中小企業診断士と販売士の違いは?資格の特徴を解説

中小企業診断士と販売士は活躍シーンが異なる職種です。

共通点が少ないように見える両資格ですが、実はダブルライセンス取得する人も多くいます。

実際にダブルライセンスのメリットも大きいので、キャリアアップを目指す方におすすめです。

そこで、中小企業診断士と販売士の違いと共通点、ダブルライセンスのメリットや目指し方を解説します。 

相性がいい資格?中小企業診断士と販売士の違いと共通点とは?

経営コンサルタントの国家資格である中小企業診断士と、販売・流通分野のプロフェッショナルを示す販売士。

それぞれ異なる役割を持つ資格ですが、実は学習面で相性が良いと言われています。

  • 中小企業診断士と販売士との違いとは?難易度も違う?
  • 中小企業診断士と販売士の共通点とは?試験内容は似ている?

まずは、両資格の違いと共通点について詳しく見ていきましょう。

中小企業診断士と販売士との違いとは?難易度も違う?

中小企業診断士と販売士のそれぞれの違いを、次の表にまとめました。

 中小企業診断士販売士
資格の種類国家資格民間資格
試験の合格率(2024年度)1次試験:27.5%
2次試験:18.7%
1級:18.2%
2級:56.0%
3級:58.2%
更新の有無あり(登録有効期間は5年)あり(5年ごとの更新が必要)
業務内容経営コンサルティング商品の販売や店舗管理

中小企業診断士の資格と販売士の資格で明確な違いは、「国家資格」か「民間資格」かという点です。

販売士試験の合格率は、受験するレベルによっても大きく異なりますが、中小企業診断士は資格の中でそういったレベルの違いはありません。

中小企業診断士の試験は1次試験と2次試験に分かれており、1次・2次試験を1年で合格するとなると、その最終的な合格率は5~6%程度となります。

中小企業診断士と販売士の共通点とは?試験内容は似ている?

中小企業診断士と販売士は、必要とされるスキルや業務内容、活躍シーンが異なります。

しかし、「販売士1級の知識は、中小企業診断士試験の勉強をすれば一通りカバーできる」と言われるほど、試験内容にはいくつかの共通点があるのです。

具体的には、中小企業診断士1次試験で出題される「運営管理」「企業経営理論」「財務・会計」などが販売士の試験内容と重複しています。

販売士1級は、店長・経営者として通用する知識の習得を目指すものです。

同じく人事管理や組織経営、財務会計などの知識が問われる中小企業診断士試験とは親和性が高いので、同時に学習しても無駄になることはほとんどないでしょう。

中小企業診断士とは?

中小企業診断士とは、「中小企業支援法」第11条にもとづき経済産業大臣が登録する、経営に関する国家資格です。

ここで、経営のプロフェッショナルとして様々な中小企業の成長を支援する中小企業診断士が、どのようなスキルを持ち、どのような場で活躍するのかを詳しく見ていきましょう。

  • 中小企業診断士のスキル
  • 中小企業診断士の活躍シーン

中小企業診断士のスキル

中小企業診断士は、経営コンサルタントとして広く世間に認知されている職業です。

つまり、経営に関する幅広い知識を有して、成長を見据えた事業戦略の策定や実行のためのアドバイスを行います。

それにとどまらず、自治体などの行政機関や金融機関との太いパイプを駆使して、事業活動に有効な制度情報の提供や活用促進につなげる役割も担います。

中小企業診断士の活躍シーン

中小企業診断士としての活躍フィールドは、大きく分けてふたつあります。

ひとつは、独立して経営コンサルタントとしての活動です。

企業の経営状況を正確に分析し、正しい対策に向けたアドバイスを提供します。

もうひとつは、コンサルティング会社に入社し、組織の一員として活躍することです。

さまざまな企業の経営や事業活動をサポートします。

販売士とは?

