看護師国家試験の過去問をチェック

看護師国家試験対策として、必ず向き合わなければならないのが過去問。

看護師国家試験では、試験の質や難易度を一定に保つために、過去問のプール制が採用されています。
今回は、看護師国家試験の過去問プール制について解説した後、出題範囲の概要や過去の出題例をご紹介します。


目次

  1. 看護師国家試験の過去問プール制とは?
  2. 必修問題の単元とその出題例
  3. 一般問題の単元とその出題例
  4. 状況設定問題の単元とその出題例
  5. まとめ

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看護師国家試験の過去問プール制とは?

冒頭でも説明したように、看護師国家試験では、過去問のプール制が採用されています。プール制とは、あらかじめ問題をストックしておき、同じ問題や改変した問題を出題する方法のことです。看護師国家試験では、試験の質や難易度を保つために、2004年から採用されました。

プール制の問題には、問題文や選択肢がほとんど同じ問題と、問題文や選択肢は異なるものの、ほとんど同じ内容が問われる問題に分類されます。この2種類の問題を合わせると、看護師国家試験では約25%がプール制の問題です。

看護師国家試験には、ボーダーラインが設定されています。ボーダーラインとは、合格に必要な最低点数のことで、「合格基準点」とも呼ばれます。看護師国家試験では、必修問題・一般問題・状況設定問題のすべてにボーダーラインが設定されているため、全体の25%を占めるプール制の問題を確実に正解することが合格への近道です。


必修問題の単元とその出題例

看護師国家試験の問題は、大きく分けて必修問題・一般問題・状況設定問題の3種類に分けられます。そのうち、必修問題全50問、1問1点の問題が50問出題されます。配点はそれほど大きくありませんが、正答率80%(40点)というボーダーラインが設定されており、それを満たしていないと他の問題の成績が良くても合格できません。そのため、プール制の問題は確実に正解しておきたいところです。

必修問題で出題されるのが、看護師として働く際に必要となる、基礎的な知識です。看護師の社会的な役割や必要性、職業倫理などについて問われます。その他には、病院以外で看護師を必要としている職場に関する知識や、人体構造、健康障害などについても出題されます。看護師全般に関する基本的な理解が問われると考えましょう。


必修問題の出題例

必修問題では、さまざまなジャンルの問題が出題されるため、傾向をつかんでおくことが大切です。
こちらでは、過去に出題された問題の一例をご紹介します。

【健康の定義と理解】第107回試験 午後1問
世界保健機関「WHO」が定義する健康について正しいのはどれか。

1.単に病気や虚弱のない状態である。
2.国家に頼らず個人の努力で獲得するものである。
3.肉体的、精神的及び社会的に満たされた状態である。
4.経済的もしくは社会的な条件で差別が生じるものである。
解答:3
1948年に制定されたWHO憲章には、「健康とは単に疾病や障害がないというだけではなく、身体的にも、精神的にも、社会的にも安全に安寧な状態である」と定義されています。そのため、3の選択肢が正解です。


【看護に関わる基本的法律】第105回試験 午後5問

医師の指示がある場合でも看護に禁止されている業務はどれか。


1.静脈内注射

2.診断書の交付

3.末梢静脈路の確保

4.人工呼吸器の設定の変更

解答:2
医師法では、死亡診断書を含む診断書全般について、医師の交付義務を規定しています。そのため、たとえ医師からの指示があった場合でも、看護師が行うことはできません。その他の業務については、「相対的医行為」と呼ばれ、医師の指示を受けて行えます。



一般問題の単元とその出題例

一般問題は、厚生労働省の「看護師国家試験出題基準」に定められた11科目について、一問一答形式で出題されます。11科目の内訳は、以下の通りです。

  • 人体の構造と機能
  • 疾病の成り立ちと回復の促進
  • 健康支援と社会保障制度
  • 基礎看護学
  • 成人看護学
  • 老年看護学
  • 小児看護学
  • 母性看護学
  • 精神看護学
  • 在宅看護論
  • 看護の統合と実践

上記のように、一般問題の出題範囲は多岐にわたっており、単に知識を暗記するだけでは対応できません。
内容に関する理解を深めることが大切です。

一般問題の配点は各1点で、130問の出題で130点満点となっており、看護師国家試験のなかでもっとも多くの割合を占めています。その年によっても異なるものの、およそ6〜7割前後がボーダーラインです。

また、11科目が均等に出題されるわけではなく、科目ごとに出題率が異なります
近年は、現場で役立つ知識が優先される傾向にあり、基礎看護学・成人看護学・健康支援と社会保障制度などの科目が多く出題されています。反対に、看護の統合と実践や在宅看護学などの科目は、あまり出題されていません。このような傾向を踏まえて、一般問題の対策を行いましょう。


一般問題の出題例

こちらでは、一般問題の過去の出題例をご紹介します。傾向を掴む際にお役立てください。

【基礎看護学】第109回 午後38問

判断能力のある成人患者へのインフォームド・コンセントにおける看護師の対応で適切なものはどれか。


1.患者の疑問には専門用語を用いて回答する。

2.今後の治療に関しては医療者に任せるように話す。

3.治療方針への同意は撤回できないことを説明する。

4.納得ができるまで医師からの説明が受けられることを伝える。

解答:4

インフォームド・コンセントに関する問題は、設問や選択肢を変更して何度も出題されている、プール問題です。確実に正解を導き出したいところです。インフォームド・コンセントとは、患者や家族が病状や治療内容について十分な説明を受け、納得したうえで同意することを指します。そのため、「納得できるまで説明を受けられる」とした4が正解となります。



状況設定問題の単元とその出題例

状況設定問題とは、必修問題や一般問題のように単なる知識が問われるのではなく、具体的な状況をもとに看護師の行動として正しいものを選択するテーマです。出題される科目は、多くが一般問題と重なっていますが、設問分の長さや問題のテイストが異なります。

状況設定問題の出題数は60問で、各2点の120点満点です。ボーダーラインは毎年上下しますが、60〜70%が一般的です。


状況設定問題の出題例

こちらでは、状況設定問題の過去の出題例をご紹介します。問題文の特徴やテイストを確認してみましょう。

【在宅看護論】第109回試験 午後72問

Aさん(78歳、男性)は、妻(75歳)と2人暮らし。脳梗塞の既往がある。妻から「最近、夫は食事をむせずに食べることができるが、口の中に食べ物が残っていることが多い。夫の食事について助言が欲しい」と訪問看護師に相談があった。

妻への訪問看護師の助言で適切なのはどれか。


1.「食事にとろみをつけましょう」

2.「自助具を使って食事をしましょう」

3.「口に入れる1回量を少なくしましょう」

4.「食事前に舌の動きを促す運動をしましょう」

解答:4
Aさんは、誤嚥(ごえん)の症状はないものの、口の中に食べ物が残る「口腔相」のトラブルが発生していると考えられます。口腔相は、食事前に舌の動きを活性化させておき、食べ物を喉の奥に送りやすくするのが効果的。そのため、4が正解となります。




まとめ

看護師国家試験は、過去問のプール制が採用されており、全体の4分の1程度は過去に出題された問題を改変しています。そのため、過去問をやり込んでいれば、25%は確実に正解でき、合格へ近づくことができます。看護師国家試験に挑戦する場合は、必ず過去問に目を通しましょう。

過去問はインターネットや書籍でも確認できますが、オンライン講座を受講すると便利です。
設問に対する具体的な解説も行われるため、疑問点の解消に役立ちます。

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