男性看護師の割合や年収は?「やめとけ」と言われる理由・ 将来性を解説

看護師は、以前「看護婦」という名称だったこともあり、女性のイメージが強い職業のひとつです。

しかし、実際の現場では男性看護師も活躍しており、少ない男手が重宝されるシーンも少なくありません。

今回は、看護師の男女比や男性看護師が活躍している診療科の種類、女性の多い職場で良好な人間関係を築くためのポイントを解説します。

看護師を目指している男性は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

看護師の男女比

かつて「看護婦」と呼ばれていたことから、女性のイメージが強い看護師でしたが、男性の看護師の方もいます。

看護の現場では、男性看護師の体力や腕力が重宝される場面も少なくないでしょう。

看護師の人数・構成割合を男女ごとに、以下より解説します。

男性の看護師がどれくらいいるか気になる方は、ぜひ参考にしてみてください。

人数(人)

男性女性
2012年(平成24年)63,321人952,423人
2014年(平成26年)73,968人1,012,811人
2016年(平成28年)84,193人1,065,204人
2018年(平成30年)95,155人1,123,451人
2020年(令和2年)104,365人1,176,546人
2022年(令和4年)112,164人1,199,523人

構成割合(%)

男性女性
2012年(平成24年)6.2%93.8%
2014年(平成26年)6.8%93.2%
2016年(平成28年)7.3%92.7%
2018年(平成30年)7.8%92.2%
2020年(令和2年)8.1%91.9%
2022年(令和4年)8.6%91.4%

出典:厚生労働省 「令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」

こちらを見ると、2018年時点で女性看護師が全体の92.2%、男性看護師が7.8%となっており、圧倒的に女性の多い職場であることがわかります。

しかし、2012年以降の男性看護師の推移を確認すると、人数では2倍近く、構成割合は2.4%弱増えているのも事実です。

男性看護師を積極的に採用している職場も多く、今後も男性看護師は増えていくと考えられます。

男性看護師の年収・給料

2023年における男性看護師の平均年収は「525万7,000円」です。

日本人の2023年の平均年収は「約460万円」で、そのうち一般男性の平均年収は「約569万円」です。

男性看護師の平均年収は日本人の平均年収よりは高いものの、一般男性の平均年収よりは低い傾向にあることがわかります。

ただし、男性看護師の年収は、勤務先の病院・施設の規模によって左右されます。

一概には言えないため、これから男性看護師として働くことを検討中の方は、応募先の病院・施設の求人情報をチェックしましょう。

【参考】厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」国税庁「令和5年分民間給与実態統計調査」

以下の記事では看護師の年収について、詳しく解説しているので、ぜひご一読ください。

男性看護師の需要

厚生労働省が行った調査によれば、男性看護師の需要は増加しています。

2020年の男性看護師の実人員は「104,365人」だったのに対し、2022年の男性看護師の実人員は「112,164人」で、わずか2年間のうちに7,799人増加していることがわかります。

【参考】厚生労働省「令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」

また、日本商工会議所・東京商工会議所が行った調査では介護・看護業の人手不足は深刻化しており、60歳以上のシニア人材を継続し雇用している介護・看護業は、70%を超えています。

このことから男性・女性に限らず、看護師の需要は全体的に高まっていると言えるでしょう。

【参考】日本商工会議所・東京商工会議所「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」調査結果

男性看護師になるのは「やめとけ」と言われる理由

インターネット上では、しばしば「男性看護師 やめとけ」というワードを目にします。

「男性看護師 やめとけ」と言われる理由として、以下の3つが考えられます。

  • 生活が不規則になりやすい
  • 相談できる先輩が少ない
  • 女性看護師とのかかわり方に悩む

ここからは「男性看護師 やめとけ」と言われる理由を解説していきます。

生活が不規則になりやすい

看護師は、生活が不規則になりやすいため「やめとけ」と言われることがあります。

病棟勤務の場合は、夜勤があるため、生活リズムが昼夜逆転になる恐れがあります。

そのような生活リズムに慣れず、身体的・精神的な疲労が蓄積してしまうかもしれません。

基本的にシフト制なので、世間的に休日となっている土日祝日に休めるとは限らず、家族や友人と一緒に余暇を楽しめないことに、ストレスを感じる方もいるでしょう。

自分にとって理想的な働き方を実現するためには、就職や転職時に複数の病院・施設の情報を集めて、比較検討するのがおすすめです。

また、厚生労働省では看護職員を確保するための施策を展開しており、その一環として、看護職員の多様な働き方モデルを紹介しています。

ぜひ参考にして、自分が理想とする職場を探してみてください。

【参考】厚生労働省「看護職員の多様な働き方について」

相談できる先輩が少ない

「男性看護師 やめとけ」と言われる理由の一つに、職場に相談できる先輩が少ないことが挙げられます。

男性看護師の数は増加しているとは言え、依然として女性看護師のほうが多いのも事実です。

職場に同性の先輩がいない可能性もあります。

気軽に相談できる相手がいないことで、悩んでしまうこともあるかもしれません。

就職や転職をする際には、応募先の病院や施設に男性看護師が在籍しているかを確認し、このような事態を回避しましょう。

女性看護師とのかかわり方に悩む

女性とコミュニケーションをとるのが苦手な方もいるでしょう。

女性看護師とのかかわり方がわからず、悩んでしまう方もいるかもしれません。

また、どうしても女性が多い職場のため、肩身が狭いと感じる場面に出くわすこともあります。

しかし、女性看護師は上司や同僚の一人です。女性・男性といった性別にとらわれず、上司や同僚として接すれば、次第にかかわり方がわかってくるでしょう。

男性看護師として働くメリット|将来性はある?

