賃貸不動産経営管理士は国家資格になって何が変わった?

賃貸不動産経営管理士は2021年から国家資格になり、注目度が高まっている資格です。国家資格化した背景には、賃貸住宅の需要拡大やそこから出てきた問題点があります。賃貸不動産経営管理士が国家資格になったことによる変更点もあります。

この記事では、賃貸不動産経営管理士の国家資格化の経緯やそれによって変わった点などを解説します。

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目次 Contents

賃貸不動産経営管理士は国家資格になって何が変わった?


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賃貸不動産経営管理士が国家資格になった背景

賃貸不動産経営管理士は従来は民間資格でしたが、2021年に国家資格となりました。

それだけ国として賃貸不動産業界の問題に本格的に着手し始めたといえます。

その背景には、以下に説明するような住宅市場の変化があります。

  • 賃貸住宅は住宅全体の3割を占める
  • 近年賃貸住宅市場が変化しつつある
  • 賃貸住宅をめぐる社会問題も増加


賃貸住宅は住宅全体の3割を占める

賃貸需要の比率は、戦後から一貫して住宅全体の3割程度の微増傾向と一定の割合を維持し続けています。

日本全体の人口は減少に転じていますが、核家族化、単身世帯の増加により総世帯数は増加の傾向にあります。


賃貸住宅の割合は大幅に拡大しているわけではありません。

しかし、若年層の賃貸志向の上昇傾向にあります。高齢世帯の賃貸率も3割を超えているのが現状です。

これから高齢者が増えていく社会構造の中で賃貸需要は減少に転じる可能性は低く、今後も緩やかに増え続けていくことが予想されます。

世帯の変化、人口構造の変化といった社会構造全体の変化の中で、賃貸住宅の需要はますますその重要性が増していくでしょう。


近年賃貸住宅市場が変化しつつある

近年、賃貸住宅市場はさまざまな変化の中にあり、多くの課題を抱えています。

例えば、一昔前であれば「結婚する」「家を買う」といった行動が一般的なライフイベントとして当然のことと考えられていました。

しかし、現在はライフスタイルの多様化により単身世帯が増加傾向にあります。

しかも、仕事や家族構成に変化が起こりやすい20〜40代の比較的若い層は、柔軟に居住環境を変えられる賃貸を好む傾向が徐々に強まっています。


賃貸住宅を貸し出す側の変化も顕著です。

平成初期は所有者自身が管理する、いわゆる「大家さん」のスタイルが75%を占めていました。

しかし、令和元年度には、賃貸住宅所有者の8割以上が自己管理ではなく、管理業者への委託を行っています。

かつては所有している土地の活用手段として賃貸住宅を建てる形も多くみられましたが、現在は運用目的で不動産を購入するケースが増えています。

特に後者においては最初から業者に管理を委託することを前提に考える傾向が顕著です。


このように賃貸不動産は、借主・貸主双方のニーズの変化に加えて、空き家問題の増加や増えつつある外国人居住環境の整備などさまざまな課題が山積みになっています。

複雑な問題を解決するため、賃貸不動産のプロフェッショナルである賃貸不動産経営管理士の活躍が期待されています。


賃貸住宅をめぐる社会問題も増加

賃貸住宅をめぐっては、実際に社会問題も起きています。

近年増えている「サブリース」に関する問題も、賃貸不動産業界への法整備が急がれている理由の1つです。

サブリースとは、不動産の所有者が入居者に対して直接貸し出すのではなく、サブリース業者(特定転貸事業者)に貸し出し、その業者が入居者に対して転貸する形をとる賃貸契約のこと。

所有者はサブリース業者に毎月一定の手数料を払う(賃料から差し引かれる)かわりに、自身で入居者の募集や物件の管理をしなくとも業者に一任できます。

しかも、サブリース契約は原則として空室期間も家賃が保証されており、空室リスクを回避できることなどメリットが大きい賃貸契約です。


一方で、サブリースは法律が未整備の領域であり、知見のない所有者「貸主」に対して、豊富な知識、経験を持つ業者の側が立場の強い「借主」となるため、消費者トラブルも多くなっています。

サブリース事業を巡る大規模な消費者トラブルとしては、2018年に明るみになった「かぼちゃの馬車」事件が挙げられます。

こうした近年新たに発生している賃貸住宅を巡る社会問題、消費者トラブルに歯止めをかける意味でも業界への法整備は急務です。

そういった中で、賃貸不動産経営管理士の活躍が期待されています。


いつから賃貸不動産経営管理士は国家資格になった?

