看護師として活躍するには、看護師免許の取得が必須です。
しかし、看護師免許を受け取るには、看護師国家試験を合格するだけでは不十分ということをご存じでしょうか。
今回は、看護師国家試験合格後に必ず行う、免許申請の手続きをご紹介します。
看護師国家試験に合格した方はもちろん、今後受験を予定している看護学生の方もぜひ参考にしてください。
看護師免許申請とは?
免許申請とは、試験に合格した方が免許を取得する際に行う手続きのことです。看護師だけでなく、国家試験に合格した場合は、免許申請を行い、受理されることで資格保有者として仕事ができるようになります。
看護師免許の申請期限について
看護師の免許申請には、特に期限は設けられていません。国家試験合格から半年や1年経過していても、申請し免許を取得することは可能です。
しかし、国家試験に合格していても、免許申請を行っていない場合は資格保有者として認められません。この期間に看護師として仕事をすると、無資格者による医療行為として行政処分や、最悪の場合逮捕されるケースもあります。
このような事態を防ぐためにも、看護師としての就職を考えている方や資格を活かして働きたいと考えている場合は、試験合格後に速やかに申請手続きを行いましょう。申請から発行までは一定のタイムラグがあるため、できるだけ早く申請を行うことが大切です。
また、看護師国家試験合格から1年以上経過して申請を行う場合は、申立書を作成したうえで免許申請を行う必要があります。当てはまる方は、事前に保健所へ問い合わせ、必要書類や情報などを準備しましょう。
申請から受け取りまでの大まかな流れ
免許申請から実際に免許を受け取るまでは、基本的に以下の3ステップで進みます。
- 健康診断を受診する
- 必要書類を準備し、申請書に必要事項を記入して保健所もしくは県庁に提出する
- 数カ月後に保健所から通知が届くため、窓口で受け取る
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
健康診断
看護師免許の申請をする場合、事前に健康診断を受けて、診断書を提出する必要があります。
保健師助産師看護師法第9条によると、「心身の障害により看護師の業務を適正に行うことができない場合」や「麻薬や大麻、あへんの中毒者である場合」には、申請を受理しないと規定されています。
上記の事由に該当する方や、不安な点がある方は、免許の申請手続きについて統括している「厚生労働省医政局医事課試験免許室」に確認しましょう。万が一、看護師免許取得後にこれらの事由が発覚した場合、行政処分を受けることになります。
必要書類の準備、提出
健康診断を受けたら、必要書類を用意して保健所や県庁に提出します。以下では、免許申請時に必要な書類を列挙します。
免許申請時に必要な書類
・免許申請書
・健康診断の結果に基づいて作成した診断書(発行日から1カ月以内のもの)
・住民票の写し(本籍の記載あり、個人番号の記載なし/発行日から6カ月以内のもの)
・9,000円分の収入印紙
・63円分の切手を貼り付けた登録済証明はがき(希望者のみ)
診断書は、所定のものを使用する必要があります。書式が異なるものを利用した場合は、申請が受理されないため注意しましょう。
また、診断書は発行日から1カ月以内のものしか使用できません。
住民票の写しは、本籍の記載があり、さらに個人番号が記載されていないものを提出します。
こちらは、発行から6カ月以内のものを添付しましょう。
9000円分の収入印紙は、登録免許税の納付に使用します。
コンビニでも購入できますが、9000円の収入印紙を取り扱っているコンビニは少ないため、郵便局で購入するのが確実です。
登録済証明書はがきとは、その名の通り、看護師の資格を有することを証明する書類です。
就職先によっては、登録済証明書の提出を求められることがあるため、必要かどうか事前に確認しておきましょう。
免許申請に必要な書類がそろったら、すべてをまとめてホチキス留めを行い、保健所や県庁に提出します。
この際、書類をまとめる順番があるため、注意しましょう。
免許申請時の書類をまとめる順番
上から、
・免許申請書
・診断書
・登録済証明書はがき
・住民票の写し
看護師免許申請書の入手方法
看護師免許の申請書は、所定の書式のものを入手して、必要事項を記入して提出する必要があります。
こちらの申請書は、以下の3つの場所で入手可能です。
- 厚生労働省のホームページ
- 各学校での配布
- 保健所や県庁などの提出先
看護学生の方は、各学校で申請書が配布されるはずです。わざわざ申請書を受け取りに行く必要がないため、先生などに確認しましょう。
また、申請書は基本的に保健所で入手しますが、一部の地域では県庁で手続きを行います。
どちらかわからない場合は、事前にお住まいの地域のホームページなどを確認しましょう。
看護師免許の更新・抹消・再交付
看護師免許に関する申請手続きは、新規取得以外でも行うケースがあります。具体的には、以下の3つのシーンです。
- 更新
- 抹消
- 再交付
こちらでは、それぞれのシーンに分けて申請手続きのタイミングをご紹介します。
更新
看護師免許の更新手続きは、戸籍に変更があった場合に行う必要があります。本籍地の変更や結婚・離婚による氏名の変更、養子縁組など、戸籍に変更が生じたら30日以内に申請を行いましょう。30日を過ぎてしまうと、遅延理由書の提出を求められるため、できるだけ早く手続きを行っておくのが無難です。
戸籍の変更が生じなければ、看護師免許は更新手続きを行う必要はありません。
しかし、結婚や離婚など、戸籍の変更事由が生じるケースは数多くあります。どのようなシーンで更新が必要になるか、事前に確認しておくことが大切です。
なお、引っ越しを理由に現住所のみを変更した場合は、更新手続きは必要ありません。
抹消
看護師免許の抹消手続きは、免許が必要なくなった場合に行う手続きです。具体的には、資格保有者の死亡や失踪が想定されています。
期限は、当該事由が生じてから30日以内で、本人の親族が抹消申請を行います。
抹消申請の手数料は一切かかりませんが、死亡診断書や死体検案書、失踪宣言書などが必要です。心身ともに傷心しているタイミングにこれらの手続きを行うのは簡単ではないため、事前に手順や必要書類をメモしておき、親族が少ない負担で申請できるように準備しておくのが理想です。
再交付
看護師免許の再交付手続きは、免許の紛失や激しい損傷、汚れなどがある場合に行う手続きです。
看護師免許の再交付については、特に期限は設けられておらず、事由が生じたタイミングで手続きを行うことができます。
看護師として就職や転職を行う場合、勤務先への免許証の提示が必要です。その際、免許証を紛失していたり、激しい損傷が見られたりする場合は提示できません。事前に再交付手続きを行っておくことが大切です。
また、看護師免許は、2年に1回「業務従事者届」に免許番号を記載する際にも必要です。提出を怠ると罰金が科せられるため、免許の状態について確認しておきましょう。
また、再交付を行った後に紛失していた免許証が見つかった場合は、5日以内に保健所へ返却する必要があります。個人情報も含まれているため、自分で廃棄しないように注意しましょう。
まとめ
今回は、看護師国家試験合格後に行う免許申請手続きについてご紹介しました。
看護師国家試験は2月中旬に行われ、3月に合格発表のため、合格後は年度末の慌ただしい中で申請手続きを行わなければなりません。手順や期限を間違えないよう、事前に確認しておきましょう。