看護師になるには国家試験の合格が必要であり、実際の勤務でも責任感や判断力などが求められます。
看護師を目指す前に「自分は看護師に向いているのかな」と不安になることもあるでしょう。
そこで本記事では、看護師に向いている人と向いていない人の特徴について解説します。
向いていないと感じた場合にどうすればよいかについても紹介しているので、今後の進路に迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
看護師に向いている人の特徴8選
看護師に向いている人の特徴は、以下のとおりです。
- 責任感がある
- 素早い判断ができる
- コミュニケーション能力が高い
- 観察力がある
- 体力がある
- 精神力が強い
- 向上心がある
- 性格がのんびり
それぞれの特徴について、解説します。
1. 責任感がある
看護は、人の命や健康に深くかかわる行為であるため、責任感の強さが重要です。
少しのミスや妥協が重大な事態を引き起こすこともあり、常に責任感をもって仕事をする必要があります。
自分に厳しくミスや妥協なく仕事に臨める人が、看護師に向いていると言えます。
2. 素早い判断ができる
看護師は、働く職場によってスピード感が求められることも多い職種です。
とくに患者さんの容体が急変するといった緊急の事態が起こりやすい医療現場では、一度に多くのタスクを抱え込むこともあるでしょう。
患者さんの状態や治療内容に応じて優先順位をつけながら、素早く正確に対処を行う能力が求められます。
緊迫した状況でも機転が利くようになれば、頼もしい人材として活躍できるでしょう。
3. コミュニケーション能力が高い
看護師は仕事を一人でこなすわけではなく、医師や他の看護師、他職種とともに患者さんの治療にあたります。
そのため、コミュニケーション能力がある人は、スタッフ同士で連携してスムーズに仕事をこなしやすく、看護師に向いているでしょう。
また、患者さんの悩みを聞き出したり、病気やケガを抱えて不安な気持ちを和ませたりする際にもコミュニケーション能力が役立ちます。
スタッフや患者さんとかかわるうえで、コミュニケーション能力が高いと有利になるでしょう。
4. 観察力がある
看護師は、注意力と観察力も求められる職種です。
看護師がかかわる患者さんのなかには、本人も気づかないうちに症状が進行していたり、自らの感情や病状をうまく伝えられなかったりする場合があります。
「いつもと様子は変わらないか」「つらそうな表情をしていないか」など、患者さんの容体について言葉以外からも察知する能力があると、看護師に向いていると言えます。
5. 体力がある
看護師の仕事は、体力に自信がある人が向いているでしょう。
とくに体の不自由な患者さんの介助を行ったり、一日中立ちっぱなしで院内を往復したりする病棟勤務の場合は、体力が必要不可欠です。
また、夜勤をともなう職場の場合は、不規則な生活に耐えられる体力も必要です。
体力がそこまでいらない職場もありますが、体力があるほうがさまざまな職場に適用しやすく、看護師としてのキャリアを築きやすいでしょう。
6. 精神力が強い
患者さんの容態は一様ではないため、さまざまな状況や感情に直面することがあります。
重篤な症状を抱える患者さんを看たり、看取ったりする場面に遭遇するケースも多いです。
自分自身が悲しい気持ちになるだけでなく、つらい思いをするご家族のケアも必要になります。
感情の起伏があるなかでも、人の命を預かる責任感のある業務をこなす必要もあり、精神力がないと看護師の仕事は務まらないでしょう。
さまざまな感情に揺らがずに仕事ができる人が、看護師に向いていると言えます。
7. 向上心がある
看護師は、医療従事者として医療の知識や技術を常に学び続ける必要があります。
日ごろから学習し、医療知識をアップデートしておかないと、仕事が務まらない場合もあるためです。
学んだ技術を患者さんの医療ケアに生かし、何が患者さんにとってベストかを考えていく姿勢が、看護師としてのキャリアアップにつながります。
最新の技術や新しい分野を学習するような向上心があると、看護師を続けやすいでしょう。
8. 性格がのんびり
看護師は素早い判断が求められるものの、性格はのんびりな人のほうが向いていると言えます。
のんびりした性格の看護師は、穏やかな雰囲気によって患者さんに安心感を与えられるためです。
緊迫した雰囲気が漂っていて話しかけにくい看護師は、患者さんにとってよい看護師とは言えないでしょう。
