貸金業務取扱主任者の年収は?求人はある?転職できる? 

賃金業務取扱主任者は難易度の割にコスパの良い資格です。

貸金業務取扱主任者は設置義務がある国家資格なので、貸金業界でのキャリアアップや転職に役立つ資格だからです。

試験に合格すれば資格手当や昇進によって、年収アップも期待できます。

そこで、貸金業務取扱主任者の概要や年収の相場、高収入を得られる理由を解説します。

賃金業務取扱主任者とはどのような資格?

貸金業務取扱主任者は、貸金業を営む上で必須となる国家資格です。

まずは、この資格の概要について確認していきましょう。

貸金業法に基づく国家資格で設置義務がある

貸金業務取扱主任者は、貸金業法(第十二条の三)によってその設置が義務付けられている国家資格です。

貸金業者は、その貸金業の業務に従事する従業員50人につき1人以上の割合で、この資格を持つ者を置かなければなりません。

この設置義務があるため、貸金業務取扱主任者は常に一定の需要があります。

貸金業界で安定したキャリアを築きたい方にとって、非常に価値のある資格といえるでしょう。

なお、「銀行員に有利な資格」というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、銀行では貸金業法ではなく銀行法が適応されているのもあり、貸金業務取扱主任者を配置する義務はありません。

銀行の業務で求められるのは、主に証券外務員やFP(ファイナンシャルプランナー)といった資格です。

もちろん、貸金業務取扱主任者の資格は銀行を含めた金融業界全体で広く役に立ちますが、どちらかと言えば消費者金融、クレジットカード会社、信販会社、債権回収会社など、より直接的に「貸金」を専門とする企業でその真価を発揮します。

初学者が独学でも合格を目指せる資格

貸金業務取扱主任者試験は、初学者でも独学で十分に合格を目指せる資格です。

毎年約1万人が受験し、合格率は例年30%前後で推移しています。

これは、他の難関国家資格と比較しても、比較的挑戦しやすい水準と言えるでしょう。

具体的な合格率や合格点は下記のとおりです。

年度受験者数合格者数合格率合格基準点(満点は50点)
令和6年度(2024年度)9,250人2,998人32.4%30点
令和5年度(2023年度)9,448人2,928人31.0%31点
令和4年度(2022年度)9,950人2,644人26.6%28点
令和3年度(2021年度)10,491人3,373人32.2%31点
令和2年度(2020年度)10,533人3,567人33.9%33点
令和元年度(2019年度)10,003人3,001人30.0%29点
平成30年度(2018年度)9,958人3,132人31.5%32点
平成29年度(2017年度)10,214人3,317人32.5%34点
平成28年度(2016年度)10,139人3,095人30.5%30点
平成27年度(2015年度)10,186人3,178人31.2%31点

合格に必要な勉強時間の目安は約180時間とされており、計画的に学習を進めれば、3カ月程度の短期集中で合格を目指すことも可能です。

貸金業務取扱主任者の年収相場はどのくらい?

貸金業務取扱主任者の資格を活かせる職場は、主に金融業界に属する企業です。

そして、国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によれば、「金融業・保険業」の平均年収は652万円となっています。

その一方で、日本全体の給与所得者の平均年収は460万円と示されていますので、金融業界の平均年収は比較的高い水準であることがわかります。

参考:国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」

ここで、貸金業務取扱主任者の資格が特に活かされる業種の中途求人における年収相場を見てみましょう。

dodaの平均年収データ(2023年9月~2024年8月の1年間にdodaサービスに登録した約60万人のデータ)を参考に、以下の表にまとめました。

業種カテゴリ平均年収
クレジット/信販486万円
消費者金融482万円
リース538万円
住宅ローン454万円
債権回収453万円

参考:転職サービスdoda「平均年収ランキング(業種別の年収情報)【最新版】」

このように、中途求人においても日本全体の平均と同程度もしくはそれを超える水準となっています。

さらに、貸金業務取扱主任者のような専門資格を持つ人材であれば、即戦力として給与面で優遇され、上記の表の金額を大きく超える年収となることも少なくありません。

資格手当や報奨金はある?資格取得のメリットとは?

