就職活動をする際に、なぜ看護師になりたいのか、なぜこの病院なのか、うまく志望動機を伝えられずに困っている方もいるのではないでしょうか?
本記事では、看護師として就職活動をしている方に向けて、志望動機の作り方をご紹介します。
志望動機の例文や、書けないときの対処法もまとめています。
うまく志望動機をまとめられない方は、ぜひ参考にしてみてください。
看護師の志望動機に必要な3要素
看護師の志望動機は、以下の3つの要素を用いて書きましょう。
- 応募先の病院・施設の魅力
- 看護師としての理念・考え方
- 応募先の魅力と自分の考えの共通点
一つずつ解説していきます。
要素1:応募先の病院・施設の魅力
看護師の志望動機に必要な要素の1つ目は、応募先の病院・施設の魅力です。
採用担当者は、以下のポイントをチェックしているためです。
- なぜこの病院・施設を選んだか?
- 病院・施設の方針を理解しているか?
応募先の病院・施設のパンフレットやホームページにある「理念」や「方針」「代表あいさつ」などからチェックしましょう。
要素2:看護師としての理念・考え方
自分の看護師としての理念・考え方も、志望動機に組み込みましょう。
採用担当者は、求職者の方に対して「一緒に働きたいか」というポイントを見ています。
看護観(看護師としてどのように患者にどのような看護を行いたいか)を伝えて、アピールしましょう。
また、転職の方に対しては「募集している診療科で働けるか」も求められています。
これまでの経験を活かし「どのように活躍できるか」をアピールしましょう。
要素3:応募先の魅力と自分の考えの共通点
応募先の魅力と自分の考えの共通点から、志望理由や転職理由を述べましょう。
自分が病院や施設側が求めている人材であることを伝えるためです。
その際、簡単に「貴院(貴社)の理念に共感し、志望しました。」と書くだけでなく、その理念に共感した理由・背景を説明することが大切です。
看護師の志望動機を書く際のポイント
看護師の志望動機を書く際は、以下のポイントを押さえましょう。
- ポジティブな表現を意識する
- 長く働けることを伝える
- 結論から述べる
- 200〜300文字を目安に書く
ここからは、看護師の志望動機を書く際のポイントについて解説していきます。
ポジティブな表現を意識する
志望動機を考える際にもっとも重要なのが、ポジティブな表現を使用することです。
「〇〇しない」「〇〇できない」などのネガティブな表現は、担当にマイナスの印象を与える可能性があるため、使用を控えましょう。
ほとんどのネガティブ表現は、ポジティブな表現に言い換えることができます。
その一例を下記で紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ネガティブ表現 | 自宅での介護は、体力的・精神的にも負担が大きく難しい。 |
ポジティブ表現 | 自宅での介護は、専門家によるサポートを受けることで、体力的・精神的な負担を減らすことができる。 |
長く働けることを伝える
看護師として「長く働ける」ことをアピールすることも大切です。
新しく人員を雇用する場合、採用・教育コストがかかるため、すぐに離職されてしまうと病院・施設側は困ります。
日本商工会議所・東京商工会議所が行った調査によれば、人手が『不足している』と回答したのは介護・看護業で63.9%とされています。
志望動機に「貴院で長期的に働き、キャリアアップしたい」といった一文を盛り込むことで、長く働けることをアピールしましょう。
【参考】日本商工会議所・東京商工会議所「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」調査結果
結論から述べる
志望動機を説明する場合は、結論から述べることが大切です。結論から述べることで、内容を理解してもらいやすくなります。
特に、履歴書などに文章で志望動機を書く際は、書き出しに結論をもってきましょう。
履歴書を確認する担当者は、一度に数百通、多い場合は数千通の書類を確認することも少なくありません。
そのため、書き出しや要点部分だけに目を通し、応募者の熱意や志望動機を判断しようとします。
担当者の目を向けるには、書き出しにもっとも重要な結論を提示し、最後まで読んでもらえるように工夫しましょう。
結論を後回しにするなど、表現を冗長にすると、「物事を伝える能力が低い」と判断される可能性があります。
200〜300文字を目安に書く
看護師の志望動機は200〜300文字を目安に書きましょう。
先述のとおり、採用担当者は一度に数百通もの履歴書を確認することがあるため、長すぎる志望動機は、要点がわかりにくくなってしまいます。
一方で、短くまとめすぎると空欄が目立ち、採用担当者に意欲が伝わりません。
志望動機は200~300文字を目安に記載するか、記入欄の7〜8割を埋めることを目指しましょう。
看護師の志望動機を書く際のNGポイント
看護師の志望動機を書く際は、以下の点がNGポイントになるので注意しましょう。
- 待遇面ばかりに触れる
- 共感した理由に具体性がない
- 「学ばせてほしい」というスタンスばかり強調する
- 例文をそのまま使う
これらの点に注意しないと、採用担当者にマイナスイメージを与えかねません。
