
保育士試験はしっかりと対策を行えば、独学でも合格を目指せる試験です。
ただし、9科目の筆記試験に加えて実技試験もあって出題範囲が広いため、独学で合格するのは簡単ではありません。
この記事では保育士試験の合格を独学で目指すメリットやデメリット、勉強方法、短期合格の秘訣などを紹介します。
独学で合格を目指したい方は、ぜひ参考にしてください。
筆記・実技試験の対策も
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独学で保育士資格試験に一発合格できる?
独学で保育士資格試験に一発合格するのは、決して不可能ではありません。
とはいえ、保育士試験は、社会福祉や保育の心理学など、幅広い専門知識を問う9科目の筆記試験に加え、実技試験も課されます。
そのため、一発合格するには試験に向けてしっかりと準備し、それ相当の努力をしなければいけません。
成功のカギは、自分に合った教材を選び、効率的な方法で勉強を進めることです。
例えば、スキマ時間を活用した学習習慣を身につけるなど、工夫次第で独学での一発合格も十分に視野に入れられます。
ただし、実技試験対策のように独学では難しいところもあるため、必要に応じて通信講座などの活用も検討しましょう。

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独学で保育士資格取得を目指すメリット・デメリット
独学で保育士資格を取得する方法には、いくつかのメリットとデメリットがあります。
メリット・デメリットを理解することで、自分に合った学習方法を選択できます。
メリット
独学で保育士資格を取得するメリットは、主に下記の2つです。
これから紹介するメリットは、特に社会人や学生にとって魅力的な選択肢となります。
コストがかからない
独学で保育士資格を取得する最大のメリットは、コストを大幅に抑えられることです。
通学制の講座やスクールを受講すると、授業料に加えて交通費や施設利用料なども必要になりますが、独学ではこのような費用がかかりません。
学習に必要な教材も、テキストや問題集、オンライン教材など、自分に合ったものを選んで購入するだけで済みます。
経済的な面でのメリットは、特に学費や生活費の負担が大きい学生や、家計のやりくりが厳しい社会人、子育て中の主婦などにとって大きな魅力です。
自分のペースで勉強できる
独学のもう一つの大きなメリットは、完全に自分のペースで学習を進められることです。
通学制の講座やスクールでは、決められたスケジュールに従う必要がありますが、独学ではそのような制約がありません。
仕事や学業、家事、育児などの日常生活に合わせて、柔軟に学習時間を設定できます。
例えば、朝型の人は早朝に集中して勉強し、夜型の人は夜遅くに学習するなど、自分の最も集中できる時間帯を選べます。
また、体調や予定に応じて学習量を調整することも可能です。
そのため、保育士試験に合格するまでの間、無理なく学習を続けられるでしょう。
デメリット
独学で保育士資格を取得する際には、下記の2つのデメリットも存在します。
デメリットを認識した上で適切に対処することが、独学での合格への鍵となります。
最新情報を自分で収集しなければならない
独学で学習する際の課題の一つは、最新情報の収集が自己責任となることです。
保育関連の法律改正や試験制度の変更などが生じた場合、自分で情報を入手し、理解しなければいけません。
例えば、児童福祉法の改正や保育所保育指針の更新などが該当します。
一方で保育士の資格取得講座を受講していれば、法改正や試験制度の変更などがあったときは講座内でお知らせしてもらえるため、自分で情報収集する手間がかかりません。
実技試験の対策が難しい
独学での保育士資格取得を目指す際に、難しい点の一つが実技試験の対策です。
筆記試験とは異なり、実技試験では実際の保育現場を想定した技能が求められます。
例えば、楽器の弾き語りや絵本の読み聞かせなどが含まれます。
このようなスキルは、独学だけでは習得が難しく、適切な指導を受けられる場も限られています。
また、自分の実技の良し悪しを客観的に評価することも難しいでしょう。
そのため、独学で合格レベル以上のスキルを習得するには、努力と工夫が欠かせません。
独学で保育士資格を取得するための勉強方法
独学で保育士資格を取得するには、効果的な勉強方法を身につけることが重要です。
