
保育士の仕事は、子どもたちの成長を支える大切な役割を担っています。
しかし、さまざまな理由で「辞めたい」と感じる方も少なくありません。
本記事では、保育士を辞めたくなる理由や、その対処法、実際に辞める際の流れを詳しく解説します。
保育士として働く中で悩みを抱えている方々に、今後のキャリアを考える上でのヒントをお伝えします。
筆記・実技試験の対策も
スマホひとつで
スタディング 保育士講座
「保育士を辞めたい」よくある理由13選
保育士を「辞めたい」と思う理由は様々です。代表的な理由を13個見ていきましょう。
- 職場の人間関係が良くない
- 給料が低い
- 残業が多い
- 園の方針と合わない
- ピアノが弾けない
- 保護者対応やクレームが辛い
- 体力的に難しい
- 感染症のリスクが高い
- ライフスタイルが変化した
- 保育士に向いていない
- 希望通りに休みが取れない
- 責任が重い
- 他の仕事に興味が湧いた
1つずつ解説します。
職場の人間関係が良くない
職場の人間関係が良くないことは全ての仕事を通じて「辞めたい」と考える大きな要因の一つです。
特に保育士の場合、園の運営規模にもよりますが、一般企業と比べて狭く深い人間関係の中で働くことになるケースも多いでしょう。
その中で、相性の悪い同僚や上司がいると、職場環境で常にストレスを抱え、辞めたい気持ちに直結することも無理はありません。
小規模かつ歴史の長い園においては特定の職員・保育士に業務が属人化していて、特に入社して日の浅い保育士はやりにくさを感じるようなケースも想定されます。
自治体や大規模な法人が運営している園などでない限り、異動や転勤に伴い、相性の悪い仕事仲間と離れる機会もあまり期待できません。
必然的に「退職」という形で良くない人間関係から離れようとしてしまいがちです。
話し合いや経営陣への相談などによって、一定の改善が見込める場合もあります。
しかし、改善の余地がない場合は、人間関係でストレスを抱えない職場への転職を考えるのも一つです。
給料が低い
給料が低いことも保育士に限らず、職場に抱きがちな不満の一つです。
得たい収入に対して実際に支払われる給料が低い場合に加え、職場での心身の負荷と比較して、給料が割に合わないと感じる場合もあるでしょう。
収入面で不満を抱えたまま仕事を続けること自体大きなストレスとなるため、「辞めたい」と考えることはごく自然なことです。
給料が低いと考える場合の解決策として、現在の職場の中で解決する方法と、納得できる給料を得られる別の職場に転職する方法が考えられます。
例えば一定の役職についた場合や何らかの手当で収入増が見込める場合、それを目標に仕事を頑張る選択肢もあるでしょう。
労働と給料が見合っていないと考える場合、職場と交渉するのも一つの手です。
どちらも見込めない場合は転職することが視野に入ってくるでしょう。

保育士の給料・平均年収は?低いと言われる理由や収入を上げる方…
保育士の給料は安い、見合わないという声を聞いたことはありませんか。保育士は社会的に需要の高い仕事の割に、給料が低いのが問題視されていましたが、近年はその状況…
保育士の給料は安い、見合わないという声を聞いたことはありませ…

【2024年度最新版】処遇改善手当で保育士の給料はいくら上が…
保育士の待遇改善は、子育て支援の充実と保育の質の向上に欠かせない課題です。そこで導入されたのが処遇改善手当制度です。この制度は保育士の給与を上げ、人材確保と…
保育士の待遇改善は、子育て支援の充実と保育の質の向上に欠かせ…
残業が多い
残業が多いことも保育士を辞めたいと思う理由としてよく挙げられます。
子供たちを預かっている間は当然ながら目が離せないため、事務作業などに取り組む時間はありません。
閉園後に後片付けや事務作業、翌日の準備などをする必要があるため、必然的に勤務時間は長くなりがちで残業が増えてしまうのです。
残業が増えると、出勤日の仕事後のプライベートに予定が入れられなかったり、十分な休息が取れなかったりと、心身のリフレッシュが不十分なまま勤務を続けることになりかねません。
残業続きの生活が横行すると、辞めたい理由に直結するのです。
園の方針と合わない
園の運営方針がご自身の幼児教育の方針と合わない場合に「辞めたい」と考えることもあるようです。
特に、園が強い教育方針を持っている場合や、ご自身で明確な理念がある場合、方向性の違いから退職を望むこともあるでしょう。
