▼診断士を目指したきっかけ
①総合メディアでいわゆる記者として勤務しており、幅広いテーマで取材をするのですが本社勤務時代の主な担当は経済関連の取材部署でメーカーや金融、流通業など大手企業を中心に取材していました。一方、新型コロナ以降、中小企業の厳しい現場やそれを支える地域金融機関を取材する機会が増え、99%以上を占める中小企業向けにいかに自分が情報発信できていなかったかと反省しました。中小企業のためになる報道をするため、自分の専門性を磨きたいと思ったことがきっかけです。
このほか、
②経営戦略や会計など取材に必要な知識は勉強してきましたが悪く言えば「つまみぐい」で体系的に勉強したかったこと。
③新型コロナで働き方も変わり、それまで連日のように行われていた「夜の会合」がなくなり、まとまった時間ができたこと。
▼受験勉強と結果
1次試験 821時間
2次試験 437時間
口述試験 34時間
▼受験勉強
(1次)
ひとまずスタディングの講座通りに全体を勉強してみようと21年8月に勉強を開始しました。仕事が不規則なため毎日は勉強できませんでしたが年明けころまで概ね平日は30分~1・2時間、土日は1~2時間。「1次試験は広く浅く」と聞いていましたが、全然違いました。財務会計なら原価計算、意思決定会計、企業価値、証券投資論などテキストをいくら読んでも記憶に残らず、運営管理の定期、定量の発注方式や、IE、商品予算計画などにも苦戦しました。動画は1.2倍くらいで飛ばしながらひとまず1周することを考えました。動画講座は使いやすかったですがスタディングの冊子は索引などがないため正直使いづらかったです。
7科目すべてに課題ありという感じだったので「2カ年計画」くらいを想定。ただ、財務会計は2次試験でも重要だということだったので、22年の年明けころからは一日30分だけでも問題を解いていこうと、スタディングのスマート問題集や過去問、書籍の過去問マスターを繰り返し解くようにしました。22年の2月ころに一周目が終了。経営情報、法務、中小企業の暗記三兄弟は試験直前期の詰め込み重視で、それ以外の4科目を念頭に過去問を繰り返しました。
3月に初めて通しで過去問を解いてみた時は企業経営79、財務会計72、運営管理65、経営情報72、経済学72、経営法務56、中小企業52で「意外といける?」と思ったものの、その後もなかなか点は伸びず。「道場の橋げた理論」を頼みに、過去問演習を繰り返しました。主に移動時間など隙間時間にはスタディングの過去問演習を徹底、自宅で机に座っている場合は他社教材を使用しました。2次試験をなんとなく意識し、企業経営理論や運営管理については隔日などできるだけ頻度多めに、苦手意識のあった経営情報は時間がある時に、という塩梅で他社教材&スマホでの演習を繰り返しました。それぞれ3周はやったと思います。
春頃には本業がかなり忙しくなりなかなか時間がとれませんでした。スタディングの過去問演習は隙間時間で少しずつ問題が解けるので非常に便利。6~7月上旬にかけても大きな仕事があったため平日は1~2時間程度しか勉強できていなかったです。休みの日は6~7時間勉強できていたと思います。
一方、7月に第2子の出産を予定していたことから7月中旬から8月末まで育休を取得。家族にも職場にも「資格勉強のため休んだ」とは思われたくなかったので第1子の世話や家事には全力をあげつつ勉強時間を確保するため朝5時半ころから起きて家事など以外の時間はほぼすべて勉強にあてました。23時半から30分だけ毎日1杯焼酎を飲むのが唯一のリラックスタイムでした。このころは一日8~9時間くらい勉強できていました。最後の追い込みで中小企業白書の主要項目や民法など、暗記三兄弟を意識的に勉強しました。一次突破は直前期の追い込みがかなり効いたと思っていますが、「家にいるのにパパと遊べない」と第一子には本当に申し訳ないことをしました…。
なお、模試は仕事が忙しい時期に集中していたため一度も受けることができませんでした。財務は準備した実感があったのですが、本番では苦戦。一方、足切りをおそれていた経営法務と中小企業は易化していたようで点数を稼ぐことができ、勉強実績と点数は比例しませんでしたな。あとから振り返れば「合格点をとる」という目標を達成するだけならここまでの勉強時間は必要なかったと思います。私は要領が悪く確実に1次を突破することを考えていましたが、勉強の時間をあまり割けられない場合、年明け、春先から短期集中で突破を目指す戦略も大ありです。
(2次)
