ダブルライセンスインタビュー 佐藤裕樹さん

高校中退のドライバーから弁護士へ!資格を足がかりに高みを目指す

ダブルライセンスインタビュー 佐藤 裕樹さん

弁護士を目指す佐藤裕樹(さとう・ゆうき)さんは、
最終学歴は高校中退、前職はトラックドライバーという異色の経歴の持ち主。
かつては勉強とは縁遠い人生で、
「弁護士なんてなれるわけがない」と思っていたそうです。

しかし今では自分の可能性を確信し、
この先10年を費やすこともいとわない覚悟で司法試験に臨んでいます。

なぜ佐藤さんはこれほど変わったのか?
その背景には、複数の法律系資格の取得がありました。

佐藤 裕樹さんのキャリア

トラックで大事故 後遺障害とトラウマで退職
弁護士に憧れるも「なれるはずがない」とWebデザイナーに
自分の可能性を確かめるため行政書士宅建士に挑戦
見事に合格し法律の勉強に確かな手応え
憧れだった弁護士を目指し司法試験に本気で挑戦中!

01大事故で後遺障害とトラウマ
転職を余儀なくされWeb業界へ

――これまでのご経歴を教えてください。

高校を中退して土木作業員などさまざまな仕事を経験した後、2010年に岐阜県の運送会社に就職し、関東や北陸などに荷物を運ぶトラックドライバーをしていました。プライベートでは旅が好きだったため、まとまった休みを取りやすいドライバーの仕事が当時のライフスタイルに合っていました。

でも7年目のある日、トラック運転中に別の車が横から飛び出してきて大事故に巻き込まれてしまったんです。幸い命は助かったものの重い神経症状の後遺障害を負い、治療をしても痛みがすぐぶり返すため頻繁に通院せざるを得なくなりました。また事故で強いトラウマが残り、「肉体労働は危険な目に遭うかもしれない。二度とやりたくない」と思うまでになってしまったんです。仕事を続けるのは難しいと判断して退職しました。

そして次の仕事について考えていたのですが、ちょうどその頃YouTubeでプログラミングスクールの広告をよく目にしていたことから、Web業界に興味を持ちました。パソコンを使う仕事なら室内の安全な環境で働けると思い、2019年からスクールでWebデザインを学習。そして翌年から個人事業主のWebデザイナーとして仕事を始めました。

それまでデスクワークの経験はおろか、パソコンすらほとんど触ったことがなかったのですが、いざ挑戦してみると「まっさらな状態からでも案外覚えられるものだな」と思った記憶がありますね。

佐藤さん写真1

02弁護士に憧れるも
「なれるはずがない」と思っていた

――Webデザイナーに転身したあと、現在は弁護士を目指していらっしゃいます。ここにもさらなる変化があったようですね。まず法律の世界に興味を持ったきっかけについて教えてください。

事故後、加害者への損害賠償請求などのことで弁護士さんに相談をしていました。といっても弁護士さんに丸投げするのではなく、計算書類の作成、数字のチェック、後遺障害申請や個人情報開示請求の手続きと、自分でできることは自分で行っていたんです。そうして二人三脚で手続きを進めるうちに、弁護士という職業に興味が出てきました。

――でも、すぐに弁護士を目指したわけではなかったんですね。

法律はあらゆる物事に関わるので、さまざまな事案の解決に携われる弁護士という職業にとても魅力を感じ、憧れの気持ちさえ抱いていました。しかし当時は「高校中退、しかも肉体労働しかしたことがない自分が弁護士になれるはずがない」と考えていたんです。当時の自分にできることをより現実的に検討した結果、Webデザインの道を選びました。

佐藤さん写真2

03憧れが強まり
「法律系資格の登竜門」への挑戦を決意

――Webデザインの道に進みながらも、弁護士への憧れの気持ちは持ち続けていたのですか?

交通事故処理の書類作成も引き続き行っていたので、弁護士さんとの関わりは続いていました。弁護士さんと一緒に手続きを進めているうちに、「自分はこういう仕事に向いているかも」と思うようになりました。弁護士は人をサポートする仕事だと感じたのですが、私も昔からリーダーよりも誰かを支える立場のほうが性に合うんです。

一方で、近年のWeb業界はAIの台頭がめざましく、自分がWebデザインの仕事をこの先10年も20年も続ける姿を想像できずにいたんです。そのこともあって「弁護士になりたい」との想いがより一層強くなっていきました。(写真はWebデザイナーとして働いているときのもの。本人提供)

