看護師国家試験の不適切と思われる問題とは?

看護師国家試験は、「必修問題」と「一般問題+状況設定問題」に分かれており、特に必修問題は合格基準点が80%と高く設定されているのが特徴です。1問の正解・不正解が合格を左右するケースも珍しくありません。

そんな中、毎年受験生をやきもきさせているのが、「不適切問題」の存在です。今回は、不適切問題の概要や実際の出題例、採点方法などを解説します。不適切問題の存在を踏まえた試験の心構えも紹介しますので、これから受験に挑む方はぜひ参考にしてください。


看護師国家試験の「不適切問題」とは?

看護師国家試験では毎年、必修問題50問、一般問題130問、状況設定問題60問の計240問が出題されます。問題数が多いため勘違いで誤答してしまったり、選択肢を選び間違えてしまったりするケースもありますが、ミスをするのは受験生だけではありません。

看護師試験では、実施後に「難易度が適切ではない問題」「選択肢が不適切である問題」「正解を選ぶことができない問題」などが発見されることがあります。これを「不適切問題」または「採点除外問題」と呼びます。看護師国家試験の不適切問題は、毎年のように発見されており、受験生を不安にさせているのが実情です。


過去の不適切と思われる問題と要望書の概要

不適切問題は、看護師国家試験の運営元である厚生労働省が、自発的に「この問題が間違っていました」と発表するものではありません。まず、試験終了後に一般社団法人日本看護学校協議会から「第●回看護師国家試験の実施に関する要望書」が提出され、その中で「不適切と思われる問題」の指摘がなされます。次に、厚生労働省内で要望書に関する検討が行われ、合格発表時に「採点除外等の取扱いをした問題」が発表される、という流れです。そのため、日本看護学校協議会が「不適切と思われる」と指摘した問題が、すべて不適切問題とされるわけではありません。

こちらでは、日本看護学校協議会が過去に「不適切と思われる」と指摘した問題の出題例や、要望書の内容をご紹介します。要望書の全文はホームページで確認可能です。気になる場合はチェックしてみましょう。


|第109回試験

109回看護師国家試験に関する要望書で、「不適切と思われる」と指摘された問題は、以下の12問です。

【午前問題】

11問/第33問/第53問/第85問/第118問

【午後問題】

15問/第26問/第65問/第72問/第93問/第111問/第117問


次に、取り上げられた問題の一部と要望書の内容を確認します。

【午前問題】第53問

軽度認知障害で正しいのはどれか。

  1. 一過性の障害である。
  2. 実行機能障害がある。
  3. 物忘れを自覚している
  4. 日常生活動作(ADL)が障害される。

【要望書の内容】

FASTによる軽度の認知機能低下について、臨床的特徴に重要な約束を忘れることや、複雑な作業を行う場合の作業の遂行障害があげられている。そのため、選択肢2と3の2つの正解が考えられる。


【午後問題】第118問

Aさん(75歳、女性)は、脂質異常症dyslipidemiaと高血圧症hypertensionで通院中で、定期受診のため、外来待合室で順番を待っていた。Aさんは、待合室の雑誌を取ろうと立ち上がり、歩こうとしたところ、右足が思うように動かず引きずって歩いた。外来看護師が声をかけると、Aさんは「らいじょうぶ」と返答したが、ろれつが回らなかった。

この時のAさんの症状はどれか。

  1. 痙縮
  2. 失語
  3. 構音障害
  4. パーキンソニズム

【要望書の内容】

Aさんに関する症状の説明が不十分であるため、選択肢2と3の正解が考えられる。


なお、第109回試験で実際に「採点除外等の取扱いをした問題」となったのは、午前問題の「第11問/第53問/第85問」、午後問題の「第18問」の計4問です。

出典

一般社団法人日本看護学校協議会.「106回保健師・第103回助産師及び第109回看護師国家試験の実施に関する要望書」.http://www.nihonkango.org/pdf/new_200227.pdf,(参照 2022-3-10)


|第108回試験

第108回看護師国家試験に関する要望書で、「不適切と思われる」と指摘された問題は、以下の11問です。

【午前問題】

第5問/第49問/第63問/第72問/第95問/第109問/第110問

【午後問題】

第27問/第99問/第114問/第115問


次に、取り上げられた問題の一部と要望書の内容を確認します。

【午前問題】第5問

呼びかけに反応のない患者に対し、医療従事者が行う一次救命処置で最も優先するのはどれか。

  1. 気道確保
  2. 胸骨圧迫
  3. 人工呼吸
  4. 除細動

【要望書の内容】

医療従事者が行う一次救命処置は、反応がなければまず呼吸をみる。正常な呼吸があれば気道確保を実施。呼吸がなければ直ちに胸骨圧迫となっている。医療従事者向け「JRC 蘇生ガイドライン 2015」では、呼びかけに反応がない場合はまず、呼吸の確認、正常な呼吸があれば→気道確保、呼吸がなければ胸骨圧迫となっている。

