どちらも汎用性の高い資格
マイナンバーの運用が始まり個人情報保護士認定試験の受験者が増えている一方、ITパスポートも情報処理関連のベーシックな国家資格として多くの方が受験しています。どちらもそれぞれの分野では初歩的な内容を取り扱った資格試験ですが、同時に汎用性の高い試験として注目を集めています。現在、多くの企業ではITを活用しながら個人情報を扱うため、両方を受験する方も少なくありません。
ITパスポートはスキルレベル1の試験
ITパスポートは経済産業省が認定を行う情報処理技術者試験のひとつです。このほかにも経済産業省は「情報セキュリティマネジメント試験」「応用情報技術者試験」「ITストラテジスト試験」「システムアーキテクト試験」などの認定試験を行っており、それぞれには内容の難易度に応じた4段階のスキルレベルが設定されています。ITパスポートに設定されているのは、4段階中最も難易度が低いとされるスキルレベル1です。
もともと経済産業省は、ITパスポートの前身とされる「初級システムアドミニストレータ試験」を行っていました。ITパスポートへの変化にともない「システムのユーザーとして必要な知識を問う試験」から、「より標準的なIT知識・スキルを問う試験」に生まれ変わったとされていますが、難易度自体もいくぶんか下がったと考えられています。上位の情報処理技術者試験のように「社会人経験」が正答率に与える影響も見られないため、学生による受験も目立っています。
個人情報保護士認定試験とITパスポートを比較すると
ITを駆使しながら個人情報を同時に取り扱う企業が多い昨今、比較されることが多い個人情報保護士認定試験とITパスポート。合格が難しいのはどちらなのでしょうか。
合格基準
個人情報保護士認定試験の合格基準は正答率70%以上です。一方ITパスポートに合格するためには、「ストラテジ系」「マネジメント系」「テクノロジ系」という各分野での点数が300点以上、かつ総合評価点が600点以上である必要があります。ひとつでもこの基準点に到達していない分野があると合格にはなりません。
合格率
個人情報保護士認定試験の平均合格率は約37%です。対してITパスポートの合格率は約50%付近を推移しています。ITパスポートは情報処理関係の国家試験の中でも初歩レベルの内容で、難易度も比較的低めの試験として知られます。試験内容もITビジネスに関わっている方にとってはおなじみの知識が出題される傾向にあるため、IT関係者が合格するのはそれほど難しくないでしょう。
出題内容
個人情報保護士は、「個人情報保護法およびマイナンバー法に対する理解」と「情報セキュリティ」のふたつの分野から合計120問出題されます。対してITパスポートは、「ストラテジ系」「マネジメント系」「テクノロジ系」の3分野から合計100問の出題です。問題数は個人情報保護士が多いものの、試験時間は150分と、165分設定されているITパスポートと比べて短い時間内で多くの問題を解答する必要があります。この点を比較すると、ITパスポートのほうがゆとりを持って試験用紙と向き合えるかもしれません。
そもそも、個人情報保護士認定試験とITパスポートは違う団体が運営しており、扱っている内容も違います、難易度の点では、単純な比較はできません。共通しているのは、「どちらもベーシックな内容である」という点です。
両方とも共通の現場で評価されるケースが多く、互いの親和性が高い試験です。ITパスポートに関して言えば、IT技術に関する知識が中心となるため、関係者にとってはやさしい試験かもしれません。両方持てばセキュリティ分野で幅広く活躍できるため、ダブルライセンスもぜひ検討してみてください。