中小企業診断士試験は、次の3つのステップを順にクリアしていくことで最終的な合格となります。
(1)1次試験(筆記試験)
↓
(2)2次試験(筆記試験)
↓
(3)2次試験(口述試験)
このうち口述試験は最後のステップで、合格すれば試験合格となり、実務補習(または実務従事)、そして中小企業診断士登録へと進むことができます。
口述試験は、例年1月下旬の日曜日に行われています。
口述試験を受験できるのは2次試験の筆記試験を通過した人のみで、自分が受験できるかどうかは筆記試験の合格発表までわかりません。
令和4年度(2022年度)試験は下記日程で、筆記試験の合格発表は口述試験の直前(10日前)でした。
2次試験(筆記試験)合格発表 | 令和6年1月11日(木) |
2次試験(口述試験)試験日 | 令和6年1月21日(日) |
2次試験(口述試験)合格発表 | 令和6年1月31日(水) |
口述試験は、令和4年度の場合は全国7地区(札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡)で開催されました。
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中小企業診断士試験の口述試験の合格率は例年99%以上となっており、「受ければ受かる」というのが実態です。近年の口述試験の合格率を一覧にまとめました。
年度 | 合格率 |
令和4(2022) | 99.6% |
令和3(2021) | 99.7% |
令和2(2020) | 99.9% |
令和元(2019) | 99.7% |
平成30(2018) | 99.9% |
平成29(2017) | 99.8% |
【参考】中小企業診断協会「中小企業診断士試験」>「過去の試験結果・統計資料」>「申込者数・合格率等の推移」
【参考】中小企業診断協会「令和5年度中小企業診断士第2次試験に関する『統計資料』」
中小企業診断士の口述試験は、大多数の人にとって落ちる心配がほとんどない試験ですが、最終合格を確実にするために、試験の時間・形式や内容を確認しておきましょう。
口述試験は1人10分程度の対面形式で行われ、受験生1名に対し面接官は2〜3名です。
質問は4問程度で、面接官からの問いに対して口頭で回答するという形です。参考資料を持ち込むことはできません。
口述試験の題材となるのは2次試験の筆記試験で出題された事例で、いくつかの質問が投げかけられます。
イメージとしては、筆記試験が紙上のコンサルティング体験であるとすれば、口述試験は顧客や経営者との対面コンサルティングの体験にあたります。
これまでの筆記試験対策で得た知識をフル活用し、中小企業診断士としての業務をシミュレートするように答えましょう。
実際にコンサルタントとして企業経営者と面接するときは、事前にその業界や企業のことを分析した上で臨むことになります。
口述試験においては、筆記試験の4つの事例のうち、どの事例について問われるか分かりません。各事例についてしっかり頭に入れて、本番を迎えましょう。
では、中小企業診断士の口述試験の具体的な対策方法について詳しくご紹介します。
口述試験の対策を始める時期としては、2次試験の筆記試験が終わってからで十分間に合います。
1次試験を突破した人は、まずは論述式の筆記試験対策に集中しましょう。
口述試験前は、2次試験の筆記試験で出題された事例について、しっかり分析しましょう。
筆記試験のときには気付かなかった与件文の条件や、問題文に隠されたヒントを発見できるかもしれません。
もし同じように口述試験を控えた受験生仲間がいれば、集まって事例の分析や助言をおこなってみるのもいいかもしれません。
なお、試験実施機関の中小企業診断協会は、2次試験終了後に「出題の趣旨」を発表しています。
過去の事例がどのような趣旨で作問されたのかを確認するのに役立つでしょう。
「もし自分が口述試験の試験官だったら、どのような質問をするのか」考え、想定問答集を作成してみるのもいいでしょう。
【参考】中小企業診断協会「令和4年度中小企業診断士第2次試験の出題の趣旨について」
ここまでの試験と口述試験で大きく異なるのは、声に出して答える必要があるということです。
伝えたいことが頭の中でイメージできていても、いざ話し始めると適切な言い回しが出てこなかったり、説明の順序を間違ったりと、うまくいかないもの。
実際の試験をイメージして、声に出して説明する練習をすることが大切です。
話す様子を動画で撮影したり録音したりしてセルフチェックすると、客観的な視点から改善点を見つけることができます。
筆記試験の事例問題や、過去に実際に出題された問題などを利用して模擬面接をすることも大切です。
可能であれば、想定問答集を用意してある程度の練習ができたら、誰かに面接官役を頼んで本番に近い雰囲気を作ってみましょう。
緊張感に慣れておくと、気持ちに余裕をもって本番に臨むことができます。
中小企業診断士試験について、口述試験や試験全体に関するよくある質問にお答えします。
口述試験の合格基準は評定が60%以上とされています。とはいえ、口述試験の問題の解答は1つではないこともあって、実際には落ちる心配はありません。
筆記試験のように合格基準点を意識するよりもスムーズにコミュニケーションを取れることを意識してください。
試験によくある質問などについてしっかりとおさらいしておくことによって十分に答えを導き出せる問題がほとんどなので過度に対策する必要はありません。
【参考】中小企業診断協会「試験に関するよくある質問(FAQ)」
中小企業診断士の口述試験において、服装に関する規定は特にありません。それだけに、受験生としてはどんな服装にすればいいのか迷ってしまいますね。
休日に着るようなカジュアルな服装でも問題はありませんが、実際のところはスーツを着用するのが無難だと言えそうです。
その理由は、多くの受験生がスーツで口述試験を受けているからです。
服装が原因で落とされる心配はありませんが、周囲から浮かないスーツを選んでおけば、服装のことを気にせず試験に集中できるでしょう。
2次試験の筆記試験は、与えられた事例(1,000〜3,000文字程度)を理解し、文章をスピーディーに作成していきます。
時間が足りない、正解がない、解答作成方法がわからないといった点で受験生が苦戦する試験です。
対策としては、あらかじめ解答方法を手順化しておくこと、どのような出題意図でも60点を取れる答案を目指すこと、知識を増やすことよりも文章のロジックを磨くことが重要となります。
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中小企業診断士試験合格のために必要な勉強時間の目安は1,000時間程度と言われています。
内訳は、1次試験に800時間、2次試験(筆記試験)に200時間程度が目安です。
【あわせて読みたい】中小企業診断士の勉強時間は1,000時間!1次・2次・科目別の時間は?
平成30年度(2018年度)〜令和4年度(2022年度)の中小企業診断士試験の合格率は、下記のとおりです。
「スタディング 中小企業診断士講座」の受講生へのアンケート調査では、「試験勉強で苦労したこと」の1位は「勉強時間の確保」でした。
合格に必要な勉強時間は1,000時間程度と言われていて、例えば1年で合格を目指す場合、1日あたりの勉強時間は平日は2時間30分程度、休日は3時間45分程度を確保する必要があります。
中小企業診断士試験の難しさは、出題内容というよりも、勉強時間を確保して継続することだと言えそうです。
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今回は、中小企業診断士2次試験の口述試験の対策について解説しました。
口述試験は、2次試験の筆記試験への対策がベースとなるため、筆記試験の勉強が十分できていればそれほど心配する必要はありません。
筆記試験の対策を効率的に行いたい人は、短期合格にこだわった「スタディング 中小企業企業診断士講座」がおすすめです。
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監修 市岡 久典
中小企業診断士 |
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