保育士に職務経歴書はいらない?書く目的とは
職務経歴書とは、前職の経歴をまとめた書類です。
携わった業務や実績、自分の強みなどをアピールする役割を持っており、応募先企業の採用担当者が応募者の能力・実績を把握するためにも閲覧・使用されます。
また、職務経歴書と合わせてよく耳にする書類に履歴書がありますが、履歴書は応募者の基本的な情報を客観的な事実として伝えるために作成する書類です。
名前や住所、学歴等の情報も含めて応募先企業・採用担当者に伝えます。
保育士の転職では、職務経歴書が必ず必要というわけではありません。
ただし、保育園の応募要件に職務経歴書の記載がある場合は、必ず作成が必要です。
このほか、必要書類を郵送する場合、添え状も同封するのが一般的です。
応募先企業の記載内容に合わせて、必要書類を確認して準備するとよいでしょう。
【見本付き】保育士の職務経歴書の書き方
保育士の職務経歴書には、どんな内容を記載すればよいのでしょうか。
職務経歴書に記載する内容は、以下の通りです。
- 基本情報
- 職務要約
- 職務経歴
- 取得資格・免許
- 活かせる能力
- 自己PR
それぞれでどんな内容を記載するのか、見本付きで詳しく解説します。
基本情報
基本情報の欄がある場合、履歴書と同じように氏名・住所・電話番号など必要な情報を記載しましょう。
電話番号は、常に連絡が取れる電話番号(携帯電話番号)などを記載するとよいでしょう。
職務要約
▼保育士が職務経歴書に記載する職務要約の例文
保育士として10年間のキャリアを積み重ねてきました。初めの5年間は主に乳幼児クラスを担当し、個別対応力と保護者との信頼関係構築スキルを磨きました。後半の5年間は主任保育士として、保育計画の立案や若手指導に従事。園全体の運営とチームマネジメント能力を向上させ、地域の子育て支援活動にも積極的に取り組んでいます。
職務要約では、これまでのキャリアを記載しましょう。
どのような学歴・経歴をたどり現在に至るのか記載するとともに、どのような職務について何を培ったのか記載してみてください。
職務経歴
職務経歴は、前職で勤めた保育園や所属歴などを記載しましょう。
クラス運営や保護者面談、クラス便りの作成など、業務内容も記載してください。
例えば、以下のような書き方になります。
▼保育士の職務経歴書の例
事業内容:大規模保育園の運営子育て支援
在籍期間:〇年〇ヶ月
雇用形態:正社員
配属ポジション:5歳児〇名のクラスを担任・新任教育係
所属歴:20○○年~現在など
業務内容
・クラス運営
・クラス便りの作成
・保護者との面談
・行事の企画・運営
取得資格・免許
取得資格・免許では、自分が保有する資格を取得年月と合わせて記載しましょう。
例えば、以下のような書き方になります。
▼保育士が職務経歴書に書く取得資格・免許の例
20○○年〇月:保育士資格 取得
20○○年〇月:チャイルドマインダー検定試験 合格
20○○年〇月:普通自動車第一種運転免許 取得
資格名は略さずに正式名称で記載してください。
活かせる能力
保育士として活かせる能力も記載しましょう。
保育士としての経験から培ったスキルや習い事によって学んだ能力・特技などがないか見直してみてください。
保育士に活かせる能力の例は、以下の通りです。
- 子どもの運動指導ができる
- ピアノが得意
- 子どもに興味を持ってもらえる手遊びの引き出しが多い
- 集団での行動をまとめるのが得意
- 子どもだけでなく保護者とのコミュニケーションも得意
- 体力に自信がある
- 子ども一人ひとりにあわせたコミュニケーション・フォローが得意
一度、自分のスキルや強みをメモ用紙などに書き出してみましょう。
書き出した内容の中から応募する際に活かせそうなものがあれば、職務経歴書に記載し、自分の強みにしてみてください。
自己PR
▼保育士が職務経歴書に書く自己PRの例文
【1】 0〜1歳児と5歳児クラスの担任経験から、幅広い年齢の子どもの発達段階を理解し、個々のニーズに合わせた保育を提供できます。
【2】 保護者との日々のコミュニケーションを大切にし、子どもの成長や課題について丁寧に説明・提案することで、信頼関係を構築してきました。
【3】 突発的な事態や保護者からの要望に対し、冷静かつ迅速に対応する能力を培いました。常に誠意を持って問題解決に取り組んでいます。
自己PR文では、自分がこれまで培ってきた経験や保有している能力などをアピールする文章を記載しましょう。
なぜ転職・復職するに至ったのか簡単か経緯も記載できるとより良いです。
また、保育士として働く上で、どのようなことを心がけたいのかなども記載すれば、より簡潔でわかりやすい文章を作成できます。
経歴別の自己PRの例文を後述しますので、どう記載したらいいか分からずに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
【経歴別・例文】職務経歴書の自己PRは何を書けばいい?