そこで考えたのが行政書士への挑戦です。「法律系資格の登竜門」と言われる行政書士試験に合格できないようなら、司法試験なんて夢のまた夢だと思いました。

――司法試験という高みに向けて、法律の世界の足がかりに資格を活用したわけですね。

自分が法律関係の職業に向いているのかを知りたかったことも理由です。適性を見極めるための第一歩として、そして司法試験に挑戦するための条件として、行政書士試験の合格を自分に課しました。

また、並行して宅建士の勉強も始めました。こちらは司法試験への足がかりというより、取得すれば「将来のための保険」になりそうだと思ったのが理由です。不動産売買の事業をしている人や不動産会社の後継者を探している人が身近にいて、宅建士のニーズの高さを肌で感じていたので。試験科目の一部が行政書士試験と重なっていた点も挑戦の後押しになりました。

佐藤さん写真3

04「講義を聞いて過去問を解く」を
ひたすらくり返す

――行政書士と宅建士を目指す際に、スタディングを選んだ理由を教えてください。

まず書店で参考書を買って読んでみたのですが、「この内容を独学するのはムリだ」と即座に判断しました。そこで通信講座を探したところ、手ごろな値段で気軽に始められそうなスタディングに興味を持ったんです。スマホひとつで講義から過去問までこなせるのも魅力でした。受講生の合格体験談も読んで、「これなら自分もできるかも」と感じたため申し込みました。

――どのように勉強を進めていったのですか?

私が机に向かって勉強したのは中学時代が最後。つまり資格の勉強の仕方など全くわからない状態からのスタートだったので、スタディングの講師の言葉に素直に従うことにしました。行政書士講座の初回講義で「講義を聞いたら過去問を解いてください」と言っていたので、講義の後は過去問を解く、間違った問題は解説を読むというサイクルを実践。そのうちに、再び同じ問題にあたったときには理論レベルで理解できるようになっていきました。

佐藤さん写真4

05宅建士・行政書士に合格!
「弁護士になれるはずがない」から気持ちが変化

――勉強で工夫していたことはありますか?

勉強の妨げとなるSNSやYouTubeのアプリを削除して、「スマホを触ったらスタディング」を習慣にしました。外出先でも、待ち時間に過去問を数問解くなど、とにかくスキマ時間があれば勉強するようにしていましたね。こうして勉強時間を積み重ねていき、勉強を開始した2021年に宅建士に一発合格、翌年には行政書士にも合格できました。合格までにかかった学習時間は、宅建士は168時間で約4カ月、行政書士は宅建士の勉強に専念していた期間を除くと約1000時間で約1年でした。

――宅建士合格、行政書士合格と1つずつステップアップした今、かつては「なれるはずがない」と思っていた弁護士という夢に、手が届きそうでしょうか?

弁護士にぼんやりとした憧れを抱いていた頃は、法律の世界なんて自分の人生とは別の世界だと思っていました。でも勉強を進めるにつれて、Webデザインを勉強していたときと同じように「勉強とは縁遠い人生を送ってきた自分でも、案外できるものだ」という実感がわいてきました。

司法試験合格という「山の頂上」は、まだ雲がかかってはっきりとは見えません。でも資格取得を積み重ねた今、「弁護士になれるかどうかは、勉強を続けられるかどうかだけだ」という感覚に至っています。時間がかかっても、やればできるんじゃないかと思えるようになりました。

――資格取得を通じてご自身の可能性が大きく広がったのですね。それにしても、勉強すること自体が久しぶりでもスムーズに合格できているのが素晴らしいです。

交通事故に遭って後遺障害を負ったので、今後生活していくためにもただ憧れているだけではダメだと気がついたことが大きいですね。「本腰を入れて勉強しないと、生きていけなくなるぞ」という危機感に突き動かされている感じがします。もうまさに、今は「背水の陣」そのものの状態ですから。

佐藤さん写真5

0610年かかっても司法試験に合格したい

――順調に2つの試験に合格し、今は司法試験予備試験(司法試験の受験資格を得るための試験)に向けて勉強をされているんですよね。

はい。今はWebデザインの仕事も中断して、勉強に専念しています。実は先日、予備試験の短答式試験を受けてきたんですよ。まだ5カ月ほどしか勉強していないのでおそらく合格はしていないと思いますが、受験会場の雰囲気や時間配分の仕方はつかめました。

――ご存知のとおり予備試験は超難関です。どのようなお気持ちで臨んでいらっしゃるのでしょうか?

