危険物取扱者には「甲種・乙種・丙種」がある
危険物取扱者の資格は、甲種・乙種・丙種があり、そのなかでも乙種は6種類に分かれます。合計8つの種類があり、それぞれ取り扱える危険物の種類が異なります。
甲種
◆受験資格
甲種試験を受験するには、次の条件のうちどれかひとつを満たす必要があります。
- 大学・短大・高専学校などで化学に関する学科を修めて卒業した者
- 大学・短大・高専学校などで化学に関する科目を15単位以上修得した者
- 乙種危険物取扱者資格を持ち、かつ実務経験が2年以上ある者
- 修士・博士の学位を持つ者
申込みの際は、それぞれ学力・学位などを示す証明書類の提出が必要です。
◆試験の方法と試験時間
- 五肢択一式、マーク・カード方式
- 試験時間:2時間30分
◆合格率
2017年度の危険物取扱者甲種試験の合格率は、37.6%。16,824名が受験して、合格者は6,329名でした。
◆取り扱える危険物の種類
全種類の危険物の取り扱いができます。
乙種
◆受験資格
受験資格は特になく、学歴・経歴関係なくどなたでも受験可能です。
◆試験方法と試験時間
- 五肢択一式、マーク・カード方式
- 試験時間:2時間
◆合格率
2017年度の危険物取扱者乙種の合格率は、合計で41.3%。1類~6類それぞれの合格率は次の通りです。
- 第1類:67.7%
- 第2類:70.4%
- 第3類:68.7%
- 第4類:34.4%
- 第5類:68.6%
- 第6類:62.9%
4類のみ、合格率が低いのが特徴です。この背景には、4類の受験率が高いこと、4類以外の試験には免除科目があることが考えられます。ちなみに、この年の乙種受験者の数は247,537名。全受験者のうち、8割近くが乙種受験者となります。
◆取り扱える危険物の種類
- 第1種:塩素酸塩類・過塩素酸塩類・亜塩素酸塩類・ヨウ素酸塩類など
- 第2種:硫化りん・赤りん・硫黄・金属粉・マグネシウムなど
- 第3種:カリウム・ナトリウム・アルキルリチウムなど
- 第4種:ガソリン・アルコール酸・灯油・軽油・重油・動植物油類など
- 第5種:有機過酸化物・硝酸エステル類・ニトロ化合物・アゾ化合物など
- 第6種:過塩素酸・過酸化水素・硝酸・ハロゲン間化合物など
乙種4類試験では、ガソリンや軽油・重油といった引火性液体に関する知識が問われます。危険物取扱の実務において、もっとも有効となる範囲だけに、受験者も多い傾向です。
丙種
◆受験資格
乙種と同じく、学歴・経歴関係なく、どなたでも受験可能です。
◆試験方法と試験時間
- 四肢択一式、マーク・カード方式
- 試験時間:1時間15分
◆合格率
2017年度の危険物取扱者丙種試験の合格率は、51.2%。25,829名の受験者のうち、合格したのは13,213名です。
◆取り扱える危険物の種類
ガソリン、灯油、軽油、重油などの引火性液体が取り扱い可能です。ただし、立ち会いはできません。
試験科目と合格基準
甲種 | ||
試験科目 | 問題数 | 合格基準 |
危険物に関する法令 | 15問 | 各試験科目の成績が それぞれ60%以上 |
物理学及び化学 | 10問 | |
危険物の性質並びに その火災予防及び消火の方法 |
20問 | |
乙種 | ||
試験科目 | 問題数 | 合格基準 |
危険物に関する法令 | 15問 | 各試験科目の成績が それぞれ60%以上 |
基礎的な物理学及び基礎的な化学 | 10問 | |
危険物の性質並びに その火災予防及び消火の方法 |
10問 | |
丙種 | ||
試験科目 | 問題数 | 合格基準 |
危険物に関する法令 | 10問 | 各試験科目の成績が それぞれ60%以上 |
物理学及び化学 | 5問 | |
燃焼及び消火に関する基礎知識 | 10問 |
甲種・乙種・丙種の試験科目は、大きく分けると「法令」「物理・化学」「危険物の性質」です。ただし、甲種は、3科目とも全体的に問題の難易度が上がりますので、しっかり対策をとる必要があります。
合格基準は、いずれの試験も3科目すべて60%正解しないと合格できません。たとえ1科目の点数が特別に高くても、別の科目で60%を下回れば不合格となる点に注意が必要です。
甲種試験以外は受験資格もなく、フリーで受けられます。乙種のどの種類を受験するか、あるいは丙種から受けるか迷う方もいるでしょう。就職を目指す業界がどんな危険物を取り扱っているのか、見極めながらチャレンジする種類を選んでください。