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賃貸不動産経営管理士の合格率は?難易度が上がっているって本当?

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2023年度(令和5年度)賃貸不動産経営管理士の試験結果

2023年12月26日に一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会から、2023年度(令和5年度)の賃貸不動産経営管理士資格試験実施結果の概要や合格者が発表されました。(下記データは、2024年2月2日に発表された、問49の追加合格の方を含めた数字となります。)

結果を見ると、2023年度(令和5年度)賃貸不動産経営管理士試験は、例年と比較して受験者数が減少した一方、合格率は昨年同様低い結果ということがわかります。

2023年度の試験結果を振り返ってみます。

  • 2023年度賃貸不動産経営管理士試験の受験者数
  • 2023年度賃貸不動産経営管理士の合格点と合格率
  • 2023年度賃貸不動産経営管理士結果の統計

2023年度賃貸不動産経営管理士試験の受験者数

2023年度賃貸不動産経営管理士試験の受験者数は28,299人でした。

国家資格化が発表され、過去最高の受験者となった2021年度試験の受験者数は32,459人。

2021年度試験に比べると、受験者数は減少したことがわかります。

しかし、もともと賃貸不動産経営管理士試験の受験者数は、2015年度まで5,000人未満でした。

賃貸不動産経営管理士の資格は、ここ数年で急激に受験者数が多くなったことがわかります。

2023年度賃貸不動産経営管理士の合格点と合格率

2023年度賃貸不動産経営管理士の合格状況について解説します。

▼合格基準点は50点満点中36点

2023年度賃貸不動産経営管理士の合格基準点は36点でした。

出題される問題数は50問なので、正答率72%で合格できることになります。

ただし、賃貸不動産経営管理士試験は相対評価で合格が決まります。

その年度の難易度によって、合格基準点は変わるので注意しましょう。

実際に、2021年度の合格基準点は40点で、80%以上の高正答率でなければ合格できませんでした。

▼合格率は過去2番目に低い28.2%

2023年度賃貸不動産経営管理士の合格率は28.2%でした。

この合格率は過去最低となっています。

ここ数年「難しい」という声が受験者から上がっている賃貸不動産経営管理士試験。

実際に難化傾向が続いているといえるでしょう。

2023年度賃貸不動産経営管理士試験結果の統計

2023年度賃貸不動産経営管理士の試験統計データは次の通りです。

  • 試験日:11月19日(日)
  • 申込者数:31,547人(前年度 35,026人)
  • 受験者数:28,299人(前年度 31,687人)
  • 受験率:89.7%(前年度 90.5%)
  • 合格判定基準:50問中36問以上(管理士講習修了者は45問31問以上)
  • 合格者数:7,972人(前年度 8,774人)
  • 合格率:28.2%(前年度 27.7%)
  • 平均年齢:43.2歳(前年度 42.9歳)

【参考】一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会「令和5年度 賃貸不動産経営管理士試験の概要」

賃貸不動産経営管理士試験の近年の傾向

賃貸不動産経営管理士試験は、ここ数年で傾向が変わってきています。

具体的には受験者数の増加、合格率の低下が大きな特徴です。

2021年に国家資格化したことや、賃貸住宅市場の拡大に伴い、賃貸住宅の管理業務に従事する人の需要が高まっていることなどが理由として考えられます。

実際にどのような程度の変化があったのか、データをもとに解説します。

  • 合格率や合格点の推移
  • 近年の難易度が上がっている!

合格率や合格点の推移

賃貸不動産経営管理士試験の受験者数・合格者数・合格率・合格点は、以下の通り推移しています。

ここ数年、受験者数が急激に増え、合格率が下がっていることがわかるでしょう。

年度 受験者数 合格者数 合格率 合格点
平成25年度 3,946人 3,386人 85.8% 28点
平成26年度 4,188人 3,219人 76.9% 21点
平成27年度 4,908人 2,679人 54.6% 25点
平成28年度 13,149人 7,350人 55.9% 28点
平成29年度 16,624人 8,033人 48.3% 27点
平成30年度 18,488人 9,379人 50.7% 29点
令和元年度 23,605人 8,698人 36.8% 29点
令和2年度 27,338人 8,146人 29.8% 34点※
令和3年度 32,459人 10,240人 31.5% 40点※
令和4年度 31,687人 8,774人 27.7% 34点※
令和5年度
28,299人 7,972人 28.2%
36点※

※令和2年度試験から出題数が従来の40問から50問に変更されました。

近年の難易度が上がっている!