賃貸不動産経営管理士は民間資格として誕生し、後に国家資格となるという少し変わった変遷を持つ資格です。

いつスタートした制度で、どのような変遷を経て国家資格となったのか、その背景には何があったのかを解説します。

  • 2021年に国家資格化
  • 資格制度は2007年にスタート


2021年に国家資格化

賃貸不動産経営管理士は、2021年4月21日に国土交通省が発表した省令によって国家資格となりました。

2020年以降の試験に合格した場合、必要に応じて実務講習・登録講習を受けた後に登録を行うと、翌年度の4月1日付で資格が付与されます。

なお制度改革前、2020年より前に賃貸不動産経営管理士試験に合格している場合、2022年6月までに資格者登録を行い、2021年6月15日から1年間実施されていた「業務管理者移行講習」を修了した時点で、国家資格としての賃貸不動産経営管理士資格を取得したものとされます。


資格制度は2007年にスタート

賃貸不動産経営管理士の資格制度は2007年にスタートしました。

いくつかの業界団体によって発足した「一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会」が試験制度の監督機関になります。

2011年には、国土交通省告示の「賃貸住宅管理業者登録制度」が創設されます。

その後、2014年には賃貸不動産経営管理士を国家資格にするための検討会が開催されました。

国家資格に格上げされることを見込み、注目度は上がっていきました。

その結果、賃貸不動産経営管理士試験の受験者は年々増加傾向にあります。


国家資格になったことで賃貸不動産経営管理士は変わった?

国家資格となったことで賃貸不動産経営管理士はどのような変化があったのでしょうか?

業界での立ち位置や業務内容の変化、資格試験の受験者や難易度の変化など、国家資格となる前後の状況の変化について解説します。

  • 業務管理者の要件の1つになった
  • 資格試験の受験者数が増加した
  • 資格試験が難化した


業務管理者の要件の1つになった

賃貸不動産経営管理士は国家資格として賃貸住宅管理業務を行うための「業務管理者」の要件とされています。

業務管理者の役割は賃貸不動産を適切に管理し、所有者の資産を有効活用しつつ居住する入居者の安心・安全を確保すること。

具体的には以下のような実務を行います。

  • 賃貸住宅の維持保全(建物・設備の点検・維持・修繕等)
  • 家賃・敷金等の金銭の管理
  • オーナーと入居者との間の賃貸借契約の更新・解約に係る業務
  • 入居者からの苦情への対応に係る業務
  • 入居者の入退去に係る業務等

管理戸数が200戸以上の賃貸住宅管理業者においては、1事務所につき1名以上の業務管理者を設置することが「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」により義務化されています。