職務経歴書に自己PRを記載する際「何を書いたらいいのか分からない」「状況によって文章が変わるのかも知りたい」と、気になっている方もいるのではないでしょうか。
ここからは、以下の3パターンにわけて自己PR文の例をご紹介します。
- 保育施設から転職する場合
- 異業種から転職する場合
- ブランクを経て復職する場合
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
保育施設から転職する場合
保育施設から転職する場合、培った保育経験をアピールする文章をおすすめします。
例文は、以下の通りです。
▼保育施設から転職する場合の自己PR例文
〇年間、大規模な保育園で保育士として勤めてきたため、大人数において集団を取りまとめたり、行事進行を管理したりするスキルには自信があります。
また、子どもたちに一瞬で興味を持ってもらえるような手遊びの引き出しも多く持っています。
前園では主任保育士も経験しましたが、もっと子どもたち一人ひとりと向き合う時間を持ちたくて退職を決意しました。
貴園は前園と比べると小規模になるため、より子どもたちに寄り添った保育をしていきたいと考えています。
異業種から転職する場合
異業種から転職する場合、これまで培ってきた仕事上でのスキルや持っている資格、特技などをアピールする文章をおすすめします。
例文は、以下の通りです。
▼異業種から転職する場合の自己PR例文
得意分野は、小学校から習っているピアノと、前職の営業で培ったコミュニケーションスキルです。
前職では営業職を担当してきましたが、保育の仕事に対してずっと憧れを持っていました。数年かけて保育士資格を取得し、このたび保育士への転職を決意しました。
営業職で培った得意のコミュニケーションスキルも活かしながら、子どもたちだけでなく、保護者の方と真摯に向き合っていきたいと思っています。
ブランクを経て復職する場合
ブランクを経て復職する場合、なぜ復職を決意したのかも踏まえつつ、自分をアピールできる文章をおすすめします。
例文は、以下の通りです。
▼ブランクを経て復職する場合の自己PR例文
前職では、クラスの担任として一通りの保育業務を経験しました。
結婚により前職を退職してから10年のブランクがありますが、また保育の仕事がしたいと考えて、このたび復職を決意しました。
保育の仕事は、子どもたちから教えられることも多く、子どものちょっとした成長を間近で見届けられる毎日は、やりがいや楽しさにあふれています。
復職できた際は、初心にかえって一から勉強しながら、子どもたちに安心してもらえるような保育士を目指して、精一杯、努めたいと考えています。
保育士の職務経歴作成時に気を付けたい6つのポイント
保育士の職務経歴書を作成するときに気をつけたいポイントは、主に以下の6つです。
- 職務経歴書の用紙サイズと枚数を確認する
- 手書きよりもパソコンで作成する
- 文章は簡潔でわかりやすく書く
- 応募先の求める人物像をチェックする
- 面接での質問を想定して記入する
- 名称は略さない
それぞれのポイントを把握すると、完成度の高い職務経歴書をスムーズに作成できます。
各ポイントを詳しくみていきましょう。
職務経歴書の用紙サイズと枚数を確認する
職務経歴書の用紙サイズはA4、枚数は1〜2枚、多くても3枚を目安に作りましょう。
枚数が多くなると情報量が多く、用紙サイズが小さいと見づらい職務経歴書になります。
また、用紙サイズが違うことに気が付いて後から作り直すのは面倒ですよね。
そのため、最初の段階で職務経歴書の用紙サイズに違いがないか確認することをおすすめします。
手書きよりもパソコンで作成する
職務経歴書の作成は、特に指定がない限り、手書きよりもパソコンでの作成がおすすめです。
なぜなら手書きで作成した場合、書き間違えると1から書き直す必要があるためです。
パソコンで入力した場合、間違いがあってもすぐに修正できます。
インターネットで検索すればフォーマットもすぐに見つかるため、綺麗な職務経歴書を作りやすいのもメリットです。
どちらで作成するかお悩みの方は、パソコンでの作成をご検討ください。
文章は簡潔でわかりやすく書く
職務経歴書に文章を記載するのであれば、簡潔でわかりやすい内容にしましょう。
冗長的で内容がわかりにくくなれば、アピールしたいことが伝わりにくいだけでなく、採用される可能性が下がりやすくなるためです。
文章を簡潔にわかりやすくする上でのポイントは、要点を絞ることです。
例えば、なぜ保育士になろうと思ったのか記載する場合、以下のような内容となります。
- 子育ての経験がきっかけで目指そうと思った
- スキルがあって、子どものために活かしたいと思った
- 10歳離れた兄弟の面倒を見ていた経験がきっかけになった
面接を想定して、具体的なエピソードを回答できるよう準備しておくことも大切です。
書きたい内容をひたすらに記載するだけでは、冗長的でわかりにくい文章となりやすいため、要点をおさえて簡潔な文章にまとめましょう。
応募先の求める人物像をマッチさせる
職務経歴書を記載する際、応募先の求める人物像に近づけるよう意識してみましょう。
応募先が求める人材であることをアピールできれば、採用される可能性が高まります。
ただし、虚偽の内容を記載するのは厳禁です。
