個人情報保護士とは、個人情報を取り扱うさまざまなビジネスシーンにおいて、専門的見地から運用・管理、またはその方面でのアドバイスを行う専門家を指します。その名を冠して活動をするには個人情報保護法に対する正しい理解が必要であり、そのために実施されるのが、「個人情報保護士認定試験」です。
個人情報保護法の改正により、事業所の規模に関係なく、すべての企業が個人情報保護法の対象となりました。また、マイナンバー制度の導入にともない、今まで以上に個人情報のセキュリティが重要視されるようになった点も見逃せません。個人情報を巡って不祥事を起こした際の企業リスクも小さくないだけに、専門知識を持つエキスパートの獲得・養成は喫緊の課題です。
個人情報はデリケートな内容だけに、漏えいや紛失などの不祥事を起こせば信用の失墜はまぬがれません。個人情報保護の重要性、多くの企業で実施される情報管理の厳格化は、同法関連の資格の多さを見ても分かるでしょう。
関連性はあっても、個人情報保護士とこれらの類似資格は明らかに異なります。混同を避けるためにも、以下の資格との違いを押さえておきましょう。
上級個人情報保護士は、その名の通り、個人情報保護士の上位資格です。個人情報セキュリティの専門家として、さらにワンランク上を目指すなら、同資格の取得にぜひチャレンジしてください。
上級個人情報保護士になるための講習は、法律の基本理念に加え、トラブルの解決に必要となる条文や基本書を徹底的にマスターするという、実務スキルの習得にウェイトを置いた内容です。シチュエーションに応じて条文や基本書を柔軟に活用できるようになることで、高度な問題解決能力の習得を目指します。
上級個人情報保護士の認定講習を受講するには、個人情報保護士の資格取得後、さらに「マイナンバー対応個人情報保護士」に合格しなければなりません。つまり、同資格へのチャレンジは、個人情報保護法とマイナンバー法の基礎知識を極めることが条件となります。講習は2日間のカリキュラムで行われ、レポート内容を見て最終認定を実施。合格者にのみ、個人情報保護士の上級資格を意味する「認定証書」と「プラチナ認定カード」が交付されます。
情報セキュリティ管理試士試験は、個人情報保護士と同じく「一般財団法人 全日本情報学習振興協会」が主催する試験です。試験では個人情報に限定せず、情報全般についての知識が問われます。一般的に、コンピュータのセキュリティ関係や情報処理部門など、IT分野における情報セキュリティを専門にしたい方の受験が目立ちます。
情報セキュリティ管理士には「情報セキュリティ初級認定試験」とその上級の「情報セキュリティ管理士認定試験」のふたつがあります。「インターネットに強い個人情報保護のスペシャリストになりたい」とお考えなら、個人情報保護士とのダブルライセンスをぜひ狙いましょう。
個人情報保護実務検定も、全日本情報学習振興協会の主催で実施される試験です。個人情報保護に関する知識の習得と、実務スキルの獲得が目的。1級~3級まであり、どの級から受験でも可能です。
個人情報保護実務検定1級に合格し、なおかつマイナンバー実務検定2級以上に合格すると、個人情報保護士としての認定を受けます。試験内容も重複するところが多いため、個人情報保護士を目指す方ならぜひともチェックしておきたい資格と言えるでしょう。
昨今導入されて注目を集めたマイナンバー。マイナンバー実務検定は、同制度を正しく理解し、特定個人情報を保護する上で必要な知識とスキルを持つ人材の養成を目的に行われています。出題範囲は、マイナンバー法に特化した内容がメインです。個人情報保護士との関連も深いため、ダブルライセンスを目指す方は狙い目の資格です。
個人情報保護法だけでも、多くの資格が存在することが分かると思います。それだけ、個人・プライバシーに関係する情報の取り扱いは重要であり、企業の責任は重大と言えるでしょう。法改正とマイナンバー制度の導入によってその機運はますます高まりを見せています。
個人情報保護に関する高い見識と豊富な知識が、安心で信頼できる情報セキュリティ・システムの構築を可能とします。これらの役割を担うポジションにふさわしいのが、個人情報保護士をはじめとする、その道のエキスパートたちです。