保育士には高卒でもなれる?
高卒でも保育士になることは可能です。
保育士試験には受験資格がありますが、4年制大学卒業は必須の要件ではありません。
高卒の方でも、一定の条件を満たせば受験資格を得られるのです。
さらに良いことに、保育士試験には年齢制限がありません。
自分の学歴に合った条件さえクリアすれば、いつでもチャレンジできます。
つまり、保育士はどんな学歴の方でも挑戦できる、間口の広い資格です。
具体的な条件については、この後詳しく説明していきますので、ぜひ最後までお読みください。
最終学歴・経歴別|保育士試験の受験資格
保育士試験は、受験資格を満たせば、年齢に関係なく誰でも受験が可能な試験です。
ただし、受験資格の条件は最終学歴・経歴により異なります。
- 中学卒業
- 高校卒業
- 専門学校卒業
- 短期大学卒業
- 大学卒業
- 海外の学校を卒業
ここでは、上記の学歴ごとに受験資格を詳しく見ていきましょう。
中学卒業
最終学歴が中学校卒業の場合、受験資格を得るためには児童福祉施設で5年以上かつ7,200時間以上、児童の保護または援護に従事した実務経験が必要です。
高卒者と比較して求められる実務経験の期間・従事時間は長いですが、条件を満たせば保育士試験を受験できます。
例えばフルタイムで1日8時間の週5日勤務した場合は、年間で2,000時間弱となるため、5年間の勤務の中で必然的に時間数の条件を満たせます。
短時間勤務の場合は、5年間では規定時間を超えられない可能性もあります。
その場合でも長い目で見て累計7,200時間を超えた時点から受験資格を得られるため、諦めずに実務経験を積み重ねていくことが大切です。
高校卒業
最終学歴が高校卒業の場合、卒業した時期や科により受験条件が異なります。
まず、平成3年3月31日よりも以前に卒業している場合は、すでに受験資格があります。
また、卒業した科が「保育科」である場合に限り、平成8年3月31日までに卒業していればその時点で受験資格を得られます。
いずれの条件も該当しない場合は、受験資格を得るためには一定の実務経験が必要です。
具体的には児童福祉施設で2年以上かつ2,880時間以上、児童の保護または援護に従事している必要があります。
期間・合計時間のどちらもが最低条件を満たした時点で、受験資格を得られます。
勤務先、もしくはこれから勤務を検討している施設が、児童福祉施設に該当するかどうかは、施設の担当者や施設長、もしくは施設がある自治体の担当者に確認した方がよいでしょう。
なお、通信制高校を卒業した場合や高卒認定試験に合格した場合も、上記と同様の要件となります。
専門学校卒業
専門学校卒業の場合は、受験資格を得るのに必要な条件が状況によって違うため、事前に確認しておきましょう。
まず、当該専門学校が学校教育法に基づいた専修学校であり、かつ修業年限2年以上の専門課程である場合は、すでに受験資格があります。
上記の条件に該当しない場合でも、高等学校の卒業年月日が平成3年3月31日以前(ただし保育科の場合は平成8年3月31日以前)であれば、保育士試験の受験資格があります。
一方で、上記のいずれの条件も該当しない場合は、高卒者と同様に児童福祉施設で2年以上かつ2,880時間以上、児童の保護または援護に従事した実務経験が必要です。
なお、専門学校在学中であっても、条件を満たした場合には受験可能です。
ただし、保育士試験に合格した場合でも専門学校をきちんと卒業しなければ、合格が取り消しとなってしまう点にご注意ください。
短期大学卒業
短期大学(短大)の場合、学部・学科を問わず卒業、もしくは在籍者には受験資格があります。
ただし、現在短期大学に在籍している場合は、卒業できなければ試験の合格が無効となってしまう点にご注意ください。
万が一短期大学を中退した場合は最終学歴が高卒となるため、保育士試験の受験資格の条件を満たすには、高卒の受験資格の条件に当てはめなければなりません。
大学卒業
大学を卒業している場合は、学部・学科を問わず、保育士試験の受験資格があります。
大学在学中の方や大学中退した方も2年以上在籍し、かつ62単位以上を取得していれば、保育士試験を受験できます。