男性看護師は「やめとけ」と言われる一方で、メリットや将来性が十分にある職業です。

男性看護師として働くメリットは、以下の3つです。

  • 安定して働ける
  • 資格を取得し収入アップできる
  • 看護現場で重宝される

ここからは、男性看護師として働くメリットについて解説していきます。

安定して働ける

男性看護師は安定し、長く働ける職業と言えるでしょう。

先述した日本商工会議所・東京商工会議所の調査では、介護・看護業の人手不足は深刻化しており、定年を迎えた60歳以上のシニア人材を継続して雇用しているほどです。

看護師の人材としての需要は高く、求人が十分にあるため、転職を考えた場合に再就職先に困りにくいでしょう。

また、看護師が活躍できる場所は病院だけではなく、健診センターや訪問看護ステーション、保健所や市町村など多岐にわたります。

多様な働き方が選べることも、男性看護師として働くメリットです。

【参考】日本商工会議所・東京商工会議所「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」調査結果

資格を取得し収入アップできる

男性看護師に限らず看護師は、資格取得によって収入アップを目指せる職業です。

特定の専門分野における知識があり、ハイレベルな看護を提供できる「認定看護師」になれれば、収入アップと同時に、キャリアアップやスキルアップも目指せます。

メンタルケアに興味がある方には「公認心理士」や「臨床心理士」などがおすすめです。

「ケアマネージャー」の資格を取得し、今後さらに需要が高まっていくと考えられる高齢者介護のプロフェッショナルを目指す道もあります。

なお、以下の記事では看護師のキャリアの積み方について解説しています。

本記事とともに参考にしてみてください。

看護現場で重宝される

男性看護師は、看護の現場で重宝される職業でもあります。

看護の現場では、体格のよい患者さんや寝たきりの患者さんの体位を変えるなど、パワーが必要な作業が多いため、男性の体力や腕力が重宝されることがあるのです。

また、男性の患者さんからは、同性として頼られることも少なくないでしょう。

女性が多い職場において、男性看護師の存在は、新しい視点や気づきを与えてくれるきっかけにもなり得ます。

職場に新しい風を吹き込み、雰囲気を明るくできる可能性があります。

男性看護師が活躍する診療科とは?