のんびりしていて穏やかな雰囲気の人のほうが話しかけやすいため、患者さんに求められることが多くあります。
また、性格がのんびりな人は、感情に左右されずに冷静に物事を考えられるというメリットもあります。
冷静でいられることは、ミスを回避してスムーズに仕事をこなすうえで役立つでしょう。
看護師に向いていない人の特徴4選
ここまでで看護師に向いている人について解説しましたが、反対に看護師には向いていない人も存在します。
以下4つの特徴に当てはまらないかチェックしてみましょう。
- 人とかかわることが苦手
- 気持ちの切り替えが苦手
- 排泄物の処理に強い抵抗感がある
- 手先が不器用
1. 人とかかわることが苦手
人とかかわることが苦手な人は、看護師に向いていない可能性があります。
看護師は、医師をはじめとするさまざまな医療スタッフと連携します。
患者さんの状態を具体的にわかりやすく伝えるといった業務も多く、円滑なコミュニケーションをとれる能力が求められるでしょう。
また、スタッフに対してだけでなく、患者さんに対してもコミュニケーションをとる機会があります。
患者さんの心理面にも注意を払い、状況に応じて声かけをすることも大事です。
ただし、現時点でコミュニケーション能力がなかったとしても、働くなかで少しずつ身についていくため、職場に配属されたら徐々に克服できるでしょう。
2. 気持ちの切り替えが苦手
仕事上のミスを引きずって悩み続けてしまうと、新たなミスを繰り返すこともあります。
看護師の仕事は患者さんの健康や命を預かる仕事なので、気持ちの切り替えができないと仕事にも支障を来すでしょう。
ただし、最初は気持ちの切り替えが難しくても、看護師経験を積むにつれてうまくなっていくものです。
どうしてもつらいときは、周りの人に相談して一人で悩まないようにしましょう。
3. 排泄物の処理に強い抵抗感がある
医療現場では、排泄物や血液を扱う業務は避けられません。
看護師の業務として、日常ケアの一環で排泄物の処理を行ったり、健康状態のチェックとして採血を行ったりするためです。
これらに強い抵抗を感じる人は、看護師として働くうえで大きなストレスを感じてしまうでしょう。
ただし、大半の人が働くなかで血液や排泄物に慣れていくものです。
どうしても慣れない場合は、排泄物の処理を行う機会が少ない外来や健康診断部門といった職場を検討してみるとよいでしょう。
4. 手先が不器用
看護の現場では、採血・点滴・ドレーン管理など、細かい作業を行うことも多いです。
手先が不器用だと感じる人は、これらの業務に苦労することがあります。
細かい作業がうまくできないと、患者さんに迷惑がかかるだけでなく、精神的な負担になることもあります。
不器用だと他の人よりも技術の習得に時間がかかりますが、働くなかでコツをつかんだり、シミュレーターを使用して技術を磨いたりといった努力をするとよいでしょう。
看護師に向いていない人はどうすればいい?3つの対処法
看護師に向いていなさそうだからといって、看護師をあきらめる必要はありません。
以下3つの対処法によって、向いていない要素を克服してみましょう。
- 職場を考慮する
- 知識やスキルを身につける
- 家族や友人に相談する
ひとつずつ解説します。
1. 職場を考慮する
「看護師に向いていない」と感じる理由によっては、職場を考慮することで解決する場合があります。
向いていないと感じる人の特徴と、おすすめの職場をまとめると以下のとおりです。
向いていない人の特徴 | 職場 | おすすめする理由 |
コミュニケーションをとってスタッフ同士で連携するのが苦手な人 | 献血ルーム 健診センター 訪問看護ステーション | 担当業務を一人でこなすことが多いため |
患者を看取る精神力に自信がない人 | 企業(産業)看護師 デイサービス 美容クリニック 回復期リハビリテーション病棟 | 看取りの機会が少ないため |
生活のリズムを安定させたい人 | 病床のないクリニック 外来 デイサービス 保育園 | 基本的に夜勤がなく、生活リズムが崩れにくいため |
苦手分野や自分の性格を考慮し、職場選びをしてみるとよいでしょう。
2. 知識やスキルを身につける
知識やスキルが浅いと、看護師に向いていないと感じてしまうことがあります。
しかし、看護師になる前や看護師になったばかりの段階で、向いていないと判断するのは早いです。
空いた時間に勉強したり院内外の研修に参加したりなど、少しずつ知識やスキルを身につけていけば、自信がついてくるでしょう。
