
販売士1級は販売士検定のなかでもっとも上位の資格です。
特別な受験資格はないので、2級・3級を取得していなくても1級を目指すことができます。
しかし、他の級に比べて圧倒的に難易度は高いため、合格には確実な対策が不可欠といえるでしょう。
そこで、販売士1級について、難易度や合格率、合格するための勉強方法をご紹介します。
販売士1級とは?
販売士1級は販売士検定のなかでも難易度の高い資格で、試験では経営者レベルの高度な知識と判断力が問われます。
正式名称は「リテールマーケティング(販売士)検定試験1級」
販売士1級の正式名称は「リテールマーケティング(販売士)検定試験1級」で、「リテールマーケティング」とは小売業のマーケティングを意味します。
販売士検定で重視されるのは接客知識だけではなく、商品管理や店舗運営といった小売業の総合的な知識です。
販売士1級は、企業経営に関わるマーケティング責任者やコンサルタントの育成を目的としています。
試験では、商品計画から経営戦略の立案、財務予測といった経営全般における高度な判断力が問われます。
販売士検定における最上級で、合格すると「すごい」といわれる難関資格
販売士検定は3級・2級・1級に分かれており、1級が最上級です。
販売士検定において、3級は売場の販売担当者レベル、2級は店舗や売場のマネジメント担当者レベルのスキルを求められます。
そして最難関である1級は経営者レベルの幅広い知識と判断力が必要とされ、2級や3級よりも合格率の低い難関資格です。
合格すれば小売業界で高評価を得られ、キャリアアップのための大きな武器となるでしょう。
企業によっては、資格手当の対象となる場合もあります。
販売士検定1級の試験概要
販売士検定1級は、これまでの年2回の統一試験からネット試験方式に変更されました。
随時受験が可能となったため、より受験しやすい環境が整ったといえるでしょう。
ここからは、販売士検定1級の試験方法や受験資格、申込方法や料金といった受験に必要な情報を解説します。
受験を検討している方は、試験の全体像を把握する参考にしてみてください。
- 試験の方法
- 試験の日時
- 試験会場
- 受験資格
- 申込方法
- 受験料金
- 受験科目・出題形式
- 合格基準
試験の方法
販売士1級は、2021年度からCBT方式(Computer Based Testing)のネット試験に移行しました。
受験者は各試験会場に設置されたパソコンを使用し、インターネットを介して試験を受験します。
試験結果は終了後に即時判定され、その場で合否確認が可能です。
ただし、科目合格制度を利用して受験した場合は、試験から約2週間後に合否が判定されます。
試験の日時
販売士1級は随時受験が可能なCBT方式で、各試験会場が定める試験日時から受験者の都合にあわせて選択できます。
従来の年2回の統一試験日方式と異なり、試験会場の空き状況に応じて柔軟に受験日時を決められるようになりました。
会場や日時は、株式会社CBT-Solutionsの申込専用ページや商工会議所検定ホームページ内から検索可能です。
試験会場
販売士1級の試験会場は全国各地にあるテストセンターであり、商工会議所ネット試験施行機関 | 商工会議所の検定試験から詳細を確認できます。
会場の空き状況を確認の上、混雑する可能性を考慮しながら余裕を持って申し込むようにしましょう。
受験資格
販売士1級にはとくに受験資格の制限はなく、販売士検定の2級や3級に合格していなくても1級から受験可能です。
学歴や実務経験、年齢などに関係なく、興味のある方なら誰でもチャレンジできます。
申込方法
販売士1級の試験申込はインターネットによる受付のみで、CBT-Solutionsのリテールマーケティング(販売士)検定試験 | 受験者ポータルサイトで行います。
初めてCBT-Solutionsで受験する場合はまず新規登録を行い、受験者専用ページを作成します。
登録後にログインしたら「CBT申込」より試験を選択し、試験日時や会場を選びましょう。
試験日時に指定できるのは申込から3日目以降の日程のため、その点は注意が必要です。
最後に決済方法を指定すれば、申込予約は完了です。
完了後は登録したメールアドレスに予約完了の通知が届き、申込内容や試験会場の地図などが確認できます。
申込内容の変更やキャンセルは受験日の3日前まで申請可能ですが、入金後のキャンセルは手数料が発生します。
受験料金
販売士検定1級の受験料金は8,800円(税込)で、別途事務手数料550円(税込)が発生します。
領収書は受験者専用ページからダウンロード可能で、変更・キャンセル期限超過後に自身で出力できます。
