
「准看護師は恥ずかしい」「やめとけ」と言われ、不安に感じていませんか。
確かに正看護師と比べるとレベルが低いと見られたり、給与差や「アセスメントできない」といった制約があります。
しかし、短期間・低コストで資格取得が可能で、働きながら正看護師を目指せるメリットもあります。
本記事では准看護師が恥ずかしい・やめとけと言われる理由と、解決策を解説します。
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准看護師は恥ずかしい?やめとけ?その理由とは
「准看護師は恥ずかしい」と耳にして、不安に感じている方もいるのではないでしょうか。
実際には、資格の仕組みや働き方の違いからそうした声が生まれている背景があります。
- 学歴や資格格差によるイメージ
- 仕事内容がほぼ同じなのに給与差がある
- 自己判断で医療行為ができない
ここでは、なぜそのように言われるのか、具体的な理由を整理して解説します。
学歴や資格格差によるイメージ
国家資格で難易度の高い看護師に比べて「准看護師はレベルが低い」と言われることがあります。
正看護師は、厚生労働省管轄の国家資格です。
高校卒業後、看護大学や看護師養成所の3〜4年課程で3,000時間以上履修することで受験資格を得ることができます。
一方、准看護師の資格は都道府県管轄で、中学卒業後に2〜3年課程で1,890時間履修すれば、受験資格を得られます。
国家資格の方が試験範囲が広く、難易度も高いことから「准看護師は簡単に取れる資格」という偏見を持たれがちです。
仕事内容がほぼ同じなのに給与差がある
准看護師と正看護師は、業務内容や範囲については法律上の違いはほとんどありません。
医師の診察補助や、点滴、採血、手術の補助といった業務に同じように取り組みます。
ただ、准看護師は独自の判断で業務を行うことができないことから、業務範囲が限られてしまいます。
そのため、同じように働いていても、より高い専門性と責任を伴う看護師の方が給与が高い傾向にあります。
准看護師の方は「給料と業務量が見合っていない」と感じることもあるかもしれません。
自己判断で医療行為ができない
准看護師は必ず正看護師や医師の指示を受けて医療行為を行う必要があります。
患者の状況から自己判断でのアセスメントはできません。
例えば、患者から入浴介助などを頼まれた場合でも、准看護師は担当の正看護師や看護師長などの指示を仰いで対応しなければなりません。
また、看護計画の立案、管理職への昇進も認められていません。
准看護師はあくまで現場のプロであり、指示のもと、患者のケアに専念することが求められます。
准看護師として働くメリット
「正看護師と比べると不利なのでは?」と思われがちな准看護師ですが、実は早く現場に出られることや費用面での負担が軽いなど、大きな利点もあります。
- 資格取得までの期間が短く、費用が安い
- 医療現場で実務経験を積める
- 働きながら正看護師を目指せる
ここでは、准看護師として働くことで得られる代表的なメリットを紹介します。
資格取得までの期間が短く、費用が安い
准看護師の最大のメリットは、資格取得までの期間が短く、費用が安いことです。
正看護師は高校卒業後、3〜4年課程の大学や専門学校で学ばなくてはなりません。
一方、准看護師ならば、中学卒業後は高校の衛生看護科などで学び、最短2年で取得できます。
学費についても正看護師ほど高額ではありません。
正看護師資格取得には300万円以上かかることが多いですが、准看護師は学校によっては100万円程度となっています。
医療現場で実務経験を積める
准看護師は正看護師と同じように、医師の診察補助や点滴などの業務を担います。
正看護師が行う業務全般を准看護師もできるようになる必要がありますので、実務を通じてスキルを身に付けることができます。
医師や正看護師の指示を受けながらですが、現場のプロとして常にチームと連携して働くこととなります。
また、准看護師は資格取得後、すぐに現場で働くことが多いため、実務経験を重視する方に向いています。
働きながら正看護師を目指せる
准看護師として働きながら正看護師を目指すことも可能です。
准看護師から正看護師を目指すには、看護師学校養成所2年課程で単位を修めて、国家試験の受験資格を得る必要があります。
定時制2年課程ならば、夜間や土日に授業を受けられます。
准看護師としての実務経験が5年以上ある場合は、通信制2年課程もおすすめです。
働きながら通学する際は、職場の理解が欠かせません。
勤務を考慮してもらえるよう、事前に相談をしておきましょう。

