病院や訪問看護ステーション、介護・福祉関係施設など、さまざまな場所で働いている「看護職」。
看護職といえば看護師、というイメージをもっている方も多いですが、看護職には4つの職種があります。
今回は、4種類の看護職の概要や仕事内容、役割についてご紹介します。どの看護職を選ぶか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
看護職について、資格の点でまとめると以下の4種類があります。
◆ 資格からみる4つの看護職
・看護師
・准看護師
・助産師
・保健師
准看護師以外は国家資格であり、助産師や保健師は、看護師の資格の取得が前提です。そのため、看護師国家資格を取得できる学校では、助産師や保健師資格に関するプログラムが用意されていることも多いようです。
冒頭でも説明したように、看護職の活躍の場は多岐にわたります。全国で働く看護職の数は、150万人を超えるといわれており、少子高齢化の進行によりその需要はさらに高まっています。
看護師とは、病気で療養している方の世話や医師の診療補助を通じて、傷病者・妊産婦・高齢者などのケアを行う看護職です。「看る」という言葉が使われているように、健康に問題を抱える方に寄り添いながら、患者の生活と生命を支えています。
看護師を必要としている職場は、病院やクリニックだけと勘違いされることも多いですが、新型コロナウイルス感染症の流行もあり、活躍の場はさらに広がっています。以下はその一例です。
看護師を必要としている職場の例
・病院
・診療所
・訪問介護ステーション
・介護老人保健施設
・介護老人福祉施設
・研究機関
・都道府県、市町村
・一般企業、事務所
また、病院や診療所などで働く看護師は、その働き方や求められる役割によって呼び方が変わるのも特徴です。こちらでは、看護師の役割を5つの名称に分けてご紹介します。
病棟看護師は、病棟に入院している患者のケアを行う看護師を指します。基本的には24時間体制でのケアが求められるため、シフトや夜勤などの制度を作って対応しています。看護師の中ではもっとも一般的なタイプで、看護師として働いている方の多くが病棟看護師です。
外来看護師とは、病院やクリニックの外来で仕事をする看護師のことです。医師の診療補助を行ったり、治療方針に関する指導を行ったり、電話対応を含めた事務作業を行うこともあります。病棟看護師と比較すると、夜勤などがないため、一般のサラリーマンに近い働き方といえるでしょう。
手術室看護師とは、手術室で仕事をこなす看護師のことです。テレビドラマの手術シーンで、執刀医のサポートや輸血製剤の準備などを行っている看護師で、「オペ看」と呼ばれることもあります。夜間に緊急手術が行われることもあるため、夜勤やオンコールに対応しなければなりません。
救急看護師は、救急医療の現場で働く看護師のことです。ドクターヘリに医師と同乗するフライトナースや救命救急センターなど、常に患者が生死の境にいる現場で仕事をすることになります。医師の処置のサポートや救命蘇生措置、骨折箇所への対応、止血作業などを主な業務としています。
訪問看護師とは、訪問看護ステーションで仕事をする看護師のことです。自宅療養している患者のもとを訪問し、主治医の指示に基づいて指導・処置・介護などを行います。訪問看護師の数はそれほど多くありませんが、日本では少子高齢化が進んでおり、今後さらに需要が増す可能性があります。
准看護師は、医師や看護師の指示を受けて、患者の看護や診療補助を行う看護職です。看護師との違いは、准看護師は国家資格ではなく、各都道府県で行われている准看護師試験に合格すると取得できる資格、という点です。
准看護師の業務は、基本的に看護師と変わりません。医師の診療補助や患者のケア、ナースコールへの対応、カルテの作成などを行います。ただし、准看護師はこれらの業務を自分の判断で行うことができず、すべて医師や看護師の指示に従う必要があります。
准看護師として活躍するには、准看護学校などで養成課程を修了し、各都道府県で行われている准看護師試験に合格する必要があります。准看護学校は、中学校の卒業資格があれば受験が可能です。その他には、衛生看護科のある高校で学ぶ方法や、普通科の高校を卒業後に看護大学や専門学校に通学して受験資格を得る方法もあるため、准看護師を目指すのはそれほど難しくありません。
助産師は、お産の支援(助産)や妊婦、産褥婦(さんじょくふ)・乳幼児への保健指導を担う看護職です。産褥婦とは、出産して間もない女性のことで、免疫力などが低下しているため、助産師や保健師による保健指導が欠かせません。
助産師になるためには、助産師国家試験と看護師国家試験に合格する必要があります。どちらも毎年2月中旬に試験が行われるため、同時合格を目指す場合は、両方の勉強を同時に進めなければなりません。まずは看護師国家試験を受験し、合格後に助産師国家試験を受験する方も多いようです。
助産師の仕事は、出産前・出産時・出産後で異なる役割が求められます。こちらでは、それぞれのタイミングに分けて助産師の役割をご紹介します。
出産前は、妊婦への生活指導や健康指導を通して、できるだけ万全の状態でお産を迎えられるようにサポートします。また、産前教育を行うことで母親・父親としての心構えを伝えたり、妊婦の相談に乗ったりするのも助産師の重要な仕事です。
助産師が出産時に行うのは、赤ちゃんを安全に取り上げる「分娩介助」です。一般的な病院では、3人体制でお産の介助を行います。医師や看護師が同席するケースもありますが、助産師が中心となってお産をコントロールします。
出産後は、入院している産褥婦のケアや母乳指導、乳児の保健指導などを中心に行います。退院後も、助産師のアドバイスを求めて病院に通う方も少なくありません。
保健師とは、「保健師助産師看護師法」に基づいて保健指導や生活指導を行う看護職です。乳幼児や働き盛り世代、高齢者まで、幅広い世代の方が健康的な生活を送れるようサポートします。
保健師の資格を取得するには、保健師国家試験に合格する必要があります。また、助産師と同様、看護師資格も取得する必要があるため、同時合格は決して簡単ではありません。受験資格は、4年制大学の看護系学部に通っていれば、卒業と同時に2つの試験の受験資格を得られます。
保健師は、働く場所によって呼び方が変わるのが特徴です。こちらでは、就業場所ごとに保健師の役割をご紹介します。
産業保健師は、企業に就職し、従業員の健康管理や就業規則の作成のサポートなどを行います。働き方改革によって産業保健師の需要が高まっており、大企業の求人も少なくありません。
学校保健師は、私立中学・高校、専門学校、大学などに勤める保健師です。学生や生徒のケガの手当てや、健康に関する相談などを請け負います。
病院保健師は、病院や診療所などに勤める保健師です。患者の健康診断や健康相談が主な業務です。また、保健師は看護師免許も取得しているため、看護師と役割を兼務するケースもあります。
行政保健師は、公務員として地域の保健所や保健センターなどに勤める保健師です。地域住民への保健指導や健康相談などを主な業務としています。
今回は、看護職に当てはまる4つの職種についてご紹介しました。
それぞれの仕事内容は、重なっている部分もありますが、どれも重要な役割を果たしています。
看護職の資格取得を目指す場合は、ぜひ参考にしてください。
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