呼吸の有無について触れられていないので、1.気道確保、2.胸骨圧迫のどちらも正解となり得ると考える。


【午後問題】第27問

標的細胞の細胞膜に受容体があるのはどれか。

  1. 男性ホルモン
  2. 甲状腺ホルモン
  3. 糖質コルチコイド
  4. 甲状腺刺激ホルモン

【要望書の内容】

設問内容そのもの看護師に求める知識レベルとしては、難易度が高いと考える。


なお、第108回試験で実際に「採点除外等の取扱いをした問題」となったのは、午前問題の「第5問/第33問/第110問」の計3問です。第33問については、日本看護学校協議会からの指摘はありませんでしたが、不適切問題として扱われています。このことから、厚生労働省内でも独自に問題の適切性について調査していると考えられます。

出典

一般社団法人日本看護学校協議会.「第102回助産師及び第108回看護師国家試験の実施に関する要望書」.http://www.nihonkango.org/pdf/new_190225.pdf,(参照 2022-3-10)



不適切問題の採点方法や点数への影響

不適切問題の有無や採点方法は、点数や試験結果に大きな影響を与える可能性があります。例えば、看護師国家試験の必修問題では、1問1点の問題が50問出題され、8割、つまり40点以上の得点が必要です。しかし、不適切問題が3問存在しすべて採点から除外された場合、満点が47点となるため、合格基準点も「47点×0.8=37.6点」、つまり38点まで下がります。自己採点の結果が39点で諦めていた方が、合格できる可能性が生まれるのです。

実際の試験では、結果への影響を最小限にするために、不適切問題は内容に応じてさまざまな形で採点されます。ここでは、過去の試験結果をもとに、不適切問題の採点方法のパターンを3つご紹介します


当該問題を採点対象から除外する

もっともシンプルなのは、不適切問題を採点対象から除外する方法です。この場合、先程の例と同様、満点が下がる影響で合格基準点も低くなる傾向にあります。不適切問題が採点対象から除外されるのは、「難易度が高く、看護師の適性を図る問題として適切ではない」「状況設定が不十分で正答にたどりつくことができない」「選択肢が不適切である」などの理由が多いようです。


正解した場合は採点対象に含め、不正解の場合は採点対象から除外する

不適切問題の内容によっては、正解者・不正解者で対応を分けるケースも見られます。具体的には、正解した場合は通常通り採点し、不正解の場合は採点対象から除外するのです。不適切問題が、「必修問題としては妥当でない」「難易度設定が適切ではない」などの場合、こちらの対応になるケースが多いようです。


複数の回答を正答として扱う

選択問題で正答となる選択肢が複数ある場合は、複数の回答を正答として扱うのが一般的です。満点に変更はありませんが、相対評価となる「一般問題+状況設定問題」では、ボーダーラインが上がる可能性があります。




不適切問題への備え方

不適切問題が毎年のように報告されている以上、受験者はある程度想定して試験に臨む必要があります。こちらでは、不適切問題の存在を踏まえた試験の心構えについてご紹介します。


合格点に余裕をもてるように勉強をする

もっとも重要なのは、不適切問題の有無にかかわらず合格点を勝ち取れるよう、試験対策に力を入れることです。看護師国家試験は、「落とすための試験」ではなく、「現場に必要な知識を備えているか確認するための試験」と表現されます。そのため、スケジュール立てを行い、コツコツと勉強していれば、合格できる力を着実につけられるはずです。

勉強方法に悩んでいる場合や、独学に限界を感じた場合は、オンライン講座を活用してみてはいかがでしょうか。合格実績の豊富な専任講師の授業を自宅や外出先で手軽に受けられるため、学生はもちろん、忙しく働いている社会人の方にもご利用いただけます。


「不適切と思われる問題」に気づいても時間をかけすぎない

不適切問題は1年に複数個報告されるケースも珍しくなく、試験中に受験者が気付く可能性もあります。万が一不適切と思われる問題を発見しても、必要以上に時間をかけすぎないように注意しましょう。問題用紙にマークをつけておき、時間に余裕があったら確認する程度で十分です。


要望書が提出された段階で一喜一憂しない

例年、看護師国家試験は2月中旬、日本看護学校協議会の要望書は2月下旬に提出されます。合格発表前に要望書で「不適切と思われる問題」を目にすることになりますが、内容に一喜一憂しないようにしましょう。あくまで不適切問題の判断は厚生労働省に委ねられており、合格発表時まで確定しないためです。




まとめ

不適切問題があると、合格基準点が変わる可能性もあり、受験者の中には心配な方もいるでしょう。しかし、合格を目指すのであれば、不適切問題に頭を悩ませるより、コツコツと勉強するのが得策です。確実に合格できる点数を獲得できるよう、努力を続けましょう。

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