二回試験は、法曹として認められるための最後の関門です。司法試験に合格後、司法研修所で1年間法律実務を学んだ司法修習生に対し、5日間のスケジュールで実施されます。正式名称は「司法修習生考試」ですが、司法試験につづき二回目に行われる能力判定という意味から、二回試験と呼ばれます。
弁護士・裁判官・検事いずれになるにしても、二回試験の突破は避けて通れません。司法修習の総仕上げともいうべき二回試験は、スケジュール的にもハードで問題レベルも相当高く、これまで身に付けたすべての知識を結集して挑むことになるでしょう。
2013年~2015年までの二回試験の受験者数と合格者数、ならびに不合格者数を以下の表にまとめます。(カッコ内数字は再受験者の数)
実施年度 |
受験者数 |
合格者数 |
不合格者数 |
---|---|---|---|
2015年度 |
1758名(41名) |
1766名 |
30名(3名) |
2014年度 |
1972名(43名) |
1973名 |
38名(4名) |
2013年度 |
2031名(46名) |
2034名 |
39名(4名) |
例年、9割以上が合格しています。これは試験内容が簡単で合格しやすいからではなく、これに落ちれば法曹採用されるのが1年先延ばしになるという危機感から、相当準備をして試験に臨んだ結果、とみてよいでしょう。
不合格となった場合は、翌年の二回試験にチャレンジすることになります。
二回試験では、「民事裁判」「刑事裁判」「検察」「民事弁護」「刑事弁護」の5科目が出題されます。5科目の中から出される設問に対し、ベストな解答を導き出す必要があります。解答は、すべて筆記方式で行わなければなりません。
1日1科目、合計5日間のスケジュールで実施されるわけですが、1科目につき7時間半の解答時間が与えられます。つまり、合計37時間30分、試験問題と向き合い、頭をフル回転させて取り組む必要があるのです。そのための気力・体力・集中力は相当なもの。しかも例年5日間連続で行われており、間休みもありません。日々の復習に加え、体調管理も重要な試験対策のひとつといえるでしょう。
二回試験では、科目ごとに100ページ前後の事件記録簿が配布され、それを読み込んで設問内容に応じた分析や事実認定、書面作成を行います。この起案作業は、司法修習期間中も繰り返し行われ、それをもとにテキストが作成されたり、講師や修習生との討論などに使われたりします。
二回試験の直前に行われる二ヶ月間あまりの集合修習では、先に挙げた試験5科目について、それぞれ専門教官から個別を含む直接指導を受けつつ、実際の事件記録をもとに作成された修習用テキストを用いて、起案作成に取り組みます。この作業を繰り返し行い、起案スキルを鍛えることで、試験本番も本来の実力を発揮できるようになるのです。
(※集合修習が行われる時期とタイミングは、司法修習所によって異なります)
合格発表は12月
二回試験の合否結果は例年12月に発表されます。発表方法で変わっているところは、不合格者の番号が掲示板に張り出されて発表されるところ。掲示板に自分の番号がなければ、見事合格ということです。
二回試験はかなりハードなスケジュールで敢行されるだけに、司法試験より厳しいと思われがちですが、そのための予行演習は司法修習のカリキュラムの中でみっちり行えます。研修期間中、いかに真摯に学習に取り組めるかが、合否のカギを握るといえるでしょう。
参考サイト;
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