合格率の変化からわかるように、賃貸不動産経営管理士試験はここ数年の間に難易度が上がっています。

2014年度(平成26年度)は70%を超えていた合格率が、翌年から50%台に落ち、2019年度(令和元年度)以降は30%台、20%台まで下落しているため、今後さらに難易度が高まることが予想されます。

2017年度(平成29年度)から出題形式が変わったことも、合格率の低下に影響を与えたようです。

従来は正誤を問う内容が基本でしたが、個数を当てる個数問題や、どの組み合わせが正しいかを問う組み合わせ問題が出題されるなど、より正確な知識が要求されるようになりました。

また、受験者数は2014年度(平成26年度)の4,188人に対して、2022年度(令和4年度)は31,687人と10倍近くまで伸びています。

国家資格となって注目が高まっていることから、今後も賃貸不動産経営管理士試験の受験者は増加する可能性が高いといえます。

賃貸不動産経営管理士は「意味がない説」は本当?

近年、国家資格にもなり、注目度が上がっている賃貸不動産経営管理士ですが「取得しても意味がない」という声があるのも事実です。

なぜ意味がないと考えるのか、具体的な理由について解説します。

  • 意味ない説(1)独占業務がないから
  • 意味ない説(2)宅建士資格で業務管理者になれるから

意味ない説(1)独占業務がないから

独占業務とは一定の資格を有する人しか実施できない業務のことです。

賃貸不動産経営管理士には現在のところ独占業務がなく、この点を理由に取得しても意味がないと考える人もいます。

たとえば不動産系の独占業務資格では宅建士、管理業務主任者、不動産鑑定士などが代表的な事例です。

上記の資格は独占業務があるのに加え、取得難易度も高いため、資格を所有しているだけでも企業などから重宝される傾向にあります。

一方、賃貸不動産経営管理士は知識の証明にはなるものの、独占業務資格ではないので、取得しなくても業務に支障が出ることはないでしょう。

そのため、宅建士、管理業務主任者、不動産鑑定士のような独占業務資格が持つ強みがないのも事実です。

しかし、賃貸不動産経営管理士は比較的新しい資格であり、2021年新たに国家資格になったため、今後独占業務ができる可能性もあるでしょう。

意味ない説(2)宅建士資格で業務管理者になれるから

賃貸不動産経営管理士の資格は、業務管理者になるための要件の1つです。

業務管理者とは不動産の売買・賃貸・管理などの業務を管理する責任者のことであり、200戸以上の管理物件をもつ不動産会社は、営業所または事業所ごとに1名以上の業務管理者を設置することが義務づけられています。

しかし、業務管理者は賃貸不動産経営管理士以外でもなることが可能です。

業務管理者の要件としては「賃貸不動産経営管理士+2年以上の実務経験」または「宅建士+指定講習+2年以上の実務経験」なので、宅建士を取得していれば業務管理者になれます。

宅建士は不動産の売買や賃貸、仲介を行う際に必要な国家資格です。

宅建業を営む不動産会社は、専任の宅建士を事務所ごとに5人に1人以上の割合で設置しなければならないので、不動産会社にとっては非常に重要な資格といえます。

そのため、取得に力を入れる会社が多いのですが、宅建士を取得していれば賃貸不動産経営管理士は不要なので、資格として価値が低いという考えがあるのも事実です。

【あわせて読みたい】賃貸不動産経営管理士は意味ないという声もあるが本当?

賃貸不動産経営管理士を取得するならお早めに!