ここでは、独学で保育士試験に合格するための5つの学習ポイントを紹介します。
- まずは保育士試験の科目や制度、難易度を把握する
- 合格科目免除期間制度を活用する
- 試験に合格したい時期から逆算して学習計画を立てる
- インプットとアウトプットを繰り返す
- 実技試験対策も忘れずに行う
一つずつ詳しく見ていきましょう。
まずは保育士試験の科目や制度、難易度を把握する
保育士試験に独学で挑戦する際に、まずは試験の全体像を正確に把握することが大切です。
試験は全9科目から構成されているので、各科目の特性や難易度を理解しましょう。
一例を挙げると「社会福祉」と「子ども家庭福祉」は法律や制度の知識が問われ、「保育の心理学」は発達理論の理解が必要です。
合格率は例年20%前後と決して高くはなく、合格には相当な努力が必要です。
一般的に、合格するには100〜150時間程度の勉強時間が必要と言われているため、1日1時間勉強をする場合は4〜6カ月は見ておかなければなりません。
ただし、個人の学習効率や既存の知識によって必要な学習時間は変わってきます。
保育士試験の試験科目や難易度を踏まえ、自分の生活スタイルや学習ペースに合わせた現実的な学習計画を立てることが、独学成功のカギとなります。

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合格科目免除期間制度を活用する
保育士試験には「合格科目免除期間制度」があり、筆記試験で一度合格した科目は合格した年を含めて3年間免除されます。
つまり、1回の試験で全科目合格を目指す必要はなく、例えば前期試験で5科目、後期試験で4科目というように分けて受験できます。
合格科目免除期間制度を使えば、各試験での学習負担を軽減でき、集中して取り組む科目数を絞ることができます。
また、幼稚園教諭免許や社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士の資格を所有している場合は、申請すれば免除になる科目があります。
上記の資格所有者は受験申請の際に科目免除を申し込み、受験が必要な科目のみ独学で対策すると良いでしょう。
試験に合格したい時期から逆算して学習計画を立てる
独学で合格を目指す場合は、モチベーションの維持でつまずく方も多いので、明確な目標設定と計画が不可欠です。
例えば「来年の後期試験で全科目合格」という目標を立てたら、そこから逆算して学習計画を立てます。
各科目の難易度や自分の得意・不得意を考慮し、科目ごとに学習時間を配分しましょう。
また、月単位、週単位、日単位で具体的な学習内容を決めておくと、進捗管理がしやすくなります。
定期的に計画を見直し、必要に応じて調整することも重要です。
インプットとアウトプットを繰り返す
独学で効果的に学習を進めるには、インプット(知識の習得)とアウトプット(問題集の活用)をバランスよく行うことが重要です。
テキストを読んで理解するインプットだけでなく、問題を解いたり、要点をまとめたりするアウトプットも行わなければ、知識は定着しません。
- 1つの単元を学んだら、関連する過去問を解いてみる
- 理解が不十分な箇所は再度テキストに戻って学習して再度問題に挑戦する
上記のようなサイクルを繰り返すことで、合格レベルの知識の定着を図ることができます。
実技試験対策も忘れずに行う
実技試験対策は独学では難しい面がありますが、工夫次第では一人でも対策できます。
まず、過去の実技試験の課題を調べ、どのような技能が求められるかを把握します。
楽器の引き語りや絵本の読み聞かせ、絵画などの基本的なスキルは、動画サイトや市販のテキストを活用して練習できます。
また、家族や友人に協力してもらい、実際に子どもの前で演じる練習をするのも効果的です。
保育ボランティアなどに参加して実践経験を積むのも、実技試験対策として有効です。

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独学で保育士試験短期合格を狙うコツ
独学で保育士試験の短期合格を目指すには、効率的な学習方法がカギとなります。
短期間で確実に力をつけるためのコツは、下記の4つです。
- スキマ時間を使ってコツコツ勉強する
- 試験によく出るところから勉強する
- 難しい問題は無理に解かずに覚える