方針に合わない場合の一つの解決策としては、話し合って折り合いをつけることが考えられます。
双方で深く話し合える場を設けることで、良い折衷案を見つけることができ、むしろ勤務するモチベーションが上がるようなこともあるかもしれません。
一方で話し合っても全く折り合いがつかない場合、方針の合う園への転職も有力な選択肢となるでしょう。
ピアノが弾けない
ピアノが弾けないことで、現場での能力に自信を無くし、辞めたいと考える場合もあります。
そもそもピアノを弾けることは保育士になるにあたって必ずしも必要なスキルではありません。
しかし、実際に現場に入ってみると、ピアノのスキルを求められる場面が数多くあります。
例えば、日課の歌の時間(朝礼や昼食など)や、音楽の時間、保護者の参観日や発表会などが挙げられます。
ピアノが弾けないことで不便さを感じたり、評価を受けにくかったりといった事態が想定されます。
そのため、ピアノが弾けない、上達が遅いことを理由に辞めたいと考えるケースもあるようです。
保護者対応やクレームが辛い
保育の現場自体よりも保護者への対応、保護者からのクレームがストレスとなり「辞めたい」と考えるケースもあります。
クレームへの対応だけでなく、外国人の保護者の場合、言語や習慣の壁から対応を難しく感じる場合もあるでしょう。
特定の保護者の対応に苦労する場合、保護者との関わりは1年から長くても数年であるため、我慢することも考えられます。
どうしても耐えられない場合は上司に相談することもありえるでしょう。
一方で、保護者との対応全般に強いストレスを感じる場合、地域などの特性に合わないか、保育士の仕事そのものが合っていない可能性も考えられます。
体力的に難しい
保育士は体力を使う仕事であるため「体力的に厳しい」と思うようになると辞めたい気持ちと直結しがちです。
保育士は子供と遊んだり、抱えたり、さまざまな準備で機材を運んだりと、体力勝負である点が否めません。
そのため、元々体力に自信がない方や、徐々に体力が落ちてきたと感じる方が、体力の限界を感じる中で「辞めたい」と考えてしまうのは仕方ないことかもしれません。
対策としては、しっかりと休息を取ることや体力をつけること、職場と相談しながら肉体的な負担を減らすことなどが考えられます。
それでも体力的に難しい場合は辞めることが視野に入ってくるかもしれません。
感染症のリスクが高い
感染症のリスクの高さから、保育士として現場で働くことを敬遠したいという声も挙がっています。
必然的に多くの幼児と近い距離で接することを求められる仕事であるため、他の業種と比較して何らかの感染症に罹患する可能性が相対的に高いのは事実です。
特に、幼児はワクチン接種などの対策ができないことや、自覚症状から休むといった自己判断が難しいことから、罹患した状態で登園してくる可能性もあります。
感染症への対策を慎重に行いたい場合や、基礎疾患があり重症化が懸念される場合などは保育士の仕事はリスクが高いと考えるケースも多いようです。
ライフスタイルが変化した
ライフスタイルの変化に伴い、これまでは問題なく行えていた保育士の勤務が難しくなるようなケースも想定されます。
例えば、独身時代は残業をなんとも感じなくとも、結婚後は家事や育児などをしなければならなくなり、残業が難しくなるかもしれません。
自分の子供を持つと、育児の方にしっかりと時間を割きたくなり、保育士として勤め続けることに無理が生じる可能性があります。
このような形で、ライフスタイルの変化とともに、これまでの保育士の働き方に無理が生じた場合、もしくは生じることが予想される場合に「辞めたい」と感じるケースもあるようです。
保育士に向いていない
現場で保育士として勤務する中で「向いていない」と感じた時に辞めたいと思うケースも多いようです。
いかに仕事に興味があり、保育士を目指して頑張ってきても、いざ現場に出てみると、自分が向いていないと感じてしまうことはあるでしょう。
「保育士に向いていない」と感じた時はすぐに辞めるのではなく、なぜそう感じるのか、それは解決・克服可能なのかを冷静に考えることが重要です。
経験を積んだり、考え方を変えたりしても解決・克服が難しいような要因で向いていないと思う場合は、異業種への転職が視野に入ってくるでしょう。
希望通りに休みが取れない
希望通りに休みが取れないことで「辞めたい」と思うケースもあります。