これから賃貸不動産経営管理士の取得を目指す方は、早めに受験することをおすすめします。

早めに取得したほうが良い理由を4つ紹介します。

  • 国家資格になって難化傾向にあるから
  • 独占業務が与えられる可能性があるから
  • ほかの不動産系の資格よりも取得しやすいから
  • 資格を生かすためには登録が必要だから

国家資格になって難化傾向にあるから

ここまで述べてきたように、賃貸不動産経営管理士試験は近年難化傾向にあります。

過去の推移を見ると、受験者数が大幅に増えている一方、合格率は年々落ちているので、難しくなっていることは明らかです。

数年間でこれほど受験者数や合格率が変わった資格試験はあまり見られず、稀なケースといえるでしょう。

さらに2021年に国家資格になったことで、今後もっと試験問題が難しくなる可能性があります。

また、ここ数年で受験者数が急増しており、資格の知名度も高まっているので、難化傾向はしばらく続くものと予想されます。

試験の出題傾向が大幅に変わる可能性もあるため、資格取得を目指している人は早めに勉強を始めたほうが良いでしょう。

独占業務が与えられる可能性があるから

賃貸不動産経営管理士は独占業務資格ではありませんが、国家資格になったことで独占業務が与えられる可能性があります。

たとえば、現在のところ、業務管理者は宅建士と賃貸不動産経営管理士のどちらの資格でもなれます。

しかし、今後はそれぞれの役割が分けられ、賃貸不動産経営管理士でなければ行えない業務が設けられるかもしれません。

もし独占業務資格になれば、資格としての魅力が大きく高まるので、受験者数はさらに増加するでしょう。

一般的に人気資格となり受験者数が増加すれば、受験者のレベルも上がるため、合格率調整のために試験難易度が上昇する傾向にあります。

そのため、賃貸不動産経営管理士試験が易化する見込みは低く、反対により難しくなる可能性のほうが高いので、先送りするよりも今のうちに受験したほうが合格しやすいと考えられます。

ほかの不動産系の資格よりも取得しやすいから

難化傾向にある賃貸不動産経営管理士ですが、ほかの不動産系の資格よりは取得しやすい資格といえます。

たとえば不動産系の資格として人気の高い宅建士・マンション管理士と比較すると、2023年度試験の受験者数・合格率は以下の通りです。

資格名
受験者数
合格者数
合格率
賃貸不動産経営管理士

28,299名

7,972名

28.2%

宅建

233,276

40,025

17.2%

マンション管理士

11,158

1,125

10.1%

合格率を見ると、賃貸不動産経営管理士の合格率がもっとも高く、3つの中では合格しやすいことがわかります。

受験者数も近年大幅に増えたとはいえ、宅建と比較すると7分の1以下なので、競争が激しい試験というわけではありません。

試験範囲も宅建、マンション管理士よりは少ないので、不動産系の資格の中では取得しやすい分類に入るといえるでしょう。

また、国家資格の中でも取得しやすい難易度の資格なので、初めに取得する不動産資格としてはおすすめです。

資格を生かすためには登録が必要だから

賃貸不動産経営管理士の資格試験に合格しても、すぐに資格を活かして活躍できるわけではありません。

賃貸不動産経営管理士協議会へ申請して資格登録することで、初めて賃貸不動産経営管理士として業務が行えるようになります。

ただし、資格登録するためには、以下の条件のどちらかを満たす必要があります。

(1)管理業務に関し2年以上の実務の経験を有する者

(2)その実務の経験を有する者と同等以上の能力を有する者

このうち(2の条件は、実務経験2年とみなす講習(賃貸住宅管理業務に関する実務講習)の修了によって認められます。

そのため、実務経験がない方は実務講習を受けたうえで登録するのが一般的です。

まとめ

最後に賃貸不動産経営管理士の合格率について、ポイントをおさらいしておきましょう。

  • 近年の賃貸不動産経営管理士試験は受験者数が大きく増加する一方、合格率は年々低下している。
  • 2023年度の合格率は過去2番目に低いの28.2%で、試験は難化傾向にある。
  • 賃貸不動産経営管理士に独占業務はないが、2021年に国家資格になったので、今後与えられる可能性がある。
  • 国家資格になった関係で、試験はさらに難化するかもしれない。
  • 今後も試験難化が予想されるため、賃貸不動産経営管理士の取得を目指すなら早めの受験がおすすめ。

賃貸不動産経営管理士の難易度は年々上がっており、過去問対策だけでは対応できないこともあるでしょう。そのため、勉強時間はしっかりと確保する必要があります。

忙しい社会人の方はスキマ時間を活用することが大切です。スキマ時間を徹底活用したい方はスタディング賃貸不動産経営管理士講座をぜひチェックしてみてください。