それぞれのNGポイントについて、詳しく解説していきます。
待遇面ばかりに触れる
もっとも良くないのが、志望動機で待遇面ばかりに触れることです。
「給与が良いから選んだ」「休日が多いところに惹かれた」「残業が少ないことを気に入った」などの点は、就職先を選ぶうえで大切な要素ですが、志望動機で待遇面ばかり触れるのは好まれません。
「給料の良いところが見つかったら転職するのでは?」「条件だけに魅力を感じているのでは?」といった印象を与えるためです。
待遇面に触れる場合は、あくまで一つの要素であることが伝わるように工夫しましょう。
共感した理由に具体性がない
志望動機を考える際、病院や施設への共感、理念への理解などは重要です。
ただ、共感した理由に具体性がなければ、高い評価は得られません。
「貴院の理念に共感しました」「魅力を感じました」などの言葉は、抽象的な印象を与える可能性があるため、使用する場合は注意しましょう。
「学ばせてほしい」というスタンスばかり強調する
「学ばせてほしい」「教えてほしい」「経験させてほしい」などの言葉も注意が必要です。
ポジティブな印象を与えられる、と勘違いしがちですが、企業からすると「自ら学んで貢献する意思がない」と判断される可能性があります。
志望動機では、自分が病院に対してどんな価値を提供できるか、について触れるのがベターです。
例文をそのまま使う
就職支援サイトに掲載されている例文は、応募先の病院や施設にあわせてアレンジし、使いましょう。
例文をアレンジせずにそのまま使うと「うわべだけの言葉を並べている」「説得力に欠ける」という印象を与えかねません。
応募したい病院・施設の情報を盛り込んだり、自分の看護観を丁寧に言語化したりして、自分の言葉で書くことが大切です。
【シチュエーション別】看護師の志望動機の例文
ここからは、看護師の志望動機の例文をシチュエーション別にご紹介します。
- 新卒の場合
- 転職の場合
- ブランクがある場合
看護師の志望動機を考える際の参考にしてみてください。
新卒の場合
私は患者さまに親身になって寄り添える看護師になりたいと思っています。 看護師を目指したきっかけは、幼少期に病気で入院したときの看護師の方のすばらしい対応です。闘病中は、看護師のみなさまの温かいケアが大きな励みになりました。この経験から、私も患者さまに親身になって寄り添える看護師になりたいと思うようになりました。 貴院は「⚫︎⚫︎」という理念をかかげ、患者さまに真摯に向き合う医療を提供されています。私が目指す「患者さまに親身になって寄り添う看護」を貴院で学び、看護師として成長していきたいと考えています。 |
新卒の場合は、例文のように自分が理想とする看護師像と応募先の病院や施設の魅力を関連づけて、志望動機に説得力を持たせましょう。
転職の場合
私はこれまで、総合病院の救急病棟に⚫︎年間勤務してきました。 差し迫った状況下で、的確な処置が必要になる救急看護をさらに極めたいと思うようになりました。 貴院は3次救急病院として、重症度が高い患者さまを受け入れているほか、災害拠点病院として災害医療にも取り組まれています。 これまでの経験から身につけた知識や技術を活かし、貴院でさらなるスキルアップを目指したいと考えています。 |
転職の場合は、これまでの経験を活かし、どのように働けるかを盛り込みます。
また、自分が即戦力になれることも忘れずにアピールしましょう。
ブランクがある場合
大学病院で看護師として⚫︎年間勤務した後、出産と育児のために退職いたしました。 この度、子どもの保育園入園が決まったため、看護師に復帰したいと考えています。 看護の現場を離れていた不安はありますが、貴院が実施されている勉強会や研修制度などに積極的に参加し、患者さまの回復に貢献できる看護を目指します。 なお、子どもが幼いため時短勤務を希望しますが、将来的にはフルタイムで長く働きたいと考えています。 |
ブランクがある場合は、はじめに再び働けることになった理由を述べましょう。
また、ブランクを埋めるために学ぶ意欲があることや、長く働きたいことをアピールできると好印象につながります。
【応募先別】看護師の志望動機の例文
続いて、看護師の志望動機の例文を応募先別にご紹介します。
急性期病院
慢性期病院で⚫︎年間勤務していました。 慢性期病院では、身につけられる医療的処置の数が限られており、次第に医療現場の最前線で、さまざまな医療的処置を学びながら働きたいと思うようになりました。 貴院は地域の急性期医療を担い、専門的な資格を持つ看護師が多く活躍しています。 私も貴院に入職後は、急性期ケアを学び、専門性を高めながら、患者さまに質の高い看護を提供したいと考えています。 |
急性期病院は、急患や重症患者を対象に、24時間体制で医療を提供する病院です。
そのため、比較的ハードな職場と言えるでしょう。
そのような環境に「なぜ転職したいか」をわかりやすく述べることがポイントになります。
慢性期病院
急性期病院に⚫︎年間勤務し、術前・術後の管理から退院支援にいたるまで、一通りのことを学んできました。しかし次第に、患者さまと関われる時間が短いことにもどかしさを感じるようになり、患者さまと関われる時間が長い慢性期病院で働いてみたいと思うようになりました。 特に認知症のケアに力を入れている貴院で、一人ひとりの患者さまにじっくり向き合った看護をしたいと考え、応募いたしました。 |