例えば一般企業であれば、代替できる要員も多いため、まとめて有給休暇を取ることも比較的容易です。
しかしクラスを受け持つような形で保育士をする場合、開園しているスケジュールでまとめて有給を取ることは難しいでしょう。
休日であっても、参観日などのイベントが発生すると休みを返上して出勤しなければならないことも想定されます。
普段の勤務ではそれほど気にならなくとも、同年代の友人と同じような休みの取り方ができないことを実感し、不満を抱く場合もあるようです。
責任が重い
保育士としての責任の重さに耐えきれず、辞めることを考える場合もあるようです。
月齢や年齢によって異なりますが、保育士一人に対して複数の子どもの面倒を見ることになるため、目が行き届かない場面も発生してしまうでしょう。
管理監督の責任は重く、そのプレッシャーから仕事を続けることにストレスを抱えてしまうのも無理のないことです。
正社員の場合、年次が上がって役職がつくと、子供の管理監督だけでなく、園の運営自体に責任が生じたり、後輩・部下の教育やマネジメントにまで責任が広がる可能性もあります。
仕事では何事にも責任はつきものですが、保育士としての責任に強いプレッシャーを感じると辞めたいという感情に直結します。
他の仕事に興味が湧いた
保育士として仕事をする中で、他の仕事に興味を持つこともあるでしょう。
保育士として働くよりも他の仕事が魅力的に感じると「辞めたい」と思うかもしれません。
より興味のある仕事、自分が活躍できる場があるのであれば、そちらにフィールドを移すことも時には必要な判断です。
ただし、現在働いている保育士の仕事と興味を持ち始めたばかりの別の仕事を同じ基準で比較することは困難です。
興味を持った仕事について調べ、できれば体験もした上で改めて保育士よりも魅力的な仕事なのか、自分に向いている仕事なのかを冷静に判断することも重要です。
保育士を辞めたいと思ったときの選択肢
保育士を辞めたい場合、どのような選択肢があるかを吟味しながら次のアクションを起こすことが重要です。
考えられる選択肢を紹介します。
- しばらく休職する
- パートや契約社員などに切り替える
- 別の保育園に転職する
- 保育士資格を活かせる他の仕事に転職する
- 保育士から違う仕事に転職する
1つずつ解説します。
しばらく休職する
「辞めたい」と思ってもすぐに辞めず、しばらく休職した上で本当に辞めたいのかを考えることをおすすめします。
無計画に仕事を辞めてしまうと、収入面やキャリア形成の面で苦労する可能性が出てくることは否めません。
そのため、一度休職という形で職場から離れ、身体を心を少し休めながら冷静に考えるといった時間を設けることが重要なのです。
また、この休職期間に「なぜ辞めたいのか」を冷静に考えることで、休職後の行動指針を明確にできます。
例えば、現在の職場の環境や待遇などが問題の場合、現在の職場に改善や調整の要望を入れるか、もしくは職場そのものを変えることが選択肢として挙げられるでしょう。
転職を考えるにしても次の職場も保育士として探す方がスムーズと言えるでしょう。
一方、保育士としての働き方そのものが合っていないと感じる場合、保育士以外の働き方を見据えて次の職場を探すことが重要です。
いずれにせよ、心身を休めゆっくりと考える時間を取ることが大切と言えるでしょう。
パートや契約社員などに切り替える
正社員として勤務している場合、認められるのであればパートや契約社員などの雇用形態を切り替えるのも一つの選択肢です。
雇用形態を切り替えた場合、残業がなくなることや、職場によっては業務の責任が少なくなる可能性もあります。
そのため、勤務先や業務内容、職場の環境を大きく変えることなく、肉体的、精神的な業務負担を減らせる可能性があるのです。
「職場に不満はないが体力面や責任面の負担が大きい」という場合、有力な選択肢の一つと言えるでしょう。
ただし、雇用形態を切り替えると、待遇面は下がる可能性が高いです。
また、職場によっては人間関係に影響が出る可能性もあるため、そういった点を考慮しながら検討しましょう。
別の保育園に転職する
保育士自体を辞めるのではなく、今の職場を辞め、別の保育園に転職する選択肢もあります。
辞めたいと思う理由が仕事そのものよりも、現在の環境による場合、職場を変えることで環境が改善され、楽しく働ける場合もあるのです。
転職により環境の改善を目指す場合、現在のどのような点がストレスが大きいのかをまず明確にしましょう。
