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民法22のスマート問題集の解答について 問題 1 YはA…
民法22のスマート問題集の解答について
問題 1
YはAから甲土地を買い受けたが、登記は移転させていなかった。Yは甲土地に家を建て、25年ほど暮らしていたところ、甲土地の登記がAにあることを知ったXは、Yが甲土地に数十年にわたって住んでいることを認識したものの、甲土地を自分で使いたいと考えてAから甲土地を買い受け、登記も移転した。Xの明け渡し請求に対し、Yは所有権を対抗できる。
解答 ×
対抗関係に立つ「第三者」(177条)とは、「当事者若しくはその包括承継人以外の者であって、登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者」と解されています。
設問において、YにとってXがこの「第三者」に当たる場合、Xが登記を具備している以上、Yの主張は認められないことになります。
「登記の欠缺を主張する正当な利益」を有しない者の例としては、無権利者や不法行為者、背信的悪意者が挙げられます。背信的悪意者とは、単に所有権が移転していることを知っている悪意者ではなく、それを超えて、登記の欠缺を主張することが信義に反すると認められるような者をいいます(最判H18.1.17など)。すなわち、悪意+信義則違反ともいい得ます。
判例は、多年にわたり当該不動産を占有している事実を認識していただけでは背信的とはいえないとの判断をしているものといえます。Xは、Yが数十年にわたって住んでいることを知っているだけであり、所有権が移転していることにつき悪意ともいい切れず、また、単に自分で使いたいと考えたに過ぎないことから背信的(信義に反する)ともいえません。したがって、Xは背信的悪意者といえないことから、YにとってXは対抗関係に立つ「第三者」に当たることになります。
よって、Xの明け渡し請求に対し、Yは所有権を主張できないことになります。と記載しています。
しかし、H18.1.17最判の判決要旨は、最高裁の判例検索システムでは、以下となっています。
判示事項
不動産の取得時効完成後に当該不動産の譲渡を受けて所有権移転登記を了した者が背信的悪意者に当たる場合
裁判要旨
甲が時効取得した不動産について,その取得時効完成後に乙が当該不動産の譲渡を受けて所有権移転登記を了した場合において,乙が,当該不動産の譲渡を受けた時に,甲が多年にわたり当該不動産を占有している事実を認識しており,甲の登記の欠缺を主張することが信義に反するものと認められる事情が存在するときは,乙は背信的悪意者に当たる。
どのように理解すれば良いのでしょうか。
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