慢性期病院では、主に継続的な治療やリハビリテーションを行います。
そのため、患者さん一人ひとりと長く関わりたいことをアピールすると、好印象につながります。
特別養護老人ホーム
整形外科病棟に⚫︎年間勤務していました。 高齢の患者さまと接する機会が多く、楽しい職場でしたが、患者さまが次々と入れ替わるため、一人ひとりにじっくり関われないことが気がかりでした。次第に高齢の患者さまと信頼関係を築き、生活を支えるケアがしたいと思うようになり、応募いたしました。 貴施設は、さまざまな取り組みを通じて、利用者のみなさまにとって「第二の家」になることを目指しています。 これまでの経験を活かし、貴施設を利用する皆さまの暮らしをサポートしたいと考えています。 |
医学的な管理下で、高齢者にリハビリや介護、医療を提供する介護施設に応募する際は、高齢者をサポートすることに興味があることを伝えます。
「業務が病院よりも楽そうだから」「夜勤がないから」といった理由は控えましょう。
介護付有料老人ホーム
これまで消化器内科病棟で⚫︎年間、主に急性期の患者さまのケアをしていました。 病院では、治療が最優先です。「患者さまらしさ」を大切にしたケアができていないと感じる場面もあり、もどかしさを感じていました。看護師として患者さまの健康をサポートしつつ、患者さまの暮らしに寄り添ったケアをしたいと考えるようになりました。 貴施設は「⚫︎⚫︎」という理念を大切にされています。私が目指す「患者さまらしさ」を大切にしたケアが実践できると思い、応募いたしました。 |
介護付有料老人ホームは、高齢者に配慮された「住まい」であり、利用者に対して主に介護や健康管理、食事の提供などを行います。
利用者にとっては、いわば「終のすみか」になるため、寄り添う気持ちをアピールしましょう。
デイサービス
急性期病院で⚫︎年間、治療を目的とした業務に従事していました。 治療や処置を必要とする高齢の患者さまの看護にやりがいを感じていましたが、次第に高齢の患者さまの健康を保つためには、治療と同じくらい毎日の体調管理が大切であると考えるようになりました。 デイサービスであれば、そのような予防的な看護が実践できると考え、応募いたしました。 これまでの経験を活かしつつ、ご高齢の方の日常的な健康管理に努めたいと思っています。 |
看護師としてデイサービス(日帰りで利用できる介護サービス)で働きたい場合は、高齢者の日頃の健康管理に興味があることを伝えます。
「夜勤がないから」「短時間で楽そうだから」といった理由に触れるのは控えましょう。
美容クリニック
総合病院の外来で⚫︎年間勤務していました。日々の業務にやりがいを感じていましたが、患者さま一人ひとりと向き合う時間があまりないことが、気がかりでした。 美容医療に興味を持ったきっかけは、知人が整形手術を受けて、明るく自信に満ち溢れた顔をするようになったことです。看護師には、患者さまの生活の質を向上させる働き方もあることに気づき、貴院を志望いたしました。 美容医療の分野は未経験ですが、これまでの経験を活かし、患者さまの悩みに寄り添える看護師になりたいと考えています。 |
美容クリニックは、美容医療を提供する医療機関です。
応募する際は「夜勤がないから」「給料が高いから」といった待遇面には触れず、美容医療に興味を持った理由をわかりやすく書きましょう。
看護師の志望動機が書けないときの対処法
看護師の志望動機が書けないときは、以下のことを行いましょう。
- 経験や学習したことを振り返ってみる
- 応募先の病院・施設を詳しく調べる
それぞれについて、以下より解説していきます。
経験や学習したことを振り返ってみる
看護師の志望動機が書けないときは、今までの経験や、学校で学習したことを振り返ってみましょう。
- 新卒の場合:学校で学んだこと
- 転職の場合:職場で経験したこと
自分の看護観や、目指したい看護師像などが整理され、志望動機が思いつくはずです。
応募先の病院・施設を詳しく調べる
看護師の志望動機が書けないときは、応募先の病院・施設について詳しく調べてみましょう。
応募先の病院・施設ならではの魅力を理解することで、自分のやりたいことや看護観をイメージしやすくなります。
応募先の病院・施設の情報は、以下のような方法で入手できます。
- ホームページをチェックしたり、パンフレットを読んだりする
- 求人情報をチェックする
- 実際に、応募先の病院や施設を見学しに行く
転職の場合は、転職エージェントを介し、応募先の病院・施設に関する情報を入手する方法もおすすめです。
看護師の志望動機を書く際はポイントを押さえましょう
この記事では、看護師の志望動機の書き方をご紹介しました。
看護師の志望動機には「応募先の病院・施設の魅力」「看護師としての理念・考え方」「応募先の魅力と自分の考えの共通点」の3要素を組み込みましょう。
そのうえでポジティブな表現を意識し、200〜300文字を目安に簡潔にまとめることが大切です。
看護師の志望動機が書けたら、誤字・脱字や文法の誤りがないかなどをチェックします。
声に出して読んでみると、修正すべき点を見つけやすくなります。
この記事でご紹介したポイントや例文を踏まえて、看護師の志望動機を作成し、就職活動を進めてみてください。