- 試験本番を想定した対策も行う
一つずつ詳しく見ていきましょう。
スキマ時間を使ってコツコツ勉強する
短期合格を目指す上で、スキマ時間の活用は非常に重要です。
通勤・通学時間、昼休み、家事の合間など、わずかな時間でも効果的に学習できます。
例えば下記のように、場面に応じた学習方法を取り入れてみると良いでしょう。
- 電車の中では暗記カードを使って用語を覚える
- 待ち時間にはスマートフォンの学習アプリで問題を解く など
仕事や家事、育児で忙しくまとまった時間が取れなかったとしても、通勤時間の30分と昼休みの30分といったように、スキマ時間を活用して勉強時間を確保すると良いでしょう。
このようにコツコツと積み重ねることで、短期間でも着実に力をつけられます。
試験によく出るところから勉強する
短期間で効率的に得点力を上げるには、試験によく出る分野や問題から優先的に学習することが重要です。
過去問題集や出題傾向の分析を行っている参考書を活用し、頻出テーマや問題パターンを把握しましょう。
例えば、「児童の権利に関する条約」や「保育所保育指針」などは毎年のように出題されるテーマです。
このような重要項目を集中的に学習することで、限られた時間内で効率よく合格へと近づけます。
ただし、マイナーな分野も完全に無視せず、バランスの取れた学習を心がけることが大切です。
難しい問題は無理に解かずに覚える
短期合格を目指す場合、すべての問題を完璧に解けるようになる必要はありません。
特に難しい問題に直面したときは、無理に解こうとせず、解説を読んで理解することに時間を使うのも一つの方法です。
例えば、法律の詳細を問われる問題などは、解法のポイントや考え方を理解し、覚えることに重点を置きます。
無理に解かずに解説を理解するようにすれば、限られた時間内でより多くの問題パターンに触れられて、試験本番での対応力を高められます。
最初はわからなかった問題も、何度も繰り返すうちに次第に解けるようになるものです。
そして、試験本番までに自力で解ける力を着実に身につけていきましょう。
試験本番を想定した対策も行う
短期合格を目指す上で、試験本番の環境を想定した対策は非常に重要です。
模擬試験や過去問題を活用し、実際の試験と同じ時間配分で解く練習を定期的に行いましょう。
そうすると時間管理能力が向上し、本番での焦りや緊張を軽減できます。
また、自分の弱点や苦手分野を明確に把握すれば、残りの学習期間で効率的に補強できます。
その他にも実際の試験会場の下見をしたり、試験当日の持ち物を確認したりするなど、細かな準備も忘れずに行うと、本番での余裕が生まれます。
独学で保育士試験合格を目指すための教材の選び方
独学で保育士試験に挑戦する際、適切な教材選びが成功のカギとなります。
教材を選ぶ際に重視したいポイントは、下記の3つです。
- 最新情報を網羅している教材を選ぶ
- 詳しく解説されている参考書・問題集を選ぶ
- 図表・イラストが豊富なものを選ぶ
ここでは、効果的な学習を支える教材の選び方のポイントを紹介します。
最新情報を網羅している教材を選ぶ
保育士試験の合格を目指すなら、最新の情報を網羅した教材を選ぶことが重要です。
法改正や制度変更が行われる分野なので、古い情報では合格が難しくなります。
市販の教材には「〇〇年度版」と表記されているので、最新版を選びましょう。
また、出版社のウェブサイトで補足情報や正誤表が公開されていないか確認することも大切です。
詳しく解説されている参考書・問題集を選ぶ
独学で学ぶ際は、詳細な解説が付いている参考書・問題集を選びましょう。
単に問題と答えだけでなく、なぜその答えになるのか、関連する知識は何かなどが丁寧に説明されているものを選んだ方が理解が深まります。
例えば、法律の条文だけでなく、その背景や実際の保育現場での適用例なども記載されている参考書がおすすめです。
また、よくある間違いや注意点なども解説されているものを選ぶと、独学での落とし穴を避けられます。
図表・イラストが豊富なものを選ぶ
視覚的な情報は理解を助け、記憶の定着を促します。
例えば、子どもの発達段階を示す図や、保育室のレイアウト例、手遊びの手順を示すイラストなどが含まれているテキストは、抽象的な概念を具体的にイメージしやすくなります。
また、カラフルで見やすいデザインの教材なら、活字が苦手な方でも読み進めやすいでしょう。
