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賃貸不動産経営管理士ルートと宅建士ルート、業務管理者になるにはどちらがいい?

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賃貸不動産経営管理士と宅建士がなれる「業務管理者」とは?

業務管理者とは、不動産の売買・賃貸・管理などの業務を担当する責任者のことです。

賃貸不動産経営管理士と宅建士、どちらかの資格を取得して一定の条件を満たせば、業務管理者になることができます。

以下に、業務管理者の仕事内容と設置義務の解説をします。

  • 業務管理者の仕事内容
  • 業務管理者の設置義務

業務管理者の仕事内容

業務管理者の仕事は、賃貸借契約の締結・解約、家賃・敷金・共益費の管理、賃貸住宅の維持管理、入居者の入退去に関わる業務、入居者のクレーム対応など多岐にわたります。

基本的に賃貸物件の運営・管理全般に携わる仕事と理解しておきましょう。

業務範囲が広いため、賃貸住宅管理業法、建物・設備に関する知識、賃貸借契約に関する法律知識など、幅広い知識と経験が求められます。

また、物件オーナーと締結する管理受託契約の内容を明確にすることや、管理状況の定期的な報告も重要な仕事の一つです。

オーナーへ定期的な報告をするうえで、家賃等の金銭収受状況、維持保全の実施状況、入居者からのクレームの発生・対応状況の取りまとめも、業務管理者が中心になり行う必要があります。

業務管理者の設置義務

200戸以上の管理物件をもつ不動産会社は、賃貸住宅管理業の登録が必要です。

また、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(賃貸住宅管理業法)」第12条により、営業所・事業所ごとに1人以上の業務管理者を設置することが義務づけられています。

もし1人以上の業務管理者を選任しなかったときや、業務管理者が欠けた状態で管理受託契約を締結したときは罰則や監督処分の対象となるので、決して怠ってはいけません。

なお、200戸未満の賃貸住宅を管理する不動産会社の場合、賃貸住宅管理業の登録業務がないため業務管理者の設置義務もありません。

しかし、任意で賃貸住宅管理業の登録をし、業務管理者を設置することは可能です。

業務管理者になるためには?

業務管理者になるためには、賃貸不動産経営管理士と宅建士どちらかの資格が必要になります。

ただし、賃貸不動産経営管理士と宅建士で要件が異なるので、それぞれの違いを把握しておくようにしましょう。

業務管理者の要件と、賃貸不動産経営管理士と宅建士の資格所有者が業務管理者になるときの違いを解説します。

  • 業務管理者の要件
  • 賃貸不動産経営管理士ルート
  • 宅建士ルート

業務管理者の要件

賃貸不動産経営管理士と宅建士、それぞれの取得者によって業務管理者になるための要件が異なります。

具体的には以下の通りです。

取得資格
業務管理者になるための要件
賃貸不動産経営管理士 管理業務に関し2年以上の実務経験を有する者
宅建士 管理業務に関し2年以上の実務経験を有し、指定講習を修了した者

つまり賃貸不動産経営管理士の場合、2年以上の実務経験があれば要件を満たせますが、宅建士の場合、加えて指定講習を修了しなければならないので、その分の時間を要します。

ただし、賃貸不動産経営管理士は試験に合格するだけでは要件を満たせません。

合格後に資格登録する必要がある点に注意しましょう。

賃貸不動産経営管理士ルート

賃貸不動産経営管理士が業務管理者になるためのルートは、以下の通りです。

  1. 賃貸不動産経営管理士試験を受け合格する
  2. 実務講習を修了する(ただし、管理業務に関する2年以上の実務経験がある場合は不要)
  3. 賃貸不動産経営管理士の登録手続を行う
  4. 業務管理者になれる

管理業務に関する実務経験が2年以上ある場合、実務講習は不要です。試験合格後すぐに登録が可能となります。

賃貸不動産経営管理士として登録完了すると同時に、業務管理者の要件を満たしたことになります。

宅建士ルート

宅建士が業務管理者になるためのルートは、以下の通りです。

  1. 宅建士試験を受け合格する
  2. 実務講習を修了する(ただし、管理業務に関する2年以上の実務経験がある場合は不要)
  3. 指定講習を修了する
  4. 業務管理者になれる

賃貸不動産経営管理士ルートと同様、管理業務に関する2年以上の実務経験がある場合、実務講習は不要です。

ただし、宅建士ルートの場合、指定講習(賃貸住宅管理業業務管理者講習)を修了しなければなりません。

指定講習は、賃貸不動産経営管理士協議会から委託された団体が実施しています。

全国宅地建物取引業協会連合会と一般社団法人 全国不動産協会では、賃貸住宅管理業にかかわる実務経験が2年以上ある宅建士向けに指定講習を行っており、どちらも受講料は19,800円(税込)です。

インターネット回線を使用したeラーニング講習なので、比較的受けやすいものの、講習時間は10時間です。

賃貸不動産経営管理士ルートと比較すると、1ステップ分、手間を要することになります。

賃貸不動産経営管理士と宅建士ではどっちがおすすめ?

