危険物取扱者の資格について
危険物取扱者になるには、危険物取扱者試験に合格し、都道府県知事から免状の交付を受けなければなりません。同試験は、取り扱い(立会いも含む)できる危険物の種類により、8種類に分かれます。
危険物取扱者とは?
危険物取扱者は、消防法で定められた危険物管理に許可を与える国家資格です。ガソリンスタンドや工場などで危険物と指定されたものを取り扱う場合は、必ず危険物取扱者の資格を有する従業員が担当しなければなりません。
消防法では、ガソリンや石油類、金属粉など、火災の危険性の高い燃焼物を「危険物」として指定しています。それらを大量に製造・貯蔵・管理・活用する職場は、塗料メーカーや燃料工場、印刷工場、薬品会社、ガソリンスタンドなど。危険物を取り扱う業種は幅広く、有資格者は多方面で活躍しています。
危険物取扱者試験を受けるには
危険物取扱者試験は大きく「甲種」「乙種「丙種」の3つに分けられます。乙種・丙種の受験に学歴や経歴などの特別な制限はありませんが、甲種を受験する場合、次の条件のうちどれかひとつを満たす必要があります。
- 大学・短期大学・高等専門学校で化学に関する学科、課程を修了し、卒業した者。または、これに相当する学力を有する者
- 乙種危険物取扱免状を交付された後、危険物製造会社などで2年以上の危険物取扱業務経験を有する者
- 修士・博士の学位を有する者(化学に関する学科または課程)
甲種に合格すると、全種類の危険物が取り扱えるようになります。乙種・丙種は認められた危険物以外の取り扱いはできません。
大学で化学を専攻していた受験者は、甲種試験の受験資格が得られると同時に、予備知識があるため試験勉強も優位に進められるでしょう。ただ、消防法などの法律知識も必要なことから、条文を理解するスキルも求められます。
合格基準と合格率
甲種・乙種・丙種いずれも3つの試験科目でそれぞれ60%以上正解しなければなりません。3科目中1科目でも合格基準に達しなければ不合格となります。
危険物取扱者の合格率は、甲種、乙4種で30%程度です。乙種のそのほかの種類は、いずれも60%程度。4種のみ合格率が低いのは、受験者が多く、個人の学習意欲やレベルに差があるためと見られます。また、乙1種・2種・3種・5種・6種では、乙4種に合格すると「法令」および「物理と化学」の2科目が免除されるため、合格しやすい面は否めません。
危険物取扱者になる近道は?
資格の取りやすさを重視する場合は、比較的難易度の低い乙種の1類・2類・3類・5類・6類もしくは丙種を受験するのがいいでしょう。一方で、資格の有効性で考えれば、甲種は別として、もっとも取得をおすすめしたいのは乙種4類です。乙種4類で学ぶ第4類危険物は、危険物全体の約80%を占めています。つまり、この試験にクリアすることで、ほとんどの危険物を取り扱えるようになります。さらに、ガソリンや灯油、軽油、重油などの「引火性液体」を扱うことも可能です。
「乙種4類を取得したい!」という方は、学習時間を確保し、学習計画を立てたうえで、試験勉強に取りかかってください。合格率30%と甲種並みに低いものの、取得すれば就職活動の選択肢が広がります。
大学の化学部出身の方は、ぜひ甲種にトライしてみましょう。すべての危険物が対象範囲となり、化学工場やガソリンスタンド、薬品メーカーなどでの就職・転職が有利に運びます。