
COBOL(コボル)は、金融・行政・企業の基幹システムで広く使われているプログラミング言語です。
読みやすい構文と高い信頼性により、大規模な基幹システムで長年にわたり使用されてきました。
構文は、英語に近い文法であるため、初心者でも学びやすい言語です。
本記事では、コボルの特徴や活用分野、学習方法、現代における課題について分かりやすく解説します。
コボルの知識を身につけたい方は、ぜひ参考にしてください。
この記事で分かること
- コボルの特徴
- コボルのプログラム構造
- コボルの学習方法
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COBOL(コボル)とは?
COBOL(コボル)とは、主に事務処理やビジネスアプリケーションの開発に使われるプログラミング言語です。
Common Business Oriented Language(共通事務処理用言語)の略で、事務処理用に開発されました。
英語に近い構文を持ち、可読性が高いのが特徴です。
高度なファイル処理機能と高い計算処理能力で、大量のビジネスデータを正確に処理できます。
金融機関や政府機関など大規模な基幹システムで採用され、長年にわたり使用されてきました。
現在は、新規のシステム開発でコボルが採用されることは少なくなってきています。
しかし、今までに構築されてきた基幹システムはコボルで稼働しているものが多く、コボルエンジニアの需要は一定数あります。
COBOL(コボル)の5つの特徴
COBOL(コボル)の特徴は、以下の5つです。
- 可読性の高さ:英語に近い文法で非エンジニアでも理解しやすい
- 計算処理能力の高さ: 金融・会計システムに最適
- 安定性と耐障害性:システムが故障しにくい
- プラットフォーム非依存性:さまざまなプラットフォームで動作可
- 大量データ処理の効率性:バッチ処理に向いている
それぞれの特徴について解説します。
可読性の高さ:英語に近い文法で非エンジニアでも理解しやすい
コボルは文章構造が英語に近いため、専門知識がない人でもプログラムの意図や処理の流れを理解しやすいです。
コードの意図を把握しやすく、システム開発における業務担当者との連携や確認作業がスムーズに行えます。
計算処理能力の高さ: 金融・会計システムに最適
コボルは、計算処理能力が高く、金融・会計システムに最適です。
金額計算など、正確性が求められる処理において、コボルは他の言語よりも信頼性が高いとされています。
金融機関や会計システムなど、小数点以下の誤差が許容されない計算が求められる分野で、コボルの能力が活かされます。
長年の利用実績から、数値計算に関する多くのノウハウが蓄積されており、安定した処理が可能です。
安定性と耐障害性:システムが故障しにくい
コボルで構築されたシステムは、長年にわたる運用実績と技術によって、高い安定性と耐障害性があります。
メインフレームなどで動作することが多く、24時間365日止まらない運用が可能です。
金融機関や政府機関など、安定した稼働が求められる基幹システムの中核を担ってきたことが、信頼性を裏付けています。
徹底的なテストと実績に基づいた設計により、予期せぬシステムダウンのリスクを最小限に抑えられます。
プラットフォーム非依存性:さまざまなプラットフォームで動作可
コボルは、WindowsやUNIX/Linuxなど、さまざまなプラットフォームで動作可能な言語です。
システム環境の変化やプラットフォーム移行などで、ハードウェアやOSを変更しても、プログラムを継続使用できます。
異なる環境間でのプログラムの移行や連携が簡単なため、長期的な視点でシステム管理がしやすいです。
大量データ処理の効率性:バッチ処理に向いている
コボルは、大量のデータを一括で効率的に処理できるため、日次処理や月次処理などの定型的なバッチ処理に適しています。
トランザクション処理を高速かつ安定的に処理する能力は、金融機関や流通業など大量のデータを扱う業務に重要です。
コボルで開発されたシステムは、長い間企業の基幹業務における大量データ処理に利用され続けています。
COBOL(コボル)の基本的なプログラム構造
コボルの基本的なプログラム構造については、以下のとおりです。
- コボルプログラムの4つの基本部門
- COBOL(コボル)のデータ型と変数の扱い方
- 条件文と制御構造
コボルプログラムの主要な部門が連携して、データの定義、環境設定、具体的な処理手順を記述します。
見出し部やプログラムの部門を理解することは、コボルプログラムの基礎です。
プログラム内でデータをどのように扱い、処理の流れをどのように制御するかも、コボルの重要な要素です。
それぞれについて解説します。
コボルプログラムの4つの基本部門
コボルプログラムの基本部門には、以下の4つがあります。
- IDENTIFICATION DIVISION(見出し部)