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准看護師として働くデメリット
もちろん、准看護師には制約や不利に感じやすい面も存在します。
以下のような点に、実際に働き始めてから気づく人も少なくありません。
- キャリアの天井がある
- 給与・待遇面で差がつきやすい
- 正看護師よりも業務に制限がある
ここからは、准看護師ならではのデメリットを具体的に解説します。
キャリアの天井がある
准看護師ができないことの一つに、管理職への昇進があります。
前述の通り、准看護師は正看護師や医師から指示を受ける立場のため、他の看護師に指示を出せません。
あくまで現場のプロであり、正看護師や准看護師を管理する能力を学ぶ機会が設けられていないため、管理職になれないケースが多いです。
正看護師と同様に経験を積んだとしても、定められた権限が違うことで、同じようにキャリアアップすることが難しくなってしまいます。

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給与・待遇面で差がつきやすい
准看護師と正看護師は業務に差はありませんが、一般的に、正看護師の方が准看護師よりも給与が高い傾向にあります。
正看護師は自己判断を求められる場面が多く、准看護師よりも高い専門性と責任を伴うためです。
また、昇進ができないことも要因の一つとして挙げられます。
年収に換算すると、准看護師と正看護師には100万円ほどの差はあるといわれています。
同じように夜勤を担当することがあっても、所定内給与額や年間賞与の違いから差が生じやすいです。

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正看護師よりも業務に制限がある
准看護師は、業務の全てを医師や看護師の指示を受けて行わなくてはなりません。
正看護師は、患者の状態を確認して自らの判断で処置ができるのに対し、准看護師は必ず指示を受けて行う必要があります。
また、准看護師はアセスメント・看護計画を自ら作成できません。
アセスメントは患者の状態を把握するための観察・評価のことで、看護計画は入院から退院までのケア方針をまとめたものです。
正看護師は、計画立案についてのノウハウを学んでいますが、准看護師はその教育を受けていません。
准看護師は恥ずかしいと思ってしまうときの解決策
「准看護師は恥ずかしい」と思ってしまったときは、どのように解決すれば良いのでしょう。
以下のいずれかを検討することで、自信ややりがいを取り戻せるかもしれません。
- 正看護師資格取得を目指す
- 転職を検討する
- 関連資格を取得してスキルアップする
不安に感じている准看護師の方に向けて、解決策を紹介します。
正看護師資格取得を目指す
准看護師から正看護師の資格を目指すことで、給与面や待遇、業務の差に悩むことは少なくなるでしょう。
正看護師になることで、同じ業務量でも年収アップにつながります。
管理職への昇進も可能となるほか、自身の判断で処置が可能となるので、キャリアアップもできます。
また、准看護師に比べて、正看護師の方が求人数も多いです。
「近所で働きたい」「福利厚生の充実している職場が良い」など、希望する職場で働ける可能性が高くなります。
転職を検討する
今の職場に不満がある場合は、転職を検討するのも一つの方法です。
環境を変えることで、人間関係や労働環境に対する悩みが軽減され、仕事に対するやりがいを取り戻すことにもつながるかもしれません。
地域密着型の介護施設や、訪問看護など、准看護師としての知識を生かした現場も数多くあります。
「正看護師を目指さなくてはいけない」と不安を抱えている方も多いかもしれません。
まずは今持っている資格を生かして、自信を持って働ける職場を探しましょう。
関連資格を取得してスキルアップする
准看護師は、病院や診療所のほかにも、介護保健施設や社会福祉施設でも活躍できます。
介護などの分野で関連資格を取得することで、スキルアップにつながります。
専門的な知識を高めることで、日々の業務に役立ち、やりがいを持って働けるようになるでしょう。
例えばケアマネージャーは、要介護者や要支援認定を受けた方を対象に、相談を受けられるようになる資格です。
看護業務と並行して、患者にとって最適な介護環境を提供するといった働き方が可能となります。
准看護師から正看護師になる方法
准看護師から正看護師になるためには、毎年2月に行われる看護師国家試験に合格する必要があります。
そのためには、一定期間学校に通い、受験資格を取得しなければなりません。
学校にはさまざまな選択肢がありますが、最短ルートは看護師学校養成所2年課程で、以下の3種類があります。
- 全日制
- 定時制
- 通信制
それぞれの特徴を紹介します。