男性看護師は、腕力や体力を活かして、さまざまな場所で活躍しています。

特に、女性看護師には相談しづらい悩みを抱えた患者が多く訪れる現場では、男性看護師の存在が重要です。

こちらでは、男性看護師が活躍する部署の一部をご紹介します。

  • 泌尿器科
  • 精神科
  • 救急科
  • 手術室
  • 脳神経外科
  • 整形外科
  • リハビリテーション科

ご自身の就職先や専攻を決める際の参考にしてください。

泌尿器科

泌尿器科は、腎臓や膀胱、尿管・尿道などの尿の生成に関わる臓器や、陰茎・精巣・前立腺などの男性生殖器を診る科です。

科の性質上、男性患者さんの割合が多く、「女性看護師にケアされるのが恥ずかしい」と思う方も多いため、男性看護師の存在はかなり重宝されるでしょう。

精神科

精神科は、心に関する症状や病気の治療を行う診療科です。ストレスなどを要因とした、身体的な症状の治療を行う「心療内科」とは区別されます。

精神科を訪れる患者の中には、重度の疾患を抱えていたり、治療に対して強い抵抗感を持っていたりする方も少なくありません。

そのため、治療時に力強く抵抗されるケースもあり、腕力と体力のある男性看護師が重宝されるのです。

救急科

救急科は、病気やケガなど、緊急性の高い症状を持つ患者に対して、診療や救命救急処置、集中治療を行います。

看護師は、救命救急医のサポートや術後患者のケアなどが主な業務です。

救急科は、いつ患者が運ばれてくるかわからないため、夜勤や当直の重要性が高い現場です。

医療現場の中でも体力が求められる傾向にあり、男性看護師や男性医師は活躍しやすいでしょう。

手術室

手術室で働く看護師は、「オペ看」や「オペナース」とも呼ばれ、ドラマなどでもよく取り上げられます。

具体的な仕事内容は、手術中の医師にメスなどの必要な器械を渡す「器械出し」と、それ以外の役割を担う「外回り」の2つがあります。

病院によっても異なるものの、1日に2〜3件程度の手術を担当するケースも多く、長時間におよぶ手術もあるため、身体的にハードな現場です。

また、高い緊張感の中で迅速かつ丁寧に仕事をする必要があり、精神的にタフで瞬発力のある人材が求められています。

脳神経外科

脳神経外科は、「脳外科」とも呼ばれ、脳や脊髄、神経に関する手術を専門に行う診療科です。

患者の命に直結するシーンが多く、常に高い緊張感にさらされるハードな現場です。

また、残業が多く、退職する看護師の方も多いため、常に新しい人材を求めています。

体力や精神力に自信がある場合は、就職先の候補に入れてみてはいかがでしょうか。

整形外科

整形外科は、骨や関節、筋肉などの運動器の疾患を扱う診療科です。

専門家署に応じて、「脊椎・脊髄外科」「スポーツ整形外科」「人工関節外科」などに分かれています。

高齢者や、けがをして動けない若い患者さんを介助することが多く、体力や腕力が求められる科であるため、男性看護師は重宝されるでしょう。

リハビリテーション科

リハビリテーション科とは、病気や事故で障害を負った患者が、普段通りの生活を取り戻すためのサポートを行う診療科です。

手術をはじめとした大規模な治療は行いませんが、長期間かつ多方面からのアプローチが必要です。

リハビリテーション科も整形外科と同じく、患者さんの歩行介助などの機会が多いため、男性看護師が活躍しやすいと言えるでしょう。

男性看護師が職場で良好な人間関係を築くためのポイント

男性看護師が、女性の多い職場で円滑な人間関係を築くには、どのようなことに気をつけるべきなのでしょうか。ポイントは次の2つです。

  • 男性・女性という性別にとらわれすぎない
  • 清潔感のある身だしなみを心がける

それぞれ詳しく解説します。

男性・女性という性別にとらわれすぎない

男性看護師が職場で良好な人間関係を築くためには、性別にとらわれすぎないことが大切です。

「男性だから」「女性だから」に固執せず、お互いを一人の上司や同僚として尊重しましょう。

女性を見下すような発言をするのは厳禁です。

反対に、男性を見下すような発言をされた場合は、毅然とした態度で対応しましょう。

また、体調不良や精神的な不調が見受けられた場合は助け合い、お互いに気持ちよく働ける職場環境を目指すことが大切です。

清潔感のある身だしなみを心がける

男性看護師に限らず看護師には「清潔感」が最重要と言っても過言ではありません。

特に以下の3つを意識し、身だしなみを整えましょう。

  • 靴の汚れ
  • ヒゲの剃り残し
  • 体臭や口臭

看護師は、病院やクリニックの顔として、患者さんやその家族と接する機会も多い仕事です。

患者さんを不快な気持ちにさせないためにも、身だしなみには常に意識を向けましょう。

トイレに行くついでに、鏡で身だしなみをチェックするといった習慣をつけるのも一つの方法です。

男性看護師が職場を選ぶ際のチェックポイント

男性看護師が職場を選ぶ際は、以下のポイントをチェックしましょう。

  • 男性看護師が在籍しているか?
  • 男性看護師の役職は?
  • 男性用の更衣室等は確保されているか?

以上のポイントを押さえておけば、入職後に「想像と違っていた」という事態を避けられるはずです。

男性看護師が在籍しているか?

男性看護師が職場を選ぶ際は、応募先の病院や施設に男性看護師が在籍しているかを確認しましょう。

看護師の男女比率は、依然として女性のほうが多い傾向にあるため、応募先の病院や施設に、男性看護師が在籍していない可能性も考えられるからです。

もし男性看護師が在籍している場合は、その働きぶりを聞いてみましょう。

入職後の働き方について、具体的にイメージしやすくなります。

男性看護師の役職は?

応募先の病院や施設に男性看護師が在籍していた場合、その役職を確認してみましょう。

管理職クラスだった場合、その職場は、男性看護師が活躍しやすい環境であると判断できます。

管理職クラスの男性看護師が在籍していることで、その職場における自分の将来像がイメージしやすくなります。

また、同性の上司に業務上の悩みをすぐに相談できるため、悩みや不安を解消しやすいという点もメリットです。

応募先における男性看護師の有無は、男性看護師が職場を選ぶうえで、なるべくチェックしておきたいポイントです。

男性用の更衣室等は確保されているか?

男性看護師の職場選びにおいては、男性用更衣室の有無といった設備のチェックも重要です。

応募先の病院や施設によっては、男性看護師を受け入れる体制が整っていない恐れがあるからです。

たとえば、以下の点を確認しておきましょう。

  • 十分な広さの男性用更衣室があるか
  • 休憩室や仮眠室などが確保されているか など

応募先の病院や施設において、説明会や見学会が開催されている場合は積極的に参加し、実際に以上の設備が使いやすいかどうか確認しておくことをおすすめします。

男性看護師をとりまく状況を理解して自分に合った職場で働こう

この記事では、男性看護師の割合や年収、活躍する診療科などをご紹介しました。

男性看護師の数は増加傾向にありますが、職場となる病院や施設では圧倒的に女性看護師のほうが多いため、悩むこともあるかもしれません。

しかし看護師の需要は高まっており、雇用が安定しているため、将来的に長く働けます。

資格を取得し収入アップを目指すことも可能なうえ、頼りにされる場面も多く、やりがいを感じられることでしょう。

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