その上で、現在不満を感じている点が改善される可能性の高い職場を選んで転職活動をすることが重要です。
保育士資格を活かせる他の仕事に転職する
保育士資格を活用し、保育士以外のキャリア形成を目指す選択肢も考えられます。
保育士資格というと、保育士の仕事を連想する方が多いと思いますが、実は保育士以外の様々な仕事で活用できます。
例えば児童福祉・幼児福祉の福祉関連の業界では、保育士資格保有者・保育園の現場経験者は歓迎されるでしょう。
家庭向け子育て用品や、児童施設の運営者向けの保育用品などを扱うメーカーや、民間の教育サービスなどを扱う一般企業への就職も有力な選択肢です。

保育士は副業をしたらダメ?資格や経験を活かせるおすすめの副業…
保育士の仕事は、やりがいがある一方で、給与面での不満を抱える方も少なくありません。そこで注目されているのが副業です。しかし、保育士が副業をすることは許される…
保育士の仕事は、やりがいがある一方で、給与面での不満を抱える…

保育士の資格を活かせる仕事21選!保育園以外の転職先も紹介
保育士は、子どもたちの成長を支える専門性のある国家資格です。その活躍の場は保育園だけでなく、多岐にわたります。本記事では、保育関連の仕事から一般企業まで、保…
保育士は、子どもたちの成長を支える専門性のある国家資格です。…
保育士から違う仕事に転職する
保育士資格を活かせる業界で希望職種が見つからない場合は、全く関係のない業種に転職するのも一つの方法です。
異業種に転職する場合、保育士の資格そのものが武器になるとは限りません。
しかし、保育士資格を取得するための努力や、資格取得の中で獲得した知識、何よりも幼児教育の現場で頑張ることで得た知見やスキルは非常に貴重なものです。
これまでとは違った形で活かせる可能性が高いので、保育士の資格取得から現場勤務までの経験で何を得たのか、次の職でどう活かせるのかを言語化し、転職活動に活用しましょう。
仮に保育士の仕事自体が向いていなかったとしても、その経験は将来に生きてくるはずです。
辞めたいと思いながら保育士を続けたらどうなる?
「辞めたい」と思いながら、無理やり我慢して保育士を続けることは誰にとっても得になりません。
辞めたい気持ちを抱えながら仕事につくことはストレスを加速させ、ミスに繋がります。
幼児を預かる重要な仕事なので、小さなミスが重大な事故につながりかねないのです。
また、無理に仕事を続けていると、職場の人間関係においてもストレスを抱えがちです。
そのようなストレスが更なる事態の悪化を起こすことも想定されます。
結果として保育士の仕事そのものが嫌になってしまったり、最悪のケースでは精神的に問題を抱えてしまうようなことも想定されます。
保育士の仕事を「辞めたい」と強く思うのであれば無理して続けず、すぐに辞めないにしても一度休職するなどの対応も必要です。
辞めたいのに辞められないときの対処法
辞めたい意思を伝えても、上司や経営層からの引き止めなど、退職の話がスムーズに進まないケースも想定されます。
強い引き止めに合った場合でも退職の意思が固いのであれば、しっかりと対処した上で退職すべきです。辞めたいのに辞められないときの対処法について解説します。
- 辞めたいという強い意志を伝える
- 次の仕事を決めて辞めざるを得ない状況を作る
1つずつ解説します。
辞めたいという強い意志を伝える
辞めたい意思が固い場合、それをしっかりと伝えることが何よりも重要です。
上司や経営層は様々な形で引き止めを行ってくる場合もあるでしょう。
待遇・環境の改善を約束したり、情に訴えたり、場合によっては心無い言葉を口にするかもしれません。
しかし、「辞める」と決断したのであれば、流されることなくしっかりと意思を伝え、貫き通すことが重要です。
途中で迷いを見せてしまうと「押せば退職を引き止められる」と思われてしまうかもしれません。
流されることなく、しっかりと自分の意思を伝えることは退職するためだけでなく、今後のキャリア形成においても重要なことです。
次の仕事を決めて辞めざるを得ない状況を作る
同業であれ他業種であれ、次の職場の内定を得てしまえば、辞めざるを得ない状況となります。
可能であれば、入社時期についても調整した上で、現在の職場を退職する期限も設定することが望ましいと言えるでしょう。
次の職場が決まっていることは、上司や経営層の視点から見ても退職の決意が固いことや、現実的に引き止めが困難であると納得せざるを得ない状況でもあります。