あくまで自分の能力や経歴、自己PRを記載する上で、企業側が求める人材に近づけるような内容にできるよう意識しましょう。
面接での質問を想定して記入する
職務経歴書で記載した内容は、面接で聞かれる可能性があります。
そのため、面接で聞かれたときの回答も想定しながら、職務経歴書の記載を進めてみましょう。
例えば、前の職場を短期間で退職した場合、退職に至った理由を聞かれる可能性があります。
その際、回答に詰まらず、スムーズに受け答えできるよう前もって準備しておくことが大切です。
面接のことも意識しながら、職務経歴書の記載を進めてみましょう。
名称は略さない
職務経歴書では、企業や資格などの名称を略さず、正式名称で書きます。
例えば、株式会社を(株)と記載しないようご注意ください。
職務経歴書はフォーマットをダウンロードして作成しよう
「職務経歴書をパソコンで作成したいけど、どう作成したらいいかわからない」方も中にはいるのではないでしょうか。
職務経歴書は、インターネットで検索するとフォーマットを無料でダウンロードできます。
ダウンロードしたフォーマットの内容に当てはめて入力すれば、簡単に職務経歴書を作成可能です。
自分で1からフォーマットを作成するよりも簡単なので、ぜひお試しください。
採用担当者が職務経歴書で着目するところ
採用担当者が職務経歴書で着目するポイントは、主に以下の3つです。
- 保育士になろうと思った理由
- 前職の仕事内容や勤務期間
- 就職した際に活かせる能力
着目する部分を把握しておくと、より要点をおさえた職務経歴書を作成できます。
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
保育士になろうと思った理由
まず、最初に注目されるのが保育士になろうと思った理由です。
保育士に限らず、「なぜこの仕事に就こうと思ったのか」という志望動機は注目されやすい内容といえます。
志望動機を聞くことで、保育士として大切にしたいことや仕事を通してやり遂げたいことなど、多くのことを感じとってもらえるでしょう。
保育士になろうと思った理由は問われやすい内容のため、わかりやすく詳細に記載しておきましょう。
前職の仕事内容や勤務期間
前の保育園に勤めていた期間など、前職の仕事内容や勤務期間も注目されやすい部分です。
園によって特色は違うため、面接でも聞かれることを想定して、以前勤めていた保育園の事業内容などをスムーズに受け答えできるようにするとよいでしょう。
また、働いた期間が短い場合、短期間で辞めた理由を聞かれることもあるため、受け答えできるよう回答を用意しておきましょう。
長く働いてもらえる人材かどうかを採用担当者が見極めている可能性があるため、その点も踏まえてアピールすることが大切です。
就職した際に活かせる能力
保育士としてどのようなスキル・能力があるのかも注目されやすいポイントです。
保育士としてのスキルが高いと、園が求める人材に近いものとして、採用されやすくなるでしょう。
面接でも、保育士としての能力は聞かれやすい内容なので、具体的に回答できるよう準備してください。
これまで行ってきた業務の中で培ったスキルなどもアピールに使えるとよいでしょう。
前職が保育士でない方の場合、どのような職種を経験し、培ったスキルを保育士としてどのように活かせるか考えてみてください。
保育士と前職の仕事で共通しているスキルなどがあれば、アピールに使うとよいでしょう。
保育士の職務経歴書についてよくある質問
ここでは、保育士の職務経歴書に関するよくある質問についてまとめました。
パソコンがない場合は職務経歴書を手書きしたらダメ?
形式が決められていないのであれば、職務経歴書を手書きで作成しても問題ありません。
ただし、パソコンの方が読みやすい経歴書を作成できるだけでなく、修正も楽に行えます。
パソコンを所有している方は、パソコンで職務経歴書を作成することをおすすめしますが、自分に合った方法で職務経歴書を作成するのがよいでしょう。
退職理由は職務経歴書に書かないといけない?
退職理由は、職務経歴書に書かないといけないわけではありません。
ただし、応募先指定のフォーマットがあって退職理由の欄が設けられている場合は、退職理由も記載しましょう。
退職理由の記載方法は、以下を参考にしてみてください。
- 一身上の都合により退職
- 会社都合により退職
- 契約期間満了のため退職
など
退職の理由が自分・会社のどちらの都合か、派遣の契約期間満了なのかで記載内容を変えるとよいでしょう。
もし、具体的な理由を求められている場合は「結婚を機に収入アップをはかる必要があり退職」など、前向きな理由を記載するよう意識してみましょう。
まとめ
この記事では、保育士の職務経歴書の書き方について詳しく解説しました。
改めて、この記事でご紹介した内容をおさらいしましょう。
- 職務経歴書には基本情報・職務要約・職務経歴などを記載する
- 自己PRは自分の経歴に合わせて記載することが大切
- 職務経歴書は手書きよりもパソコンで作成する方がおすすめ
- フォーマットはインターネットから無料でダウンロードできる
- 採用担当者が着目するポイントを踏まえて作成することが大切
保育士の職務経歴書は、パソコンでフォーマットに沿って進めるとスムーズに作成できます。
この記事でご紹介した内容を参考に、企業に強みをアピールできる職務経歴書を作成してみてください。