なお、ここでいう大学とは、学校教育法に基づいた大学です。
通信大学は一般の大学と同様の扱いのため、卒業もしくは一定の条件を満たしていれば、退学した方も在籍中の方も保育士試験を受験可能です。
海外の学校を卒業
最終学歴が海外の学校の場合、制度や内容が多岐にわたるため、特別に規定がされているわけではありません。
国内における学歴やそれに応じた実務経験を考慮した上で、条件を満たしていれば保育士試験の受験が可能です。
国内での学歴・実務経験では条件を満たさない場合、 受験資格事前確認依頼書を提出し、受験資格の有無について事務局の判断を受ける必要があります。
事務局の回答は書類提出から2〜3週間を要します。
そのため、受験したい場合は許可が下りたときにすぐに申し込めるよう、余裕をもったスケジュールで対応しましょう。
保育士試験の受験資格に必要な実務経験について
保育士試験の受験資格の中には、実務経験があります。
ただし、実務経験を積めばどんな施設でも良いわけではなく、受験資格に該当する施設、もしくは受験資格認定基準に該当する施設である必要があります。
ここでは、具体的にどういった施設でどの程度の経験を積めばよいのかを、施設の条件ごとに見ていきましょう。
受験資格に該当する施設
受験資格に該当する施設とは、児童福祉法第7条に基づく児童福祉施設です。
具体的には下記の施設が、といった施設が受験資格に該当する施設に該当します。
- 保育所(利用定員20名以上)
- 保育所型認定こども園
- 児童養護施設
- 助産施設
- 乳児院
- 障害児入所施設や児童家庭支援センター など
当該施設で児童・幼児の保護または援護の業務に従事していれば、既定の時間を満たすことで受験資格を得られます。
勤務経験がある施設が上記の施設の中に該当するかどうかは、施設長もしくは施設が所在する都道府県の保育主管課に確認しましょう。
受験資格認定基準に該当する施設・事業
受験資格認定基準に該当する施設・事業とは、上述の受験資格に該当しないものの、受給資格認定(知事認定)を得られれば同様の扱いを受けられる施設・事業を指します。
具体的には下記の施設が対象です。
- 認可外保育施設
- 事業所内保育事業
- 幼稚園
- 放課後児童健全育成事業
- 家庭的保育事業 など
ただし、上記の施設・事業に勤務していればよいのではなく、当該施設・事業において児童・幼児の保護または援護の業務に従事していることが条件であることにご注意ください。
なお、記載のような施設・事業であれば必ずしも、受験資格認定基準に該当するとは限りません。
実際に該当しているか否かは、勤務経験のある施設が所在する都道府県の保育主管課に問い合わせて確認することをおすすめします。
受験資格がない人が保育士資格を取得する方法
現在受験資格がない人が保育士試験を受けたい場合、実務経験を積むか保育士養成学校に入学し、資格を得る必要があります。
実務経験に必要な期間、時間数は最終学歴により異なり、具体的には以下です。
- 高卒:2年以上かつ2,880時間以上
- 中卒:5年以上かつ7,200時間以上
もしくは、保育士養成学校に入学する方法も考えられます。
保育士養成学校にて指定の科目を履修後、保育園と児童福祉施設での校外学習を修了・卒業することで、保育士試験を免除され保育士資格の取得が可能です。
まとめ
保育士の受験資格について、学歴などの条件別に解説しました。
- 保育士試験は学歴や年齢によらず、受験資格を得られる
- 受験資格を得るのに必要な条件は最終学歴により異なる
- 場合によっては一定の期間・時間数の実務経験を要する
- 保育士養成学校を卒業すると、試験免除で保育士資格が得られる
保育士試験の受験資格を得るためには、最終学歴によっては一定の実務経験を必要とします。
一方で、必要とされる実務経験の条件さえ満たせば年齢制限もなく誰でも受験可能な、門戸の開かれている試験でもあると言えるでしょう。
保育士資格の取得を目指す場合、ぜひご自身の状況に応じた必要な条件をご確認の上でそれをクリアし、ないしは保育士養成学校を卒業し、保育士の資格取得を目指してみてください。