通常の仕事をこなしながらの転職活動は大変ではありますが、退職の決意が固いのであれば、次の職場を決めてから退職の意思を示すことは有効な戦略と言えるでしょう。
保育士を辞めてよかったこと・後悔したこと
実際に保育士を辞めてみると「よかった」と感じる声が多い一方で、後悔する声も見られます。
保育士を辞めた人がどのような感想を抱くのか、双方の観点から見ていきましょう。
よかったこと
保育士を辞めることで、プライベートの時間が作れたなど、喜ぶ声は多いです。
保育士は自由に有休がとりにくいため、プライベートを優先させることが難しい側面があります。
そこで、他の仕事に転職したことでプライベートの時間が増え、気持ちに余裕が生まれることがあるようです。
また、小さな子供を預かることに大きなプレッシャーや責任感を感じ、その重圧から解放されたことも、良かったこととして挙げられます。
子供と遊ぶ、面倒を見ることによる肉体的な疲労から解放される点も大きいと言えるでしょう。
加えて職場内の人間関係が狭くなりがちであることや、多くの保護者を相手にしなければならない立場であることによって生じる、人間関係のストレスから解放される点も大きいようです。
後悔したこと
一方で、保育士を辞めて後悔したこととしては、次の仕事がなかなか決まらないことが挙げられます。
年度の途中で退職した場合、時期によってはすぐに働ける求人が少なく、転職活動に苦労するかもしれません。
また、転職に伴い元の職場を辞めた場合、元の職場が案外悪くなかったと気づき、転職したことを後悔する場合もあるようです。
現場に課題や不満を持ちながら転職活動をしていると、他の職場が「隣の芝は青く見える」状態になりかねません。
少しの不満で安易に転職を考えず、転職によって自分の現在の悩みが本当に解消されるのか、今一度熟考する姿勢も重要と言えるでしょう。
また、残った職員や子どもに迷惑をかけたことを後悔するケースもあるようなので、可能な限り丁寧に引き継ぎを行い、迷惑をかけないようにすることも重要です。
実際に保育士を辞める際の流れ
保育士を辞めたいと思ってから実際に辞めるまでの流れについて、順を追って解説していきます。
- 退職する時期を考える
- 上司に保育士を辞めたい意志を伝える
- 退職願を提出する
- 業務の引き継ぎを行う
1つずつ解説します。
退職する時期を考える
重大な理由で今すぐにでも辞めたい場合を除き、まずは退職する時期を考えることが重要です。
並行して転職活動を行う場合、退職する時期から逆算していつから勤務したいかの希望も明確にしておくとよいでしょう。
引き継ぎや転職先の勤務開始日の観点から、年度末の退職がスムーズと言われていますが、必ずしも年度末まで待つ必要はありません。
ご自身にとっての最適なタイミングを考えてみてください。
上司に保育士を辞めたい意志を伝える
退職の意思が固まったら、まずは上司に伝えます。
この時重要なのは「相談」するのではなく「意思を伝える」ことを意識することです。
相談しても基本的に上司が退職を後押ししてくれることは少ないでしょう。
逆に退職を撤回する説得の余地があると思われかねません。
不平不満を言ったり敵対的な対応をしたりする必要はありませんが、明確に強い意志を持って退職の意思を伝えることが重要なのです。
退職願を提出する
上司および上司経由で経営陣に退職の意を伝え、その了承を得たら改めて正式な手続きとして退職願を提出します。
退職に関して了承をもらい、実際に退職する1カ月前には退職届を提出できているスケジュールが理想です。
実際にどのような書類をどういった形で提出するのかは園の方針によっても異なります。
退職までの手続きおよび退職後の手続きについては、園ごとの具体的な内容をご確認ください。
業務の引き継ぎを行う
退職前の最後の仕事として、業務の引き継ぎがあります。
引き継ぎ漏れで職場や入園している園児に大きな迷惑をかけることがないよう、しっかりと引き継ぎを行いましょう。
退職に伴い、残された職員の負担は多かれ少なかれ増えます。
感謝とお詫びの意を忘れず、引き継ぎを完了させることが重要です。
退職後にトラブルになり後から連絡が来るような事態を回避するためにも、口頭ではなく文書やマニュアルなどを残し、引き継ぎ漏れを防止しましょう。
保育士を辞めて転職する場合の流れ
保育士を辞めてから転職するまでの流れについて解説します。