販売士とは、日本商工会議所が認定する民間資格で、「小売・流通業のプロ」として必要な知識とスキルを証明します。

ここからは、販売士が具体的にどのようなスキルを持ち、どのようなシーンで活躍するのかを見ていきましょう。

  • 販売士のスキル
  • 販売士の活躍シーン

販売士のスキル

商品に関する豊富な知識と高い販売スキルで、ユーザーに対して適切な商品・サービスの案内・説明に務めます。

販売に関する知識・技術だけでなく、商品の仕入れ管理や在庫管理、売り場の統括、人材育成やマーケティング分析などのスキルも習得可能です。

また、販売士1級を取得すると、店長・経営者クラスの経営能力とマネージメント能力があると認められます。

販売士の活躍シーン

商業施設の売り場担当などを任されます。

スキルアップにともない、現場のマネージャーや仕入れ担当、商品企画の立案など、企画から販売とも可能です。

就職・転職に向いている業種は小売り・卸売りがメインですが、製造業やIT業界で活躍する例も少なくありません。

ダブルライセンスもおすすめ!取得する順番は?

前述の通り、中小企業診断士と販売士は学習面での親和性が高いため、これらふたつの資格を両方取得する、いわゆる「ダブルライセンス」もおすすめです。

  • 中小企業診断士・販売士のダブルライセンスのメリット
  • 「販売士→中小企業診断士」でステップアップしよう
  • 「中小企業診断士→販売士2級」なら販売士合格のハードルは下がる

ここでは、ダブルライセンスのメリットや、どちらの資格から挑戦するのが良いのかを解説します。

中小企業診断士・販売士のダブルライセンスのメリット

中小企業診断士と販売士のダブルライセンスがあると、販売士の小売・流通業界特有の専門知識により、「その業界に強い中小企業診断士」として差別化を図ることができます。

また、中小企業診断士の試験勉強では手薄になりがちな市場分析や商業に関する知識を販売士の学習で補完し、コンサルティング能力をより一層高めることができるでしょう。

さらに、販売士資格は商工会議所との連携を深め、相談員や販売士講座の講師といった新たな仕事の機会を生み出すなど、人脈や仕事の幅を広げることにも繋がります。

このように、販売士の資格を取得することにより、中小企業診断士としての活躍の場が大幅に増えていきます。

これから受験をお考えの方は、ぜひダブルライセンスを目指してみてください。

までの業務を統括するポジションに就くこ

「販売士→中小企業診断士」でステップアップしよう

販売士試験は2021年7月よりインターネット試験(CBT)へ移行し、複数ある日程の中から自分の都合のいい日を選び、全国各地で受験できるようになりました。

これにより学習計画が立てやすくなった販売士試験は、経営関連の学習を始める第一歩としては最適です。

また、販売士試験に合格することで得られる成功体験と自信は、より難易度の高い中小企業診断士試験の学習へ挑戦する大きな活力となります。

まず販売士で基礎を固め、その勢いを活かして中小企業診断士へのステップアップを目指すのは、理にかなった進め方と言えるでしょう。

「中小企業診断士→販売士2級」なら販売士合格のハードルは下がる

中小企業診断士の勉強を先に始めて、その過程で販売士2級の取得を目指す方法もおすすめです。

中小企業診断士試験は長期にわたる学習が必要となるため、気持ちが中だるみしてしまうケースも少なくありません。

そうした中で販売士検定2級に挑戦することは、新しい刺激になるとともに知識を整理・定着させる良い機会となります。

タイミングとしては、中小企業診断士の1次試験合格後や、2次試験の結果発表までの期間などが狙い目です。

中小企業診断士の勉強で培った幅広い経営知識は販売士2級の試験範囲を十分にカバーしているため、合格のハードルは大きく下がります。

見事販売士に合格すれば、その後の診断士学習や実務への自信に繋がるでしょう。

まとめ

中小企業診断士と販売士は、その役割こそ異なりますが、試験内容の重複があるため学習面で非常に高い親和性を持っています。

これらの資格を両方持つ、いわゆるダブルライセンスは「小売・流通業界への専門性強化」や「仕事の機会拡大」といった多くのメリットをもたらすため、非常におすすめです。

ぜひ両資格の相性を活かし、ご自身のキャリアアップに繋げてみてはいかがでしょうか。