- ENVIRONMENT DIVISION(環境部)
- DATA DIVISION(データ部)
- PROCEDURE DIVISION(手続き部)
コボルプログラムは、処理目的と構造に応じて主に4つの部門から構成されます。
実行環境や使用データを明確に記述する必要があります。
IDENTIFICATION DIVISION(見出し部)
IDENTIFICATION DIVISION(見出し部)は、プログラムについての基本情報を記述する部分です。
コボルプログラムを識別するための部で、プログラム名やプログラム作成者、目的などが記述されます。
長期的に運用されるコボルプログラムでは、履歴の明確化が重要なため、見出し部の記述は役立ちます。
ENVIRONMENT DIVISION(環境部)
ENVIRONMENT DIVISION(環境部)は、プログラムとコンピューター環境を接続する部分です。
コボルプログラムが動作する環境について記述します。
たとえば、コンピューター名や特殊設定を記述したり、外部ファイルの入出力に関する制御情報を指定したりします。
環境部は、物理的なリソースとソフトウェアの橋渡しをする役割を担い、外部環境との接続に重要です。
DATA DIVISION(データ部)
DATA DIVISION(データ部)は、コボルプログラムで使用するデータや変数の構造を定義する部分です。
プログラムが扱うデータの形式や初期値などを明確に記述し、データの整合性を保証する役割を担います。
主な構成要素は、以下のとおりです。
- FILE SECTION(ファイル節)
- WORKING-STORAGE SECTION(作業場所節)
- LINKAGE SECTION(連絡節)
FILE SECTIONでは外部ファイルのコードを、WORKING-STORAGEでは内部変数を詳細に記述します。
また、LINKAGE SECTIONでは他プログラムと共有するデータ領域を設計します。
正しいデータ定義は、プログラムの正確性や可読性、保守性を向上させる上で重要です。
PROCEDURE DIVISION(手続き部)
PROCEDURE DIVISION(手続き部)は、プログラムの実行処理を具体的に記述する部分です。
英語に近い命令文を使用して処理手順を表現し、条件分岐や繰り返し処理、計算処理など、実際のプログラムを実装します。
プログラムの流れが読みやすいため、非エンジニアとの仕様確認にも役立ちます。
複雑な業務ルールも段階的に記述できる点が強みです。
COBOL(コボル)のデータ型と変数の扱い方
コボルでは、変数はデータ項目と呼ばれ、DATA DIVISION(データ部)内で定義されます。
定義には、レベル番号・名前・ピクチャ(PIC)句を用いて、型や桁数、初期値などを指定します。
初期値はVALUE句で設定可能で、可読性と精密なデータ制御に優れているのが特徴です。
数値型では整数や小数、文字列型は英数字を扱い、編集型は表示書式に利用されます。
条件文と制御構造
コボルでは、IF文による条件分岐が基本構造です。
ELSEやEND-IFを組み合わせて処理を制御します。
比較演算子(=、>、<)やAND・ORなどの論理演算も可能で、複雑な条件にも対応します。
IF文は入れ子で多段階分岐も可能ですが、可読性維持のため深さは3階層程度が良いでしょう。
また、PERFORM文を使えば特定の段落を繰り返し実行したり、処理を再利用したりできます。
構造を組み合わせて複雑な業務ロジックを記述し、安定したシステム運用を実現します。
COBOL(コボル)の主な利用分野
COBOL(コボル)の主な利用分野は、以下のとおりです。
- 金融業界
- 行政システム
- 企業の基幹システム
- 予約・在庫管理システム
コボルは長い間、計算処理能力の高さや安定性により、企業や公共機関の基幹システムを支えています。
主な利用分野は、金融機関や行政システムなどのわたしたちの生活に欠かせない重要な分野です。
それぞれの利用分野での役割について解説します。
金融業界
コボルは、金額計算の正確性が重要視される、金融業界で広く使用されています。
たとえば、銀行のオンラインバンキングや口座管理、証券会社の取引処理などです。
24時間365日、止まることが許されないシステムでは、コボルの安定性や耐障害性が評価されており、他の言語での代替が難しいとされます。
現在でも、多くの銀行取引がコボルを使って処理されています。
行政システム
コボルは、政府や自治体などの行政システムでも使用されています。
たとえば、住民情報管理や税務、年金関連、公共料金の計算など、公共機関の大規模情報処理システムです。
数千万から数億件にのぼる膨大なデータを扱い、高い信頼性と長期安定性が求められる公共システムに最適です。
ライフラインの料金計算システムでも採用され、社会基盤を支えているため、保守・改修をするコボルエンジニアの需要もあります。
