「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」の施行にともない、賃貸住宅管理戸数200戸以上の賃貸住宅管理業者は、事務所毎に、1人以上の賃貸住宅管理の知識・経験等を有する者(業務管理者)を配置する必要があります。この業務管理者の要件として『賃貸不動産経営管理士』が認められたことにより、国家資格となりました。このことにより、賃貸不動産経営管理士の社会的な需要が向上し、取得するメリットも大幅に高まったと言えるでしょう。
業務管理者としてではない不動産管理の業務は、特別な資格がなくても可能ですが、賃貸不動産経営管理士になることで業務の幅が広がり、オーナーや入居者からの信頼獲得にもつながります。
不動産関連法や、設備の取り扱い、修理点検、修繕計画などに関する知識を、資格の取得によって専門的かつ体系的に身に付けることができます。資格を持っていない業者との差別化を図ることもできて、オーナーや入居者へのアピール材料にもなるのです。
またすべての賃貸不動産経営管理士は、倫理憲章にもとづいて管理業務に従事しなければなりません。資格の認定証は、高い倫理観と規範意識を持つ「専門家の証」でもあるわけです。入居者も安心して、トラブル相談などの対応を任せることができます。
不動産管理業を営むうえで、賃貸不動産経営管理士の資格は有力なツールとなります。しかし、専門の管理業者だけにとどまらないメリットがこの資格にはあるのです。
賃貸アパート・マンションを購入して不動産投資にチャレンジする投資家にとっても、賃貸不動産経営管理士の資格は有効です。建物管理や、空室対策、広告活動を行うには一定の知識が必要であり、集中的に学ぶ必要があります。せっかく手に入れた資産も、経営の悪化によって収益が見込めなくなれば、借金だけが増えることに。生活設計に役立つ資産運用に結びつけるためにも、賃貸不動産経営管理士の資格を取得して賃貸経営に関する専門知識と実務スキルを学ぶことが重要です。
一般企業の総務部に務める社員だと、社宅の斡旋や契約手続きを担当することもあるでしょう。不動産業者と直接接して交渉する役割だけに、賃貸住宅に関する基本的な知識があるに越したことはありません。また、入居契約や退去時に関する法的知識をある程度把握しておかなければ、トラブルになったとき会社に不利益を生じてしまうこともあります。賃貸不動産経営管理士になって不動産に関する知識をマスターしておけば、いざというとき冷静な対応が可能となるのです。
賃貸不動産経営管理士が習得する知識は、日常生活との関連性も高いだけに、ビジネスとは関係ない目的で取得する方もいます。賃貸住宅の入居の際、仲介業者である不動産会社との間で契約を結ぶことになりますが、不動産に関する知識において、専門業者と一般人とでは雲泥の差があります。そのため、中には業者主導のまま、受動的に契約を進めてしまうという方も多いでしょう。そこで退去時になって、「敷金が返ってこないのはおかしい」「なぜこちらにリフォーム負担の義務があるのか」などのトラブルが起きてしまうのです。賃貸契約に関する法的知識をきちんと踏まえていれば、業者ともめることもなく、納得するかたちでの入退去が可能となります。
賃貸不動産経営管理士の資格は実用性が高いだけに、就職活動中の学生にとって大きな武器となります。不動産業界での活躍を望むなら、賃貸不動産経営管理士はぜひとも視野に入れておきたい資格です。
不動産業界への転身を考えているビジネスパーソンであれば、宅建と並んで賃貸不動産経営管理士は取得しておきたい資格のひとつ。特に、業界未経験だとアピール力に乏しいため、資格の取得で足りない部分を穴埋めすることが大切です。資格を持っていれば、知識の裏付けになるとともに、面接官に意気込みや本気度なども伝わりやすくなります。採用となれば専門知識と実務スキルが実際の現場で生かされるでしょう。