なお、賃貸不動産経営管理士のほか、指定講習を受けた宅建士も業務管理者になることができます。

ただし、宅建士の本来の業務領域は、賃貸や売買における「契約」に関する業務です。

宅建士が指定講習を修了すると業務管理者になれるのは、賃貸不動産経営管理士の数が不足している現状における経過措置であるとされています。

今後業務管理者は、賃貸住宅の「管理」のプロフェッショナルである賃貸不動産経営管理士の専門的な領域とされる可能性もあるでしょう。


資格試験の受験者数が増加した

賃貸不動産経営管理士の受験者数は、過去10年の間に約8倍にまで大幅に増加しています。

とりわけ、国家資格となる直前の2019年度の試験で受験者数が2万人を超えました。

そして、国家資格となった翌年の2021年度で3万人を突破しており、全体として受験者は大きく増加の傾向にあるといえます。


国家資格となったことで、資格への信頼性は向上しました。

今後の希少性の増加を見越し、早いうちに資格取得を試みようとする受験者も増加しているのでしょう。

加えて、賃貸不動産経営管理士の専門分野となる賃貸住宅の需要の増加を肌で感じ、資格取得をチャンスととらえる受験者も多いのかもしれません。

今後も全体として受験者数は増加傾向にあることが予測されます。


資格試験が難化した

受験者の増加や国家資格化に伴い、資格取得のハードルも上がっています。

2018年度までの合格率の推移は概ね50%強程度であり、年度によっては85.8%と非常に高い合格率が記録されました。

一方で2019年以降の合格率は40%を切っており、国家資格化された2020年度以降では30%前後にまで低下しています。

国家資格となった現在、賃貸不動産経営管理士の資格取得難易度は従来と比較して難化しているといえます。


合格点は年度によって異なりますが、概ね70%前後。国家資格となる以前と大幅な変化はありません。

しかし、受験者の増加傾向に対し合格率が絞られていることから、試験問題の難易度自体も上がっていることが読み取れます。


意味がないって本当?賃貸不動産経営管理士の将来性とは?

賃貸不動産経営管理士の資格は「意味ない」と評価されることがあるのも事実です。

なぜ資格取得する意味がないという声があるのか、本当に意味がないのか、理由として考えられる現状や今後の展望について解説します。

  • 現時点では独占業務はない
  • 将来的に不可欠な資格になる可能性も


現時点では独占業務はない

賃貸不動産経営管理士が「意味ない」と言われる最大の理由は、現時点で独占業務がないことが挙げられます。

独占業務とは特定の資格を持っていなければ取り組めない業務のこと。

簡単にいうと、以下のような業務が例として挙げられます。

  • 訴訟:弁護士 
  • 登記:司法書士 
  • 許認可:行政書士

同じ不動産業界の国家資格で最もメジャーなのは宅建士にも、不動産の契約における重要事項説明という独占業務があります。

一方、賃貸不動産経営管理士は資格を取得しても、無資格者では取り組むことのできない独占業務の分野は存在しません。

独占業務の有無やその範囲は、資格の希少性に少なからず影響を与えます。

独占業務がないことで、あえて賃貸不動産経営管理士の資格を取る意味は薄いという評価があるのは事実です。


将来的に不可欠な資格になる可能性も

現時点では独占業務がない賃貸不動産経営管理士ですが、将来的には独占業務ができる可能性、希少性の高い不可欠な資格になる可能性も十分に考えられます。

そもそも、従来民間資格だったものが国家資格になること自体、その分野の制度設計の重要性を国家が認識していることを意味しているでしょう。

実際、一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会は今後、賃貸不動産経営管理士が独占業務を持てるよう活動し始めています。

社会全体の流動性が高まる中で、今後も賃貸住宅の需要は増加することが予測されます。

そういった潮流の中で賃貸住宅関連の法整備が進められることは必至であり、今後は独占業務を持つことも含めて、賃貸不動産経営管理士の活躍の場が広がる可能性は十分に考えられます。


まとめ

賃貸不動産経営管理士が国家資格となった背景や、今後の展望について解説しました。

  • 市場の変化から、賃貸不動産業界の法整備が急務となる中で賃貸不動産経営管理士が国家資格となった
  • 2007年に始まった賃貸不動産経営管理士資格は、2021年に国家資格になった
  • 200戸以上を管理する賃貸住宅管理業者は1事務所につき1人、業務管理者(賃貸不動産経営管理士もしくは指定講習を受けた宅建士)を設置する義務がある
  • 賃貸不動産経営管理士の独占業務は存在しない(2023年現在)

賃貸不動産経営管理士は2023年時点では独占業務こそないものの、今後の社会において極めて重要な役割を担う資格であることは間違いありません。

将来的な展望を考えると十分に目指す価値のある資格といえるでしょう。

賃貸不動産経営管理士に興味のある方は、ぜひ資格取得を目指してみてください。


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