業務管理者になるためには、賃貸不動産経営管理士と宅建士ルートのどっちがおすすめといえるのか、それぞれの特徴を比較しながら解説します。

ただし、その人の仕事や会社の事情などによって適切なルートは異なるので、ご自身の状況を踏まえたうえで考えるようにしてください。

  • 賃貸不動産経営管理士は業務管理者になる最短ルート
  • 宅建士は独占業務がある
  • 難易度としては賃貸不動産経営管理士が取得しやすい

賃貸不動産経営管理士は業務管理者になる最短ルート

最短で業務管理士になりたいなら、賃貸不動産経営管理士ルートが適切といえます。

賃貸不動産経営管理士は宅建士と違い、指定講習なしで業務管理者になれるからです。

また、賃貸不動産経営管理士の場合、試験や講習での学習を通して、業務管理者の仕事内容である賃貸管理全般を学べます。

もちろん、宅建士の試験で学ぶ宅建業法や民法といった法律知識を用いる場面もありますが、賃貸管理で必要な知識は、賃貸不動産経営管理士試験のほうが多いでしょう。

実際の業務で使える知識が身につくので、最短で実力をつけるためにも有効なルートといえます。

宅建士は独占業務がある

一方、宅建士ルートは賃貸不動産経営管理士ルートと比較すると、指定講習が必要な分、少し手間がかかります。

しかし、宅建士には賃貸不動産経営管理士にはない独占業務があります。

宅建士の独占業務とは、具体的には以下の3つです。

  • 重要事項説明
  • 重要事項説明書(35条書面)の記名・押印
  • 契約書(37条書面)の記名・押印

業務管理者として活動する場合、賃貸物件の入居者の賃貸借契約の締結、解約といった業務も行うため、宅建士の独占業務が役に立つこともあります。

また、業務管理者に限らず、将来的に不動産会社などで宅建士として働きたい方にとっては、有効な資格になるでしょう。

難易度としては賃貸不動産経営管理士が取得しやすい

賃貸不動産経営管理士と宅建士の試験を比較すると、賃貸不動産経営管理士のほうが難易度が低く、取得しやすい傾向にあります。

2022年度の合格率を比較すると、賃貸不動産経営管理士が27.7%であるのに対し、宅建士は17.0%です。

ただし、賃貸不動産経営管理士試験は年々難易度が上昇しており、合格率も低下しているので、取得を目指す方は早めに受けることをおすすめします。

一方、宅建士試験は毎年上位15~20%程度の方が合格者となるように、合格点が調整されています。

そのため、合格率が今後大きく変わる可能性は低いといえますが、宅建士の試験難易度も年々上がっているので、十分な対策が必要となります。

賃貸不動産経営管理士と宅建士のダブルライセンスがおすすめ!

賃貸不動産経営管理士と宅建士のどちらかを取得し、一定の条件を満たせば業務管理者になれますが、ダブルライセンスを目指すのもおすすめです。

試験内容が似ており、それぞれの試験で得た知識を活かせるので、効率よく2つの資格の勉強ができるためです。

賃貸不動産経営管理士は「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が成立し、賃貸住宅管理業の「業務管理者」の要件の一つとなりました。

国家資格にもなったことから、今後さらに資格の注目度が上がる可能性があります。

現時点で独占業務はありませんが、学習をすることで賃貸住宅の管理に関する幅広い知識が身につくでしょう。

一方、宅建士は賃貸借契約、売買契約など契約業務の知識がつき、重要事項説明などの独占業務も取得できます。

ダブルライセンスを取得すれば、宅建士が有する契約に関する知識や独占業務と、賃貸不動産経営に関する知識を身につけた専門家になれます。

その結果、不動産業界で活躍の場が大きく広がるでしょう。

まとめ

最後に業務管理者になる場合における賃貸不動産経営管理士ルート、宅建士ルートそれぞれのポイントをおさらいしておきましょう。

  • 業務管理者は、賃貸管理全般に関わる仕事をする
  • 業務管理者になるには、賃貸不動産経営管理士ルートと宅建士ルートがある
  • 賃貸不動産経営管理士ルートは指定講習を受ける必要がないので、最短で業務管理者になれる
  • 宅建士には独占業務があるが、賃貸不動産経営管理士にはない
  • 試験難易度は、宅建士より賃貸不動産経営管理士のほうが低い

賃貸不動産経営管理士は宅建士より合格しやすい試験ですが、年々難易度が上がっているので、勉強時間はしっかりと確保する必要があるでしょう。

忙しい社会人の方はスキマ時間を活用することが大切です。

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