受験科目・出題形式
販売士1級の試験は、次の5つの受験科目で構成されています。
- 小売業の類型
- マーチャンダイジング
- ストアオペレーション
- マーケティング
- 販売・経営管理
1科目あたり20問出題され、そのうち10問が記述式穴埋問題、残り10問が択一式穴埋問題です。
試験時間は90分で、5教科で合計100問の問題に回答します。
販売士1級試験の特徴は記述式穴埋問題が出題される点で、択一式問題のみが出題される2級・3級の試験とは異なります。
記述式穴埋問題は、問題文の空欄に適切な語句や短文を入力する形式で、解答には正確な知識と理解が必要です。
合格基準
販売士1級の合格基準点は70点で、1科目でも基準点を下回ると不合格になります。
2級・3級の合格基準が「5教科平均70点以上」かつ「1科目50点以上」であるのに対し、1級はより厳しい基準だといえるでしょう。
なお、1級には科目合格制度があり、不合格の場合でも70点以上の科目は「科目合格」と認定されます。
科目合格制度を利用すれば受験せずとも合格とみなされるため、再チャレンジまでに苦手科目を重点的に学習できます。
科目合格の有効期限は受験した年度の翌年度末までで、たとえば2025年5月に受験して科目合格した場合、2027年3月末まで有効です。
有効期間内であれば、何度受験しても科目合格が適用されます。
販売士1級の難易度とは?過去5年間の合格率推移
販売士1級の近年の受験者数と合格者数、合格率は下表のとおりです。
期間 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2024年4月1日~2024年9月30日(ネット試験) | 429名 | 81名 | 18.9% |
2023年4月1日~2024年3月31日(ネット試験) | 1,091名 | 222名 | 20.3% |
2022年4月1日~2023年3月31日(ネット試験) | 1,033名 | 218名 | 21.1% |
2021年7月28日~2022年3月31日(ネット試験) | 795名 | 137名 | 17.2% |
2021年2月17日(統一試験・第87回) | 695名 | 174名 | 25% |
2020年2月19日(統一試験・第85回) | 909名 | 194名 | 21.3% |
過去5年間の合格率は17.2〜25%の間で推移しており、難易度の高い試験だとわかります。
販売士1級を目指すための勉強方法
販売士1級は経営者レベルの高度な知識と判断力が求められる試験で、合格するには計画的な学習と十分な勉強時間の確保が必要不可欠です。
ここからは、必要な学習時間や効率的な学習法を解説します。
初学者に必要な勉強時間
販売士1級の合格に必要な勉強時間は、最低でも100時間といわれています。
個人差はあるものの、小売業や流通業での実務経験がない初学者の場合はより多くの時間が必要です。
なかには300時間以上の学習を要したケースもあり、数回の受験を経て合格にたどりつく方も少なくありません。
販売士1級合格を目指すための勉強方法
販売士1級の試験問題は、7割以上が公式教材から出題されます。
公式教材とは、株式会社カリアックが発行している「販売士ハンドブック(発展編)」で、この教材を中心とした勉強が効果的です。
また、ネット試験方式に対応したサンプル問題が日本商工会議所から公表されているので、こちらも学習ツールとして活用できます。
勉強をはじめる前にまずは販売士1級の試験概要と出題形式を把握し、それから教材のハンドブックを中心に勉強を進めましょう。
ハンドブックで知識をインプットできたらサンプル問題に取り組み、アウトプット学習に移ります。
間違った箇所はハンドブックを丁寧に読みこんで、理解を深めることが重要です。
まとめ
販売士1級の試験概要や勉強方法について解説してきました。最後に本記事のポイントをおさらいしましょう。
- 販売士1級は販売士検定の最高クラスの資格で、小売業界における経営全般の知識や判断力が問われる
- 販売士1級は2021年度からCBTネット試験方式になり、随時受験が可能になった
- 試験は5科目で記述式穴埋問題と択一式穴埋問題が出題され、全科目70点以上で合格となる
- 試験に不合格でも、合格した科目は「科目合格」として認められる
- 合格に必要な勉強時間は最低100時間で、公式教材とサンプル問題を活用した学習が効果的である
販売士1級合格のために、まずは2級・3級合格を目指して基礎を固めるのもおすすめです。
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