学歴や職歴から考えて自分にはもう後がないですし、「10年かかってもいいから弁護士になりたい」という強い気持ちで勉強に励んでいます。

当面の間は司法試験の勉強に専念したいので、行政書士や宅建士の資格を使って仕事をすることは考えていません。ただ、司法試験の勉強を続ける中で合格がどうしても難しいと感じた場合には、これらの資格を生かしたキャリア形成を考えるかもしれませんね。

でも、無事に弁護士になれたら、これまでの資格で得た知識も役立つと思いますね。例えば遺産相続手続きなどでは民法の知識だけでなく不動産の知識が必要になるので、行政書士・宅建士の両方の知識を生かせるでしょう。また、弁護士業の傍ら不動産売買や媒介に関わってみたいとも考えています。

佐藤さん写真6

07被害者や労働者の気持ちを
くみ取れる弁護士に

――「10年かかっても弁護士になりたい」ということですが、そこまで佐藤さんを駆り立てるものは何なのでしょうか。

直感的な答えになりますが、「どうしてもなりたい」からですね(笑)。どうしても法廷に立ちたいです。行政書士にはできない法廷での弁論をやりたい気持ちが強いです。

――将来、どんな弁護士になりたいですか?

私自身も交通事故で後遺障害に苦しんだので、交通事故に遭った方がどれだけ辛く苦しい思いをされているか、骨身にしみてよくわかります。交通事故の被害者の気持ちに寄り添って問題解決できる弁護士になるのが夢です。

それと、私は10代の頃からさまざまな仕事をしてきた分、ずっと勉学中心の生活をして弁護士になる人とは異なる強みがあると思います。例えばブラックな環境で働く人や、未払い賃金に悩む人の気持ちもわかっているつもりです。

弁護士になれば、交通事故の被害者や労働者だけでなく、さまざまな方の相談に乗ることになります。相手の気持ちをくみ取りながら事案を正確に理解し、困っている方々を救済できる仕事をしていきたいですね。

――交通事故に遭われたことは本当にお気の毒でしたが、佐藤さんのキャリアにおいて非常に重要な転機となったように見えます。今のお気持ちはいかがですか?

正直、スッキリした気持ちですね。実は、トラックドライバーもWebデザイナーも、自分にとっては生きていくための、いわゆる「ライスワーク」にすぎませんでした。それとは対照的に、大いに意義も魅力も感じられる「弁護士になる」という目標に向かって純粋にがんばれるようになったことは、自分にとって大きな変化だったと思います。

佐藤さん写真7

08とにかく、やってみよう

――佐藤さんのように目標に向かってがんばっている方々にアドバイスをお願いします。

一番言いたいのは「とにかくやってみよう」ということです。スタディングの講座は価格的にも手が届きやすいので、あまり考え込まずに資格試験に挑戦できるツールだと思います。

ただし、私は同じ年に行政書士と宅建士の両方の合格を狙おうとしてダメだったので、ダブルライセンスを目指す場合は、1つの資格の勉強だけに集中して、合格したら次の資格の勉強、というように段階を踏んで勉強を進めたほうが効率が良いと思います。

また、注意したいのが、スタディングは手軽に始められるツールではありますが、だからといって試験に簡単に合格できるわけではない、ということです。試験合格のためには、自分にとって誘惑のあるSNSやゲーム、YouTubeのアプリを消すなど学習の環境面を整えるようにしましょう。そして、「毎日わずかな時間でもすべて勉強に充てよう」と意識することによって、目標達成に近づくのではないでしょうか。

――ダブルライセンス、トリプルライセンスを目指している方々へメッセージをお願いいたします。

先ほどお話をしたように学習環境を整えて勉強を習慣化したおかげで、高校中退の私でも宅建士や行政書士の合格を勝ち取ることができました。しかし、目標の本丸は司法試験です。近い将来、弁護士になれるように私もがんばりますので、みなさんも夢や目標に向かって最後まであきらめずに一緒にがんばりましょう!

佐藤さん写真8

――最後に、あなたにとって資格とは?

人生を変えるための切り札

ライター:大澤美恵
編集:浜田有希子

Share

  • Twitter
  • Line
  • Facebook

佐藤さんが取得&勉強中の
資格の講座はこちら!

Share

  • Twitter
  • Line
  • Facebook

Wライセンス応援割でお得に資格学習!

Wライセンス応援割で

お得に資格学習!

スタディングでは「Wライセンス応援割」制度を設けています。
2講座目以降は受講料が割引になり、さらにお得に資格学習ができます。
ダブルライセンスを目指している方はぜひご利用ください。※すべての講座で割引が適用されるわけではございません。 対象講座を必ずご確認の上でご購入ください。