初年度で1次合格できる自信がなかったので2次試験対策は1次が終わってからと考えていました。1次試験後に自己採点して通過を確認した上で、まずは2次の情報収集から始めました。なお、再現答案など書籍は1次前から一応購入していたのですが、このほかの参考書は準備していなかったので入手に苦労しました…。
2次でもまずスタディングの動画を視聴してみましたがこちらはあまり参考になりませんでした。一方、2次の感覚をつかむ上ではブログが大変貴重な情報源でした。
8月中は育休で問題演習の時間も十分確保できました、1日8~10時間くらいやっていました。ただ、職場復帰すると残り2か月育児・仕事・勉強の両立は難しく、仕事・勉強にシフトさせてもらいました。事例をこなすには復習時間を含めても1問あたり2時間は必要だったので、朝5時半か6時ごろに起きて毎日事例を1つ、夜に事例Ⅳの参考書を解くという形で事例を必ず1つはこなすことと事例Ⅳを毎日勉強することは心がけました。事例数は最終的に125、過去10年分は2~4周と数はこなしたのですが、ほぼふぞろいベースでの自己採点に終始し、丁寧な分析も足りていなかったので「質」はともなっていなかったように思います。また、隙間時間を活用するためWordHolicという単語帳アプリを使って事例毎の注意点をまとめて通勤時に歩きながら確認していました。(同族企業のメリットは?機能別組織のメリデメは?など)
模試は自宅受験の形で他社の通信講座を活用しました。通信講座はオンラインで15分程度ですが講師の方に個別に説明していただき大変有意義でした。一方、回答の中身について嫌みなコメントが多く残念な気持ちになりました。過去問を何周もしていると問題を覚えてしまうので最終盤で資格学校の模試も購入しました。予備校の模試は回答要素がかなり絞られていて、正直点数にあまり意味はないなと感じましたので、「初見の練習」と割り切って活用しました。
解法については紆余曲折がありました。当初は比較的一般的な①設問解釈②解答骨子作成③与件文読み込み④解答記入という方法をとっていましたが設問解釈に時間をかけるのがなじまず、最終的には「設問ごとの色分け方式」を取るようにしました。最初に設問を読んでどのような内容が求められているか簡単に想像、設問ごとに赤、オレンジ、黄、緑、青など色を分けて、事例を読みながら設問に対応しそうな部分にその色をつけていきました。この方法では「色分け」を間違えると回答が大きく崩れる可能性がありますが、じっくり考えるよりも手を動かす方が性に合っているため最終的にこの方法に落ち着きました。設問1は「赤」として、解答を考える時は赤でラインを引いてるところからヒントを抽出する…という具合です。色分けに迷った場合は「赤と黄色を塗る」といった『ダブり』もありました。
2次試験当日は事例Ⅰが5分早く始まってしまうなどトラブルもありましたが、Ⅰ~Ⅲまでは何とか回答を埋めることはできました。一方、ラスボスの事例Ⅳについては経営分析で初出の「生産性」で動揺、付加価値を扱った方がいいかなと思いつつ付加価値は計算方法が複数あり、自信がなかったので「1人あたり売上高」で回答しました。事前の想定通り、第5問の経営リスクの記述問題を記入し(為替変動リスクへの対処法は想定通り!)、そこまでは何とかやっていたと思います。そして、第2、3問に進みましたが、ここで全く分からず頭が真っ白に…。何度設問文を読んでも回答が思い浮かばず家族のことを犠牲にしてきたこの数ヶ月が走馬灯のように頭をよぎりました。パパふがいない…それでも最後まで諦めずにあがいた結果、なぜか第2問の設問2、第3問の設問2は正解していたようです(走り書きしていたメモによれば)。会場の立教大学をとぼとぼ歩きながら妻に電話で手応えを報告。会社の同僚たちが集まってくれたので失意どん底の中、とにかくすべてを忘れて飲み狂い!ついでに答案もほとんど忘れてしまい!!結局再現答案は作れませんでした。23年度に向けてどうモチベーションを上げていこうか、家族の理解を得ようか悩んでいましたが、奇跡的に筆記を突破できました。たまたまですが、まさに診断士の地域での活動の様子を取材しているさなかに合格発表がありました。取材の合間にネットで発表を見て手が震えました。そこから口述試験に急いで取り組みました。
全体を振り返った反省点としては「コスパが悪かった」ということです。1次試験は上述の通り、平均で60点とれば良いものの心配になり「やりすぎた」こと。また2次試験は独学で短期間でもそれなりの勉強時間をかけましたが、ネットやリアルで勉強仲間がいればより「質」も向上できたのではないかと思います。
きよさん
中小企業診断士
2022年合格
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