企業の基幹システム
コボルは、企業の会計や給与、人事管理といった企業の基幹システムにも多数使われています。
企業の基幹となるシステムでは、高い信頼性と処理能力が必要とされ、コボルの安定性と高い計算処理能力が生かされています。
たとえば、会計システムや給与計算、生産管理などの業務システムです。
大量データを正確に集計する必要がある業務や、長期間運用される業務に適した言語と言えるでしょう。
予約・在庫管理システム
コボルは、リアルタイムでの情報更新と大量データ処理が求められる予約・在庫管理システムにも活用されています。
たとえば、鉄道の指定席管理やホテルの客室予約、物流会社の荷物追跡などです。
同時にアクセスが集中しても、膨大なデータを正確かつ高速に処理する必要があるため、バッチ処理に強いコボルが用いられています。
COBOL(コボル)の現代における問題点
コボルの現代における問題点は、以下のとおりです。
- コボルエンジニアの高齢化と人材不足問題
- 新規開発案件の減少の問題
- 保守・運用コストの増大の問題
それぞれについて解説します。
COBOLエンジニアの高齢化と人材不足問題
コボルの問題点の一つは、コボルエンジニアの高齢化と人材不足です。
コボルエンジニアの平均年齢は、45〜55歳と言われています。
多くのコボルエンジニアが定年を迎え、人材不足が発生しています。
近年は情報技術のトレンドが変化し、コボルを学ぶ機会も少なくなっているため、若手エンジニアの育成が進んでいません。
その結果、コボルを扱えるエンジニアが減少し、既存システムの維持やトラブル対応を担う人材が限られています。
新規開発案件の減少の問題
新規開発案件の減少も、コボルの問題点の一つです。
近年ではJavaやPythonなどの新しい言語が主流となり、コボルによる新規開発はほとんど見られなくなりました。
新しい言語はWeb開発やクラウド対応、最新技術連携が簡単で、開発効率と柔軟性に優れています。
そのため、コボルでの大規模な新規開発案件は減り、コボルエンジニアが新しい技術に触れる機会も限られています。
保守・運用コストの増大の問題
保守・運用コストの増大も、コボルの現代における問題点です。
コボルを用いて構築されたシステムは、長年の運用で改修や機能追加が行われ、システムが複雑化・老朽化しています。
古い設計やドキュメントの不備により、処理の全体像が把握しづらく、少しの変更にも多大な時間とコストがかかる場合があります。
また、対応できるエンジニアが限られているため、担当者の負担も大きくなるでしょう。
新技術との連携の難しさから、新しくしたり使いやすくしたりすることが難しいという課題もあります。
COBOL(コボル)の学習方法
COBOL(コボル)の学習には、以下の方法があります。
- 教材やサイトの活用方法
- オンライン講座の活用方法
コボルの学習は、基礎から体系的に理解を深めることが重要です。
教材やサイトを活用して文法や構文の知識を習得し、オンライン講座による実践的な演習を通じて応用力を身につけましょう。
実機環境や模擬システムを活用して学ぶのが望ましいです。
それぞれの方法について解説します。
教材やサイトの活用
コボルの学習には、教材やサイトを活用する方法があります。
教材は、コボルの構文やプログラムの基本構造、データ型などを丁寧に解説した入門書がおすすめです。
また、Web上には実例を交えたチュートリアルや文法解説サイトも多く存在するため、基礎学習を補完できます。
コボル初心者は、教材とサイトの両方を並行して学習することで、効率良く知識の定着と理解ができるでしょう。
オンライン講座の活用
コボルは、オンライン講座を活用することでも習得できます。
オンライン講座は、場所を選ばず、自宅でも手軽に学習可能です。
動画形式の講座では、講師の実演を見ながら手順や考え方を学べるため、初心者でも理解しやすくなっています。
また、ブラウザ上でコードを実行できるような講座では、実践的なスキルを身につけられます。
レベルや目的に応じた講座が多いため、独学に不安がある人にも適しているでしょう。
まとめ:COBOL(コボル)は企業システムに重要な言語!未経験でも始められる
コボルは、金融機関や公共システムなど社会のインフラを支える重要な言語です。
計算処理能力の高さやシステムが故障しにくいなどといった特徴から、長い間活用されてきました。
現在も多くの企業基幹システムがコボルで稼働しているため、コボルエンジニアの需要は高いです。
文法と構造がわかりやすく、プログラミング未経験者でも学びやすくなっています。
教材とオンライン講座を活用すれば、基礎から実践まで段階的に学べるため、IT初心者でも習得可能です。
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