国家公務員として英語を操る職種といえば、まず外務省職員を思い浮かべる方は多いでしょう。外務省の役割を一言でいえば、「日本の立場を国際社会に向けてアピールすること」。日本の立場を理解してもらうよう国内外問わず英語で発信し、誤解があれば各国大使館と直接かけあいコミュニケーションを取りあいます。日本はとくに欧米諸国とのかかわりが深いだけに、英語スキルはとくに重視されます。
入国審査官とは、入国管理局に勤務する職員です。日本を訪れる外国人に対し、パスポートの審査をしたり、犯罪歴がないか調べたりする仕事。国内残留外国人の在留資格調査なども行います。
入国管理官になるには、国家公務員試験一般職を受験・合格後、入国管理局の採用試験に合格する必要があります。試験は主に面接方式で実施されます。
防衛省専門職員は、安全保障に関する深い知識とともに、グローバリゼーションに通用するだけの鋭い国際感覚と高い語学力が求められる職種。防衛分野は世界各国との積極的な交流を通してそれぞれの立場に対する理解を深め合い、情報収集と分析作業を進めるなかで安定的な安全保障体制の構築につなげます。その最前線に立つのが防衛相専門職員と呼ばれる防衛のスペシャリストたちです。
国連加盟国である日本は、国連の本局・部局をはじめ、さまざまな関連機関に職員を送り出しています。国連教育科学文化機関(ユネスコ)、世界保健機関(WHO)、国際労働機関(ILO)などの加盟機関にも日本の国連職員は勤務しています。
食糧・エネルギー・教育・医療・紛争・宗教など、世界が抱える問題はさまざま。各国の国連職員と話し合い解決策を探るという重要な任務を背負っています。グローバルな視点はもちろん、中立・中道の姿勢で業務を遂行するスタンスも重要です。
国内空港の管制塔に勤務するのが航空管制官です。正式には、国土交通省航空局に所属する国家公務員専門職という位置づけです。日本の空港に着陸する航空機を正しく誘導するのが任務で、パイロットとのやり取りは英語で行われます。
航空管制官になるには、「航空管制官採用試験」(国家公務員試験一種)を受験・合格しなければなりません。その後、航空保安大学校で一年間研修を受け、航空管制官採用試験に合格してはじめて航空管制官として認められます。
国際捜査官とは、外国人犯罪の取り締まりや捜査に携わる警察官です。外国籍の犯罪者に対する取り調べはもちろん、捜査情報の収集のため外国人コミュニティに潜入・捜査を行う必要があり、語学にすぐれていないと職務をまっとうできません。英語ができるだけでなく、それぞれの国の文化・習慣・価値観などを理解することも、国際捜査官として求められる資質です。
ちなみに、「国際捜査官採用試験」という公務員試験が特別にあるわけではありません。警察署によっては採用試験を実施するところもありますが、一般的には警察官のなかからとくに語学センスにすぐれた人材が選ばれます。
県庁・市役所・町村役場には観光課という部署があり、そこで働く職員には一定レベルの英語力が求められます。海外から観光客を呼び込むためには世界に向けての英語発信が避けられず、PRパンフレットや動画なども海外用はすべて英語で作成する必要があります。
地方自治体の観光課職員になるには、地方公務員試験の「行政事務」もしくは「一般事務」という区分で受験し、合格するのが条件。ただし、観光課を希望してもそれがとおるとは限りません。英語力があり、町の観光PRの仕事がしたい方は、面接試験でそれをしっかりアピールするとよいでしょう。
このように、公務員の世界には英語を活かせる職種がたくさんあります。語学力を通して国家国民にご奉仕したいとお考えの方は、公務員試験のチャレンジも視野に入れてみてください。