業・流通業では、従業員のスキルアップのために資格取得を推奨している企業も少なくありません。
また、資格取得によって手当が支給される企業もあります。たとえば、下記のように、企業によって資格手当が支給されているケースです。
- 1級:月5,000円
- 2級:月3,000円
- 3級:月1,000円
企業によっては、販売士資格が給与アップに直結します。販売士資格は、単なる知識の証明にとどまらず、キャリア形成にも役立つ資格と言えるでしょう。
2級からは生かせる仕事の幅が増す!
販売士資格の中でも、2級以上を取得すると、仕事の幅が大きく広がるのが特徴です。
2級のレベルは売り場の管理者クラスとされており、下記のような業務に関する知識を学べます。
- 従業員の育成や指導
- 在庫管理・売上管理
- 販売促進の企画
そのため、小売業界だけでなく、大手流通業界でも2級取得者は評価されやすく、昇進や転職にも有利に働くでしょう。
スタディングの合格者からは、小売店向けの営業職が「バイヤーの立場を理解するため」に2級を取得したとの声があり、営業成績の向上につながるような事例もあります。
また、販売士1級になると、さらに経営戦略やマーケティングの視点が加わり、管理職や経営層を目指すうえでの強みとなります。
キャリアアップを狙う方は、2級以上の取得がおすすめです。
中小企業診断士とのダブルライセンスもおすすめ!
販売士資格に加えて、中小企業診断士を取得すると、より幅広いキャリアの選択肢が広がります。
小売・流通業界での専門性を高めるだけでなく、経営コンサルタントや講師としての活躍の幅を広げるため、相性がよい組み合わせです。
具体的なメリットは、下記のとおりです。
- 試験範囲の重複で効率的に学習できる
- 小売・流通業界でのコンサルタントとして活躍できる
- 独立・副業の幅が広がる
- CBT試験で受験の自由度が高い
中小企業診断士の一次試験では、財務・会計や企業経営理論、運営管理や経営法務などが含まれており、販売士の試験範囲と重複しています。
そのため、販売士資格を取得すると、中小企業診断士試験の学習がスムーズになるメリットがあります。
販売士資格を持つ中小企業診断士になれたら、販促コンサルティングやセミナー講師としての仕事も得やすくなるでしょう。
販売士1級の登録講師となれば、家電量販店やスーパーなどでの研修講師の仕事が増える可能性も期待できます。
さらに、販売士の試験はCBT方式となり、試験日程の自由度が高くなります。
CBT(Computer Based Testing)方式とは、コンピューターを使用して試験を受ける方式のことです。
全国各地の指定会場で受験でき、受験日を自分で選べるため、スケジュールの調整がしやすいメリットがあります。
そのため、中小企業診断士試験の勉強と並行して受験しやすいのも魅力です。
このように、ダブルライセンスの取得は、高い専門性を持つ経営コンサルタントとして、小売・流通業界での活躍の場を広げられます。
まとめ
販売士資格は、小売業や販売業に携わる方にとって有用な公的資格です。
毎年2万人以上が受験しており、2級以上の取得はキャリアアップや給与アップにつながる可能性があります。
また、一部の企業では、販売士資格の取得が義務づけられていたり、資格手当が支給されたりするケースもあります。
さらに、販売士1級と中小企業診断士を組み合わせれば、独立・開業の道も開けるため、キャリアの選択肢を広げるための有力な資格と言えるでしょう。
販売士資格を生かしてキャリアアップを目指すなら、3級で終わらずに、2級・1級へとステップアップするのがおすすめです。
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