不動産系の有力資格としておなじみの宅建・マンション管理士・賃貸不動産経営管理士。この中でも、賃貸不動産経営管理士はもっとも新しく、昨今注目を集め出した資格として知られます。先発のふたつの資格と比べ、どちらが難しいのでしょうか? 合格率や試験内容を基準に比べてみます。
2022年度に実施された3つの資格試験の受験者数・合格者・合格率は次の通りです。
資格名 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
賃貸不動産 経営管理士 |
31,687名 | 8,774名 | 27.7% |
宅建 | 226,048名 | 38,525名 | 17.0% |
マンション管理士 | 12,209名 | 1,402名 | 11.5% |
合格率だけ見ると、賃貸不動産経営管理士は他のふたつと比べて高いことがわかります。合格率だけでは単純に難易度は推し量れないものの、数字だけ見れば賃貸不動産経営管理士試験のほうが取り組みやすい印象を受けるでしょう。3つの中でもっとも受験者数が多いのが宅建で、ほかのふたつより一桁多い数字です。昨今の傾向として、宅建試験も以前より難しくなった、との声も聞かれます。
賃貸不動産経営管理士試験では、賃貸管理に関する実用的で幅広い知識が問われます。「管理受託契約に関する事項」「管理業務として行う賃貸住宅の維持保全に関する事項」「賃貸住宅の賃貸借に関する事項」など、50問が出題されています。
宅建試験では、宅地建物取引業を営むうえで実用的な法的知識が求められます。土地・建物に関する権利関係や法令上の制限、建物の税に関する知識、あるいは価格評価に関する基礎知識など、宅地建物の取引において欠かせない知識ばかりです。50問・四肢択一方式による筆記試験で行われます。
マンション管理士試験では、マンション管理に関するさまざまな法令規則の中から問題が出されます。管理組合の運営・業務に関する内容や、マンション構造・設備、長期修繕計画の概要についても熟知しておかなければなりません。試験は宅建と同じく、50問四肢択一方式で実施されます。
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3つの資格試験とも、合格基準は明確に定められておらず、実施年度ごとに設定される決まりです。平均合格ラインは、賃貸不動産経営管理士(令和2年度以降)が50問中36問(7割2分)、宅建が50問中35点(7割)、マンション管理士が50問中35点(7割)となっています。あくまで平均値ですので、来年以降この数字が若干変更する可能性は否定できません。合格基準を比べても賃貸不動産経営管理士のほうがやさしい印象です。しかし、今後難易度・合格ラインともに厳しくなるという見方もされていますので、安易に「賃貸不動産経営管理士のほうが簡単」と考えるのは避けたほうがよいでしょう。
宅建・マンション管理士が国家資格であるのに対し、賃貸不動産経営管理士は公的資格という位置づけでしたが、2021年(令和3年度)から賃貸不動産経営管理士も国家資格となりました。
業務内容や求められるスキルを考えて、賃貸不動産経営管理士とより親和性が高いのは、マンション管理士のほうです。両者だけ比較すると、受験者数は賃貸不動産経営管理士の方が多くなっています。一方合格率は、「賃貸不動産経営管理士:マンション管理士=27.7%:11.5%」となっています。マンション管理士は合格率だけ見ると、法律系資格である行政書士と同レベルで、かなり手強い国家資格試験として有名だけに、合格率だけを見てマンション管理士を避ける方も少なくないでしょう。
しかし、賃貸不動産経営管理士は、受験資格がないとは言え、実務経験がゼロの方はすぐに登録認定してもらうことはできません。資格登録の手続きを行うには、協議会が認定する管理業務を2年以上経験することが条件となります。立場によってはすぐに登録できるわけではありませんので、注意する必要があります。
賃貸不動産経営管理士は今のところ、宅建・マンション管理士と比べたら合格率が高いため、比較的合格しやすい資格と言えるでしょう。3つの資格とも、成長産業である不動産業界で活躍するうえで有用性の高さが認められますので、ダブルライセンス・トリプルライセンスまで視野に入れて将来のビジョンを描いてみるとよいでしょう。
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