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看護師国家試験の計算問題攻略のポイント

看護師国家試験で必ず出題される計算問題。問題数は少ないものの、計算問題の数問を解答できず、不合格になってしまう方もいます。看護師国家試験に合格するためには、計算問題を確実に解くことが大切です。
今回は、看護師国家試験の計算問題攻略のポイントをご紹介します。過去問や演習問題を解いてみて、計算問題に不安を覚えた方は、ぜひ今回の内容を参考にしてください。

看護師国家試験で出題される問題

看護師国家試験では、必修問題・一般問題・状況設定問題の3種類の問題が出題されます。
それぞれの特徴は、以下の表の通りです。

問題の種類特長
必修問題・看護師に必要な基礎的な知識を問う問題
・50問(1問1点)
・8割(40問)以上の正答率がない場合は不合格
一般問題・社保統計や社会保障、解剖、病態関係、看護技術など、幅広い問題が出題
・出題基準にのっとって、11科目について一問一答形式で出題
・130問(1問1点)
・ボーダーラインは6~7割前後
・短文の事例問題も出題
状況設定問題・出題形式にのっとって、7科目について出題
・60問(1問2点
・看護師が実際に遭遇する状況を設定し、それに対する対応力や判断力を問う問題が出題
・ボーダーラインは6~7割前後

試験時間は、午前と午後合わせて5時間20分で、2時間40分ずつの試験となっています。問題数から単純に計算すると、1問あたり2分もかけられません。合格するためには、スピーディーに解答する必要があるため、試験勉強の段階から時間配分を意識することが大切です。


看護師国家試験の計算問題とは?

看護師国家試験で出題されるのは、4つや5つの選択肢の中から正答だと思うものを選ぶ、択一式の問題が基本です。ただ、なかには事例問題のような非選択式の問題も出題され、計算問題はその代表です。

計算問題が初めて出題されたのは、2012年度の第102回試験。選択肢には0〜9の数字が並んでおり、3桁の数字を選んで解答します。択一式の問題のように、選択肢から解答を推測することはできません。

看護師国家試験の計算問題は、一時期5〜10問程度出題されていた時期もありました。しかし、近年では出題数が減少傾向にあり、午前・午後で2〜3問ほどにとどまっています。

近年の出題数を考えると、計算問題について「捨てる」という考えをもつ方もいるかもしれません。しかし、なかには公式や考え方を当てはめるだけで正解できる問題もあるため、解けるようにしておくのが理想です。

過去の出題例

こちらでは、看護師国家試験で過去に出題された計算問題をいくつかご紹介します。受験予定の方は、ぜひ一度目を通してみてください。

2018年度(第108回)試験 午前第90問身長170㎝、体重70kgの成人の体格指数を求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。
2017年度(第107回)試験 午後第77問出生体重3,200gの新生児。日齢3の体重は3,100gである。
このときの体重減少率を求めよ。

計算問題攻略のポイント

看護師国家試験の計算問題は、決して配点や出題数は多くないものの、苦手意識のある方が多い分野です。
ただ、看護師国家試験では、学生が苦手とするような数学の分野は出題されず、基本的な知識さえ理解していれば過度に心配する必要はありません。

こちらでは、看護師国家試験の計算問題を攻略するためのポイントや、覚えておくべき公式をご紹介します。

計算問題を解くうえでの2つの基本

看護師国家試験で出題される、基本的な計算問題を解く場合、以下の2つの基本を押さえておきましょう。

  • 単位をそろえる
  • 比例式を活用する

計算問題では、問題文の単位と解答欄の単位を別にしているケースがよくあります。この場合、何も考えずに解答してしまうと、単位のズレが生じて間違えてしまいます。計算問題を見つけたら、まずは単位に注目し、すべて同じ単位にそろえることが大切です。

また、看護師国家試験では、比例式で解答できる問題も多く出題されます。
比例式の特徴を理解していれば、簡単に答えることができるため、頭の片隅に置いておきましょう。比例式とは、以下の公式のことです。

押さえておこう!比例式の公式

A:B=C:D → AD=BC

比例式の内項の積(BC)と外項(AD)の積は等しいため、上記のような式になります。

覚えておくべき公式

看護師国家試験で出題される計算問題は、公式や一定の値を覚えておくだけで解ける問題も少なくありません。
こちらでは、理解しておくべき公式や数値をご紹介します。

  • カウプ指数
  • BMI
  • ローレル指数
  • 体重減少率
  • 肥満度
  • 輸液セット

カウプ指数

カウプ指数=体重(kg)÷【身長(cm)×身長(cm)】×10

生後3カ月から5歳までの乳幼児について、発育の程度を考える際の指数です。成人に使用されるBMIと同じ考え方ではあるものの、判断基準が異なります。正常範囲は15〜19程度といわれており、それより大きいと「肥満」、小さいと「痩せ」と表現されます。

BMI

BMI=体重(kg)÷【身長(m)×身長(m)】

体重と身長のバランスを表す国際的な基準で、肥満度のチェックに利用されます。「Body Mass Index」の頭文字を取ったもので、標準BMIは22とされています。

ローレル指数

ローレル指数=体重(kg)÷【身長(cm)×身長(cm)×身長(cm)】×10000000

学童期の肥満度を判定する際に利用される指標です。「身体充実度指数」と呼ばれることもあり、115〜145が標準、それ以上は「太りぎみ」や「太りすぎ」、それ以下は「痩せぎみ」や「痩せすぎ」と表現されます。

体重減少率

体重減少率=(出生時の体重-現在の体重)÷ 出生時の体重 ×100

乳幼児の体重の減少率を確認する指標で、低栄養のリスクチェックにも役立ちます。

肥満度

肥満度(%)=【体重(kg)-標準体重(kg)】÷ 標準体重(kg)×100

肥満度を確認する場合に使用される指標で、BMIと併用される傾向にあります。

輸液セット

成人用が20滴/ml、小児用が60滴/mlとされています。

どれも試験で頻出の公式や数値です。計算問題以外でも問われる可能性があるため、必ず覚えておきましょう。


近年の出題傾向

計算問題の出題数が減っているように、試験問題は毎年少しずつ形を変えています。合格を目指すためには、その傾向をつかんでおくことが大切です。こちらでは、近年の看護師国家試験の出題傾向をご紹介します。

視覚素材を利用した問題が出題されている

2009年度(第98回)試験から随所で出題されているのが、具体的な症状や器具の使用方法などについて、写真や図などの視覚素材を用いている問題です。エックス線写真や人体写真を利用した問題が出題されています。毎年3、4問出題されているため、参考書を確認する際は、写真や図にも目を通しておきましょう。

五肢択一・択二の問題に注意

看護師国家試験の問題は、四肢択一の問題が基本です。しかし、なかには五肢択一や択二の問題も出題されています。解答の選択肢が増えると、問題に対する理解も高いものが要求され、当然難易度が上がります。

正答率も下がる傾向にあるため、この問題に正解できると合格にかなり近づけるでしょう。近年では、全体の20%前後が五肢択一や択二の問題となっていることを踏まえて、しっかりと対策する必要があります。


まとめ

看護師国家試験の計算問題は、出題数が少ないにもかかわらず、苦手意識をもっている方が多く、なかには「捨て問題」にしてしまっている方もいるでしょう。しかし、出題される計算問題は決して難しいものではなく、公式や一定の数値を理解していれば解答できるものがほとんどです。これを機会に、計算問題を確実に解けるようにしておきましょう。