一方で、色付けしすぎている教材は、かえって情報の取捨選択がしにくくなってしまうこともあります。
購入前に参考書の色使いやイラストの量などを確認し、自分にとってちょうど良い塩梅のものを選びましょう。
独学で合格できるか不安な方には通信講座がおすすめ
独学で保育士資格の取得を目指すものの、不安を感じる方には、通信講座の利用をおすすめします。
スタディングの保育士講座は、スマホやパソコンなどのデバイスで効率よく学習を進められるシステムです。
講義動画や問題集、過去問形式の問題集がアプリ1つで完結するため、いつでもどこでも学習を進められます。
また、運営コストを大幅に削減し、低価格で高品質な講座を受講できるのも特徴の一つ。
「独学は不安だけど、講座受講に高いお金はかけられない」といった方もスタディングなら予算内で一流講師の講義を受けられるでしょう。
詳しくは保育士講座のページをご覧ください。
保育士資格試験の概要
保育士試験は毎年、前期と後期の2回実施されます。
前期試験日程
受験申請期間 | 1月~2月 |
---|---|
筆記試験日時 | 4月中旬 |
筆記試験合格発表日 | 6月上旬 |
実技試験日 | 6月末〜7月上旬 |
実技試験合格発表日 | 7月末〜8月上旬 |
後期試験日程
受験申請期間 | 7月中 |
---|---|
筆記試験日時 | 10月中旬 |
筆記試験合格発表日 | 11月末〜12月上旬 |
実技試験日 | 12月上旬 |
実技試験合格発表日 | 1月中旬 |
保育士試験を受験する方は、受験申請期間内にオンラインまたは郵送で受験申請をしましょう。
なお、保育士試験の受験料は12,700円の他に、手数料や郵送料などもかかります。
そのためオンライン申請を選んだ方が手引き請求郵送料や受験申請書の簡易書留郵送料がかからず、受験申請にかかる費用を抑えられるのがメリットです。
保育士資格試験合格を独学で目指す方によくある質問
独学で保育士資格試験の合格を目指す方によくある質問と、その回答をまとめました。
保育士試験は勉強しないで合格できる?
保育士試験を勉強せずに合格することは、ほぼ不可能といえます。
試験は9科目にわたる専門的な知識を問うもので、日常生活で自然に身につく内容ではありません。
例えば「子ども家庭福祉」や「社会的養護」などの科目は、専門的な法律や制度の理解が必要です。
このような内容を理解し、試験で正確に解答するためには、継続的な学習が不可欠です。
保育士資格試験合格は独学で何年くらいかかる?
保育士資格試験の独学での合格期間は、個人の学習能力や生活環境によって大きく異なりますが、一般的に最短で2〜4カ月程度はかかると言われています。
例えば、1日4時間の学習を週5日行った場合、2カ月で約160時間の学習時間を確保できます。
ただし、これは非常に集中的な学習スケジュールであり、仕事や家事、育児などと並行して学習する場合は3カ月から半年程度の期間を想定するのが現実的です。
保育士資格は高卒でも独学で取れる?
高卒でも保育士資格を取得することは可能です。
ただし、保育士試験を受験するには、卒業年月日や卒業した学科、実務経験などの要件がいくつかあります。
詳しくは保育士の受験資格について詳しく説明したページでご確認ください。

保育士試験の受験資格や必要な実務経験は?高卒でも保育士になれ…
「保育士になりたいけど、高卒でも大丈夫?」と気になっている方もいるかもしれません。保育士試験は高卒や中卒でも受験できます。ただし、保育士試験の受験資格には学…
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まとめ
独学で保育士資格を取得するのは簡単ではありませんが、適切な方法と強い意志があれば達成できるでしょう。
- 独学ならコストがかからず、自分のペースで学習できる
- 保育士試験の実技試験は独学が難しいので工夫と努力が必要である
- 独学で合格するには試験の全体像を把握することが大事である
- スキマ時間を使い、よく出るテーマを中心に学習すれば効率よく進められる
- 独学が不安な方は通信講座の受講も検討すると良い
保育士試験は筆記試験が9科目に加え、実技試験もあり試験の出題範囲が膨大です。
独学で合格を目指せるか不安な方は、通信講座を受講して適切なカリキュラムで学習を進められるようにするのも一つの方法です。