
販売士1級は販売士検定のなかでも最上級の資格です。
難易度は国家資格並みで、複数回の受験でやっと合格する受験生も多い難関資格となっています。
小売業や卸売業でキャリアアップをするために持っておきたい資格です。
この記事では、販売士1級合格を目指す受験生が知っておきたい、試験の概要、合格率、独学で合格するための勉強方法を解説します。
リテールマーケティング(販売士)検定試験1級とは?
リテールマーケティング(販売士)検定とは、商品管理や店舗運営といった小売業に関する知識が問われる試験です。
その最上位にあるのが販売士1級で、商品計画やマーケティング、経営計画の立案といった業務に携わるレベルの知識を求められます。
難易度の高い販売士1級を受験するにあたり、知っておくべき基本情報を解説します。
- 試験日程
- 試験会場
- 受験資格
- 試験内容・試験時間・出題形式
- 申込方法
試験日程
販売士1級の試験は2021年度からネット試験方式に移行し、それまでの年2回の統一試験から随時受験が可能な形式になりました。
各試験会場が定める試験日時と受験者の都合を調整して決められるので、自分のスケジュールに合わせた受験計画を立てられます。
試験会場
販売士1級の試験会場は全国各地にあるテストセンターで、リテールマーケティング(販売士)検定試験 | CBT-Solutions CBT/PBT試験 受験者ポータルサイトから受験会場を確認できます。
専用ページから希望地域の試験会場を選び、空いている日時で予約可能です。
受験資格
販売士1級に特別な受験資格はなく、学歴や年齢、実務経験に関係なく誰でも挑戦できます。
販売士2級や3級に合格していなくても1級から受験できますが、試験難易度が高いため、小売業の基礎知識を事前に身につけておくと学習を進めやすいでしょう。
試験内容・試験時間・出題形式
販売士1級の試験は小売業に関する5つの科目で構成されており、試験時間は90分です。
- 小売業の類型
- マーチャンダイジング
- ストアオペレーション
- マーケティング
- 販売・経営管理
1科目あたり20問が出題され、5科目で合計100問に解答する必要があります。
出題形式は「記述式穴埋」「択一式穴埋」で、1科目につきそれぞれ10問ずつ出題されます。
記述式が出題される点は1級の大きな特徴で、2級・3級では記述式が出題されません。
記述式穴埋では、問題文の空欄に適切な語句や短文を入力しなければならないため、正確な知識が必要です。
記述式問題への対策が、販売士1級の合否を分けるポイントのひとつといえるでしょう。
申込方法
販売士1級の申込は、株式会社CBT-Solutionsの専用サイトで行います。
CBT-Solutionsで初めて受験する場合は受験者登録が必要で、登録すると受験者専用ページ(My Page)が作成されます。
受験者登録が完了したら、ログイン後に販売士1級試験の予約手続きに進みましょう。
予約画面で試験を選択したら希望する試験会場と日時を指定し、その後に支払方法(クレジットカード決済、コンビニエンスストア決済、Pay-easy決済)を選んで手続きを完了させます。
申込可能な試験日程は申込日から3日目以降で、それ以前の日程は予約できない点に注意が必要です。
また、入金後にキャンセルする場合は手数料が発生するため、スケジュールをしっかり確認してから申し込むようにしましょう。
販売士1級は難易度が高い!合格すると「すごい」資格!
販売士1級は高難易度の試験で、合格すれば小売業界で高く評価されます。
リテールマーケティングのプロフェッショナルである証になるので、キャリアアップにも役立つでしょう。
販売士1級について、次の項目を解説します。
- 販売士1級の受験者数・合格者数・合格率の推移
- 合格に必要な勉強時間
- ネット試験移行と難易度の変化
販売士1級の受験者数・合格者数・合格率の推移
販売士1級の合格率データは商工会議所から公表されており、2020年以降の受験者数・合格者数・合格率の推移は下表のとおりです。
期間 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2024年4月1日~2024年12月31日(ネット試験) | 660名 | 113名 | 17.1% |
2023年4月1日~2024年3月31日(ネット試験) | 1,091名 | 222名 | 20.3% |
2022年4月1日~2023年3月31日(ネット試験) | 1,033名 | 218名 | 21.1% |
2021年7月28日~2022年3月31日(ネット試験) | 795名 | 137名 | 17.2% |
2021年2月17日(統一試験・第87回) | 695名 | 174名 | 25.0% |
2020年2月19日(統一試験・第85回) | 909名 | 194名 | 21.3% |
2021年からCBT方式のネット試験に移行したことにより、受験者数や合格者数のカウント方法が変更されています。
統一試験は該当日に実施された試験の数値ですが、ネット試験は該当期間の総数がカウントされています。
合格に必要な勉強時間は100時間以上
販売士1級に合格するために必要な勉強時間は、一般的に100時間程度だといわれています。
しかし、実際にはそれを大きく上回る時間を投じている合格者もおり、とくに小売業や流通業の実務経験がない場合は300時間ほど要するケースもあります。
長時間の学習が必要な理由のひとつは、試験範囲の広さです。
5つの科目それぞれの専門知識を身につけなければならず、深く理解しながら知識を定着させるには多くの時間を要するでしょう。
あいまいな理解では記述式問題での正確な解答も難しいため、インプット・アウトプットを繰り返しながら学習を進める必要があります。
ネット試験へ移行したことで難易度は上がった!