「看護師には向いていないかも」と判断する前に、向上心をもって積極的に学ぶ姿勢を大事にしてみてください。
3. 家族や友人に相談する
看護師に向いていないかもと思った場合は、一人で悩まず周りの人に相談することも重要です。
身近な人に相談するだけで気持ちが楽になり、看護師を目指す自信を取り戻せることがあります。
また、家族や友人だけでなく「向いていないかもという不安を乗り超えて活躍している先輩」の話を聞いてみるのもおすすめです。
今までにない視点で、看護師という働き方を見直せることがあります。
看護師がやりがいを感じる瞬間
「看護師に向いていないかも……」と自信をなくしている人は、看護師のやりがいをあらためてチェックしてみましょう。
看護師がやりがいを感じる瞬間は、主に以下4つにわけられます。
- 患者さんが回復していく姿を見たとき
- 患者さんから感謝をされたとき
- チームで連携して患者さんを救えたとき
- 安定した収入を得られたとき
やりがいを感じる瞬間について、ひとつずつ解説します。
患者さんが回復していく姿を見たとき
医療や看護により患者さんが健康を取り戻していく様子を目の当たりにするとき、看護師として働いていてよかったとやりがいを感じる人が多いです。
患者さんを一番身近で寄り添ってサポートをしている看護師にとっては、治療を受けて少しずつ回復していく姿を見るのはやりがいにつながるでしょう。
たとえば、ケガで歩けなくなった患者さんが歩けるようになったり、病気で食欲がなかった患者さんの食欲が回復して元気を取り戻したりすると、看護師として誇りをもてるようです。
たとえ小さな変化であっても、自分の行った看護ケアがかかわっていると思うと、看護師として多くのやりがいを得られるでしょう。
患者さんから感謝をされたとき
患者さんからの「ありがとう」の言葉に、やりがいを感じる人も多いです。
「看護をすることが患者さんの役に立っている」と身をもって感じることで、やりがいになるのでしょう。
何気ない言葉であっても、患者さんや家族からの感謝や評価は喜びにつながります。
看護師の仕事は健康や命にかかわるため、感謝の重みも他の職業よりも大きいでしょう。
チームで連携して患者さんを救えたとき
病院勤務の看護師は、医師や他職種と連携し、チームプレイで患者さんのケアを行います。
チームで話し合い、患者さんにとってよりよい方法で処置を行って患者さんの容体が回復したときには、達成感ややりがいを感じるでしょう。
また、チームの一員として薬剤師や救急救命士などさまざまな専門家ともかかわるため、多くの知識や技術を身につけられます。
それらの知識を生かして患者さんを救えたときにも、やりがいを感じるでしょう。
安定した収入を得られたとき
国家資格保持者である看護師は、安定した収入が得られる職種です。
看護師の平均年収と全国の民間給与所得者の平均年収と比べると、以下のような違いがあります。
看護師 | 508万円 |
全国平均 | 460万円 |
【参考】厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」/国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」
看護師の平均年収は、全国と比べて48万円も高く、比較的安定した収入を得られることがわかります。
看護師は精神的にも体力的にも負担が大きい仕事ですが、その分、収入が高くてやりがいにつながるでしょう。
看護師の年収についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
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看護師に向いていないと判断するのは早い!向いている職場での就職を検討してみよう
責任感のある人や素早い判断ができる人などは、看護師に向いています。
一方で、人とかかわることが苦手な人や、気持ちの切り替えが苦手な人は、看護師として働くうえで障壁になる可能性があります。
ただし、看護師に向いていない特徴が当てはまるからといって、看護師をあきらめるのはもったいないです。
大抵の業務は現場で経験を積むことで慣れることが可能であり、どうしても克服できなさそうな場合でも、職場を考慮することで解決するケースもあります。
看護師はやりがいを感じる瞬間が多くある仕事です。
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