賃貸不動産経営管理士とは、賃貸アパート・マンションなどの賃貸住宅を適切に管理するための知識とノウハウを持つ専門家を指します。賃貸住宅における住環境を維持・管理するには、建物のコンディションを正確に把握し、必要に応じて修繕などの処置を講じなければなりません。賃貸不動産経営管理士は、それらの専門知識を通して、賃貸住宅の快適性を守ります。
また、賃貸不動産経営管理士は、令和3年4月21日に発表された国土交通省令で、「国家資格」となりました!
「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」で、一定の規模以上の賃貸住宅管理業者に管理事務所ごとへの1名以上の設置が義務付けられる、「業務管理者」の要件として、賃貸不動産経営管理士が認められたからです。
令和2年までの試験に合格し、登録を行った賃貸不動産経営管理士は、令和4年6月までに「業務管理者移行講習」を修了することで、現在取得している賃貸不動産経営管理士の資格が「国家資格」となります。
令和3年以降の試験を受ける方は、試験に合格し、登録を行えば「国家資格」としての賃貸不動産経営管理士資格を取得できるということになります。
賃貸不動産経営管理士の業務内容は、不動産賃貸の管理業務がメインと思われがちですが、入居者の募集や契約に関する業務などもその範囲に含まれます。住む人が見つからなければ、賃貸住宅の運営も難しくなってしまうため、入居者を集めるためのマーケティング調査なども彼ら専門家の重要な業務のひとつです。
基本的に、オーナー側と管理委託業務を契約するところから、賃貸不動産経営管理士の業務はスタートします。契約期間中は、法定点検や建物のクリーニング、維持管理のための修繕プランなども作成。それと同時に入居者のトラブル対応や各種相談など、住民サービスの提供も一任されています。
入居契約の終了となったら、退去の立ち会い、原状回復のための工事、敷金の精算なども責任を持って担当。空いた部屋は、次の入居者が快適に住めるように適性管理することも、賃貸不動産経営管理士の役割です。その他、節税や相続に関する相談対応など、不動産経営に関して幅広く専門的なアドバイスも求められます。
また、賃貸不動産経営管理士は「業務管理者」としての役割も担うことになります。「業務管理者」の役割は以下の管理及び監督を行うことです。
賃貸不動産経営管理士になるには、毎年11月に実施される資格試験に合格し、登録手続きを経て、認定証の交付を受けなければなりません。
試験は全50問・四肢択一方式・試験時間120分で行われます。出題範囲は、管理業務や賃貸契約、建物。設備に関する基本知識など多岐にわたり、実務で欠かせない知識を問う内容となっています。
試験はどなたでも受検可能ですが、登録については要件があり、令和3年度以降の試験合格者は、「管理業務に関し2年以上の実務の経験を有する者」「国土交通大臣がその実務の経験を有する者と同等以上の能力を有すると認めた者」というどちらかの要件を満たさなければ、登録・認定は受けられませんので注意してください。
なお、登録すれば専門家の証である登録証とステッカーが交付される他、有資格者専用ページにてさまざまなコンテンツのサービスが受けられるなどのメリットがあります。
賃貸不動産経営管理士は、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律による「業務管理者」として認められる要件として定められたことにより、国家資格となりました。
賃貸住宅は、賃貸住宅志向の高まりや単身世帯、外国人居住者の増加等を背景に、生活の基盤としての重要性が高まってきています。オーナーや入居者とのトラブルを未然に防止し、賃貸住宅における良好な居住環境の確保を図るため、賃貸不動産経営管理士の活躍が今後ますます期待されてくることと思われます。