販売士1級は2021年からCBT方式のネット試験に移行し、試験方式も変更されました。
その影響により、紙ベースの試験よりも難易度は高くなっていると考えられます。
まず、合格基準が厳格化しました。
従来の合格基準は「全科目平均が70点以上で、1科目ごとの得点が50点以上」でしたが、ネット試験移行後は「各科目70点以上」に変更されました。
このため、以前は得意科目で苦手科目をカバーできましたが、移行後はすべての科目で高得点を取る必要があります。
また、試験時間も短縮され、従来は1科目40分(計200分)でしたが、ネット試験では1科目18分(計90分)となりました。
問題数は変わらないため1問を解く時間の余裕は少なくなり、とくに記述式では入力に時間がかかるため時間配分は難しくなったといえるでしょう。
合格基準と試験時間の変更を反映してか、ネット試験移行直後の2021年度の合格率は17.2%で、前回(第87回)の25%を大きく下回っています。
ネット試験への移行により、販売士1級の試験難易度はさらに高まったといえるでしょう。
ちなみに、試験の難化は1級検定に特有で、2級・3級ではネット試験移行前とほとんど合格率は変わっていません。
販売士2級は合格率50%前後、3級は60%前後となっており、しっかりと勉強すれば取得を目指せる資格といえます。
販売士1級を独学で合格するための勉強方法とは?
販売士1級は独学でも合格可能な資格で、計画的かつ効率的な学習が必要です。
合格に近づく具体的な勉強方法のポイントは、次の3つです。
- ハンドブック(公式テキスト)を理解する
- 過去問を繰り返す
- 記述式問題を重点的に学習する
1つずつ詳しく解説します。
ハンドブック(公式テキスト)を理解する
販売士1級合格の公式テキストは、株式会社カリアックが発行する「販売士ハンドブック(発展編)」です。
試験問題の70%以上がこのハンドブックから出題されるため、必須の学習教材といえるでしょう。
まずはハンドブックを読み込み、内容を深く理解しながら知識をインプットします。
理解があいまいな部分は繰り返し読み、知識を確実に定着させることが合格への近道です。
過去問を繰り返す
販売士1級の学習では、ハンドブックでのインプットと並行して、過去問を使ったアウトプット学習が効果的です。
日本商工会議所からネット試験方式に対応したサンプル問題が公表されているので、ダウンロードして学習ツールとして活用しましょう。
過去問演習を繰り返し、間違えた設問はハンドブックで解説を読み込んで関連知識を再確認します。
この流れを繰り返すことで理解が深まるので、可能であれば同じ問題でも複数回解いて確実に得点できるようにしておきましょう。
記述式問題を重点的に学習する
販売士1級の特徴は、記述式穴埋問題が出題されることです。
これは2級・3級にはない出題形式で、記述式問題では販売や経営に関する定義や重要な概念を正確に表現する必要があります。
公式テキストの内容をしっかりインプットするとともに、重要語句や専門用語は一字一句間違えないよう丁寧に記憶しましょう。
効果的な試験対策は、過去問を繰り返し解くことで出題パターンを把握し、正確な表現方法を身につけることです。
過去に出題された設問が形を変えて出題されることがあるため、過去問分析が合格への鍵となるでしょう。
一発合格は難しい?販売士1級特有の科目合格制度とは?
販売士1級は合格率約20%という難関試験ですが、すべての科目を一度に合格する必要はありません。
1級には「科目合格制度」という特有の免除制度があり、試験に不合格でも70点以上の科目については「科目合格」として認定されます。
再受験時に申請すれば科目合格の受験が免除されるため、活用すれば得意科目から段階的に合格を目指せます。
科目合格の有効期限は受験年度の翌年度末までで、たとえば2025年9月に受験して科目合格した場合は、2027年3月末まで合格が有効です。
なお、科目合格を利用して再受験する場合でも、受験料や試験時間は変わりません。
受験料8,800円と事務手数料550円は満額必要で、試験時間は全科目を受験する場合と同じく90分です。
また、科目合格で申し込んだ科目を受験しても採点されないので、科目合格と受験する科目の選択を間違えないよう注意が必要です。
まとめ
本記事では、販売士1級の勉強方法と試験概要、難易度を解説しました。
主なポイントは以下のとおりです。
- リテールマーケティング(販売士)検定1級は難易度の高い試験で、近年の合格率は約20%である
- 必要な勉強時間は一般的に100時間といわれているが、初学者はさらに多くの時間がかかる
- 販売士1級の効果的な勉強方法は、公式テキストで知識をインプットしながら過去問を繰り返すことである
- 販売士1級では「記述式穴埋」「択一式穴埋」が出題され、記述式問題を重点的に学習する必要がある
- 科目合格制度を利用すれば、得意科目から段階的に合格を目指せる
販売士1級に挑戦する前に、まずは販売士2級・3級を受験して基礎を固めるのもおすすめです。
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