退職時点で次の職場が決まっているのかによっても必要な手続きが変わりますのでご注意ください。
- 辞める前から転職活動を始める
- 勤務先から離職届をもらって役所で手続きする
- 失業給付金の手続きをする
辞める前から転職活動を始める
状況が許せば、辞める前から転職活動を始めておいた方がよいでしょう。
辞める時点において既に次の職場が決まっていることが理想です。
少なくとも、転職の準備や履歴書・面接などの選考対策に慣れておき、退職後にスムーズに転職活動に集中できるようにしておきましょう。
今の園の勤務と並行して転職活動を行うのは楽ではありませんが、求人側も事情はくみ取ってくれるはずです。
可能な限り勤務時間外で活動を進め、必要な場合は有休を使うなどしましょう。
勤務先から離職票をもらって役所で手続きする
退職が完了すると、勤務先から離職票を発行してもらうことが可能です。
離職票は失業給付の申請において欠かせない書類であるため、受け取ったら必ずなくさないように保管しましょう。
なお、次の職場がすぐに決まっている場合は、原則として離職票は必要としません。
しかし、不測の事態で内定を辞退する場合や内定の取り消しを受ける場合も絶対にないとは断言できません。
そのため、不要であったとしても万が一の事態に備えて念のため受け取っておくほうが良いでしょう。
失業給付金の手続きをする
退職してから転職活動を続ける場合、失業給付金を受け取ることができます。
失業給付金の申請はご自身で近くのハローワークで手続きをすることが必要です。
なお、給付金を受け取れる期間、受給開始までの期間は勤続年数や退職が自己都合か会社都合かによって異なります。
失業給付金は受給資格がある場合、転職活動中の収入を支える心強い制度です。
申請漏れなどがないよう、必要な手続きを確実に実施するようにしましょう。
辞めたいと思う保育士によくある質問
「辞めたい」と思っている保育士からよくある質問について回答します。
保育士の仕事は年度途中に辞めても大丈夫?
年度途中に辞めても問題ありません。
特に、何か強いストレスを感じて辞めることを考えているようであれば、年度末まで我慢する必要はないのです。
ただし、年度末の方がきりが良く、退職交渉や引き継ぎがスムーズな点や心理的な抵抗が少ない点は否めません。
転職先でも保育士として勤務する場合、次の職場へ移るタイミングとしても最適でしょう。
年度末の退職の方がスムーズな可能性は高いですが、必ずしも年度末である必要はありません。
保育士 一週間や一カ月で辞めたら早すぎる?
もし、何らかの重大な事情ですぐにでも職場を辞めたいのであれば「早すぎる」などとは考えずに辞めても構いません。
そもそもどのくらい勤めれば「早すぎない」のかといった基準はないのです。
ただし、一週間、一カ月といった期間での退職は一般的に「早い」という印象を持つ人は多いでしょう。
次の就職活動においても指摘される可能性は十分にあります。
そのため、短期で離職せざるを得なかった理由を明確に言語化し、説明できることが重要です。
保育士を辞めたいときはどのように伝えたらいい?
基本的にはポジティブな理由でのステップアップなどを理由に退職の意思を伝えるのが良いでしょう。
仮に職場に不満があっても、それを露骨に伝えると円満な退職が進まなくなる可能性があります。
職場に感謝を伝えつつ、次のステージを目指すことを示すのが無難です。
ただし、仮にそのような形で退職阻止や強い引き止めが想定される場合、家庭の事情など、深堀りしにくく引き止めが難しい話を持ち出すのも、時には「嘘も方便」です。
まとめ
保育士を辞めたいと思う理由や対処方法について解説しました。
- 保育士を辞めたいと思うのには様々な理由がある
- 辞めたいと思ったら衝動的に辞めるのではなく、原因を考えて対策を練る
- 必要であれば休職して考える時間を取る
- 辞めたい思いを抱えながら無理に仕事を続けるのは禁物
- 辞める場合はしっかりと退職の意を伝え、手順を踏むことが重要
- 辞めてから転職活動を続ける場合、失業給付金を受け取れる
保育士はやりがいのある仕事ですが、責任や体力的な問題などから辞めたいと思うことも無理はありません。
「辞めたい」と思ったらすぐに行動に移すのではなく、なぜ辞めたいのか自己分析をした後、対処方法を考えましょう。
退職する場合は退職前後で適切な手順を踏むことも重要です。
今回解説した内容を活かし、次のアクションを検討してみてください。