貸金業務取扱主任者の資格は、金融業界で働く上で多くのメリットをもたらします。

ここからは、収入面や昇進、転職についてなど、具体的なメリットの内容をいくつかご紹介します。

資格手当や報奨金を支給する企業もある

貸金業務取扱主任者の資格を取得すると、多くの企業で資格手当や報奨金の支給対象となります。

貸金業法によって設置が義務付けられている国家資格ですので、その保有者は高く評価される傾向にあるのです。

資格手当の金額は企業によって異なりますが、月額5,000円〜2万円程度が一般的です。

たとえば、月額5,000円の手当がついた場合、年間では6万円の収入アップになります。

これが10年間続けば、単純計算で60万円もの追加収入となる計算です。

また、資格取得時に一時金として数万円から十数万円の報奨金を支給する企業も少なくありません。

昇進の条件に!資格取得で年収アップも可能

貸金業務取扱主任者の資格は、単なる手当の支給にとどまらず、昇進・昇格の重要な条件となるケースもあります。

特に貸金業を営む企業では、営業所の責任者など管理職のポジションに就くために、この資格が必須とされることが一般的です。

これは、貸金業務取扱主任者が、その営業所における法令遵守の責任者として極めて重要な役割を担うためです。

また、責任ある立場に昇進できれば、それに伴い基本給の増額や役職手当の支給などが実施されることが多いため、結果として年収の大幅なアップが期待できます。

貸金業務取扱主任者の資格取得は、将来のキャリアパスを広げ、より高みを目指すための「投資」ともいえるでしょう。

高収入の求人も多数!転職市場でも有利に!

貸金業務取扱主任者の資格は、転職市場においても非常に有利に働きます。

特に、年収600万円〜1,000万円といった高収入の求人で、資格保有が必須または歓迎条件とされているケースが数多く見受けられます。

これは、貸金業法に基づく設置義務により、常に一定の需要が存在するためです。

また、貸金業務取扱主任者の資格は、貸金業を専業とする企業だけでなく、銀行や信用金庫といった金融機関でも高く評価されます。

特に、個人向けローン業務を担当する部署では、この資格を持つ人材が重宝される傾向にあります。

より良い条件やキャリアアップに直結する転職を実現したい方にとって、この資格は大きな武器となるでしょう。

貸金業務取扱主任者はコスパがいい?他の国家資格と難易度を比較すると?

貸金業務取扱主任者資格は、その取得難易度とメリットを考慮すると、「コストパフォーマンス(コスパ)が良い国家資格」であると言えます。

約180時間という比較的短い勉強時間で取得を目指せるにもかかわらず、貸金業界での安定したキャリア形成や、場合によっては大幅な年収アップも期待できるためです。

ここで、貸金業務取扱主任者と、よく比較検討される他の国家資格(宅建、FP2級、行政書士)の合格率、必要な勉強時間、そして資格が有利に働く業界などを比較してみましょう。

資格名合格率(目安)必要な勉強時間(目安)有利な業界・分野
貸金業務取扱主任者30%前後180時間程度消費者金融、クレジットカード、信販、リース、ファクタリングなど金融業界全般
宅建(宅地建物取引士)15~17%200~300時間程度不動産、建設、金融(不動産関連)
FP2級(日本FP協会)学科:40~50%実技:50~60%150~300時間程度金融(銀行、証券、保険)、不動産、コンサルティング
行政書士10%前後500~1,000時間程度行政書士事務所、法律事務所、企業法務、コンサルティング

この比較表を見ると、貸金業務取扱主任者は、行政書士に比べて合格率が高く、必要な勉強時間は大幅に短いことがわかります。

宅建やFP2級と比較しても、勉強時間は同等かそれ以下でありながら、金融業界の特定分野で設置義務があるため、資格取得後の需要が非常に明確です。

また、前述の通り、金融業界では日本全体の平均年収を上回る水準の企業が多く存在します。

そのような企業での昇進・昇格や、高収入の求人応募に繋がることを考えると、比較的短期間の学習で専門性と市場価値を高められる貸金業務取扱主任者の資格は「費用対効果の高い資格」といえるでしょう。

まとめ

今回は、貸金業務取扱主任者の概要や年収について解説しました。

  • 貸金業務取扱主任者は、貸金業法により設置が義務付けられている資格
  • 初学者でも約180時間程度の学習で合格を目指せる難易度である
  • 金融業界の平均年収は高く、この資格を持つことでさらなる優遇も期待できる
  • 資格手当や報奨金の支給により収入アップに繋がるほか、昇進・昇格、転職にも有利にはたらく
  • 比較的短い勉強時間で高い需要と収入アップが見込める、コスパの良い資格と言える

貸金業務取扱主任者資格は、金融業界でのキャリアを大きく広げるための確かな足がかりとなります。

ご興味のある方は、ぜひ取得を目指してみてください。