看護師は、患者のお世話や医師のサポートを行い、看護サービスを提供する重要な仕事です。特に、新型コロナウイルス感染症の流行により、医療職に従事する方の活躍が随所で報道され、目指すきっかけとなった方も多いでしょう。
看護師として働くには、国家試験を受けて看護師資格を取得しなければなりません。今回は、看護師国家試験を受けるために通う必要がある、学校の種類をご紹介します。
看護師になるまでのプロセス
看護師として働くには、毎年2月の中旬に行われる看護師国家試験を受験し、看護師資格を取得する必要があります。そして、看護師国家試験を受験するには、文部科学大臣の指定した学校、もしくは厚生労働大臣指定の養成所で必要な学科を履修し卒業しなければなりません。
文部科学大臣指定の学校には、4年制大学や3年制の短期大学、専門学校などがあります。つまり、これらの学校に通い必要な学科を履修していなければ、試験の受験資格を得ることさえできないのです。これから看護師を目指す場合は、自分に受験資格があるかどうか確認したり、上記を踏まえて今後の進路を選んだりしましょう。
看護学校の種類
看護師国家試験の受験資格を得るためには、各種看護学校に通う必要があります。従来は看護系の専門学校を選ぶのが一般的でしたが、近年では4年制大学を選ぶ学生も少なくありません。こちらでは、それぞれの学校の特徴や学べる内容を深掘りします。学校選びの参考にしてください。
4年制大学
近年は、看護学部のある4年制大学が充実しています。そのため、3年制の専門学校ではなく、4年間看護についてしっかりと学んでから社会に出る方も増えています。短期大学や専門学校と比べると現場に出るのは1年遅れるものの、看護について深く学びたい方や、まだ進路が固まっておらず別の学問にも触れたい方におすすめの進路です。
4年制大学で学べる内容は、大きく「基礎分野」と「専門分野」に分けられます。人と関わることの多い看護師は、人間や社会に対する理解が欠かせません。基礎分野では、社会学や心理学、倫理学、経済学、語学などを学び、社会生活で必要となる知識や、幅広い視野を身につけます。
専門分野では、看護師として現場で活躍するために必要な知識を学びます。具体的には、基礎看護学、成人・老人・小児看護学、在宅看護論、病院実習など。内容は短期大学や専門学校と大きく変わりませんが、ひとつの分野についてより深く学ぶことが可能です。
4年制大学では、このほかにも解剖学や生理学、栄養学、看護学とはあまり関係ない一般教養などについても学びます。さらに、大学によっては、「保健師」や「助産師」になるために必要な授業を実施しているケースもあり、看護師だけでなくさまざまな角度から将来について考えられます。
大学院
看護系の大学に通う中で、より深く学びたい分野が見つかったら、大学院に進学し「専門看護師」を目指す方法もあります。専門看護師とは、特定の分野について高い看護技術と知識を有する看護師のことで、日本看護協会が認定する資格です。
専門看護師の資格を取得するには、看護師の資格を取得した上で看護系の大学院に通い、認定審査を受ける必要があります。実務研修の経験も求められるため、すぐに取得できるわけではありませんが、大学院に進学することで将来的に専門看護師の道が見えてくる可能性もあります。大学卒業後に看護師として働き、現場の知識を身につけてから大学院に通う方もいるようです。
専門看護師が扱う分野は、主に以下の13種類に大別され、2020年12月時点で「2,733人」の方が活躍しています。
・がん看護 ・精神看護 ・地域看護 ・老人看護 ・小児看護 ・母性看護 ・慢性疾患看護
・急性、重症患者看護 ・感染症看護 ・家族支援 ・在宅看護 ・遺伝看護 ・災害看護
どれかひとつでも興味がある場合は、大学院へ進み、専門看護師の道を志してみてはいかがでしょうか。
3年制短期大学
3年制短期大学では、看護師に必要な専門知識に加えて、社会生活で必要となる一般知識についても学べるのが特徴です。4年制大学と比較すると深い内容まで学ぶのは難しいものの、看護師として活躍するには十分な知識を身につけられます。希望する場合は、短期大学から4年制大学への編入が可能な点も魅力です。
ただ、看護学部のある4年制大学が増えたことで、看護系の3年制短期大学は縮小傾向にあります。学校が自宅から通える範囲にない可能性もあるため、環境や進学予定の学校のカリキュラムなどに合わせて選択しましょう。
3年制専門学校
3年制専門学校は、最短で看護師に必要な知識を身につけ、いち早く現場に出たい方におすすめの進路です。学ぶ内容は4年制大学と大きく変わりませんが、実務で必要な知識に特化して学習が進むため、卒業後に即戦力として活躍する方も多い傾向にあります。実技や実習のカリキュラムが充実している学校も少なくありません。
看護系専門学校に通うデメリットは、設備の充実度や費用が学校ごとに大きく異なる点です。学費は高いものの最新鋭の設備を導入している学校もあれば、古い設備を使い続けている学校も少なくありません。専門学校に進学する際は、多くの情報を集めて複数の角度から比較しましょう。
看護学校を選ぶポイント
数ある看護学校から自分に合ったものを選ぶには、以下のポイントを押さえておきましょう。学生の方はもちろん、現在社会人として働いている方にも向けて解説します。
勉強期間
選択する学校によって、看護学について学べる期間が変わります。短期大学や専門学校は3年ですが、大学は4年、大学院まで進学すると6年以上学ぶことも可能です。そのため、できる限り早く看護師として活躍したい場合は短期大学や専門学校、一般教養も含めて幅広い知識を身につけたい場合は大学を選ぶのが良いでしょう。
看護師国家試験の合格率
看護学校を選ぶ際は、国家試験の合格率も確認しましょう。看護師国家試験の合格率は、例年90%前後です。選んだ学校の合格率が極端に低い場合は何か原因があると考えられます。例えば、意欲的ではない学生が多い、教師の質が低い、カリキュラムに不備があるなど。各学校の合格率は厚生労働省が公開していますので、学校選びの参考にしましょう。
費用
看護学校は、学校ごとに学費や支払うお金に差があります。一般的には、設備の充実している私立大学や学校の学費が高く、国立・公立の大学は学費が安い傾向にあります。各学校を比較する際は、3年もしくは4年で必要となる費用の目安を算出し、受けられる教育内容や使用できる設備を考慮して判断するのが良いでしょう。また、費用面が厳しい場合は、学校独自の奨学金制度がないかチェックするのがおすすめです。
自宅からの距離
看護学校で行われる実習は、朝早く集合しなければならないケースもあります。そのため、学校選びには自宅からの距離も考慮しておきましょう。あまりにも時間がかかったり、通いにくい場所にあったりすると、通学が負担になります。学校によっては全寮制を採用しているところもあるので、ホームページなどを確認しましょう。
受験科目
勉強に自信がない場合は、受験時の出題科目も大切です。4年制の国公立大学がもっとも科目数が多く、専門学校や短期大学は少ない科目で受験できます。中には面接を受験科目としている学校もあるため、事前の対策が欠かせません。
まとめ
今回は看護師を目指す際に通う学校の種類や、選び方を解説しました。学校によって身につけられる知識や現場に出られるまでの期間などが異なります。自分が思い描くライフプランや、キャリアパスを踏まえて学校を選びましょう。
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