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全日制
全日制課程の学校では、平日の昼間に授業を行います。
全日制課程は、准看護師の資格を持っていて、最終学歴が高校卒業以上ならば、実務経験が無くても受験可能です。
2年で正看護師の国家試験を受験できるので、最も早く正看護師になる方法といえるでしょう。
ただし、最終学歴が中学校卒業の場合、実務経験が3年以上必要です。
日中に通学しなければならないため、仕事との両立は困難です。
仕事との両立に不安のある方や、じっくり学ぶ時間がほしいという方にはおすすめです。
定時制
定時制課程の学校は、昼間定時制と夜間定時制に分かれており、自分のライフスタイルや仕事の都合に合わせて選べます。
受験条件は全日制と同様で、高校卒業者ならば実務経験が無くても受験可能です。
卒業まで3年かかるため、看護師資格の取得は遅れますが、働きながらでも資格取得を目指すのがポイントです。
ただし、実習が本格化する3年次になると、仕事との両立が難しくなるケースもあります。
勤務と両立する場合は、職場に相談し、勤務を調整してもらうなど、サポートを受けられるようにしておきましょう。
通信制
通信制課程は、通信教材による学習をメインにした学校です。
毎日学校に通う必要がないため、働きながら資格取得を目指す方に人気です。
受験する際には、准看護師資格のほかに、実務経験が5年以上必要となります。
これまでは7年以上の実務経験が必要でしたが、2026年4月から短縮されるため、受験しやすくなりました。
ただし、全ての授業を通信教材で受けられるわけではありません。
医療機関での実習、面接授業、紙上事例演習などの際には、実際に足を運ぶ必要があります。
他の課程同様、職場や家族からのサポートが欠かせません。

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准看護師が減り正看護師が増えている理由
近年は准看護師ではなく、正看護師を目指す方が増えています。
厚生労働省の調査によると、准看護師を目指して養成施設に通う方は、2024年は7,414人と看護師・准看護師養成者数の1割程度です。
背景には、以下が挙げられます。
- 昇給やキャリアアップにつながる
- 医療機関の採用で正看護師を優遇する傾向にある
- 転職先・働き方の幅が広がる
3つの理由を詳しく見ていきましょう。
昇給やキャリアアップにつながる
長期的に見て、収入・キャリアアップの面で正看護師の方が有利といえます。
給与は、高い専門性と責任を伴う正看護師の方が、准看護師よりも高いです。
基本給・夜勤手当・賞与それぞれ、准看護師よりも高く設定されており、長く働けば働くほど、収入差は大きくなります。
また、正看護師は准看護師には認められていない、自己判断での処置や管理職への昇進も可能です。
正看護師になって経験を積むことで、キャリアアップの道も大きく広がるでしょう。
医療機関の採用で正看護師を優遇する傾向にある
近年は、大学病院や総合病院は正看護師を前提にした採用ケースが増えています。
日本看護協会が取りまとめた調査によると、病院の看護師の求人数が2023年度は67,727人だったのに対し、准看護師は4,208人でした。
正看護師の方が准看護師よりも圧倒的に求人数が多く、今後も需要は増え続けると考えられます。
転職先・働き方の幅が広がる
求人数の多い正看護師の資格があれば、転職先や働き方の選択肢・幅が広がります。
国家資格である看護師は、転職や再就職にも強く、求人数も勤務形態もさまざまです。
また、正看護師の資格があると、病院だけでなく、訪問看護ステーションや介護施設、企業、学校など、さまざまな場所で活躍できます。
自らの判断で医療的なケアや、健康管理への対応をすることができるためです。
多数の採用情報から、自分の興味やライフスタイルに合った勤務先を選択しやすくなります。

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准看護師についてよくある質問
ここでは、准看護師について聞かれる疑問についてお答えします。
准看護師が廃止されるのはいつから?
医療の高度化・複雑化から、准看護師を廃止し、正看護師への一本化すべきとの声があり、議論されています。
ただ、日本看護協会と日本医師会で意見が異なるため、廃止に向けた具体的な動きはありません。
日本看護協会では、社会の変化や患者のニーズに応えるために准看護師の養成停止を訴えています。
一方、日本医師会は、人手不足の観点から准看護師の重要性を唱えています。
准看護師は主任になれる?
准看護師は主任になることがあります。
准看護師は管理職になっても、他の看護師に指示を出すことができません。
ただし主任は、一般企業や官公庁で正式な管理職に該当しないとされているため、准看護師でも任されるようです。
主任は、他のスタッフと看護師長との橋渡しのような役割を果たします。
人望や長年の経験から任されるもので、看護の責任については正看護師が負います。
まとめ
今回は准看護師が恥ずかしい・やめとけと言われる理由と、その解決策について解説しました。
- 正看護師の方が難易度が高いため、准看護師はレベルが低いと思われがち
- 転職や介護などの関連資格を取得することで准看護師でもやりがいを持てる
- 正看護師の資格を看護師学校養成所に通えば最短2年で取得することができる
- 正看護師の方が待遇が良く、働き方の幅も広がるため、准看護師は減少傾向
長い目で見ると、准看護師から正看護師になった方が待遇面の改善やキャリアアップが見込めそうです。
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